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メト:I Puritani 清教徒(2017.2.18 ライブ放送 Camarena, Damrau, Pisaroni, Markov )ハイC♯ D♭ D がいっぱい [テノールの高音]

 「清教徒」は、テノールの高音が期待されるオペラですが、ライブ放送を聞いてみました。(BBC Radio3で1ヶ月オンデマンドで聞けます)
 まず、私の好きな、ジョルジョ(バス)とリッカルド(バリトン)の二重唱、メトのYouTubeのチャンネルにアップされていました。昔は、最後はバリトンが1オクターブ上げて終るのが慣例だったようですが、これは楽譜通りです。上げた方が盛り上がりますけど、バリトンの声域としてはA♭ってどうなんでしょう。


♪「ラッパを鳴らせ Suoni la tromba,e intrepido」フルバージョン
iPad/iPhone用MP3
トランペットにのって勇壮に歌われるバスとバリトン、まさに男の二重唱で大変盛り上がります。観客の拍手が鳴り止まず、二回繰り返したりすることもあります。こちらがその記事、Bi〜s!Bi〜s!熱狂の渦 2回歌っちゃいま〜す(清教徒:ラッパを鳴らせ)、すごいですよ、大騒ぎ。最後は1オクターブ上げて終ってます。

☆テノールの高音:
♪「いとしい乙女よ、あなたに愛をA te o cara, amore talora」 76 - 83
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登場してすぐに歌わなければならないし、3点Do♯=C♯もあり、至難のアリア。

♪二重唱「わたしの腕の中にvieni fra le mie braccia」 256 -

iPad/iPhone用MP3
原調で歌っているので3点Re =D (伝統的修正で、移調する場合が多い、普通は半音下げ、全音下げもある)

♪四重唱「私は彼女に裏切られたと思ったCredeasi,misera! Da me tradita,」274 - 280
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scoreにリンク
アルトゥーロのソロから始まり、主要登場人物4人が続く。3点Re♭=D♭が2回、さいごの最後に3点Fa=F、楽譜にはありますが、普通は歌いません。カマレーナもハイFは回避しています。歌ったとしてもかなり奇妙な声ですから.....無理する必要無し。ハイFとはどんなものか聞きたい方は過去記事で、《清教徒》パヴァロッティ、RR共に初役☆MP3 おまけ3点F

PURITANI-NYTimes.jpg
ジョルジョ:ルカ・ピサローニ (Luca Pisaroni 1975.6.8 - )
エルヴィーラ:ディアナ・ダムラウ (Diana Damrau1971.5.31 - )
アルトゥーロ:ハビエル・カマレーナ (Javier Camarena 1976.3.26 - )
リッカルド:アレクセイ・マルコフ(Aleksey Markov 1979.5.26 - )

pdf

◎過去記事にハイライトの音声ファイルと、どういう場面で歌うのか、簡単な説明があります。パヴァロッティを偲んで:《清教徒》パヴァロッティ、RR共に初役☆MP3 おまけ3点F
ルチアーノ・パヴァロッティ、ガブリエラ・トゥッチ、アルド・プロッテ、ルッジェーロ・ライモンディ
 昔の演奏の方が盛り上がるなぁ...... 3点Fの録音もあります。

《清教徒》の3点Re(D):二重唱"vieni fra le mie braccia"☆★MP3

♫弱音の美しいハイD♭(Re♭)

復活祭企画! テノールの高音:ロッシーニ:《スタバト・マーテル》 のハイD♭(Re♭)

[テノールの高音]





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グノーの「ロメオとジュリエット」:ロメオのハイC [テノールの高音]

romeo_hiC_score.jpg 今現在、メトでは、グリゴーロとダムラウの「ロメオとジュリエット」が大評判、ダムラウは初役ですが、グリゴーロはスカラ座(2011)、LA opera(2011)、ヴェローナ・ディ・アレーナ(2014)で同役を歌っていて、ワインのように、ちょうど良く熟成した頃でしょうか。

