新国 ニュープロダクション《ヴォツェック》鑑賞記録(2009.11.18) [オペラ生舞台鑑賞記録]
◎バイエルン国(州)立歌劇場のサイトで、ビデオクリップが見られます。新国のヴォツェックとマリーは美男美女でスマートだったせいか、新国の舞台の方がすっきり洗練されているようにみえます。(2009.11.27)
ほとんど予備知識無しで見に行きました。理髪師上がりの兵士ヴォツェックは、軍医に実験台にされて精神に異常をきたしている....浮気した内縁の妻のマリーを殺して自分も死んでしまう。小さな男の子が一人残される.....音楽は、無調的な現代音楽.....という程度は知っていましたので、アバド指揮のを見ているのかもしれませんが、記憶にない!。
今回の舞台は、けっこう見るものがたくさんあるし、子供が可愛いし、字幕も必死に読まなきゃいけないしで、脳が目に集中してしまったせいか、歌は視覚に入って来てちゃんと聞こえましたが、音楽は鳴っているのがわかった程度です。カーテンコールでは、演出チームが舞台に出て来たとたん、上の階からブー!の嵐が降ってきました。私は、ブラヴォー!かと思いましたが、あれはブー!なんだそうです。
ということは、私の初《ヴォツェック》は、普通じゃない演出だったということのようです。《ヴォツェック》通?にとっては、演出家の考えを押し付け過ぎで、子供が舞台に出ずっぱりで、子供にいろいろやらせるのはナンセンスってことなんでしょうか.....ヴォツェックがアルバイトをしているときも、いつもそばで遊んでいて、壁にPAPAと書いたりして、お父さんっ子ということを強調しています。母親に対しては、けっこう冷たい目で批判的に見ている感じです。子供ってだいたい母親には厳しいものですけどね。子供がお父さんっ子ということはお父さんが優しいということですから、ヴォツェックが善人であることを強調しているようにも思えました。 善人なのに....貧困、モラル、信仰に押しつぶされて崩壊して行く家族...視覚的に分かり易い演出だったと思います。この分かり易くがダメってことなんでしょうか......私は、その方がいいですけど。
オペラトーク「ヴォツェック」で演出家のアンドレアス・クリーゲンブルク氏の演出意図が語られています。「バイエルン州立歌劇場との共同制作で、2008年11月にバイエルン州立歌劇場において初演され、非常に高い評価を得ました。」と新国サイトには記載されています。
私の《ヴォツェック》初体験は、オーソドックスな演出ではなかったということのようですが、少なくともこのオペラを二度と見たくない....とは思いませんでしたし、他の演出でも見てみたいと興味も持てましたし、なによりたいくつじゃなかった...どこがブーなのか知りませんが、一般受けはしたんじゃないかと思います。いくらまじめに働いても貧困から抜け出せない...本当に身につまされる今日この頃ですが、今も昔も変わらないってことですか......殺人を犯したヴォツェックにも、殺されたマリーにも、悲しい同情の気持ちだけで、批判する気持ちにはなれない、そんな演出でした。(一階5列で鑑賞)
《ヴォツェック》の原作は、200年近くも前に書かれた戯曲が元ネタなんだそうです。
『原作者ゲオルグ・ビュヒナー(1813〜1837 24才で亡くなっている!)は、医者で革命家で、「ヴォイツェック」は、1837年に書かれて未完のまま残された。ヴォイツェックは実在の人物で情婦を殺して死刑になり当時有名であった。ビュヒナーはこれを理髪師上がりの一兵士とし、それが殺人を犯し、ついに自分も死に至る過程を、被圧迫階級への同情をもって描いている。当時は評価されなかったが、ビュヒナーの生後100年に当たる1913年頃から当時盛んになった表現主義の先駆者としてもてはやされるようになり、ベルグ(1885〜1935)が「ヴォツェック」を見たのは1915年5月で、その時からオペラにすることを考えたが、戦争に動員されたりで仕事がはかどらず、初演は1925年12月14日、ベルリン国立歌劇場で、指揮はクライバーで、137回の稽古を重ねたと言われる。
戯曲は未完だったためいろいろあり、結末もヴォイツェックが死なないものもあったりしたが、ベルグはこれを整理して15の場面としヴォツェックを死なせている。原作が「ヴォイツェック」なのにオペラが《ヴォツェック》となった理由は分からない。』
ところで、オペラ繋がりで交流のあるhashidaさんおすすめのゴットフリート・フォン・アイネム作曲《ダントンの死》もゲオルグ・ビュヒナーの原作です。YouTubeで一部視聴できます。
ソリストプロフィール(新国サイトから転載)
ヴォツェック:トーマス・ヨハネス・マイヤー Wozzeck : Thomas Johannes Mayer
