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『音楽の友』の常識 [オペラ関連書籍&雑誌]

11月9日の記事で『音楽の友』の特集記事を取り上げましたが、4年ぶりに買ったのは、フィレンツ5月音楽祭来日公演《ファルスタッフ》のレビューが掲載されていたからです。

2006.09.11"Falstaff"
見開き2頁で、ほとんど写真ですが、レビューを読んでいきますと、「筆者が観たのは、タイトルロールをジョルジョ・スーリアンが唯一務めた16日。」あららぁ、この雑誌を定期購読していないので、これがあたりまえなのかどうか知りませんが、「おかしいんじゃないの、この雑誌の編集者」と思いました。(『唯一』という表現にも違和感あるな)
私がライモンディのファンだから、変だと思うというわけでもないような気もしますが、どうなんでしょうね。
ダブルキャストの場合、メインキャストの公演のレビューを載せるのが常識だと思うのですが、もちろん、両方のレビューを書いてくれれば、読者に対して一番親切ですけど、その場合も、メインキャストをメインに書くのが普通ですよね。
特に今回の、ダブルキャストは、スーリアンは、たったの一回なのに、わざわざその日にするとは、心外です。掲載写真には、フリットリとライモンディのなかなかよく撮れている舞台写真が1枚ありました。
以下、「音楽の友」の編集姿勢とは関係ないことかもしれませんが、ついでにひと言。
ということで、スーリアンの日のレビューですし、興味ないから読むのやーめた、と思ったら、なんとこの筆者、観てないといいながら、ライモンディのファルスタッフを引き合いに出して、書いてます。どういうことなのでしょうか。
ライモンディといえば、その演技力には定評がありますが、だからといって、「確かに演技力ではライモンディに及ぶべくもないが....」とか、「大ヴェテランのライモンディと比べれば、いささか単調で不器用なファルスタッフであったと言わざるを得ないだろう。」とか、いちいちライモンディの名前を出さなくても「演技的には、単調で不器用なファルスタッフであった」でいいのではないでしょうか。それに、大ヴェテランって、スーリアンだって50歳過ぎですから、充分大ヴェテランでしょう。
もうひと言、余計なことを言えば、この筆者、かなりスーリアンを持ち上げているというか肩入れしているような感じを受けます。『やっぱり主役はイタリア人!特集』で、大勢いる本当のイタリア人歌手をさしおいて「彼もイタリア人歌手の一人と数えたい」と、言及していますしね。
ついでの話:ダブルキャストについて
いろいろ変則的なものもありますが、大きく分けてこの2種類でしょうか。
(1)Aキャスト、Bキャストとして、歌手のランクに差をつけて、チケット代にも差をつける
(2)Aキャスト、Bキャストとあるが、歌手のランクには差がなく、チケット代も同じ
今回のフィレンツェ5月音楽祭来日公演の場合は、変則的なもので、チケット代は全公演同じでした。興行主は、工夫してキャストを組んでいました。
参考までに:
別演目ですが、(1)のケースでの公演がマドリードでありましたが、タイトルロールではありませんが、Aキャストにライモンディ、Bキャストにスーリアンが組まれていて、チケット代は、BキャストはAキャストの約半額でした。
(1€=141円換算)
◇プレミエAキャスト:A席235,00 €〜G席30,00€ (約3万3千円〜4千2百円) G席は売り切れで正確な料金がわかりません
◇Aキャスト:A席136,00 €〜G席15,00 € (約1万9千円〜2千1百円)
◇Bキャスト:A席75,00 €〜G席8,00 € (約1万円〜1千1百円)


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TARO

私も音友読んで「あららぁ」と思いましたね。
あららぁ、きっとkeyakiさんガッカリ・・・と。
批評はだいたい初日のを載せるというのが普通だと思いますけどねぇ。デヴィーア初日、グルベローヴァ2日目みたいな特別なダブルキャストの時には、両方載ったりしますよね。
by TARO (2006-11-12 11:56) 

