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チューリッヒ《ドン・パスクァーレ》ハプニング&ネロ・サンティ76歳の誕生祝い [ドン・パスクアーレ]

ルッジェーロ・ライモンディのシーズン幕開けは、9月20日、チューリッヒ歌劇場で、お馴染みの《ドン・パスクアーレ》でした。9月23日の公演では、ノリーナ役のイザベラ・レイが倒れるというハプニングがあり、ライモンディのファンから報告がありました。

 『いつも通りに幕が開き、ライモンディはいつものように愉快で、私たちはとても楽しんでいました。事件がおこったのは、2幕です。マラテスタは、ドン・パスクアーレの結婚相手として修道院育ちの純情な娘ソフローニアに化けたノリーナを連れて来て、ドン・パスクアーレは彼女を多いに気に入り、すぐに結婚の契約を、という場面でした。公証人が「それでは、ここに署名を」と言い、ノリーナ役のイザベラ・レイが椅子から立ち上がった時に、舞台に倒れたのです。最初、私たちは、コメディーですので、そういう演出かとおもいましたが、ライモンディが、彼女に蹴つまずきそうになり、膝をついて、彼女を見て、それから舞台の奥に消えたので、なにか重大なことが起こったと気づきました。オーケストラも止まり、そしてすぐに幕が降ろされ、インテンダントのペレイラ氏から50分間休憩することが告げられました。休憩後、席に着くとペレイラ氏から、イザベラ・レイは救急車で病院に運ばれたことと、このまま公演を続けたいが、今、Malin Harteliusを呼びに行っているので、彼女が到着するまで、ノリーナ抜きの短縮版でやること、が発表されました。そして、短縮版のオペラが再開され、最後のシーンに、Malin Harteliusが、Tシャツとジーンズ、楽譜を持って現れました。彼女がノリーナを歌ったのは、もう5年も前なので、プロンプターの声がどんどん大きくなりましたが、なんとか演奏を終えることができました。そんな状態でしたが、もちろん観客からは、暖かい盛大な拍手がおくられ、最後には、指揮者のネロ・サンティ(1931.09.22- )の76歳の誕生日を祝って、みんなでハッピバースデイトゥユーを歌いました。その時に、ペレイラ氏から、私たちみんなにシャンパンがふるまわれ、最初の休憩の前に公演が中断された場合には、払い戻しをするというルールの説明があり、今回は、このケースに当たるので払い戻しをします、ということでした。』
 その後の情報ではイザベラ・レイは、命にかかわるような状態ではないとのことですので、ほっとしましたが、早く元気になって、29日の公演には戻ってくれることを祈っています。
 それにしても、どうせ払い戻しをするのなら、そこで中止にしてもいいような気がしますが、せっかく来てくれた観客を最後まで楽しませるために最大限の努力をするんですね。ジーンズのノリーナでも出演者全員揃ってのカーテンコールは観客にとっては嬉しいことだと思います。小さなオペラハウスだからできることなのかも知れませんが.....
 ライモンディは、10月7日のトリノの開幕公演の《ファルスタッフ》のリハーサルもはじまるので忙しくなるようで。
参考:《ドン・パスクァーレ》:主な公演 1997〜2007

※マリン・ハルテリウス Malin Harteliusは、この《ドン・パスクァーレ》の1997年のプレミエ、そして、1998年、2001年のノリーナ役で、2002年以降は、イザベラ・レイがずっとノリーナをやっています。

その後の情報(2007.9.25追記)
イザベラ・レイが倒れたのが演技ではないとわかってからのライモンディの行動は、とても迅速で、彼女はその後、すぐに回復したということです。劇場内が暑かったのと衣装で体を締めつけていたのが原因ではないかと、みなさん推測しています。
23日(日曜日)は、午後2時からの公演だったのですが、マリン・ハルテリウスは、ちょうど、子供たちと湖畔を散歩して帰ったところをつかまって、すぐに車に乗ったんだそうです。それで、Tシャツとジーンズということですね。この騒動について、スイスの地方新聞に、長い記事が掲載されたということです。
関連記事:
チューリヒ歌劇場ペレイラ氏、経営方針を語る 新聞記事全文
DVD《ドン・パスクアーレ》発売
最新の「ロンバルディ」と余談 突然、兵士の一人が倒れる



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コメント 14

Sasha

マリン・ハルテリウス嬢って、先月、チューリヒ歌劇場の来日公演で『ばらの騎士』のゾフィーを歌った売り出し中の人気歌手さんですよね。なんか、すごいですね...
by Sasha (2007-09-25 12:03) 