ケルン音楽大学で声楽を学ぶ。古典からワーグナー、現代音楽にまでおよぶ幅広いレパートリーを身につけ、ハンブルク州立歌劇場、バイエルン州立歌劇場、シュトゥットガルト州立歌劇場、ベルリン・ドイツ・オペラ、ベルリン・コーミッシェ・オーパー、ザルツブルク・イースター音楽祭などに出演。楽劇『ニーべルングの指環』ヴォータン、さすらい人、『オテロ』イアーゴ、『魔弾の射手』カスパールなどに出演している。2008年2月にはミラノ・スカラ座において『ヴォツェック』タイトルロールで出演して絶賛を博した。新国立劇場初登場。
鼓手長:エンドリック・ヴォトリッヒ Tambourmajor : Endrik Wottrich
2007年『さまよえるオランダ人』エリック、09年『ワルキューレ』に続いて、3回目の新国立劇場登場となる。
ドイツのヴュルツブルクでヴァイオリンと声楽を学んだ後、ダニエル・バレンボイムの招聘でベルリン州立歌劇場と契約。2001、02年にバイロイト音楽祭で『ニュルンベルクのマイスタージンガー』にシュトルツィングで出演して大成功を収める。04年には、ザクセン州立歌劇場(ドレスデン・ゼンパー・オペラ)で『ワルキューレ』ジークムント、06年には同役でストックホルム、バイロイト音楽祭、パリ・シャトレ座に出演。08年2月にはミラノ・スカラ座において『ヴォツェック』鼓手長で出演(タイトルロールのトーマス・ヨハネス・マイヤーと共演)して絶賛を博した。
マリー:ウルズラ・ヘッセ・フォン・デン・シュタイネン Marie : Ursula Hesse von den Steinen
ベルリン芸術大学で声楽を学ぶ。ハンブルク州立歌劇場、ベルリン・コーミッシェ・オーパーなどで経験を積んだ後、ブリュッセル・モネ劇場、ネザーランド・オペラなどヨーロッパ各地の劇場に出演。その後、ザクセン州立歌劇場のメンバーとして活躍。「タンホイザー」ヴェーヌス、「カルメン」タイトルロール、「こうもり」オルロフスキー公爵、「ドン・カルロ」エボリ公女などを中心的なレパートリーとしている。今シーズン、バイエルン州立歌劇場にデビューが予定されている。新国立劇場初登場。
【指 揮】ハルトムート・ヘンヒェン Conductor : Hartmut Haenchen
ドレスデン生まれ。少年時代よりドレスデン聖十字架合唱団の団員として活躍。ドレスデン音楽大学で指揮と声楽を学び優秀な成績で卒業。同時に声楽指導の資格も取得。
バイロイト音楽祭や、カラヤンのもとで研鑽を積んだ後、R.フランツ声楽アカデミーのディレクター及びハレ響の指揮者として第一歩を踏み出す。1971年、C.M.vウェーバー指揮コンクール優勝。
1972 年、ザクセン州ツヴィッカウ市立劇場の首席指揮者に就任すると同時に、ベルリン州立歌劇場にデビュー。同歌劇場では86年まで常任客演指揮者を務める。 76年〜79年メクレンブルク州立歌劇場の音楽監督、80年〜96年ベルリン・コーミッシェ・オーパーの常任客演指揮者を務める。
80年、ベルリンのC.Ph.Eバッハ室内管弦楽団の音楽監督に就任。同時期にドレスデン音楽大学の教授にも任命されている。86年〜02年ネザーランド・フィル及びネザーランド室内管弦楽団の首席指揮者、86年〜99年ネザーランド・オペラの音楽監督を務める。同歌劇場での「ニーベルングの指環」チクルス上演後、06 年までの首席客演指揮者の契約に変更。ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団、ドレスデン州立歌劇場管弦楽団、ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団に何度も招かれている他、世界各地のオーケストラに客演している。世界の著名歌劇場への客演も多く、ヘンヒェンの指揮した英国ロイヤルオペラでのオペラはローレンス・オリヴィエ賞に輝いている。録音多数。ドイツ人としては初めて、オランダ女王から獅子騎士勲章を受章、ザクセン州芸術院の会員でもある。また、08年 10月6日にはドイツ連邦最高の勲章、連邦功労十字勲章を受章。音楽に関する執筆も多く、著書には14巻に及ぶ“Mahler’s Fictitious Letters” (マーラーの架空の書簡)やワーグナーに関する本などがある。
【演 出】アンドレアス・クリーゲンブルク Production : Andreas Kriegenburg
ドイツのマグデブルク生まれ。鋳型製作の技術を学んだ後、建具職人兼技術者としてマグデブルク劇場に勤務。ツィッタウとフランクフルト・アン・デア・オーダーで演出助手と演出家を務め、1991年にベルリンのローザ・ルクセンブルク広場フォルクスビューネの劇場所属の演出家になる。96年からハノーファー州立劇場、99年からはウィーン・ブルク劇場において業績を重ねる。2001年からハンブルク・タリア劇場において演出部責任者を務める。他にも、ミュンヘン・カンマーシュピーレにおいて数多くの演劇作品の演出を担当している。オペラ演出としては、マグデブルク劇場において、06年に『オルフェオとエウリディーチェ』、07年に『イドメネオ』を演出している。新国立劇場初登場。
