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新国《セビリアの理髪師》鑑賞:2006.12.7 [オペラ生舞台鑑賞記録]

 ケップリンガー演出の《セビリアの理髪師》見てきました。これは、昨年がプレミエでしたが、私はパスしましたので、今回が私には、お初ということです。
知っている歌手さんの名前があると行きたくなるんです。特にバルッチェローナのロジーナに興味津々。ムラーロのバルトロ、彼はゲオルギュー&アラーニャ+ライモンディの映画《トスカ》のアンジェロッティ、あとローレンス・ブラウンリーは、DVDになっているフローレス&バーヨの《セビリアの理髪師》のBキャストの伯爵だったとか.......
 今回の公演は、ドタバタ大騒ぎの喜劇性を強調した《セビリアの理髪師》で、音楽はBGM状態というところでしょうか。少なくとも3回くらいは見ないと、全部のコネタを把握できないくらい、笑わせるしかけ満載です。こういうのが嫌いな人にはお勧めできませんし、体調が悪いと疲れるかもしれませんね。音楽以外の雑音もたくさんありましたし。
 時代設定は、フランコ政権下の1960年代、テレビも電話もあります。時々電話もかかってきて、「プロント....」なんて、リアルにやってましたよ。3階+屋根裏部屋のバルトロの診療所兼自宅の建物が、クルクル何回も回ります。これもけっこう楽しいものですよね。


 さて、この《セビリアの理髪師》の特徴は、歌わない役者さんがたくさん出ます。覚えているだけですけど、ちょっと挙げてみますね。
★悪ガキ集団6人くらい、太った女の子が先頭で最後は小さな5歳位の男の子ですが、ワーッと歓声をあげながら時々舞台をかけぬけます。どうやら、いろいろくすねたものをフィガロのおじさんにあめ玉と交換してもらっています。バルトロの財布をすって、中身を抜いて返したり、まあ、フィガロをオリバーのフェイギンととらえる人もいるのかもしれませんが、そういう陰湿さはないので、単なる悪ガキ集団ということでよろしいかと。
★売春婦デブヤセコンビ、舞台右手に、売春宿があって、そこを出たり入ったり、2階の窓から外を眺めたり、時々、出かけて、客引きをしたりしてます。
★売春宿の客数名、入っていって、出てきますが、けっこう芸が細かいです。
★肉屋の夫婦、妻は超肥満、多分、おデブの売春婦役が二役だとおもいます。
★乳母車に赤ちゃんがいるのにまたお腹の大きな主婦
★壁を塗っているペンキ屋2名、音楽に合わせて、壁を塗ったり、二人でふざけたり。
★聖職者2名、そのうちの一人は、売春宿の客になる
★骸骨、上の写真にありますが、この骸骨の使い方が、いろいろ笑わせてくれます。私が一番笑ったのは、骸骨とアンブロージョがダンスをしていて、それを見た肥満の肉屋の奥さんが骸骨が歩いていると勘違い、気絶してひっくりかえる。ベルタと肉屋の旦那が引っぱり起こそうとするが、重くてできない。気が付いて自力で立ち上がるが、またそこに、骸骨が....気絶、同じネタが2回繰り返されますが、2回とも笑えた。
主要キャストの一言コメント
♪バルチェッローナのロジーナ:とても自然に歌っていて楽しめました。さすがにハイヒールは履いてません、というか履かせてもらえなかったのかもしれませんが、膝から下は、すらりときれいな細い足でした。すくすく育ち過ぎの娘ですが、表情豊かでかわいかったです。新国のサイトで歌声が聴けますのでどうぞ。
♪ローレンス・ブラウンリーの伯爵:背が低いのを逆手にとって笑いをとってました。バルチェッローナより25センチは低いようですから、160センチあるかないかでしょうか。高音はとてもきれいに伸びてましたが、歌にはロッシーニの軽やかさに、ちょっと欠けているかなというかんじです。この《セビリアの理髪師》は、プレミエの時も最後の大アリア《Cessa di più resistere》はないバージョンでしたので、当然今回もありません。《Cessa di più resistere》お好きな方はこちらでどうぞ!
♪マウリツィオ・ムラーロのバルトロ:ムラーロは、かなりの重量級で、ドン・バジリオでもいいのではないかと思いました。体型的にはバルトロにピッタリで、コミックな演技がとても上手い、アンサンブルでもバルトロの声が一番ズンズン響いてました。
♪ラッセル・ブラウンのフィガロ:上記のような、見た目も声も個性的な面々のなかで、見た目もなかなかの二枚目なので、ちょっと目立たなくて、印象に残ってないんです。
♪ドン・バジリオの妻屋秀和:演出のせいか、かわいいかんじのバジリオになっていて、陰口のアリアは、ちょっとものたりなかったかな。
ベルタの与田朝子:ほとんど舞台に出ずっぱりで、なかなかの芸達者で脇役ですが、目立ってました。
 今回の《セビリアの理髪師》は、ドタバタ喜劇仕立てで、音楽的にもドタバタと重い感じがしました。なぁんて、駄じゃれでまとめてみました。
新国では、過去1998年2000年2002年と《セビリアの理髪師》が上演されています。1998年はわかりませんが、2000年のロックウェル・ブレイク、2002年のアントニーノ・シラグーザとこの大アリアを歌っていますが、歌わないバージョンの方が、普通で、歌えば、話題になるということだ思いますが、どうなんでしょうね。 ※平土間2列右よりで鑑賞。
公演日程
2006年12月1,4,7,10 日
【指揮】ミケーレ・カルッリ
【演出】ヨーゼフ・E.ケップリンガー
【美術衣裳】ハイドルン・シュメルツァー
【照明】八木 麻紀
【再演演出】田尾下 哲
【舞台監督】斉藤 美穂
【合唱指揮】三澤 洋史
【合唱】新国立劇場合唱団
【管弦楽】東京フィルハーモニー交響楽団
キャスト
【アルマヴィーヴァ伯爵】ローレンス・ブラウンリー
【ロジーナ】ダニエラ・バルチェッローナ
【バルトロ】マウリツィオ・ムラーロ
【フィガロ】ラッセル・ブラウン
【ドン・バジリオ】妻屋 秀和
【ベルタ】与田 朝子
【フィオレッロ】星野 淳
【隊長】木幡 雅志
【アンブロージオ】古川 和彦
【公証人】藤沢 敬
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Sardanapalus

