SSブログ

訃報:セルゲイ・ラーリン(1956.3.9〜2008.1.13) [訃報]



愛さずにはいられない
Amor ti vieta di non amar.
La man tua lieve,
che mi respinge,
cerca la stretta
della mia man;
la tua pupilla esprime:
“T’amo!”
se il labbro dice:
“Non t’amerò!”
 テノールのセルゲイ・ラーリンが13日にスロバキアのブラチスラヴァで亡くなりました。ご冥福をお祈りします。
 一時期、病気で舞台から離れていて、最近復帰したばかりだったのに残念です。2004年9月9日、新国立劇場 の《道化師》のカニオ役で出演予定でしたが、健康上の理由によりキャンセル、ジュゼッペ・ジャコミーニが代役でした。その時の新国のお知らせで「長期療養が必要との診断」とあるように、その後、すべての公演をキャンセルしていましたが、2006年2月25日には、N響定期公演 に出演のため来日しています。また、明日の1月15日には、ブリュッセルのCirque Royal劇場(Theatre du Cirque Royal di Bruxelles)で、ジョルダーノ没後60周年記念公演としてAlberto Veronesi指揮《Fedora》をアンジェラ・ゲオルギューと歌う予定だったそうですから、本当に急なことだったんですね。
ヤフーニュース:ラーリン訃報
Sergei Larinエージェントの公式サイト
の訃報:長期療養後、順調に回復していたが、心不全による突然の死だったとのこと。歌声も聞けます。FedoraよりLorisのアリア"Amor ti vieta"※エージェントのさいとでは削除されたようですので、右写真の下に音声ファイルをアップしました。(2008.2.10追記)
※生年月日は1953年説もありますが、エージェントのサイトに従い1956年に訂正しました。
セルゲイ・ラーリン(ラリン)Sergei Larin略歴:
 1956年3月9日ラトヴィアのダウガフビルスで生まれ、ニージニィ・ノヴゴロド( Nizhny Novgorod 旧ソ連ゴーリキー)で育つ。フランス語とイタリア語を学び、通訳を志すが、声楽に興味を持ち、リトアニアのヴィリニュス音楽院に入学。1981年当地のリトアニア国立歌劇場で《椿姫》のアルフレードでオペラデビュー、好評を博す。1989年にプラティスラヴァ歌劇場のソリストとして専属契約を結ぶ。ここでの活躍が注目され、1990年には《エウゲニ・オネーギン》のレンスキーでウィーン国立歌劇場にデビュー。以来《運命の力》《アイーダ》《トスカ》《フェドーラ》《道化師》《カルメン》《ボリス・ゴドノフ》《スペードの女王》など、次々出演し、国際的にも活躍するようになる。1993年にはアバド指揮の《ボリス・ゴドノフ》の演奏会と録音にグレゴリー役で参加、翌年のザルツブルグ音楽祭でも歌った。愛の破片1994年には《トスカ》でメト・デビュー、1990年代はミラノ・スカラ座にも度々出演しており、2000年1月の《アドリアナ・ルクヴルール》、パリ・オペラ座のカーセン演出の《ルサルカ》がDVD化されている。1998年のチャン・イーモウ演出、メータ指揮の紫禁城の《トゥーランドット》にカラフで主演し、このメイキング映画「トゥーランドット・プロジェクト」によって、世界的に知られるようになった。
 日本へは、1997年プッチーニフェスティバルで初来日し、2004年9月新国立劇場開幕公演の《道化師》のカニオ役でオペラデビューを飾ることになっていたが、病に倒れ実現しなかった。1年程度、病気療養のため、舞台を離れていたが、復帰して、2006年2月には来日もしている。ブリュッセルで、今月の15日に《フェードラ》のロリスを歌うことになっていたが、13日に心不全のため51歳の若さで亡くなった。
(ヴェルナー・シュレーター監督の映画「愛の破片」リーフレット参照)


nice!(0)  コメント(9)  トラックバック(0) 
共通テーマ:音楽

nice! 0

コメント 9

Sasha

keyakiさんいつもながらすごい、短時間でよくお調べになりましたねー! 

