SSブログ

マルセロ・アルバレス、天下のスカラ座を袖に..... [スカラ座事件]

 マルセロ・アルバレスが、来年出演予定のミラノ・スカラ座の公演をすべて取り消したことが話題になっています。
 6月のオーレン指揮《アンドレア・シェニエ》と、12月の来シーズン開幕公演のガッティ指揮《ドン・カルロ(ス)》だそうです。カルロスということはフランス語版なんでしょうか...ということは、ロベルト・アラーニャにお鉢が回ってきそうですが、昨年の《アイーダ》の件もありますし、どうなんでしょう。シェニエは初役かな.......
 ミラノ・スカラ座は、なんといってもオペラ歌手にとっては、重要な劇場であることは間違いないでしょうから、それを蹴った...ということはやっぱり話題になるんですね。12月13日のインタビューで、出演取り消しの理由をアルバレスが語っています。オペラ歌手と劇場の関係、いろいろあるんですねぇ....
2008-9シーズン開幕公演は、《ドン・カルロス》か《ドン・カルロ》かどちらかわかりません。私が読んで参考にした記事は、Don Carlosになっていました。Don Carlosといえば、一般的にフランス語版ですが、Don Carloと書いてある記事もありました。スカラ座ではイタリア語版上演が普通ですが、いつもなにかと大騒ぎになる開幕公演ですから、わざとフランス語版にするのこともあるかもしれないかな...という単なる憶測です。→イタリア語版ドン・カルロで、フィリアノーティがタイトルロールに決定→ワシントンのジェンナーロはヴィットリオ・グリゴーロに...オペラ+ポップス歌手☆13才ボーイソプラノMP3(2008.6.3追記)

 「スカラ座の《アンドレア・シェニエ》と《ドン・カルロ(ス)》の出演をとりやめたという噂は、どの程度信憑性がありますか?」という質問には、「残念ながら、本当ですし、この決定は最終的なものです。」と言っています。取りやめた理由は、「ちょっとばかげたおかしな話しなんだけど.....」と次のように説明しています。


マルセロ・アルバレス談:
 この件の前提として、12月2日からチューリヒ歌劇場の《トロヴァトーレ》に出演が決まっていて、そのリハーサルが、11月5日からはじまることになっていた。また、11月9日と17日に、バレンボイム指揮のヴェルディ《レクイエム》のソリストとして出演も決まっていた。これはトスカニーニ没後50周年記念公演として両日ともスカラ座の公演で、9日はミラノのミラノ・スカラ座で、17日はパルマの大聖堂で演奏されることになっていた。そこで、チューリヒ歌劇場にお願いして、《トロヴァトーレ》のリハーサルを一週間だけ欠席してもよい、という許可をもらった。
 ご承知のように、9日の公演はスカラ座側のストライキで中止になったので、私は、17日にパルマに戻ることにしてチューリヒに行った。なんの問題もないはずだし、スカラ座の芸術監督ともちゃんと合意したことだった。
 11月13日か14日だったか忘れたが、16日にリハーサルをすることが決まったので出席するようにというスカラ座からのメールを受け取った。すぐに「合意したように私は参加できない。17日に行きます。」と返信した。ところが、同じ日に「もし、16日のリハーサルに参加する旨の返事が本日18時までになければ、あなたを解任して,代役のテノールに連絡をとる用意する」という内容のメールがきた。このメールをただちに私の弁護士(たち)に転送して、「前に合意した通り、私は《レクイエム》の自分のパートを歌うために17日にパルマに行きます...」というような内容で返信した。しかし、このメールに対してスカラ座から返信はなかった。そして、結局、《レクイエム》本番の前日に、ストが回避できないとして、17日の公演の中止が決定した。
 私は、この件について、いろいろ考えた末、約一週間後に、将来のプロダクションに参加しないことをスカラ座側に伝えた。その後ずっと、劇場側は沈黙していたが、数日前にスカラ座のリスネル総裁が私に電話をしてきて、今回の件について、個人として陳謝し、信頼を回復するよう努力すること、次の《アンドレア・シェニエ》の公演の際は、側にいてフォローすることを保証すると話した。総裁自身が電話をくれたことは評価するし、尊敬しているが、私の気持ちは変わらなかった。
 「《アンドレア・シェニエ》の公演は、あと6ヶ月と迫ってきていますが、あなたはまだ契約にサインをしてなかったのですか?」という質問に対しては、「その通りですが、これは、イタリアの劇場では普通です...実際にローマ歌劇場でも《トスカ》のポスターがすでに作られていますが、まだ契約にサインしていません。」と語っている。