 ロメオの有名なアリア"Ah, leve-toi soleil ああ、太陽よ昇れ" は、最高音がB(シ♭)だったかな.....テノールとしては、やっぱりハイCで盛り上げたいよね.....ということで初演からかどうかは知りませんが、3幕のファイトシーンの後、ティボルトを刺殺してしまったロメオにヴェローナ追放が言い渡される場面の "mais je veux la revoir! あのひとにもう一度逢いたい!" の最後を高音のCに上げるのが慣例になっています。もちろん楽譜にはない音ですので、楽譜通りに歌うこともあります。

 グリゴーロは2011年のスカラ座とLAoperaでは、楽譜通りに歌っていますが、今回のメトではハイCに上げています。もう一人ビリャソンも上げていませんが、ビリャソンは高音は苦手ですから、当然楽譜通りなんでしょうけど。グリゴーロの場合は、どうしてでしょう....上げた方が劇的効果は有るのに.....もしかして慣習的に上げるのを知らなかったとか......

 ネット上に転がっている音源を拾ってみました。コレッリ、フランス語の勉強をいつもすっぽかしていたのに、ロメオも歌っていたんですね。ロメオと言えばアラーニャという時期もありました。高音はお手のもののフローレス。メトの観客を沸かせるグリゴーロ、Bravi!おじさん凄い。2011年のメトが選んだロメオはベチャワ、無謀運転はやめましょう。

◎ハイ、highCです
・フランコ・コレッリ:
 NOP1968年 Alain Lombard指揮iPhone/iPad用mp3
LE DUC
Tu quitteras la ville dès ce soir.
(今晩町を出るのだ)

ROMÉO
Ô désespoir ! l’exil ! l’exil !
(ああ、絶望的だ、追放か!)
Non ! je mourrai, mais je veux la revoir !
(いやだ!もう一度彼女に会いたい!)

CAPULET, LE CHŒUR
La paix ? Non ! non ! non ! non ! jamais !
(和解? 絶対にない!)

・ロベルト・アラーニャ:
 ROH1994年 Sir Charles Mackerras指揮iPhone/iPad用mp3

・ファン・ディエゴ・フローレス:
 ウィーン2016年2月26日 Marco Armiliato指揮iPhone/iPad用mp3

・ヴィットリオ・グリゴーロ:
 メト2016年12月31日 Gianandrea Noseda指揮iPad iphone用MP3

◎楽譜通りG(ソ)のままでハイCに上げていない
・ヴィットリオ・グリゴーロ:
 LAオペラ 2011年10月 ドミンゴ指揮iPad iphone用MP3

◎ハイC 完璧失敗
・ピョートル・ベチャワ:
 メト2011年3月3日 ドミンゴ指揮iPad iphone用MP3
 録音では笑えますが、実際の上演では、こういう失敗は、見たくも聞きたくもない、会場は凍り付きますよ。こういう無謀な賭けはやめて欲しい。楽譜通りでいいでしょう。

☆パヴァロッティのお言葉:
「観客は、テノールが輝かしい高音、高いドの音を出せば、他のところでさんざんひどい歌い方をしても許してくれるが、ある晩の公演で、天使のようにすばらしく歌いながら、最高音を一つ失敗して、すべてをぶちこわす可能性もあるのだ。どんな公演にしろ、高いドの音を出し損なったら、立ち直れない」

関連記事:
2011年3月3日のベチャワがハイC失敗した時の公演のレポート
 この公演のジュリエットは開幕直前までゲオルギューでした....そのへんの経緯も詳しく解説。
2011年スカラ座の公演のレポート
 バスのアレクサンドル・ヴィノグラドフの追っかけ管理人さんのレポート。ヴィノグラドフは、ローラン神父役で出演、グリゴーロ初体験の楽しいレポートです。グリゴーロならハイCに上げると期待してたのに肩すかしをくったとか.....

