新国:フォークトのローエングリン(2016.6.1 鑑賞) [オペラ生舞台鑑賞記録]
フォークトは、長年映像で親しんだペーター・ホフマンのローエングリンを彷彿とさせる舞台映えのする容姿、また美しい声は2012年の公演そのままで力強さが増し、最高のローエングリンでした。
この演出は、帰ってきた弟が独りぼっちになって幕を閉じます。誰にとっても救いがない....ということなんでしょうか。ちょっとでも希望があった方がいいなぁ。
youtubeにアップされているトレイラーは、2012年の映像を使っています。今回のエルザは可憐でしたし、他のキャストもそれぞれはまっていました....伝令は2012年と同じ萩原 潤。
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・arteTVのドキュメンタリー"Ténors mythiques" カウフマン、フォークト、グリゴーロ(2015.5.10 ストリーミング)☆ オンデマンドで視聴可 まだオンデマンドで見られる
東フィルのホルンの皆さんと(画像をクリックするとビデオにリンクしています)
新国「ウェルテル」(2016.4.13) ☆ 今後のウェルテル [オペラ生舞台鑑賞記録]
新国では14年ぶりの「ウェルテル」でしたが、前回は2002年に、ジュゼッペ・サッバティーニ、アンナ・カテリーナ・アントナッチ、ナターレ・デ・カロリスというキャストで上演されました。詳細はこちら 大法官 は同じ久保田真澄さんですね。
マイナーな作品ですが、人気のあるテノールがレパートリーにすると、上演される機会が増えるようです。たとえば、アラーニャとかM.アルバレス、その後はビリャソンとかカウフマン、そして彼らに続く新しいウェルテル、フローレスとグリゴーロ登場で、今後あちこちで上演予定があるようです。
2016年4月9日にはシャンゼリゼ劇場でフローレスとディドナートの「ウェルテル」、両者ともロールデビューでした(写真左)。グリゴーロは2014年にDOBでロールデビューしています(写真右)。
そして6月19日からロイヤル・オペラハウスでグリゴーロとディドナートの「ウェルテル」が上演されます。二人とも舞台で演じるのは初めてです。フローレスも今後舞台の予定があるようです。
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「ウェルテル」ロールデビュー(DOBコンサート形式 2014.6.17,19)
新国「ローエングリン」フォークト最高!(2012.6.13) ☆ フォークトのインタビュー(朝日新聞):ただいま 新国「ローエングリン」リハーサル中(2012.5.22) [オペラ生舞台鑑賞記録]
フォークトのローエングリンは、第一声から「名乗りの歌」まで、完璧だったと思います。5年前の「ホフマン物語」では、スマートでハンサムということはよく覚えていますが、どんな声だったのか印象に残っていません。しかし、今回のローエングリンは今でもフォークトの声が頭の中で聞こえています。声よし、歌よし、姿よし、で3拍子揃った正に白鳥の騎士(ペンギンとかガチョウとかいろいろいますからね)で、こんなのめったに見られるものではないと思います。「現代最高のローエングリン、フォークト」は誇大広告ではありませんでした。
衣装が、特に合唱団のが、なんなの?でしたし、わけの分からないものが天井から降りて来たりしましたが、「大工のローエングリン」とか「ねずみのローエングリン」に比べればまし......1幕でエルザの首の後ろの枕のようなものが気になりましたが、知人と検討した結果、あれは「重荷」ということで落ち着きました。ローエングリンの衣装は、デフォルメされていましたが、白が基調で頭に変なかぶりものもなく、フォークトの背格好(身長186㎝)、雰囲気もペーター・ホフマンを彷彿とさせますし、髪型が同じでしたし(意図的に?).....なんかペーター・ホフマン追悼公演のように思えました。フォークトは、ある記事によればペーター・ホフマンの舞台をオケピットでホルンを吹きなが見ていて憧れていたそうですし......(参照:edcさんの記事「ドイツの新白鳥の騎士」)