ほとんど予備知識無しで見に行きました。理髪師上がりの兵士ヴォツェックは、軍医に実験台にされて精神に異常をきたしている....浮気した内縁の妻のマリーを殺して自分も死んでしまう。小さな男の子が一人残される.....音楽は、無調的な現代音楽.....という程度は知っていましたので、アバド指揮のを見ているのかもしれませんが、記憶にない!。
今回の舞台は、けっこう見るものがたくさんあるし、子供が可愛いし、字幕も必死に読まなきゃいけないしで、脳が目に集中してしまったせいか、歌は視覚に入って来てちゃんと聞こえましたが、音楽は鳴っているのがわかった程度です。カーテンコールでは、演出チームが舞台に出て来たとたん、上の階からブー!の嵐が降ってきました。私は、ブラヴォー!かと思いましたが、あれはブー!なんだそうです。
ということは、私の初《ヴォツェック》は、普通じゃない演出だったということのようです。《ヴォツェック》通?にとっては、演出家の考えを押し付け過ぎで、子供が舞台に出ずっぱりで、子供にいろいろやらせるのはナンセンスってことなんでしょうか.....ヴォツェックがアルバイトをしているときも、いつもそばで遊んでいて、壁にPAPAと書いたりして、お父さんっ子ということを強調しています。母親に対しては、けっこう冷たい目で批判的に見ている感じです。子供ってだいたい母親には厳しいものですけどね。子供がお父さんっ子ということはお父さんが優しいということですから、ヴォツェックが善人であることを強調しているようにも思えました。 善人なのに....貧困、モラル、信仰に押しつぶされて崩壊して行く家族...視覚的に分かり易い演出だったと思います。この分かり易くがダメってことなんでしょうか......私は、その方がいいですけど。
オペラトーク「ヴォツェック」で演出家のアンドレアス・クリーゲンブルク氏の演出意図が語られています。「バイエルン州立歌劇場との共同制作で、2008年11月にバイエルン州立歌劇場において初演され、非常に高い評価を得ました。」と新国サイトには記載されています。
私の《ヴォツェック》初体験は、オーソドックスな演出ではなかったということのようですが、少なくともこのオペラを二度と見たくない....とは思いませんでしたし、他の演出でも見てみたいと興味も持てましたし、なによりたいくつじゃなかった...どこがブーなのか知りませんが、一般受けはしたんじゃないかと思います。いくらまじめに働いても貧困から抜け出せない...本当に身につまされる今日この頃ですが、今も昔も変わらないってことですか......殺人を犯したヴォツェックにも、殺されたマリーにも、悲しい同情の気持ちだけで、批判する気持ちにはなれない、そんな演出でした。(一階5列で鑑賞)
《ヴォツェック》の原作は、200年近くも前に書かれた戯曲が元ネタなんだそうです。
『原作者ゲオルグ・ビュヒナー(1813〜1837 24才で亡くなっている!)は、医者で革命家で、「ヴォイツェック」は、1837年に書かれて未完のまま残された。ヴォイツェックは実在の人物で情婦を殺して死刑になり当時有名であった。ビュヒナーはこれを理髪師上がりの一兵士とし、それが殺人を犯し、ついに自分も死に至る過程を、被圧迫階級への同情をもって描いている。当時は評価されなかったが、ビュヒナーの生後100年に当たる1913年頃から当時盛んになった表現主義の先駆者としてもてはやされるようになり、ベルグ(1885〜1935)が「ヴォツェック」を見たのは1915年5月で、その時からオペラにすることを考えたが、戦争に動員されたりで仕事がはかどらず、初演は1925年12月14日、ベルリン国立歌劇場で、指揮はクライバーで、137回の稽古を重ねたと言われる。
戯曲は未完だったためいろいろあり、結末もヴォイツェックが死なないものもあったりしたが、ベルグはこれを整理して15の場面としヴォツェックを死なせている。原作が「ヴォイツェック」なのにオペラが《ヴォツェック》となった理由は分からない。』
ところで、オペラ繋がりで交流のあるhashidaさんおすすめのゴットフリート・フォン・アイネム作曲《ダントンの死》もゲオルグ・ビュヒナーの原作です。YouTubeで一部視聴できます。
ソリストプロフィール(新国サイトから転載)
ヴォツェック:トーマス・ヨハネス・マイヤー Wozzeck : Thomas Johannes Mayer