以上。最初と最後だけの要約ですが、全文はこちら→M.アルバレスのインタビュー
※17日のパルマ大聖堂でのヴェルディ《レクイエム》は、バレンボイム指揮、ソリストは、Damato, Borodina,Alvarez, Youn。メゾはドマシェンコでしたが、ボロディナに変わりました。参考までに9日のスカラ座公演のソリストは、 Frittoli,Gubanova,Alvarez, Younだったようです。Kwangchul Younはベルリンで活躍していたバスのようですから、バレンボイムの推薦でしょうね。

 スカラ座のサイトでは、現時点(2007.12.19)ではまだ Marcelo Álvarezの名前は消されていません。劇場側は、今後も説得を続けながら、他のテノールを捜すのでしょうか。しかし....ジェラールがブルゾンですよ...すごいなぁ....→結局、演目自体が《椿姫》に変更されました。

余談:チューリヒのサイトで《トロヴァトーレ》のVideoClipが見られますが、なぜか剣道をやってます。ちゃんとした格好で、メェ〜〜ン!打ち込みっていうのかな、やってますよ。ルーナ伯爵が警察所長とかかしら? それってスカルピアみたいじゃない.....ヌッチですけど、ヌッチも元気だなぁ....
※16日の《トリスタンとイゾルデ》もストライキで中止になったようです。まだ解決してないんですね。
■愉快なおまけ:《トリスタンとイゾルデ》を振るバレンボイムにテディーベア、楽し〜い!うまくできてますね。クリックして笑ってください!
関連記事:
News!ヴェローナの《トスカ》に、M.アルバレスと
★ROH出演中のシュロットに突撃〜☆ケテルセンがレポレッロ〜玉突き型



nice!(0)  コメント(10)  トラックバック(0) 
共通テーマ:音楽

nice! 0

コメント 10

なつ

昨年のアラーニャの件といい、スカラ座とテノール歌手の揉め事が続いているのが気になります。ストのニュースも気が重くなるし…。
スカラ座で『シェニエ』は久しぶりなのではないでしょうか?
なかなか今この役を歌えるテノールを見つけるのは難しそう。

写真のアルバレスかっこいいです。全然丸セロじゃない…。
by なつ (2007-12-19 18:11) 

euridice

>《トロヴァトーレ》の
小さなクリップでも主要歌手の存在感が伝わってきますね・・
写真ですが、ヌッチの剣道着姿、なかなか決まってます。
クリップの剣道も本格的ですねぇ・・だれがやってるのかしら。

>写真のアルバレスかっこいいです。全然丸セロじゃない…。
ほんとに。憂い顔がいいですねぇ・・
スカラ座にムッ、困ったもんだねぇ・・ってとこかな^^+

>バレンボイムにテディーベア
hahahaha~~~~:-) 
これ、フィナーレの映像を加工したんですね・・
上の説明からそのユーチューブに飛びますけど、
マイアー・イゾルデが歌い終わって倒れて、最後の最後で
やっと指揮者が映してもらえて、
拍手喝采に首をすくめる指揮者の姿で〜す。

バレンボイム、最近はネタにされているようで
いろいろ傑作映像があります。
たとえば↓
http://www.youtube.com/watch?v=XERWPMYfSYQ
この後に関連映像として出てくるのもおもしろいです^^!
by euridice (2007-12-19 18:56) 

keyaki

なつさん
ストもやり方ですけど、劇場の場合は、オーケストラ団員がやるとお手上げですね。
鉄道とかバスだと、改札とか切符売り場がスト突入っていうのが、よくありましたけど...これだと一般の人はタダで乗れるんで、スト歓迎ですよね。