フォークトは、42才ですからもう青年というのにはほど遠い年齢ですが、声は、非常に若々しく澄んで清らかで繊細ながらも合唱、分厚いオーケストラを突き抜ける力強さもあって、しかも安定していて、最後の名乗りの歌「In fernem Land」は、本当にすばらしかったです。幕間の休憩が40分が2回でしたが、あれだけ破綻なく歌うには、長い休憩が必要なんだ...と改めて認識しました。
エルザのメルベートの歌唱も安定していて、夢見る乙女から疑惑に支配されて行く心の変化を表現していましたし、オルトルートは常にふてぶてしく(カーテンコールでも)、テルラムントのグロホスキーは見た目が貧相でいかにもオルトルートにひきづられている感じですが歌は満足のいくものでしたし、グロイズベックは1979年生まれの若いバスですが、見た目も歌唱も堂々と威厳があり国王にふさわしく、伝令の萩原 潤さんは、声もよく出ていて大健闘でした。(1階3列で鑑賞)
ローエングリン [New Production] 2011/2012シーズン:6月1,4,7,10,13,16日 Richard Wagner : Lohengrin リヒャルト・ワーグナー/全3幕 スタッフ 指揮:ペーター・シュナイダー 演出:マティアス・フォン・シュテークマン 美術・衣裳:ロザリエ 照明:グイド・ペツォルト キャスト ハインリヒ国王:ギュンター・グロイスベック ローエングリン:クラウス・フロリアン・フォークト エルザ:リカルダ・メルベート テルラムント:ゲルト・グロホフスキー オルトルート:スサネ・レースマーク 王の伝令:萩原 潤 ブラバントの貴族: 大槻孝志/羽山晃生/小林由樹/長谷川 顯 新国立劇場合唱団 東京フィルハーモニー交響楽団 |
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新国《チェネレントラ》2009.6.16 ギュンター・グロイスベック出演
フォークトのインタビュー(朝日新聞):ただいま 新国「ローエングリン」リハーサル中 (2012.5.22) |
新国「ローエングリン」に出演するために来日中のクラウス・フローリアン・フォークト(klaus Florian Vogt)のインタビュー記事、インタビューは、あちらドイツ北部のブルンスビュッテルで行われたものです。右の映像をクリックすると読めるくらいに拡大します。
シーズン発表通りには、なかなかいかないのがオペラなので、フォークトが契約通り来てくれて嬉しいです。前回は、2005年の「ホフマン物語」、スマートでかっこいい...というのが第一印象のテノールでほとんど知られていませんでしたが、その時から、「今後、ローエングリン、ジークムントとして期待されている」とのことでした。ドイツ人ということだけで、そう言われるんでしょうが、現実のものとなったんですね。体調をくずさないようにお願いします。私も行きますからね。
新国のホームページにもインタビューの動画がアップされています。「合唱が素晴らしい...」と言ってくれてます....とても謙虚な感じがいいですね。
Das Opernglas 2011.8/9月号インタビュー記事の写真
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新国《ドン・ジョヴァンニ》2012.4.19 [オペラ生舞台鑑賞記録]
「ドン・ジョヴァンニ」は、ドン・ジョヴァンニとレポレッロ主従が登場している時は、話しの展開も早く、面白いのですが、あとが、ハ〜イ、アリアですよ〜で、とても長く感じられて、天才モーツァルトには申し訳ないけど、ちとたいくつ。新国の「ドン・ジョヴァンニ」は、2008年のプレミエにも行ってますが、今回、見たい!聞きたい!と思った理由は、クヴィエチェンがドン・ジョヴァンニだから、新国という最高のオペラハウスで見られるのに、これを逃す手はないでしょ...それに年齢的にも今が脂ののった美味しい時期でしょうし....あとのキャストは全然把握せずに劇場へ......