ケルン音楽大学で声楽を学ぶ。古典からワーグナー、現代音楽にまでおよぶ幅広いレパートリーを身につけ、ハンブルク州立歌劇場、バイエルン州立歌劇場、シュトゥットガルト州立歌劇場、ベルリン・ドイツ・オペラ、ベルリン・コーミッシェ・オーパー、ザルツブルク・イースター音楽祭などに出演。楽劇『ニーべルングの指環』ヴォータン、さすらい人、『オテロ』イアーゴ、『魔弾の射手』カスパールなどに出演している。2008年2月にはミラノ・スカラ座において『ヴォツェック』タイトルロールで出演して絶賛を博した。新国立劇場初登場。
鼓手長:エンドリック・ヴォトリッヒ Tambourmajor : Endrik Wottrich
2007年『さまよえるオランダ人』エリック、09年『ワルキューレ』に続いて、3回目の新国立劇場登場となる。
ドイツのヴュルツブルクでヴァイオリンと声楽を学んだ後、ダニエル・バレンボイムの招聘でベルリン州立歌劇場と契約。2001、02年にバイロイト音楽祭で『ニュルンベルクのマイスタージンガー』にシュトルツィングで出演して大成功を収める。04年には、ザクセン州立歌劇場(ドレスデン・ゼンパー・オペラ)で『ワルキューレ』ジークムント、06年には同役でストックホルム、バイロイト音楽祭、パリ・シャトレ座に出演。08年2月にはミラノ・スカラ座において『ヴォツェック』鼓手長で出演(タイトルロールのトーマス・ヨハネス・マイヤーと共演)して絶賛を博した。
マリー:ウルズラ・ヘッセ・フォン・デン・シュタイネン Marie : Ursula Hesse von den Steinen
ベルリン芸術大学で声楽を学ぶ。ハンブルク州立歌劇場、ベルリン・コーミッシェ・オーパーなどで経験を積んだ後、ブリュッセル・モネ劇場、ネザーランド・オペラなどヨーロッパ各地の劇場に出演。その後、ザクセン州立歌劇場のメンバーとして活躍。「タンホイザー」ヴェーヌス、「カルメン」タイトルロール、「こうもり」オルロフスキー公爵、「ドン・カルロ」エボリ公女などを中心的なレパートリーとしている。今シーズン、バイエルン州立歌劇場にデビューが予定されている。新国立劇場初登場。
★アルバン・ベルク/全3幕《ヴォツェック》 新演出 Alban Berg:Wozzeck [New Production] 2009年11月18,21,23,26日 【指 揮】ハルトムート・ヘンヒェン 【演 出】アンドレアス・クリーゲンブルク 【美 術】ハラルド・トアー 【衣 裳】アンドレア・シュラート 【照 明】シュテファン・ボリガー 【振 付】ツェンタ・ヘルテル 【企 画】若杉 弘 【芸術監督代行】尾高忠明 キャスト 【ヴォツェック】トーマス・ヨハネス・マイヤー 【鼓手長】エンドリック・ヴォトリッヒ 【アンドレス】高野二郎 【大尉】フォルカー・フォーゲル 【医者】妻屋秀和 【第一の徒弟職人】大澤 建 【第二の徒弟職人】星野 淳 【マリー】ウルズラ・ヘッセ・フォン・デン・シュタイネン 【子供】中島健一郎 【マルグレート】山下牧子 【合 唱】新国立劇場合唱団 【管弦楽】東京フィルハーモニー交響楽団 上演時間: 1幕 35分 2幕 35分 3幕 25分 合計1時間35分 |
【指 揮】ハルトムート・ヘンヒェン Conductor : Hartmut Haenchen
ドレスデン生まれ。少年時代よりドレスデン聖十字架合唱団の団員として活躍。ドレスデン音楽大学で指揮と声楽を学び優秀な成績で卒業。同時に声楽指導の資格も取得。
バイロイト音楽祭や、カラヤンのもとで研鑽を積んだ後、R.フランツ声楽アカデミーのディレクター及びハレ響の指揮者として第一歩を踏み出す。1971年、C.M.vウェーバー指揮コンクール優勝。
1972 年、ザクセン州ツヴィッカウ市立劇場の首席指揮者に就任すると同時に、ベルリン州立歌劇場にデビュー。同歌劇場では86年まで常任客演指揮者を務める。 76年〜79年メクレンブルク州立歌劇場の音楽監督、80年〜96年ベルリン・コーミッシェ・オーパーの常任客演指揮者を務める。
80年、ベルリンのC.Ph.Eバッハ室内管弦楽団の音楽監督に就任。同時期にドレスデン音楽大学の教授にも任命されている。86年〜02年ネザーランド・フィル及びネザーランド室内管弦楽団の首席指揮者、86年〜99年ネザーランド・オペラの音楽監督を務める。同歌劇場での「ニーベルングの指環」チクルス上演後、06 年までの首席客演指揮者の契約に変更。ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団、ドレスデン州立歌劇場管弦楽団、ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団に何度も招かれている他、世界各地のオーケストラに客演している。世界の著名歌劇場への客演も多く、ヘンヒェンの指揮した英国ロイヤルオペラでのオペラはローレンス・オリヴィエ賞に輝いている。録音多数。ドイツ人としては初めて、オランダ女王から獅子騎士勲章を受章、ザクセン州芸術院の会員でもある。また、08年 10月6日にはドイツ連邦最高の勲章、連邦功労十字勲章を受章。音楽に関する執筆も多く、著書には14巻に及ぶ“Mahler’s Fictitious Letters” (マーラーの架空の書簡)やワーグナーに関する本などがある。