気になっていた公演なのでレポートしてくださって嬉しいです♪

>ドタバタ大騒ぎの喜劇性を強調した《セビリアの理髪師》
かなり私好みそう(^^)歌わない登場人物が多いのも楽しそうですね!再々演があるならそのときは必ず見に行きたいものです。

>ローレンス・ブラウンリーの伯爵:背が低いのを逆手にとって
当然そういう演出になるでしょうね~。彼の身長は160センチないです。

>ロッシーニの軽やかさに、ちょっと欠けているかな
なるほど、確かに私が「1984」で聞いたときも軽やかさは感じなかったです。高音が綺麗に出るので伯爵なんかはまってるんじゃないかと思ったのですが、やはりこの役には軽やかさが欲しいですね。

>ラッセル・ブラウンのフィガロ
>見た目もなかなかの二枚目なので、ちょっと目立たなくて
舞台写真をぱっと見たとき、彼が伯爵かと思っちゃいました(笑)確かに他のメンバーと比べるとイマイチ押しが弱いですね。
by Sardanapalus (2006-12-08 19:44) 

euridice

>音楽的にもドタバタと重い感じ
だったわね。
とにかく盛りだくさんてんこ盛り状態のめまぐるしい演出にしては、ちょっと退屈。前の演出のセビリアは仕事帰りにもかかわらずとっても楽しんだんですけど、今回は、わざわざお出かけにもかかわらず(これがいけなかったかも)、休憩前の長丁場は、三分の一くらい居眠りしちゃったわ。あの買春宿はベルタが経営してるそうよ。支配人?らしき男から上がりをもらってたわね。なにがなんでも箱に乗って、ロジーナよりちょこっと背が高くなろうとする伯爵がとっても可愛かったです^^;;
by euridice (2006-12-08 19:50) 

keyaki

Sardanapalus さんが、見たら大喜びするんじゃないかなぁ...なんて思ってました。

>ローレンス・ブラウンリー
やっぱり、160ないですか。
最初の衣裳のときは、どうもお腹のあたりに詰め物をして貫禄を出していたみたいです。おそらく、上着を脱ぐと、子供にしか見えないので、苦肉の策でしょうね。最後の衣裳は、アイボリーにストライプの三つ揃いでバッチリきめてたんですけど、お腹のあたりをよーっく観察しましたけど、お腹は出てないようでした。で、彼のHPを見つけたんですけど、上半身裸の写真があったんですよ。胸板はものすごく暑くて筋肉マンなんですが、お腹は出ていませんでしたので、間違いなく、お腹になにか入れてたとおもいます。なぁんて、何言ってんだかですね。(笑