キャスト表を眺めて、おやシュトーダ君がオッターヴィオか...全然知らない歌手ではないので、楽しみが増えちゃったよ.....と期待。赤いシャツに合わせた赤い縁の眼鏡といういでたちのお洒落な指揮者登場、はじまり、はじまり.....。
結果、クヴィエチェンのドン・ジョヴァンニ、歌よし声よし見た目よしでよかったです。「ドン・ジョヴァンニ」は、6人いい歌手が揃うのは、なかなか難しいのですが、1人を除いて全体的にもよかったです。
あれれ...だった1人とは、オッターヴィオのダニール・シュトーダ、10列目の見て良し聞いて良しの席なのに、声が全く飛んで来ないどころか1人だけ声が後ろに引っ込んじゃってるじゃないですか....最近テノールに開眼してテノールに厳しくなってるからじゃないです。timbroとかsquilloとは無縁の声、とにかくちゃんと聞こえないとちゃんと歌ってるかも判断できないでしょ! 長いアリアが二つもあるし、これはブーされても仕方がないよな....と、はらはらしましたが、優しいお客さんばかりでブーは無しでほっとしました。もしかしたら、皆さん私と同じでほとんど聞こえてなかったのかな? 数年前は「期待の新人、若手テノール」だったんですけど......やっぱり、大劇場で主役を張るテノールの器ではなかった....これでスタイルヨシのハンサムだったら、叩かれまくりでしょうけど、そこがオペラの七不思議、体型、容姿ともに垢抜けなくて愛嬌があるので、今度は頑張ってね....みたいな拍手をもらえちゃうんですよね。それに、オッターヴィオの長いアリア、中途半端にうまく歌うとたいくつなんですけど、どうしちゃったの?大丈夫かいな....とはらはらしながら聞くと、あっというまに終わるという不思議なアリアなんですよ。
★一言コメント
マリウシュ・クヴィエチェン(Mariusz Kwiecień 1972.11.4 ポーランド)と平野 和(Yasushi Hirano1977-)
ちっともじっとしていない身軽でよく動くスリムなドン・ジョヴァンニで、「シャンパンアリア」の早口も完璧、「セレナーデ」も堪能させてくれました。さすがに大劇場で歌っているだけあって、声は最初から最後までバンバン飛んできます。
平野 和さんのレポレッロは、日本人を感じさせない身のこなしと歌唱、クヴィエチェンとも相性の良い主従でした。
★アガ・ミコライ (Aga Mikolaj ポーランド)とダニール・シュトーダ(Daniil Shtoda 1977 - ロシア)
プレミエでは、捨てられた悔しさと、でも愛してる....で、どっちつかずで、いつもいらいら....のドンナ・エルヴィーラを歌ってましたが、今回はドンナ・アンナ、美人さんですし、どちらもOK。
ドン・オッターヴィオのシュトーダ....残念ながら「完全沈没」状態でしょう。声がふわふわふにゃふにゃで響かない。でもカーテンコールで、楽しそう、嬉しそうにしている憎めない奴です.....
ニコル・キャベル(Nicole Cabell 1977.10.17 ーカリフォルニア)
けっこう国際的に活躍しているソプラノで、2007年のワシントンオペラの「ボエーム」のムゼッタでグリゴーロと共演、確か、ネトレプコとビリャソンの映画版とんでも「ボエーム」でもムゼッタで出てます。なんでもそつなくこなすタイプかな。ドンナ・エルヴィーラよかったです。.
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こうしてみると、1977年生まれが3人も.....オペラ歌手の35才は、まだまだ若手ですが、今後を左右する重要な年齢かもしれません。花の1977年組の今後の活躍を期待しましょう。.