>スカラ座で『シェニエ』は久しぶり
20年に一度程度の上演かもしれませんね。DVD化されているかどうか知りませんが、LDで出ていた、カレーラス、カプッチッリ、マルトンのが1985年なんですよね。
アルバレスの代わりになるような人気,実力を備えた同年代のテノールだとクーラくらいか....アルミリアートもシェニエはお得意ですよね。
by keyaki (2007-12-19 20:23) 

keyaki

euridiceさん、バレンボイムの傑作映像紹介ありがとうございます。

このテディーベアのは大大大大傑作ですよね。
私もスカラ座の映像で、あぁ、この部分だ!ってすぐわかりましたけど、あれはバレンボイムのお得意のポーズ、表情なのかしら。
本当にテディーベアがぶつかったみたいですよね。

>>《トロヴァトーレ》の
日本の劇画ブームで剣道も流行っているのかしら.....
剣道って、なかなかかっこいいですよね。

この写真、10年前のメトのアルフレードなんですけど、なかなかいいのを選んでますでしょ。
by keyaki (2007-12-19 20:41) 

ふくきち

「もうあの劇場には出ない!」なんてトラブル、よくあることなのでしょうかね…。
スカラ座は「イタリアオペラの総本山」というイメージがありますが、
やっぱりオペラハウスの格っていうのは
出演者の顔ぶれで決まる部分が大きいですし、
歌手を大切にしてほしいですよね。

《アンドレア・シェニエ》のようなメジャー演目でも
20年に1度とは、ちょっとビックリでした。
by ふくきち (2007-12-19 21:49) 

Sardanapalus

じ、10年であんなに丸セロになっちゃったんですね!(@_@)ビデオクリップを見ると悲しくなってしまいます。剣道はかなり本格的ですね!

>ルーナ伯爵が警察所長とかかしら?
どうも日本人には剣道=警察というイメージがありますよね。ところで、この場面って、兵士が鍛錬している場面なんでしたっけ?記憶にある演出ではどれでも剣を使って模範演技みたいなものをしているんですけど…。

それにしてもスカラ座は、何度こういう事件を起こすんでしょうね?アラーニャとアルバレスが出ないとなると、何だか寂しい歌劇場ですが。アルバレスのメールに返信が無かったのは、ストで中止が決まったから放置していたのか、何とか開催しようと躍起になっていて時間が無かったのか…いつかはスカラ座にも行きたいと思っていた気持ちが萎えてしまいそうです。
by Sardanapalus (2007-12-19 23:38) 

keyaki

Sardanapalusさん
>この場面って、兵士が鍛錬している場面
そうです。3幕のルーナ伯爵の陣営で兵士たちが、明日の戦いに備えて、武器の手入とか、戦闘訓練をしたり、調子のいい男声合唱のある場面で、このあとアズチューナが捕らえられて登場するんですよね。
そうそう、フェンシングとかしているのがありましたね。

なんかチューリヒの方が、人気歌手に人気があるようなかんじですよね。
by keyaki (2007-12-20 00:57) 

keyaki

ふくきちさん
>「もうあの劇場には出ない!」なんてトラブル
トラブルはなくても出たくない劇場はあるようですね。
たとえば、ライモンディの場合は、ガルニエには出ますがバスティーユには絶対に出ませんし、意見の合わない音楽監督とか芸術監督は避けているようです。

>歌手を大切にしてほしいですよね
本当にそう思います。
by keyaki (2007-12-20 01:13) 

おさむ

韓国人バスのKユンのイタリアでのヴェルレクのソロすごいですねー、ユンは確かに良い声ですが 基本的にドイツ物歌いだしイタリアの聴衆の反応が気になりますねー。
by おさむ (2007-12-20 14:57) 

keyaki

おさむさん、残念なことに、ヴェルディのレクイエムは、ストで中止だったんですよ。
>Kユン
バレンボイムの息のかかった歌手ということなんでしょうね。

>基本的にドイツ物歌い
そうみたいですね。
ドイツもの歌いのドイツ人よりはいいかもしれませんね。
フィリッポとかも歌っているようですし.....
by keyaki (2007-12-20 15:27) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。