『テノールの高音』関連記事:
オペラのなんだこりゃ: ☆ テノールの悲惨な高音 ...
ボエームの聞かせどころ「冷たい手 Che gelida manina」がこんなことに.....
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スチュアート・ニール、ハイCの着地に失敗しました! "Di quella pira l'orrendo foco"
"冷たい手 Che gelida manina"の半音下げの移調は誤摩化し...
2009年お正月お遊び企画:《ボエーム》から、ロドルフォのミミ〜!....ミミ〜★MP3
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パヴァロッティを偲んで:《清教徒》パヴァロッティ、RR共に初役☆MP3 おまけ3点F
は〜い、ハイDですヨ:ベッリーニ《Il pirata 海賊》
《シチリアの夕べの祈り》テノールの歌のカット ハイDの処理
《シチリアの晩鐘》ボニゾッリのアリーゴとか...
《セビリアの理髪師》Cessa di più resistere ハイFあり


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トロヴァトーレのマンリーコ! ....なんだ半音下げか〜 ☆フランチェスコ・メーリ(2012.1.28) ☆ 続いてヨナス・カウフマンも(2013.6 ) [テノールの高音]

◎巷で話題のカウフマンのマンリーコ、ロールデビュー....やっぱり半音下げか〜...まあ、有名テノール軒並み半音下げなんで、当然かもしれませんが、もしかしたら頑張っちゃうかな...と思ってたんですけど、マルセロ・アルバレスは、ロールデビューの時は原調で歌ってましたよ。これはもうグリゴーロに期待するしかないんですけど、私の目の黒いうちに歌ってくれるかどうかも分かりませんが.........カウフマンのマンリーコって私のイメージとは違うんでこれだけ聞けばもういいよってかんじ...."Ah si ben mio"より"Di quella pira"の方がいい(まし)かな.....本人はいいと思ってるのかなぁ....もう大物なんだから自分にあったものを歌うべきでは。


 新国では2011/2012シーズンの開幕公演(私も行きました)が、「イル・トロヴァトーレ」だったんですが、マンリーコ役のヴァルテル・フラッカーロがインタビューで「見よ、恐ろしい炎を」について『半音下げて歌われることもありますが、私は伝統に従って原調でハイCを歌います。実は、楽譜にはハイCは書かれておらずGなのですが、Cに上げるのが慣習で、ヴェルディも認めていたそうです。楽しみにしてください!』と言ってます。えらいぞ!テノールはハイCが出てなんぼじゃ......まあ、原典主義のムーティは上げさせなかったとか、クーラがこのことで観客と言い争いになったとか.....マンリーコって聞く方も歌う方もなにかといろいろある役なんですね。
*  *  *  *  *  *  *  

◎以下2012-01-28の記事
 昨年2011年の12月フェニーチェで、フランチェスコ・メーリ(Francesco Meli1980-ジェノヴァ生)が弱冠31歳でマンリーコを歌いました。あのスチュアート・ニールStuart Neill とダブルキャストだったんですが、私は、興味津々、内心歌えるの?どうぜキャンセルするんじゃないの....と思っていましたが、予想に反して、ちゃんと歌いました......なんでも前々から本人が歌いたかったんだそうです。
 メーリは、日本でもコンサートを開催したりしているからか知名度も高いので、どんなものだったか聞いてみたい方もいるのではないかと思います。残念ながら放送はなかったんですが、オペラ番組で取り上げていましたので、"Di quella pira "のさわりの部分だけですがアップします。ロールデビューでしかも若いのに、「半音下げ」てます。前半はしっかり落ち着いて歌っていますが、最後の"ararmi,ararmi,ararmi!"の部分が、急に録音レベルが低くなっているとはいえ、しょぼい。比較のため、グリゴーロの正調"Di quella pira"の同じ部分をアップします。
★フランチェスコ・メーリ/2011.12
♪ iPhone/iPad用mp3