メモ:シュトーダについて、数年前の、2006年9月の私のコメント
「経歴をみるとサラブレッドのようです。ロシア国内でのコンクールの数々に優勝、2000年には、ドミンゴのOperalia で優勝(2位)、世界の主要歌劇場、音楽祭で活躍、すでに、EMIからリサイタルのソロアルバム、ロシアのレーベルDelos Recordsから、ロシアオペラアリア集もリリースされています。ドイツグラモフォンのアバド指揮の《ファルスタッフ》、ターフェルとハンプソンかな、でフェントンを歌っています。
実際に見て聴いてどうだったかですが、フェントンには向いていないと思いました。フィレンツェのプレミエでも、失望(期待されていたということですね)したとか、発声が曖昧、粘り過ぎ、役柄に合わない等の評が目につきました。経歴からみても、実力があるのは間違いないでしょうから、今後が楽しみ。」
ううーん、新人歌手に対しての配慮のあるコメントですね。1977年生まれということは、私の一押しテノールのヴィットリオ・グリゴーロと同年、彼は、モデル並のスタイルと目立つ容姿なので、叩かれることも多くアンチもたくさんいますが、逆に言えば、それも実力があるからこそなんですね。シュトーダも、もうビギナーズラックはお終い、自分の実力だけでいかなきゃならない....過去記事のコメントにシュトーダのことがいろいろ書いてあって面白いです。この時点ですでに「下り坂」と言っている方もいます。
2011/2012シーズン「ドン・ジョヴァンニ」 Wolfgang Amadeus Mozart : Don Giovanni /全2幕 【イタリア語上演/字幕付】 スタッフ 指 揮】エンリケ・マッツォーラ 【演 出】グリシャ・アサガロフ 【美術・衣裳】ルイジ・ペーレゴ 【照 明】マーティン・ゲップハルト 【合 唱】新国立劇場合唱団 【管弦楽】東京フィルハーモニー交響楽団 |
キャスト 【ドン・ジョヴァンニ】マリウシュ・クヴィエチェン 【騎士長】妻屋秀和 【レポレッロ】平野 和 【ドンナ・アンナ】アガ・ミコライ 【ドン・オッターヴィオ】ダニール・シュトーダ 【ドンナ・エルヴィーラ】ニコル・キャベル 【マゼット】久保和範 【ツェルリーナ】九嶋香奈枝 |
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特集:《ファルスタッフ》のフェントンのその後 シュトーダについてのコメント有り
新国《ドン・ジョヴァンニ》2008.12.11
《ボエーム》ロドルフォ:若い歌手たちの公演 ☆VideoClip
ワシントン・ナショナル・オペラ2007年開幕公演《ボエーム》全曲放送☆★MP3+写真集
新国《愛の妙薬》2010.4.15 [オペラ生舞台鑑賞記録]
実は、私にとっては、《愛の妙薬》は、部分的には面白いところもあるのですが、たいくつなオペラとしての位置づけでした。はじめて面白いと思ったのが、DVDにもなってますが、リヨン歌劇場のゲオ&アラのと、マチェラータ音楽祭のマチャドとエスポージト(シュロットがドゥルカマーラ)のを見てからです。ルッジェーロ・ライモンディが2006年にドゥルカマーラを歌ったこともあって、まったくもって現金ですが、今では好きなオペラの一つに昇格......ということで、新制作でもあり、楽しませてもらいました。
新国《トーキョーリング・第2日 ジークフリート》2010.2.23 [オペラ生舞台鑑賞記録]
《ジークフリート》は2003年が初演、キャストは、ダブルキャストでしたが、私は第一キャストで見ましたので、ジークフリートのクリスティアン・フランツとさすらい人のユッカ・ラジライネンは今回も同じです。
フランツは、なんていいましょうかあの風貌と(幼児)体型とはいえ、やはり7年の歳月は感じられましたが....といっても1968年生まれのようですから、まだ40そこそこなんですね.....最後のブリュンヒルデとのあの長い二重唱....テオリンの迫力にも負けてなかったです。ラジライネンは、前回の公演ではほとんど印象に残っていませんでしたが、今回は、7年の歳月で貫禄がついたのか、なかなかよかったです。そうそう、前回は、ハンナ・シュヴァルツ(1943.08.15-)がカメオ出演といいますか....素晴らしいエルダだったのを思い出しました。(1階8列左中央寄り、目線は舞台よりちょっと高い位置で舞台奥まで見える)
新国 ニュープロダクション《ヴォツェック》鑑賞記録(2009.11.18) [オペラ生舞台鑑賞記録]
ほとんど予備知識無しで見に行きました。理髪師上がりの兵士ヴォツェックは、軍医に実験台にされて精神に異常をきたしている....浮気した内縁の妻のマリーを殺して自分も死んでしまう。小さな男の子が一人残される.....音楽は、無調的な現代音楽.....という程度は知っていましたので、アバド指揮のを見ているのかもしれませんが、記憶にない!。
今回の舞台は、けっこう見るものがたくさんあるし、子供が可愛いし、字幕も必死に読まなきゃいけないしで、脳が目に集中してしまったせいか、歌は視覚に入って来てちゃんと聞こえましたが、音楽は鳴っているのがわかった程度です。カーテンコールでは、演出チームが舞台に出て来たとたん、上の階からブー!の嵐が降ってきました。私は、ブラヴォー!かと思いましたが、あれはブー!なんだそうです。
新国《オテロ》2009-2010シーズン開幕公演(2009.9.29) [オペラ生舞台鑑賞記録]
新国では2003年以来2回目の上演。前回は、あのお馴染のモシンスキーの舞台演出、A,Bキャストごちゃまぜ時代で、私が見たのは、ウラディーミル・ボガチョフ、ルチア・マッツァリーア、ホアン・ポンス、カッシオは吉田君...。今回は、新国自前の新演出で マリオ・マルトーネ(1959.- ナポリ)の演出。2004年アバド指揮で、ルッジェーロ・ライモンディが初ドン・アルフォンソを歌った時の演出家です。偶然だとは思いますが、舞台の真ん中に大きなベッドを置くのが趣味?特徴かしら.....