【演 出】アンドレアス・クリーゲンブルク Production : Andreas Kriegenburg
ドイツのマグデブルク生まれ。鋳型製作の技術を学んだ後、建具職人兼技術者としてマグデブルク劇場に勤務。ツィッタウとフランクフルト・アン・デア・オーダーで演出助手と演出家を務め、1991年にベルリンのローザ・ルクセンブルク広場フォルクスビューネの劇場所属の演出家になる。96年からハノーファー州立劇場、99年からはウィーン・ブルク劇場において業績を重ねる。2001年からハンブルク・タリア劇場において演出部責任者を務める。他にも、ミュンヘン・カンマーシュピーレにおいて数多くの演劇作品の演出を担当している。オペラ演出としては、マグデブルク劇場において、06年に『オルフェオとエウリディーチェ』、07年に『イドメネオ』を演出している。新国立劇場初登場。
TBありがとうございます。こちらかもしましたので、よろしく!
>普通じゃない演出
どういうのがこのオペラの正統的演出なのかわかりませんけど、
あのしつこい雑音はやっぱりブーイングだったように思います。
「貧困」を強調したところが、今までに私が視聴した二つの演出との一番大きな違いでしょうか。ヴォツェックの住む世界の下に、黒服の無個性集団で表現されていた、もっと悲惨な貧困層があるというか・・最後の場面に登場する子供たちもそうだったから、残された子供はあの世界に属することになるのか・・
by euridice (2009-11-20 17:21)
見応えのある舞台でした。
水音をさせたり、舞台に文字を加えたり、ブーさんは演出の出しゃばりが気に食わなかったのでしょうか?
原作「ヴォイツェック」のビューヒナーが残した手書き草稿の断片が集めて整理され公刊された際に草稿の文字を誤って解読してしまったために「ヴォツェック」になってしまったそうで、後に改められたそうですがベルクはあえて「ヴォツェック」としたそうです。
by つるりんこ (2009-11-20 17:22)
「ダントンの死」紹介ありがとうございます。この場を借りて宣伝しますが、手間はかかりますが字幕付で全曲ダウンロード可能にしています。
「ヴォツェック」は・・それこそ、お勉強感覚でアバドのを見てみましたが・・正直なところ、あまり面白いとは思えませんでした。
同じ原作者のオペラなら「ダントンの死」の方が格好良いと思うのですが、こちらはマイナーにとどまっていますね。
by hasida (2009-11-21 19:04)
euridiceさん
>どういうのがこのオペラの正統的演出なのか
たしかにそうですね。読み替えともいえないでしょうし。
by keyaki (2009-11-22 00:32)
つるりんこさん
「ヴォイツェック」の件ありがとうございます。
YをZと読み違えたそうですね。
子供がずーっと出ているのも気に入らなかったんでしょうね。新聞のレビューでは名子役....とほめてました。
by keyaki (2009-11-22 00:36)
hasidaさん
リンクさせていただいたので、ご挨拶に行かなくては、と思っていましたが、先を越されてしまいました。
>お勉強感覚でアバドのを見てみましたが・・正直なところ、あまり面白いとは思えませんでした。
私も、これが、正統的演出なんだろうということで見てみました。子供が小さくて、最後がとてもかわいそうでした。
新国の演出は、ヴォツェック、マリー、子供以外は漫画チックに描かれていて面白かったです。
by keyaki (2009-11-22 00:43)
madokakipさんのところでお世話になっているsoraです。
その節は有難うございました。(その節だけではなく、youtubeやらたくさんですが。)
私も昨日観てきました。もちろん初鑑賞です。
一応アバドのCDで予習していたのですが、なかなか頭に入ってこなくて実演に期待していました。総合的には満足な演出だと思いました。
ちょっと気になったのですが、医者との人体実験の場面で、アバドのCDでは「咳をしてはいけない」だったと思うので、あれ?なんで小便をしてはいけないことになっているんだろう?と思ってみてました。
実験の内容なんてなんでもいいのかもしれませんが、ちょっとあの場面、医者の格好もさることながらヴォツェックへの人体実験も「可笑しさ」の方が私の意識を占めてしまって、逆効果だったんじゃないかと思ってます。
あそこで私、ちょっと退屈して眠気が襲ってきました。。。。あそこまではとても良かったのですが。。。
でも各場面、素敵な美術に感じました。良い演出でした。