★ヴィットリオ・グリゴーロ:"The Italian Tenoe"
♪iPhone/ iPad用mp3
 トロヴァトーレのマンリーコは、若い時から歌うテノールさんもいるんでしょうが、一般的に、40過ぎてから歌うもののようです。パヴァロッティもそう言ってますし、ヴィットリオ・グリゴーロもCDでは"Di quella pira "を録音しましたが、「実際に歌うのは15年先かな....今は1公演なら歌えるかもしれないけど、まだ無理...」とか言っています。オテロは絶対歌わない役と断言していましたが、マンリーコはいつかは歌うつもりがあるようです。ちなみにメーリはオテロも視野に入れているようです....「仮面舞踏会」もすでに歌ったんですね。2010年にメトデビューだった「リゴレット」でこけて、リベンジのチャンスがあったのに、メトからしっぽ巻いて逃げちゃった過去があるんですけど、イタリアではなぜかあまり批判されないタイプの歌手のようですから、まわりにつぶされることはないのでしょうけど.....

関連記事:
スチュアート・ニール、ハイCの着地に失敗しました! "Di quella pira l'orrendo foco"
アラーニャ、クーラ、アルバレスの "Di quella pira "も聞けます。

l'opera"12月号 No.253:スカラ座《カルメン》 メト《リゴレット》《ホフマン物語》
メーリのマントヴァ公爵不調?で不評

ボエームの聞かせどころ「冷たい手 Che gelida manina」がこんなことに..... [テノールの高音]

 ハイCがあることでもよく知られているテノールの超有名なアリア冷たい手 Che gelida manina」は、ハイCを敬遠して、移調して歌うことでもよく知られています。このアリアについては、「"冷たい手 Che gelida manina"の半音下げの移調は誤摩化し、賞味期限のつけかえみたいなもの...」という記事を書いていますので、参考にして下さい。

 さて、今日の本題、2007年2月25日、チューリヒ歌劇場での公演でのアクシデントです。ロドルフォは、マルセロ・アルバレス、彼は、この時、オリジナルではなく移調して歌うことにしたようですが、オーケストラのライブラリアンのミスでしょうか......交流ブログのMadokakipさんがこんな珍録音をお知らせ下さいました。ミミはノルマ・ファンティーニ 、指揮はカリニャーニ、みんな???だったでしょうね。

 ところで、移調する場合は、アリアのはじめ"Che gelida manina....."から半音下げて歌うのが一般的?かと思っていましたが、アルバレスは、"Che gelida manina....."とオリジナルのキーで歌い始めて、途中の転調するところで移調することにしていたんですね。私は、こういうのは初めて聞きました。もしかしたら、オケもはじめてだったんでしょうか.....それでこんなことになったとか......

 これは、マルセロ・アルバレスがロドルフォを歌った初日(2007.2.25)の事件ですが、チューリヒ歌劇場の記録によれば、その後2月28日、3月4,9日とアルバレスが歌っています。(Archiv: Spielplan 2006/2007)

参考:La Bohème スコア 66〜67頁 Des→As(G)

関連記事:
2009年お正月お遊び企画:《ボエーム》から、ロドルフォのミミ〜!....ミミ〜
メト《ボエーム》ベチャラ&ネトレプコ☆オリジナル"Che gelida manina 冷たい手"
フリットリ&グリゴーロの《ボエーム》チューリヒ (2009.10.18〜11.3)
チューリヒの《ボエーム》は、グリゴーロショー!だった....って....?/チューリヒ歴代のミミとロドルフォ
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オペラ傑作歌唱で初笑い:ターフェル(ヴォータン)のGeh'! ☆ ロメオ(ベチャワ)のハイC失敗... [テノールの高音]