新国《チェネレントラ》2009.6.16 [オペラ生舞台鑑賞記録]
新国《ムツェンスク郡のマクベス夫人》2009.5.7 [オペラ生舞台鑑賞記録]
舅殺しに夫殺し、バレてシベリア送り...暗くて気が滅入る........天気も悪いし、なんか気が重いなぁ........でもチケット買ってあるし....なんていやいや見に行きましたが、これがすーごく面白かった。気が滅入るどころか、興奮して疲れました。一見の価値有りです。
ワイドショーも吃驚の衝撃的内容なんですが、それぞれの立場で、言っていることはけっこう当たり前というか、本音を言っているし、使用人たちが、いかにもなおべんちゃらを言ったりするのも面白い。社会主義をおちょくっているというかブラックユーモア満載だし、シェイクスピアのマクベスをパロってるし、それにソリストも合唱団も音楽にピッタリあわせた動きで、視覚的にも面白いし、金管(バンダ)の威勢のいいメロディーが2階席(ちょうど私の席の上)から降ってくるし.......音楽も刺激的だったり、美しく物悲しかったりで、変化に富んでいてたいくつさせませんでした。
新国《トーキョーリング・第1夜 ワルキューレ》2009.4.15 [オペラ生舞台鑑賞記録]
新国《トーキョーリング・ラインの黄金》2009.3.13 [オペラ生舞台鑑賞記録]
休憩無しの一気上演で、会場ではさかんに「休憩はありません...」という放送が流されていましたので、いつもは休憩時間に..なんですが、ホワイエでコーヒーを飲んで席に着きました。
開演時間になっても指揮者が出て来ません。遅刻かしら....と思って、オーケストラピットを覗くと、もう指揮者が座っていました。(最前列だったので立たないと見えない) 指揮者登場の拍手も指揮者の観客にご挨拶の拍手も無いまま音楽がはじまるのがワーグナーだったかしら.......