54歳の死はあまりに早い。ご本人も無念だったことでしょう。ご冥福をお祈りしたいと思います。私はナマはとうとう聴けずじまいでしたが、紫禁城トゥーランドットのメイキング映画で断片的に聴いたとき、声の見事さがおおいに気に入り、その後数枚のCDを購入しました。うち、”Russian Arias Volume1”というのとラフマニノフ歌曲集がよかったです。後者は、(失礼ながら)意外にもなかなか繊細な歌いぶりです。映画『愛の破片』にも出演していましたね。
by Sasha (2008-01-15 12:37) 

keyaki

Sashaさん、いろんな情報が出て来てわけわかめです。生年月日も1953年から1956年に直しました。
この先もちゃんと歌う予定を入れていたようですから、順調に回復していたはずなのに、残念です。
エージェントのサイトをリンクしましたが、素晴しい歌声が流れますよ。ロシア人っぽくないいい声ですね、ってこういう誉め方は失礼かしら...(笑
でも、イタリアでもかなり人気があるようで、みなさん悲しんでますよ。

Sashaさんに教えてもらってDVDを買ったんですよ。
この映画に出演している、トゥルデリーゼ・シュミットも若くして亡くなりましたね。
by keyaki (2008-01-15 22:25) 

euridice

道化師のキャンセルは残念でした。また機会はあると思ってましたが、重病だったのですねぇ・・ 北京のトゥーランドットではじめて知ったと思います。フレミングとのルサルカとか、映画「愛の破片」の中でとか、いくつか視聴しています。全然惚れなかったけど、
>エージェントのサイト
で流れている声、素直で明るくのびやかで良いですね・・ どういう曲か知りませんが、こういう流麗な歌が似合うのかも・・

>トゥルデリーゼ・シュミット
62歳だったようです。
by euridice (2008-01-16 08:57) 

keyaki

euridiceさん、フェドーラのロリスの歌"amore ti vita"です。
これを歌うことになっていたんですよね。お得意の役だったようです。
Fedoraはぜんぜん知らないオペラなんですが、この歌だけはクーラが歌っているので知ってるんです。感傷的ないい歌ですね。
by keyaki (2008-01-16 10:41) 

助六

ラリン亡くなっちゃいましたか。51歳は若すぎる。

初めて聴いたのは90年代前半だったと思います。思い出すのは93年スカラのガヴァッツェーニ指揮ドミンゴ、フレーニのジョルダーノ「フェドーラ」で、ドミンゴと連日交代で裏配役を歌ってたことです。ラリンとドミンゴ2日続けて聴いたんですが、当時もうドミンゴの声は錆が付いたみたいに黒ずんでて、スラヴに近いイメージのラリンの方がよほど明るくてしなやかな声でしたわ。

その後パリやザルツで実にしばしばぶつかり、すぐに思い出すだけでも、ホフマン、ドンカルロ、カラフ、ホセ、レンスキー、「ルサルカ」とか色々聴きました。
ドンカルロなんか何度もぶつかっちゃったけれど、99年のパリ公演なんかなかなかの歌唱でしたねぇ。

正直なところ、彼を聴きに劇場に出かける気になったことはありませんけど、それなりに美声で、ニュアンスとスタイル感さえある歌唱で(フランスものとかやっぱり東の声だなぁなんて思うこともあったけど。そう仏語教師だか通訳だかを目指してたとかで仏語の発音は立派でしたが)欧州大劇場の日常的上演を高い水準で支えてる貴重な歌い手さんだったと思います。
残念です。
by 助六 (2008-01-16 11:48) 

keyaki

助六さん、いわゆるスター歌手ではないけれど、
>欧州大劇場の日常的上演を高い水準で支えてる貴重な歌い手さん
まさにその通りですね。あちこち飛び回って多忙だったようです。

日本では、チャンスがあったのに....ととても残念ですが、映像には恵まれていますね。ラリンの○○、というのではなく、デッシーのアドリアナ・ルクブルールとか、フレミングのルサルカとか、チャン・イーモウのトゥーランドットとかってことになるんでしょうけど、スター歌手を引立てる実力のある歌手とも言えるのでしょうか。
by keyaki (2008-01-17 02:29) 

サンフランシスコ人

セルゲイ・ラーリンをサンフランシスコ歌劇場のルサルカで聴きました!
by サンフランシスコ人 (2008-02-06 06:23) 

火の車

 ミラノスカラ座1995年東京公演「西部の娘」のディック・ジョンソン役を生(ナマ)で聴きました。その時は美声だと思いましたが、1998年さん・フランシスコのオペラハウス(war memorial hall)で聴いた時には声の衰えが感じられました。やはり西側に来て、ベルカントの発声をやり直さまかったのが、衰えを早くしたのかなあ、と思いました。
by 火の車 (2024-02-11 06:29) 

火の車(追伸)

 サン・フランシスコのオペラハウスで聴いたのは「ドン・カルロ」のタイトルロールでした。
by 火の車(追伸) (2024-02-11 06:39) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。