明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。

 YouTubeでなんとなく見つけてしまったものですが、何度聞いても笑ってしまいます。前にも取り上げたことのあるイタリアRai3のラジオ番組"La Barcaccia"、話題のオペラ公演の紹介とか、オペラ歌手をゲストに招いたり、電話インタビューしたり、また、"perlae nere"というコーナーでは、ケッサク歌唱を放送したりしている、さすがイタリアと言える番組なんですが、この"perlae nere”で取り上げられたものから、特に面白かったものを二つ。偶然にも両方ともメトの公演です。

1.ターフェル Bryn Terfel のヴォータン (メト20011.6)
2.ベチャワのロメオ(メト2011.3)
iPad iphone用MP3

☆参考:
グリゴーロのロメオ:LAオペラ(2011.10)
G(ソ)のままでハイCに上げていない
指揮は両方ともドミンゴ
iPad iphone用MP3

↑普段はこの程度の"Geh'!"
画像をクリックするとビデオにリンクしています

ちょっと説明:
☆ブリン・ターフェルのヴォータン
 ヴォータンが、ジークムントを殺したフンディングに向って「Geh'.....行け」と言う場面、最初の「行け」はつぶやくように、2回目の「Geh'! 行け!」は威圧するように....かな....その2回目の"Geh'!"、きっとフンディングはこの声で即死でしょうね。司会者の大笑いにつられて笑ってしまうのかとも思いましたが、何度聞いても笑っちゃいます。

☆ベチャワのロメオ:グノーのRoméo et Juliette 3幕フィナーレ
 怒りにかられてティボルトを殺してしまったロメオに所払いが宣告され、"もう一度ジュリエットに会いたい! je veux la revoir! "と叫ぶ場面で、どうやら、最後のソをハイCに上げて歌うのが慣例のようなんですが、そのハイCが完全に裏返ってしまって、ラジオで聞くと笑えます。(舞台を見に行った方は会場が一瞬凍り付いたとか...完全な失敗を笑う人はいませんからね)
 ちなみに、ヴィットリオ.グリゴーロは、6月にスカラ座、10月にはLAオペラでロメオを歌っていますが、ここは、あえてハイCに上げていません。私の見た楽譜はハイCはありませんし.....グリゴーロのロメオは歌唱面でも非常に好評なんですが、トロヴァトーレの "Di quella pira l'orrendo foco"と違って、ここをハイCに上げないことを批判するレビューは全くありませんでした。それなのに、ベチャワはどうして無理をするんでしょうか......? 参考までに同じ部分の歌唱をアップしました。

関連記事:
スチュアート・ニール、ハイCの着地に失敗しました! "Di quella pira l'orrendo foco"
ゲオルギューとグリゴーロ★☆Rai3のラジオ番組"La Barcaccia"
マリーナ・ポプラフスカヤの"Sempre libera"のケッサク歌唱(メト2011.1.15の椿姫)

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復活祭企画! テノールの高音:ロッシーニ:《スタバト・マーテル》 のハイD♭(Re♭) [テノールの高音]

 第二ブログに書きましたが、BBC Radio3から復活祭の嬉しいプレゼントがありました。ヴィットリオ・グリゴーロが歌っているロッシーニのStabat Materが放送されました。ローマのバジリカで2004年4月7日にジェルメッティの指揮で演奏されたライブです。
 ロッシーニの《スタバト・マーテル》のテノールのソロの部分"Cujus Animam"にはハイD(Re)♭がありますが、グリゴーロはファルセット(でしょうね?)で、非常に静かに弱音で歌っていました。これはかなりめずらしいのではないかと思います。ほとんどのテノールが(必死で)D♭を普通の声で歌っています。
 ファルセットで歌うと、だいたいが「避けた」とか「逃げた」とか非難されるのがおちなんですね。いいとか悪いとか、正しいとか正しくない...とかは抜きにしても、これは、なかなか聞けない歌い方だと思います。グリゴーロ自身がバチカンでソリストをしていた...という経歴もあるし、私の贔屓のテノールだし、こういう歌い方の方が、次の"inclyti"のフォルテも生きてくるし...聖母の悲しみ、苦しみを表現できるかな......でも、これを他のテノールがやっていたら、「避けた」とか「逃げた」とか言ってしまうのか.....グリゴーロ自身も毎回ファルセットで歌っているかどうかもわからないし......なんて、いろいろ思いますが.....興味のある方は、どうぞ....
☆ジュリーニ指揮:1967年ローマ ☆ジェルメッティ指揮:2004年ローマ
.
これは、ファルセットではなく頭声ではないかとのご指摘をいただきました。ずいぶんと細い声なので、ファルセットかな...と思ったのですが......そうなると、胸声とか頭声とかファルセットというよりは、弱音で歌っているかどうかの違いなんですが、グリゴーロ以外は、どのテノールも思いっきりフォルテで歌っているということです.......つまり、フォルテでしか高音を出せないということかな.....ここは弱音で歌うことが可能であれば、その方がいいと思いますけど.....

