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新国《 椿姫》鑑賞:2008.6.11★☆VideoClip:Gheorghiu+Grigolo+Bruson [オペラ生舞台鑑賞記録]

 新国の《 椿姫》に行ってきました。このルカ・ロンコーニ演出の《 椿姫》は、プレミエが2002年9月のシーズン開幕公演、次が2004年11月、今回2008年ですから、久々の上演です。
traviata_shinkoku.jpg
 やっぱり人気の演目ですね。なぜか若い女性が多くて、ホワイエも華やいだかんじでした。私は、再演はパス、今回は、国際的に活躍中の旬の歌手さんたちなので見に行きました。舞台は、ロンコーニお得意の柱や壁、それにソファーとかテーブル、ベッドまでがスーッ舞台上をすべって移動する舞台装置で、あまり評判がよろしくないようです。安っぽいということなんですが、つまり、舞台上にゼッフィレッリばりに豪華な調度品とかがないということだと思います。
 主要キャストの歌手さんたち、粒ぞろいで、総合的によかったです。パワーではなくピアニッシモで聞かせるヴィオレッタでした。音楽は、流れるようにというよりは、数秒沈黙があったり、ユニークな演奏でした。ユニークといえば、カーテンコールに指揮棒を2本持って舞台に上がってました。乱視になったのかとよく見ましたが、2本持ってました。
 ズボン役でお馴染みのフローラ役の林美智子さん、背が高く、ドレスがとてもお似合いでした。他の脇役の男声歌手(日本人)の方々も、みなさん、スマートでこなれてました。(2階1列で鑑賞)

主要キャストのひとくちコメントと略歴:『』内略歴は、新国プロフィールから
★ヴィオレッタ:エレーナ・モシュク Violetta Valéry : Elena Mosuc
ホームページ→http://www.mosuc.com/
良く聞こえるピアニッシモが特徴、表現力豊かなヴィオレッタでした。
ルーマニア生まれ。チューリッヒ歌劇場を中心にヨーロッパで活躍。主なレパートリーとして、「椿姫」ヴィオレッタ、「リゴレット」ジルダ、「魔笛」夜の女王、「ホフマン物語」オランピア、「ランメルモールのルチア」ルチア、「ドン・ジョヴァンニ」ドンナ・アンナ、「チェネレントラ」クロリンダ、「カルメン」ミカエラ、「ラ・ボエーム」ムゼッタ等がある。いままでに出演した主な劇場は、ベルリン州立劇場、バイエルン州立歌劇場、ヴェローナ野外劇場等が挙げられる。新国立劇場初登場。』

★アルフレード:ロベルト・サッカ Alfredo Germont : Roberto Saccà
フェニーチェ再建記念公演のアルフレードでしたが、もう4年も前なんですね。歌唱は、安定していてよかったです。最後にヴィオレッタが、死ぬ場面では、突っ立ってないで、抱きとめて欲しかった.....(下のビデオクリップみたいに)
『ドイツ生まれのイタリア人。ヴェルディ、モーツァルト、ロッシーニ、ドニゼッティ、リヒャルト・シュトラウスを得意とする、リリック・テノール。おもなレパートリーは、「椿姫」アルフレード、「リゴレット」マントヴァ公爵、「魔笛」タミーノ、「ドン・ジョヴァンニ」ドン・オッターヴィオ、「コジ・ファン・トゥッテ」フェルナンド、「イドメネオ」タイトルロール、「チェネレントラ」ドン・ラミロ等である。今まで出演した主な劇場は、バイエルン州立歌劇場、ベルリン州立歌劇場、ウィーン国立歌劇場、チューリッヒ歌劇場、ミラノ・スカラ座、英国ロイヤルオペラハウス等が挙げられる。新国立劇場初登場。』