バルトロと伯爵で、相撲の四股を踏むまねをしたり、ロジーナは音楽に合わせて、ラジオ体操(あんな体操あちらの方はしないですよね)をしたり、悪ガキ軍団がワーって歓声あげて舞台をつっきっちゃうんですから、ちゃんとコロラトゥーラを歌っているかなんてことで見に行った人は、おかんむりだったかも。吉本新喜劇風かな。
舞台のあっちこっちでいろいろやっているんで、一回だけでは見切れませんね。
by keyaki (2006-12-08 20:20) 

keyaki

euridice さん、前のは、シラグーザが大いに楽しませてくれましたよね。

あ、なるほど、地味なかっこうをしていたベルタが、急にやりてばばあみたいなド派手なかっこうになったのかと思ってました。
by keyaki (2006-12-08 20:30) 

yumemi

ブラウンリー、コロラトゥーラが甘いですか。 私はそれだとお冠まではいかな今でも、不満が残りそうです。 ロッシーニ好きの宿命かもしれないけど、どうしてもちゃんと歌えているか気になってしまうんですよね。シラグーザはその点、ちゃんと歌ってくれるので合格なんですけど。
by yumemi (2006-12-08 21:01) 

Sardanapalus

>Sardanapalus さんが、見たら大喜びするんじゃないかなぁ..
四股にラジオ体操にはしゃぐガキんちょですか、知れば知るほど楽しそうですね~。人気オペラだからまたすぐ再演してくれることと期待しておきます。

>ローレンス・ブラウンリー
>どうもお腹のあたりに詰め物をして貫禄を出していたみたい
背の高さだけで見れば子供と間違えそうですからね。以前背の低い歌手の話がありましたけど、やっぱり色々工夫してるんですね。
by Sardanapalus (2006-12-08 21:29) 

gonも昨年のプレミエをみていないのですが、明日見に行きます。面白そうですね、いろんな意味で。
by (2006-12-09 21:35) 

なつ

私も同じ日に観てきました!TBさせて下さいね。
自分のblogにも書きましたが、ドタバタが悪くというわけではないんですけどねー、あまりにも音楽の邪魔になってたのが…。
あと、手癖の悪いフィガロはいやでした。オリジナルの台本はあんなことないですよね?
でも、ロッシーニの音楽のおかげで、鼻歌まじりで帰途につけたので、よし、とします。何よりもバルチェッローナの素晴らしいロジーナが聴けたし。
by なつ (2006-12-09 23:30) 

おさむ

4日に見ました。Mムラーロは元々バスで以前はバズィーリオをレパートリーにしていました。いい響きの声なんでツマヤさんの声が物足りないと僕も感じました。日本人ってやっぱ骨格が浅いんですね。でもムラーロはブッフォとして演技はもちろん声もハマってると思います ブッフォの時は発声も変えているのでしょう。 Rパペはドイツ系バスなんで生粋イタリアンのライモンディと比べるとそりゃ物足りんですよ でもパペはワーグナーバスとしてはまだ早いような気もします 若いし人気もあるんだからフンディングよりもヴォータンでもよいと思う オランダ人やザックスをやった後にフンディングやファフナー、ポークナーをやったらいいのになーいずれやるんだろうけど だって彼はレポレッロのほうが騎士長よりもあってるし。
by おさむ (2006-12-11 16:41) 

keyaki

おさむ さんもご覧になったんですね。
ムラーロって、けっこうブッフォ系やってるようですね。今回のような演出だとバジリオが目立ちませんね。普通は、かなり目立つ役なんですけどね。
パペのフィリッポには、正直、素直に吃驚しました。同じ衣裳の映像があったので、ライモンディと並べてみただけなんで、ほんとは、どっちもいいですね、と言いたかったんですけど....ね。
by keyaki (2006-12-12 09:13) 

TBありがとうございました。
今回の舞台の感想は、以下のふくきちさんの舞台日記に要約され
ているような気がしました。よろしければご覧になってください。

http://fukukichi.blog.ocn.ne.jp/collect/2006/12/post_6b68.html
by (2006-12-12 21:17) 

keyaki

ふくきちさんって、ハンナさんのところからリンクされているブログですね。ご紹介ありがとうございます。
by keyaki (2006-12-12 22:13) 

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