 普通に歌っている音源はフローレスのがゴロゴロありますが、グリゴーロがまだボーイソプラノだった頃、パヴァッロティと共演してオペラ歌手に憧れたということなので、パヴァロッティのを選んでみました。グリゴーロ以外にファルセットのような静かな歌唱はないかといろいろ聞きましたが、ありませんでした。この部分だけをたくさん聞いていると、この高音を歌うためにけっこう構えているのがわかります。やっぱり、ハイD♭(Re♭)を出すためにかなり緊張するんですね。

◎グリゴーロの"Cujus Animam"、YouTubeで13分くらいから....



 別にもう一つハイD♭(Re♭)を端折って、H♭(Si♭)から歌っているのもあります。
☆プレヴィターリ指揮:1974年ローマ
私がチェックした演奏で2件ありましたから、これは、けっこう一般的なのかもしれません。これが、《スタバト・マーテル》初体験の人は、ロッシーニの楽譜では、D♭(Re♭)があるというのを知らない可能性もあると思います。

 いずれにしてもテノールの高音は、いろいろなにかと話題になります。今まで、keyakiのブログでも《ボエーム》《清教徒》《シチリアの晩鐘》《セビリアの理髪師》を取り上げています。

『テノールの高音』関連記事:
"冷たい手 Che gelida manina"の半音下げの移調は誤摩化し、賞味期限のつけかえみたいなもの...
《清教徒》の3点Re(D):二重唱"vieni fra le mie braccia"☆★MP3
パヴァロッティを偲んで:《清教徒》パヴァロッティ、RR共に初役☆MP3 おまけ3点F
は〜い、ハイDですヨ:ベッリーニ《Il pirata 海賊》
《シチリアの夕べの祈り》テノールの歌のカット ハイDの処理
《セビリアの理髪師》Cessa di più resistere ハイFあり

関連記事:
ロッシーニ の"Stabat Mater"(2004.4.7ローマ) BBC-Radio3で7日間オンデマンド放送
BBC-Radio3でロッシーニ の"Stabat Mater"放送:2004年4月7日ローマで収録
《スタバト・マーテル》放送 MP3
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スチュアート・ニール、ハイCの着地に失敗しました! "Di quella pira l'orrendo foco" [テノールの高音]