★ジェルモン:ラード・アタネッリ Giorgio Germont : Lado Ataneli
ホームページ→http://www.ataneli.com/
イヤーゴのイメージなので、どんなかなぁ...と思っていましたが、良かったですよ。男前で押し出しもいいし。アルフレード役のサッカより若いかもしれませんが、体格がいいので、ちゃんとパパに見えましたし。私の好きな「プロヴァンスの海と...」もよかったです。来シーズンは、リゴレットです。楽しみ!
『グルジア生まれ。現在、世界中で活躍しているバリトン。レパートリーとしては、「椿姫」ジェロモン、「マクベス」タイトルロール、「運命の力」ドン・カルロ、「トスカ」スカルピア、「ドン・カルロ」ロドリーゴ、「ナブッコ」タイトルロール、「道化師」トニオ、「オテロ」ヤーゴ、「アンドレア・シェニエ」カルロ・ジェラール、「アイーダ」アモナズロ、「シモン・ボッカネグラ」タイトルロール、「仮面舞踏会」レナート等である。今までに出演した主な劇場は、メトロポリタン歌劇場、ロサンゼルス・オペラ、バイエルン州立歌劇場、ウィーン国立歌劇場、ベルリン・ドイツ・オペラ、ワシントン・オペラ、ハンブルグ歌劇場、英国ロイヤルオペラハウス等が挙げられる。新国立劇場初登場。』


G.Verdi作曲:椿姫/全3幕【イタリア語上演/字幕付】
2008年6月5,8,11,14,17日
【芸術監督】若杉 弘
【指 揮】上岡 敏之
【演 出】ルーカ・ロンコーニ
【装 置】マルゲリータ・パッリ
【衣 裳】カルロ・マリア・ディアッピ
【照 明】セルジオ・ロッシ
【振 付】ティツィアーナ・コロンボ
【舞台監督】斉藤 美穂

【合唱指揮】三澤 洋史
【合 唱】新国立劇場合唱団
【管弦楽】東京フィルハーモニー交響楽団

キャスト
【ヴィオレッタ】エレーナ・モシュク
【アルフレード】ロベルト・サッカ
【ジェルモン】ラード・アタネッリ
【フローラ】林 美智子
【ガストン子爵】樋口 達哉
【ドゥフォール男爵】小林 由樹
【ドビニー侯爵】東原 貞彦
【医師グランヴィル】鹿野 由之
【アンニーナ】岩森 美里
【ジュゼッペ】小田 修一
【使者】大森 一英
【フローラの召使い】黒田 諭
※ビデオクリップ→
2007年4月ローマ歌劇場:アンジェラ・ゲオルギウ(1965.9.7- )を一躍有名にしたあの椿姫から13年、ヴィットリオ・グリゴロ、ブルゾン(1936.1.13- )との共演、ゼッフィレッリ演出
上)乾杯の歌、中)2幕、下)フィナーレ



【指 揮】上岡 敏之
『1960年東京生まれ。79年に、東京芸術大学に入学し、マルティン・メルツァー教授の下で、指揮、作曲、ピアノ、ヴァイオリンを学び、在学中の82年に、安宅賞を受賞、84年には、ハンブルク音楽大学に留学。96年から2004年8月まで、ヘッセン州の州都ヴィースバーデンにあるヘッセン州立歌劇場の音楽総監督を務めた後、04年のシーズンから、ノルトライン・ヴェストファーレン州ヴッパータール市の音楽総監督(ヴッパータール交響楽団)に迎えられ、現在に至っている。また、97年から06年まで、ノルトライン・ヴェストファーレン州ヘアフォードの北西ドイツフィルハーモニーの首席指揮者を務めた。さらに、00から01年、フランクフルト音楽大学で音楽アンサンブルの代理教授もつとめ、04年10月以降、ザールブリュッケン音楽大学の正教授の任にある。新国立劇場初登場。』
【演出】ルーカ・ロンコーニ Luca Ronconi
『チュニジア生まれ。俳優として活躍した後、演出家に転進。1967年にトリノのテアトロ・レッジョでオネゲルの「火刑上のジャンヌ・ダルク」などをてがけてオペラの演出に進出。77年ミラノ・スカラ座におけるクラウディオ・アバド指揮「ドン・カルロ」で名声を確立。その後、スカラ座では88年にリッカルド・ムーティ指揮「ウィリアム・テル」で全幕バックをスライドで構成し、話題を集めた。他の演出作品は、ザルツブルク音楽祭の「ドン・ジョヴァンニ」、ミラノ・スカラ座の「ナクソス島のアリアドネ」などがある。』

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コメント 16

euridice

>数秒沈黙があったり、ユニークな演奏
そう。あれ?!次はないの?・・って感じでしたね・・
何度かそういう長い間がありました。
あまり気持ちのよいものではなかったです。