他の演出も是非みてみたいです。
歌手ではヴォツェックが良かったでしょうか。大尉は高音のイっちゃってる声が出てなかったのは残念でしたが、やっぱり難しいんでしょうね。
by sora (2009-11-22 13:22)
soraさん
ようこそ、いらっしゃいませ。
私も、舞台と字幕を必死で見ていて、疲れて、途中で、居眠り運転みたいになりました。短くても休憩が入った方がよかったかもしれませんね。
>アバドのCDでは「咳をしてはいけない」だったと思うので、あれ?なんで小便をしてはいけないことになっているんだろう?と
そうなんですね。一緒に行った知人も えぇ〜...だったようです。
DVDを見て確かめましたが、アバドのウィーンのとベルリンのシェロー演出のは字幕が咳になっていました。(ドイツ語でなんて言っているのかは??)
リーバーマンのハンブルグのテレビ映画の字幕は、「立ち小便していただろう....」となってました。
ネットで、ドイツ語のリブレットが1件ヒットしましたが、「咳」になってました。
今のところ、以上のような結果ですが、内容的には「立ち小便」が妥当だと思いますけど......
また情報があったらお知らせします。
どなたかご存知の方もよろしくお願いします。
by keyaki (2009-11-22 16:44)
>「立ち小便」と「咳」
私もきちんと視聴したのはアバド指揮のウィーンの映像(レーザーディスク)だったので、新国で「立ち小便」の字幕に、え?!と思いました。
でも、ウィーンの映像を見ながら「咳を禁じる」というのになんとなく変な感じを受けていたので、今回の字幕で納得の気分でした。
ざっとネットで調べたところ、原作は「立ち小便」なのだそうです。
どうも、これはいかにも下品だと思ったのか、ベルクが「咳」に書き換えたので、オペラ台本では「咳」です。しかし、近年では原作通りにするのが一般的になっているのだとか。ウィーンのも、それからシェロー演出(テレビ放送字幕は咳)の映像も私の耳には、「小便(英語でも同じ俗語のピスです)」と言っているように聞こえます。「犬のように壁に小便をした」と言ってるようです。ドリームライフから出ているハンブルクのスタジオ収録の映像でもそのように言っていて、こちらは字幕も「立ち小便」となっています。ウィーンのやシェローの映像字幕は、実際に歌を聞かずに、ベルクの台本から翻訳したのでしょう。
by euridice (2009-11-22 17:16)
こんばんわ~
soraさんと同じくmadokakipさんのブログでお世話になっているbokuです。
自分は明日見に行くのですが新国でもバイロイトでも大ごけしちゃった鼓手長役のエンドリック・ヴォトリッヒがもんのすごく不安なのですがどうやら今回は無難にこなしている様なのですか?
演出はご年配の方からは不評のようですがすっごく楽しみです。
by boku (2009-11-22 20:32)
bokuさん。ヴォトリッヒは見た目は良かったですよ。声はまぁ、、、私は3階席でしたのでね。近ければね。とはいえ、そんなに気にならない程度でした。
演出並びに舞台美術は観る価値有です。もちろん歌手も演奏もですが。全部ですね。私はとても良いと思いました。
以下ネタばれ有り。
>「立ち小便」と「咳」
ちゃんと調べれば良かったのですね。
すみません。どうもたまにインターネットの存在を忘れてしまう自分がいまして。。。有難うございます。
確かに、私も「咳」というのを初めに読んだ時は???でしたが「立ち小便」。。。下品というのはあまり気にならないのですが。
「人体実験」という観点からは今回の演出は分かりやすかったのでしょうね。
あともう一つ、「売女」にはなんとなく納得できかねます。
自分の中であの子供の年齢が定まってないからだと思いますが、売女じゃない日本語はなかったのでしょうか、、、。なーんか直接的過ぎて。
by sora (2009-11-22 21:52)
私は明日(明けて、今日)に観に行きます。
新国で初めて“ブー”に遭遇できるのかと今からワクワクしております。
ヴォツェックはグロソップも歌ったことがあるので、ちょっと興味を持っていたんですが、結局YouTubeの細切れ動画でしか予習できず。ほぼぶっつけ本番です。
上演時間は短いんですね。
by しま (2009-11-23 00:27)
>>「立ち小便」と「咳」
もう少し詳しく私のブログに書いておきましたので、
興味のある方はどうぞ。TBから行けます。
by euridice (2009-11-23 09:25)
こんにちは、これは観に行かれないかと思っていましたら行かれましたか.好きなオペラなので、今日またこれから観に行きます.ヴィーンも、シャトレ/ベルリンの来日も観ていないので、生はこれが初めてです(松本は行こうと思えば行けたけれど、人の話を聞くと行かなくてよかった!という感じ).