verdi09.jpg ジュセッペ・ヴェルディは1813年10月10日に生まれました。
 Googleイタリアでは、ヴェルディの生誕を記念して左のようなしゃれた絵文字になっています。
(2009.10.10追記)
以下2009.10.9の記事
 昨年のミラノ・スカラ座開幕公演《ドン・カルロ》のテノール首事件で一躍時の人となったアメリカ人テノールのスチュアート・ニール(Stuart Neill -44才)、9月にはスカラ座来日公演でもドン・カルロを歌ってますから、日本でも、ちょっとは名が売れているのではないかと思います。
 テノール不足なのか相変わらずイタリアで活躍しているようで、フィレンツェで《トロヴァトーレ》に出演。マンリーコのあの有名なカヴァレッタ、『母さ〜ん 助けに行くから待ってろよ〜 "Di quella pira l'orrendo foco" 見よ、恐ろしい炎を"』 の最後のアラーールミ!のハイCの着地に失敗....これがたまたま中継放送されました。劇場ではこういう失敗は、日常茶飯事だと思いますが、放送されるのはなかなかないと思います。舞台では、ボエームの"Che gelida manina" 同様、半音下げが当たり前になっていますので、移調しないで歌っているのも貴重といえます。しかも、ニールは、余程自信があったのか、完全版の繰り返しヴァージョンで歌っています。それで結局はスタミナ切れで、最後でつぶれちゃった....というわけです。自分を過信しすぎたということでしょうか.....失敗しましたが、観客は同情の拍手でこたえています。

★メーデー!メーデー!コントロール不能!頑張れ! あぁ〜墜落....

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"冷たい手 Che gelida manina"の半音下げの移調は誤摩化し、賞味期限のつけかえみたいなもの... [テノールの高音]

★2009年7月25日追記:
 プッチーニが書いた楽譜通りに歌った"冷たい手"の録音がありました!  guuchokipantenさん情報ありがとうございます。
 さてこの録音ですが、実演ではなくピアノ伴奏なので、どういう経緯で歌ったのかは不明.........一応音声ファイルをアップしますが、超ヒストリカルですので、覚悟をして聞いて下さい。右下の楽譜通りです。
 半音下げは別問題として、今現在普通に歌われているものは、ラ♭→ドに上げるちょっと小さめに書いてあるoppureの楽譜の方なんです。こちらの方が、クライマックスにふさわしいし華やかになるし、テノール歌手としては、ラ♭→下降して終わるオリジナルよりこの"oppure"を選びたくなるということです。この録音がピアノ伴奏なのもうなずけます。これを舞台でやったら、拍手をもらえないだけでなく、レタスが飛んできたり、猫ちゃんが天井桟敷からパラシュートをつけて舞い降りて来ないともかぎりません。
 プッチーニが「ハイCに不安があるなら、わざわざ"oppure"で歌わんで、オリジナルで歌ってよ....」と言っても、そりゃ無理でしょうね。この録音を聞いての感想は、やっぱり、ここは『現場の知恵』の移調で対処して頂いて結構です....ということになるんだな....と思いました。でも、誤摩化されるのは嬉しくないですから、半音下げる場合は、堂々とプログラムにでも書いて下さいと言いたいですね。

1899年録音:Giovanni Cesarini(1860?〜??)
《ボエーム》の初演は1896年2月1日トリノ
***************************************************************
以下2009-01-09の記事です。

先日の記事、★ロドルフォのアリア"Che gelida manina"の半音下げ についての続きです。

 一般に歌曲は、声域に合わせて移調して歌うことが許されていますが、オペラのアリアは、オリジナルで歌うのが基本ということになっています。
 ところで、ドミンゴは「《ボエーム》と《トロヴァトーレ》《ファウスト》では、アリアを移調することにしている」と公言しています(テノールに要求される高音について)。とはいえ、舞台でのことで、録音ではオリジナルで歌っているようです。高音が出ないわけではないが、失敗する確率が高いので、舞台では避けているということでしょうか。しかし、《トロヴァトーレ》は、実際の楽譜にはない高音(ハイC)に上げて歌うのが慣例になっているだけなので、オリジナル通りに歌えばいいだけであって、移調するのはどうなんでしょうね。このへんが、クーラとは違って、ドミンゴのなんというか要領のいいところかな.....
 たとえば、『日伊コンコルソ概要』には、「オペラ・アリアは原則として原調とする。ただし、慣例的に移調されているものは認める」となっていますが、この《ボエーム》と《トロヴァトーレ》のアリアの移調は慣例的なものなんでしょうか.....そうは思えないんですけど、ご存知の方がいっらしゃいましたら教えて下さい。

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