>舞台上をすべって移動する舞台装置
大きい装置が揺れるのは興ざめでした。

なにはともあれ、プレミエに比べて、格段に気に入りました。
TBしますのでよろしくお願いします。

あ、ゲオルギュ、グリゴロ、ブルゾンのビデオクリップ
おもしろかったです。全部見たいですね。
by euridice (2008-06-13 09:14) 

菅野

どこも同じですが制作費が少ないのでは?余りゼッフェルリのDVDを見すぎてからこういうのいくと落胆しますね。やはりオペラは音楽そのものを聴くに限ります。歌手ばかりではなくてオケも含みます。

指揮棒2本なんて良く見てますね。でもウイーンなんかは常識ですね。どの指揮者もいつも二本置いています。演奏が長いしマンネリ化するからでしょう。途中で折れたり落としたりすることはない様です。
by 菅野 (2008-06-13 22:37) 

tsukune☆彡

私は初日に観ました。
とっても感動したのでもう1回行こうと思っていたのに、うまく都合がつけられなくて... 残念!
モシュクの良く響く伸びのあるピアニッシモは素晴らしかったですよね。なんていうか、劇場の空気が凝縮されて一点に流れていく感じがしました。

>抱きとめて欲しかった.....
私もいつもそう思います。
むしろ、死に際のヴィオレッタを抱きしめるアルフレードの方が珍しいような気がするんですが... ^^;

アタネッリは、初日はアリアを歌い終わった後、演技を忘れて思いっきりニンマリしていてそれがもう強烈。
オレ様の歌はどうだ?って言わんばかりの満足気なニタリ顔でした。(@_@;)
by tsukune☆彡 (2008-06-14 00:20) 

keyaki

euridiceさん
人気演目なのに、2004年以来だったとは意外! 今回も知ってる歌手さんが出演しなければ、パスだったんですけど、みなさんDVDやテレビで見てるんで、生で見ようということなんですよね。
でも、指揮者目当てで来ていると方もずいぶんいたような感じもしました。
by keyaki (2008-06-14 14:37) 

keyaki

菅野さん
まあ、つじつまの合わない演出よりは、壁でも柱でも動いていいですよってことです。
ゼッフィレッリの豪華版はアイーダで見ましたしね。
昨年ローマでゼッフィレッリが演出してますが、豪華な調度品とかシャンデリアとかカーテン、それと大勢の合唱団とダンサーで、舞台の上は、足の踏み場もないくらいで、アルフレードが合唱団の集団につまずいた....とか。

>指揮棒2本なんて良く見てますね
指揮者の指揮は全く見えない席でしたが、カーテンコールはよく見えましたから。指揮棒の根元にコルクかなんか付いてるじゃないですか。あれがかなりまるっこくて大きなもの、ピンポン球みたいだったんで、上岡さんが二本一緒に片手でもつのが大変そうだったので、かえって目立ってました。指揮台に置いてくればいいのに、つい持ってでちゃったんでしょうね。ファン?の方たちがいっぱい来ていたようですし、新国初登場ですから、ちょっと舞い上がってたのかも。

>途中で折れたり落としたりすることはない
勢い余ってすっとんでいくこととか、よくありそう...私は、ぜんぜん見えない位置でしたが、かなり派手に動く指揮者さんのようですね。
by keyaki (2008-06-14 14:53) 

keyaki

tsukune☆彡 さん
今回の公演は夜は、11日とあとは来週の火曜日だけなんですね。
椿姫というと、いつもtsukune☆彡 さんのグレギーナの感想を思い出します。歌詞を忘れて、だまって花を差し出したとか、テーブルだったかピアノのクロスを手品師みたいにさっとひっぱって、上のものがたおれないでそのままだったとか.....