峠茶屋の爺

舞台上ではいろいろとハプニングが起きるのですな。名前は忘れたがテノール歌手が梯子から転落死したり、カバリエが心臓発作で倒れたりとか、カイルベルトやシノーポリのように指揮者がオペラ上演中に突然死したりとかがあるんですなぁ。
それにしてもチューリッヒ歌劇場というのは大きな劇場ではなさそうじゃが、専属かどうかは知らんが錚々たるメンバーを揃えてますな。女声陣だけでも凄いもんじゃ。今回のようなトラブルがあっても、すぐに一流歌手を代役に立てられるのもうなずけますわ。
チューリッヒ歌劇場の『ばら』は数年前にテレビで見たような気がするが、確かシュテンメのマルシャリン、カサロヴァのオクタヴィアン、ハリテリウスのゾフィーでしたかな。芸達者なカサロヴァ、ハリテリウスの可憐なゾフィーが印象に残っておる。
by 峠茶屋の爺 (2007-09-25 13:36) 

keyaki

Sashaさん、そうか、今、気がつきました。横文字で書いてあると、なんて読むんじゃいなというところで、思考停止状態になるんですよ。
>マリン・ハルテリウス嬢
嬢ではなくシニョーラですね。多分40歳前後で、売り出し中というよりは、中堅どこでしょうね。記事にも追記しますが、子供たち(複数でした)とお散歩から帰ったところをつかまったみたいです。
by keyaki (2007-09-25 15:40) 

keyaki

峠茶屋の爺さま
>名前は忘れたがテノール歌手が梯子から転落死したり
私も名前は忘れましたが、これは、転落死ではなくて、心臓発作で梯から落ちたということで、死因は心臓発作だそうです。

チューリヒは、大物、一流歌手も契約したがる小さな劇場ということですが、ペレイラ総裁の人望によるところも大きいんでしょうね。

そうです。そのプロダクションをひっさげて、今回は、チュリーヒ歌劇場が初来日したんです。ばらの騎士も椿姫も好評だったようです。
by keyaki (2007-09-25 15:55) 

>マリン・ハルテリウス
チューリヒのヘンゼルとグレーテルで、グレーテルを歌っていた可愛いお姉さんですよね?
by (2007-09-25 22:15) 

euridice

>>マリン・ハルテリウス
近年チューリヒの映像、多いですからね、おなじみソプラノですね・・私が視聴したのだけでも、ヘンゼルとグレーテル、ばらの騎士、魔笛、魔弾の射手、ウリッセの帰還、後宮よりの逃走・・
by euridice (2007-09-26 07:28) 

keyaki

りょーさん、いろいろご覧になってますね。スウェーデンの出身だそうですけど、スウェーデン出身とは思いませんでした.....こういうかわいい人ってあんまりいないような...ニルソンとかオッターしか思い浮かびませんが...
by keyaki (2007-09-26 10:17) 

keyaki

euridiceさん、そんなにありましたか....私もけっこう見ているってことですね。
by keyaki (2007-09-26 10:20) 

TARO

心臓発作で梯子から落ちて亡くなったのは、先日来euridiceさんのお宅で話題になっていたリチャード・ヴァーサルですね。ノーマン主演の「マクロプロス事件」の時。
by TARO (2007-09-27 22:16) 

keyaki

TAROさん、ありがとうございます。
euridiceさんのお宅で話題になっていたのは、しっかり覚えていたのですが、名前が思い出せなくて、一応は、見に行ったのですが、みつからなかったので.....
「リチャード・ヴァーサル、ノーマン主演の「マクロプロス事件」の時。」
今度は覚えたかな......
by keyaki (2007-09-27 22:31) 

峠茶屋の爺

keyaki殿、TARO殿、爺の記憶違いを訂正してもろた上に名前まで教えてもろうて、かたじけない。
by 峠茶屋の爺 (2007-09-29 01:08) 

Sardanapalus

ハプニングのサンティお誕生日公演だったのですね。レイは大事には至っていないようで一安心です。こういった話を聞くにつけ、チューリッヒ歌劇場は「劇場」としての質が高いようですね。これも人気歌手が出たがる理由のひとつでしょう。

>マリン・ハルテリウス
euridiceさんの仰るとおり、チューリッヒの公演がDVDになるときはほとんど出てますよね。最近出た「ドン・ジョヴァンニ」でもエルヴィーラ歌ってますヨ。
by Sardanapalus (2007-10-02 01:53) 

keyaki

Sardanapalusさん、
本当に、オペラハウスはそれぞれやり方が多少違うんでしょうけど、いろいろあるんですね。払い戻しをするのに、最後までお客さんを楽しませるという使命感みたいなのがあるんですね。観客にしてみれば、お金返すから、ハイ,これで終わりというのではがっかりですものね。

>>マリン・ハルテリウス
しっかり覚えました。
by keyaki (2007-10-03 00:25) 

サンフランシスコ人

訃報:ネルロ・サンティ

http://slippedisc.com/2020/02/death-of-an-eminent-italian-conductor-88/

Death of an eminent Italian conductor, 88

By Norman lebrecht
on February 6, 2020
by サンフランシスコ人 (2020-02-07 02:48) 

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