> 初日のブー
これはかなりはっきり、しつこく聞こえましたね.私が思うにその方は、あの(ヴォツェック一家以外の)醜悪なデフォルメの「いかにも」な感じが逆にクリシェーだ、と思ったのではないでしょうか.多分そういう所まで込めてコンセプトなんだろうとは思いますけれど、テクストを細かくトレースしてゆくと言うよりは全体的な動きの妙で見せる、それなりに面白い演出だったと思います.
あと問題は演奏ですね.東フィルは現代音楽に熱心な奏者さんもけっこういらっしゃるのだけれど、全体的な水準はちょっと...水音等「非楽音」との対比と言っても、楽音がもう少し楽音に聞こえないとね.歌手共々細かい粗が積み重なって、全く聴き映えしなかった.ただ土曜日の二日目は、途中まではかなり改善したので、客席の反応も初日ほど冷めたものではなかったですよ.長々と失礼いたしました.
by M. F. (2009-11-23 12:28)
bokuさん
ようこそ....コメントありがとうございます。
>演出はご年配の方からは不評のようですが
あら...私は、エログロでなければ、許容範囲広いですよ。(笑
若いbokuさんの感想がどんなものか興味があります。
ヴォトリッヒ君は、とてもさまになってました。歌の評価はですね....こういう作品では全然判断できませんが、変に感じなかったので良かったのではないかと思います.....
バイロイトでは降板しちゃったんでしたかしら....
by keyaki (2009-11-23 18:39)
soraさん
>「売女」
日本語では適当な言葉がないんでしょうね。
あちらでは、この手の悪態がいろいろありますよね。
日本では、最高の悪態が「バカ」だなんて言われてませんか....
by keyaki (2009-11-23 18:53)
しまさん
ブーの人は、一人で頑張っていたようなんで、もう一度わざわざブーするために見に来るとは思えませんし、演出チームがカーテンコールに出て来るかどうかもわかりませんから、ブーに遭遇する確率は低いですね。
でも、どこがブーだったのか...と興味を持って鑑賞できますね。
グロソップもレパートリーだったんですか...咳と小便どっちで歌ったんだろう...
by keyaki (2009-11-23 18:54)
M. F.さん
新国の演奏はだんだん良くなる...ということが多いようですので、三日目は更に良くなっているといいですね。
現代音楽って、難しいんですね。初演のときも137回練習を重ねた...なんて語られていますし。
現代音楽といっても、けっこう表現的音楽で、分かり易いかんじがしました。
by keyaki (2009-11-23 19:06)
演出チームは2日目も3日目も出てきませんでした.多分早々に帰ったのでしょう.今日の演奏はあまり良くなかったけれど、反応は上々でブーはありませんでした.
ベルクは無調でも、けっこう調性感の濃淡を意図的に出した音楽を書きますね(たとえば最後の間奏曲はニ短調です).12音技法に移ってからはもっと露骨になります.声楽もヴェルディかプッチーニみたいなところがありますしね.
そういえば咳以外にもう一点.第3幕第2場(殺害のシーン)で、会って何年になるという問いかけにマリーが「今度の聖霊降臨祭(Pfingsten)で3年よ」と答える台詞がありますが、今回の上演では6年になっています.おそらく、舞台上の子供の年齢とつじつまが合わない、という事なのでしょう(シェロー版でも6年.ビューヒナーの原作では確か2年だったと思います).この場面の冒頭ではシェーンベルク《ピエロ・リュネール》の第1曲からフルートの旋律が引用されますが、本当に寒々とした、素晴らしいオーケストレーションだと思います.