>むしろ、死に際のヴィオレッタを抱きしめるアルフレードの方が珍しいような気が
知人にもそういわれました。クルクルと回ってパタンは、ゼッフィレッリの映画もそうでしたね。


by keyaki (2008-06-14 14:58) 

tsukune☆彡

グレギナのテーブルマジック... アチャ~って感じでした。^^;
でも、3幕はとっても素晴らしかったんですYO! ^^;^^;

新国の椿姫はセットは特にショボいとは思いませんでした。
ゼッフィレッリの舞台に比べたら全然だけど、最近流行の?舞台に比べたらずっとずっとそれらしく作ってありましたよね。
だけど...
やたらに横滑りさせることによって、シャンデリアも壁もあり得ないぐらいにグラグラ揺れまくるものだから、どうしても何これ?って感じてしまうんだと思うんです。
新国の舞台機構を使うなら、せめて回り舞台で対応すればもっと効果が出せたんじゃないでしょうか。
回り舞台なら、合唱が後ずさりしながら退場...なんて、どうやったって失敗するような演出にはならなかったとも思うんですよね~
by tsukune☆彡 (2008-06-14 16:50) 

しま

こんばんは。私も駆け込みで観てきました。

>なぜか若い女性が多くて、ホワイエも華やいだかんじでした。
本日も同じ印象でした。
演目によっては、爺ちゃん婆ちゃんの群れの中に地味な30代カップルがちょこんと混じっているだけだったりするのに。客層っておもしろいですね。

アタネッリはけっこう気に入りました。良いバリトンです。
本当に、リゴレットが楽しみですね。想像では、ちょいとばかりセクシーさが入ったリゴレットになりそうなんですが(笑)

トラバさせてくださいませ。
by しま (2008-06-14 20:32) 

keyaki

しまさん、TBありがとうございます。
若いお嬢さんが多くて、プチシュークリームが売れていたようです。団体かなと思われるにぎやかなグループもいましたよ。

1階で見ることが多いのですが、今回は2階でしたので、アタネッリを近くで見ようと、走って降りたんですが、一人一人のカーテンコールがなかったので、近くで見られませんでした。残念!


by keyaki (2008-06-15 01:54) 

Sardanapalus

>あまり評判がよろしくないようです
写真や新国のビデオクリップで見る限り、整ったデザインの舞台装置でまあまあ作りこまれているように見えますけどねぇ。やはり転換時に大道具が揺れるのが興ざめなんでしょうね(^_^;)

オリジナルな指揮だったようですが、歌手のレベルが高かったのですね。低音好きとしては、やはり陣内さ…じゃなかった、アタネリが気になっていました。来年のリゴレットには行きたいなぁ。←未だ新国にデビューできない、地方在住者のつぶやきです。

>ビデオクリップ
うわ、サッカいつの間にこんな引き締まった男前に!?と思ったら、グリゴロ君でしたか(笑)いきなりポロシャツになってビックリしました。リハーサルの映像が混ざっているのですね?やはり、最期は恋人の腕の中、というのがメロドラマの王道だと思うので、ゼッフィレッリのものやROHのエアの演出は自然と感動できますね~。
by Sardanapalus (2008-06-15 11:23) 

サンフランシスコ人

サンフランシスコ市での、「椿姫」の初演は江戸時代の1859年だと思います。
by サンフランシスコ人 (2008-06-16 08:14) 

keyaki

サンフランシスコ人さん
フェニーチェでの初演が江戸時代の1853年なのに、ずいぶんと早いですね。
by keyaki (2008-06-16 16:12) 

keyaki

Sardanapalusさん
壁とか柱は、そっと揺れないように動かす練習をして欲しいですね。
動くものに注目しますからね。

>いきなりポロシャツになって
オペラはスポーツだ!のグリゴロですから、腕が太すぎて、半袖は似合わない、ランニングシャツとかタンクトップがいいですね。
by keyaki (2008-06-16 16:17) 

keyaki

tsukune☆彡 さん
柱とか壁は、床をすべらせるんじゃなくて、吊ってあるようにみえました。
こういう装置を動かす人は、プロの自覚を持って、揺れないように動かして欲しいです。そーっとそーっと.....
by keyaki (2008-06-16 16:25) 

つるりんこ

最後にアルフレードがテーブルにひじを付いているあたりからからのもたついた感じが気になりましたが、ゼッフィレッリのビデオクリップを見てサスが!と思いました。
by つるりんこ (2008-06-16 19:54) 

keyaki

つるりんこさん、nice! とTBありがとうございます。
演出家がどこまで歌手を動かせるか..ということも大いに影響しそうですね。
by keyaki (2008-06-17 20:47) 

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