新国《ドン・ジョヴァンニ》2008.12.11 [オペラ生舞台鑑賞記録]
《ドン・ジョヴァンニ》は、ドン・ジョヴァンニとレポレッロ主従が登場している時は、話しの展開も早く、面白いのですが、あとが、ハ〜イ、アリアですよ〜で、とても長く感じられて、天才モーツァルトには申し訳ないけど、ちとたいくつ。
今回は、新演出だし、知っている歌手さんが三人も出演するし....ということで頑張って見て来ました。結果は、たいくつじゃなかったです。やっぱり新演出だと、それぞれの人物をどう解釈しているかとか、舞台転換にも興味津々ですし、映像でお馴染みの歌手が3人いれば、目もぱっちり......。それに、幕が上がったとたん、ヴェネツィアじゃないですかぁ...あの、ジョセフ・ロージー監督の映画《ドン・ジョヴァンニ》を彷彿とさせるものがあって、そのあとは、ここの場面もちょっと似てる....とか、ここでは、階段を2段飛びで逃げるはず...とか、この林は....そんなこんなで、とても楽しめました。演出家の潜在意識にこの映画の記憶があったのではないかと思います。ロージー監督の映画のイメージに合わないのは、メリーゴーランドかと思った、大きなチェスの白と黒の駒と、ドン・ジョヴァンニが操って遊んでいた、巨大な人形。これ以外は、奇をてらったところのないオーソドックスな演出で、大変結構でした。参考:OPERA-FILM《ドン・ジョヴァンニ》
新国《リゴレット》2008.10.31 [オペラ生舞台鑑賞記録]
この《リゴレット》は、2000年6月初演(アレクサンドル・アガーケ、アンドレア・ロスト、ピエトロ・バッロ/ティート・ベルトラン)、翌年2月再演(ジャンカルロ・パスクエット、ヴィクトリア・ルキアネッツ、マルセロ・アルバレス)、そして今回7年ぶりの再々演です。私は、今回がはじめてです。前の2回は、外国人組と日本人組に分かれていて、外国人組はチケットが取りにくかった時代なんです。
舞台は、オーソドックスで、りっぱなものでしたが、全体的に低調というんでしょうか、ワクワクドキドキ感のない公演でした。《リゴレット》自体、どうころんでも面白くなるような要素がいっぱいのオペラだと思うんですけど....まあ、ですから、なんでこんなに盛り上がらないのよ〜なんて自問自答しながらも、しっかり楽しんできました。
頭抜けた歌手がいなかったというか、皆さんが、イマイチ。リゴレットのアタネリ、前回のパパジェルモンに続いての出演。この時は、なかなかいいじゃない...と思ったんですが、リゴレットは10年早いってかんじです。リゴレットは、バリトンにとっては、一番難しい役だと思いますので、若くしてやる場合は、よほど表現力(歌唱も演技も両方ですからね)にたけてないと.....見えないんですよ、哀れな道化に。アタネリのリゴレットは歌唱も演技もイマイチ。結局、スラリと背も高くハンサム過ぎで、私はクーラ、あのホセ・クーラです、が出てると何度も錯覚しました。これほんとです。
アニック・マシスのジルダは、初役、と言う情報もありましたが、8年前くらいにサンテチエンヌでジルダを歌っているので、2回目だそうです。久々のジルダなので、ぎこちなさを感じたのはそのせいか、役に合ってないのか...
マントヴァ公爵のムケリア、ちゃんとカツラをかぶって、ぽっちゃり可愛い系(たとえれば、ルネ・コロ)のプレイボーイに変身していました。高音は無理なく自然に良く出ていました。もちょっと存在感というか、俺様振りが欲しい役どころだとおもいますが、そのへんがイマイチ。
スパラフチーレとマッダレーナは日本人キャストでしたが、なかなかサマになってました。モンテローネ伯爵が、全くの迫力不足で、リゴレットが呪われた...と怖がるのも奇妙なかんじでした。
舞台はりっぱでしたが、演出的に、人の動かし方が、変なところがあったりで、それもこの公演のイマイチな要素でした。故アルベルト・ファッシーニの原演出ですが、うまく引き継げてないんでしょうね。良かったのは、嵐の場面、稲妻もすごかったし、雨と風が吹き荒れてました。建物の脇に配置された、ススキのおばけのようなパンパスグラスみたいなのが、ちゃんと風で揺れてました。
新国名物の合唱があまり印象的ではなかったのですが、合唱指揮の三澤 洋史氏の名前がスタッフに記載されてないですね。(1階5列で左よりで鑑賞)
※赤字の部分はあとで書き加えました。