by M. F. (2009-11-23 23:15)
ヴォツェック行って参りました。素晴らしいですね。
今まで無調音楽に対して抵抗を感じていたのですが今日でその考えが吹っ飛びました。
この名作を無調音楽だからという理由で聴きに行かないのは本当に勿体無いことですね。
マリーの死の場面からは心を鷲掴みにされました。素晴らしい迫力です。
新国の広い舞台をめい一杯に使いますが大人数を上げるのではないので、
舞台がいつも以上に広く感じました。
こういった斬新な演出を生で見たのは今回が初めてです。
今回の演出はヴォツェックとその子供が主役なんですね。
音楽とのケミストリーが見事でした。
ヨハネス・マイヤー、シュタイネン共によく迫力が出ていましたが、
マイヤーはワルター・ベリーに及ばず、シュタインはベーレンスに及ばずですな。
マイヤーはスカラ座で来日する予定だったのですがキャンセルになって聴けなかったのが惜しいです。
彼のロドリーゴを聞いてから今回聞きたかったです。
好みとしてはイェニスよりずっと好きなバリトンでした。
心配だったヴォトリッヒは体格と声の性質は合っていたのですが案の定声が出ていなかったと思います(涙)
大尉役のフォーゲルは高音で声が痩せて説得力がいまいちだったのが残念でした。
中島君が可哀相過ぎる~、ヴォツェックしっかりしろ~
by boku (2009-11-23 23:35)
観てきました。ブーはありませんでした。
でも、何故ブーだったのか、よくわからなかったです。私的にはけっこう気に入った演出でした。
>グロソップのヴォツェック
咳と小便・・・どっちだったんでしょうねぇ(笑)
euridiceさんのメモを参考にさせていただきましたが、「小便」のほうかも。
72年だったそうなので。
by しま (2009-11-24 00:21)
M. F.さん
>「今度の聖霊降臨祭(Pfingsten)で3年よ」
アバドのは、子役が3才にみえなくもない女の子で、最後の場面は、本当にかわいそうでした。でも、出会って3年ということは子供は2才くらいのはずなので、誰の子?なんて思っちゃいました.....
シェローのは、あまり子供らしくない男の子で、6才よりもっと上に見えました。
辻褄あわせるのもなかなか難しいですね。でも、こういう台詞ってけっこう気になるんですけど、あの子供の父親は本当にヴォツェックなのか...という疑問も残りますね。
by keyaki (2009-11-24 02:43)
bokuさん
楽しまれたようでなによりでした。
内容が救いようのないものですし、音楽も耳慣れていない無調とくれば、ちょっと二の足踏みますよね。私も新国でやってくれたから聞くチャンスを持てました。
by keyaki (2009-11-24 02:54)
しまさん
>何故ブーだったのか、よくわからなかったです
同感.....きっと《ヴォツェック》に思い入れがあるんでしょうね。
by keyaki (2009-11-24 03:02)
たびたびすみません。
バイエルンのヴォツェックはミヒャエル・フォレだったんですね。
フォレも好きな歌手なので、嬉しいです。
ビデオクリップのご紹介ありがとうございました!!
by しま (2009-11-28 14:54)
しまさん
>ミヒャエル・フォレ
ミヒャエル・フォレが好き!と言っている人がいたよな...なんて思っていたんですよ....しまさんでしたか....
いまや共同制作が当たり前のオペラですが、ほぼ同時期なんで、このビデオクリップは貴重ですよね。
by keyaki (2009-11-28 19:35)
こんにちは、「オペラの夜」です。
時々おられますね、一人でブーを頑張る方…。
僕の経験した新国立の上演で、最も盛大なブーを浴びていたのは、
ヴェルディ「マクベス夫人」での野田秀樹です。
まあ、野田さんはブーイングを聞いて、ニコニコしてましたけどね。
僕も「ヒーデキー!」と声を掛けようと思い付いたのですが、
残念ながらその前に幕が下りてしまいました。
by Pilgrim (2009-12-29 12:57)
Pilgrimさん
演出家にとっては、シーンとされるよりは.....よりもブーされるのはいいことなんでしょうね。ブーされる演出を目指しているような演出家もいるようなかんじもします。
しかし、「一人でブー」はめずらしいですよね。
TBありがとうございます。
舞台に水といえば、チューリヒのIL CORSAROも水と火と鏡の斬新な舞台だそうです。
by keyaki (2009-12-30 09:54)
サンフランシスコでは、《ヴォツェック》を十年間やっていません。
http://archive.sfopera.com/qry12Webpicspop.asp?x_OperaID=197&z_OperaID=%3D%2C%2C
http://archive.sfopera.com/reports/rptOpera-id197.pdf
by サンフランシスコ人 (2010-01-01 05:45)
サンフランシスコ人さん
人気演目ではないですから、10年だったらいいほうかもしれません。
新国でも若杉さんが振りたかったので、上演されたんだと思います。
by keyaki (2010-01-01 12:58)