新国《 椿姫》鑑賞:2008.6.11★☆VideoClip:Gheorghiu+Grigolo+Bruson [オペラ生舞台鑑賞記録]
新国《魔弾の射手》鑑賞:2008.4.18 [オペラ生舞台鑑賞記録]
新国の《魔弾の射手》に行ってきました。地域によってはかなりの強風を伴う雨でしたが、ほぼ満席、盛況でした。このところ、ほんと、客の入りがいいです。
《魔弾の射手》は、最もドイツ的なオペラと言われているそうですが、私の世代では、序曲の初っ端のホルンの奏でる有名な美しくゆったりした主題は、「♪秋の夜半の み空澄みて〜」という歌詞で歌いました。アガーテの歓喜の歌も、介添えの少女たちの歌う「花嫁の冠を編みましょう」もよく聞くメロディーですし、「狩人の合唱」は、子供の頃習っていたヴァイオリンで弾いた記憶が....とまあ、よく知っている旋律満載で、しかもお話は、単純明快、とても楽しめました。
新国《アイーダ》鑑賞:2008.3.26 [オペラ生舞台鑑賞記録]
新国《ボエーム》鑑賞:2008.1.24 [オペラ生舞台鑑賞記録]
再々演の新国《ボエーム》に行ってきました。今回の公演は、中一日で1週間で全公演終了、しかも全4公演のうち夜の公演は24日(木)だけというスケジュールでした。20日(日曜日、昼)、22日(火曜日、昼)、24日(木曜日、夜)、26日(土曜日、昼)、《ボエーム》は、1時間40分程度の短いオペラで、ソリストさんたちの負担も軽いってことなんでしょうか。ちなみに前回の《カルメン》は、まだやってるの...というくらい長い期間のように感じましたが、2週間で6公演でした。
この《ボエーム》は、2003年4月の公演が新演出で、ミミがチェドリンスだったので、見に行きました。再演の2004年9月は、私にとっては、魅力的な目玉がなかったのでパス、今回はミミがマリア・バーヨなので見に行ったんです。2003年の時は、ミミがチェドリンスだったんだ....ということだけで、あまり印象に残っていません。
《ボエーム》は、一番人気のオペラだそうです。30年前の本に、『世界の歌劇場で常に上演されている名作で、上演回数からいえば、アイーダ、椿姫、カルメン、蝶々夫人と並んで最高の列に並ぶ...』と書いてありますが、今も、同じなんですね。参考までに簡単にわかるので、NYメトでの公演数を見てみましょうか。
新国《カルメン》鑑賞:2007.12.6 [オペラ生舞台鑑賞記録]
新演出の《カルメン》に行ってきました。今年最後のオペラ、ホワイエもクリスマスの飾り付けで華やいだ気分でした。カメラが入っていましたから、いずれNHKで放送されると思います。
私にとって《カルメン》と言えばエスカミーリョ、もちろんR.ライモンディが「好きじゃない」といいながらもピッタリ役柄にはまっている伊達男エスカミーリョを演じているからなんですが、今回は、ヴィノグラドフのエスカミーリョお目当て。ブログ仲間のヴァランシエンヌさんの影響で、声もお姿もよく知っていましたので、生で見るのははじめてですが、そのまんまという印象、見目麗しく素敵なエスカミーリョでした。
さて、今回は新演出で、舞台・衣裳等、お金がかかっていそうなオーソドックスな舞台でした。有名なゼッフィレッリ風(ウィーンとかメト)ではなくファジョーニの舞台(パリ・オペラ座とミラノ・スカラ座)にかなり似通っていたので、私にとってはなんか見慣れた感じがしました。壁にもたれかかって昼寝をしている人がいたり.....。
新国《フィガロの結婚》鑑賞:2007.10.24 [オペラ生舞台鑑賞記録]
ホモキ演出《フィガロの結婚》の、再々演に行ってきました。2003年10月のプレミエは、ホッホ〜、フゥ〜ンの演出。アンドレア・ホモキの段ボール箱好きはこの頃からなんですね。後に舞台が段ボール箱で埋めつくされた《西部の娘》につながるとは....。初演時は、引越荷物の段ボールにLONDONって書いてあったとか、 ウィーン(綴りは忘れた)と書いてあったとか、トウキョウもあった...とかの話題で大いに盛り上がったものです。ケルビーノのツィトコーワ、スザンナの中嶋彰子、伯爵夫人もきれいな歌手だったな、バルバリーナの中村恵理(今回のスザンナ)も印象に残っています。フィガロと伯爵は熊さんタイプでまるで双子のようでしたが、これもあたかも演出的意図があるような深読組も出現.......
2005年4月の再演は、、ヴォルフガング・ブレンデル、マウリツィオ・ムラーロ、エミリー・マギーという、国際的に活躍している歌手に惹かれての鑑賞。