keyaki

TAROさん、私のことを抜きにして「あららぁ」と思われたんでよね。
>批評はだいたい初日のを載せるというのが普通
そうですよね、ある程度ルールを決めておかないと、収拾がつかなくなることもありますよね。常識はずれのことをするのであれば、どうしてこの日を選択したのか、説明してほしいですね。
>あららぁ、きっとkeyakiさんガッカリ
怒りで、破り捨てました、と言いたいところですが、まあ、どうせ書くことは想像つくしいいですよ、編集長、ブログネタにしちゃいますからね....ですわ。それに、なかなか素敵にとれている写真がありましたし、これがなかったら、即、破って生ゴミと一緒に出しちゃってます。(笑
970円も出して買いましたから、じっくり写真を観察してみますと、編集長の頭の中はわかりませんが、なんでだろうという疑問がまたまた出て来ます。
まず、このフリットリとライモンディの貴重な1枚の写真は、©林喜代種とあります。林喜代種氏は、毎日新聞掲載のファルスタッフの写真を撮っています。レビューは、スーリアンの日のを書くということに、引け目を感じていて、それで、この写真でお茶を濁そうとしたのでしょうか。
あとの4枚は、竹原伸治氏が、音楽之友社に依頼されて撮影したものということですが、16日の公演の写真ではないようですから、公開ゲネプロの時の写真かしら。レビューでは、ボンファデッリに言及しているのに、それとわかる写真が1枚もありません。
by keyaki (2006-11-12 14:44) 

Orfeo

はは。まあ、音友なんて、テキトーに読み飛ばすに限りますよ。私も数年前、ミンコ絡みで超テキトーな記事が出たのに腹を据えかね、編集部に猛抗議して訂正記事を書かせたことがあります。レコ芸ですらレベルが猛烈に下がっているぐらいですから、ましてや音友は悲惨でしょうね。とても買う気にはなれません。

そうそう、レコ芸、海外楽信から足を洗ったきのけんさん、そろそろインターネットの世界に復活するようです。お知らせまで。
by Orfeo (2006-11-12 14:51) 

Bowles

私、今回のタイトルをすっかりこうだと信じ切っていました。

『音楽の友』の「非」常識 

めったに買わない雑誌ですが、いつでもざっと立ち読みしたときにもひどいまちがいがいくつかみつかります。特にひどいのが海外の公演について書いたもの。事実誤認もはなはだしい。ホントにこの筆者はこの公演を実際に聴いたのだろうかと思うものばかりです。今年のペーザロに関する音友の記事もひどかったけれど、何年か前のパリのラモーについて書いたものもひどかった。あらすじすら把握できていないんですから。Orfeoさんのおっしゃっているとおり、「テキトーに読み飛ばすに限ります」ですね、まったく!!
by Bowles (2006-11-12 15:35) 

TBしちゃいます(笑)
書くことないなら書かなきゃいいのにっていつも思います。
紙面を埋めるなら写真のほうがずっと気が効いてるとおもうけど、その写真も、、、
>公開ゲネプロの時の写真かしら
ほんとに、ゲネプロの写真に「○○年日本公演」とかって付けて平気で載せちゃってますよね。正直にゲネならゲネって書けばいいのに気づかないと思っているのでしょうかね?
by (2006-11-12 19:50) 

keyaki

りょー さん。TBありがとう。
私もそのいい加減情報記事見ました。何言ってんだかですよね。
賞をもらったことと、急遽、トゥリッドゥを歌ったことを関連づけるって、なんなんでしょう。
でもこういうのにチェックいれるのは編集者のお仕事ではないのかしら。原稿締め切りまでにお願いしますという単なる原稿催促係りなんでしょうかねぇ。
しかし、読者の方が、情報が、早くて、正確とは困ったもんですね。
by keyaki (2006-11-12 20:26) 

keyaki

Orfeo さん、
一応、クラシック専門雑誌の老舗なんですから、編集者は、もうちょっと誇りを持って、お仕事してほしいですよね。
まあ、いちいち目くじらたててもしかたないですけど、週刊誌並の信頼性では、情けないですよね。
ご意見、要望をネットで受け付けるようにするくらいの改善をしてほしいですよね。電話でどうぞ、なんて言われても、時間的になかなかできませんものね。

きのけんさんのネット復帰楽しみにしてまぁす。
by keyaki (2006-11-12 20:41) 

keyaki

Bowlesさん、
その通り、『音楽の友』の常識は、非常識ですよね。
みなさん怒り心頭ですね。
編集部のチェック機能が働いていないとか、執筆者の質の低下等いろいろ理由はあるでしょうけど、昔の『音楽の友』はまともだったんでしょうかねぇ。
まあ、テキトーに読み飛ばすにしても、「カチンときたら、ブログネタ」ということですね。(笑
by keyaki (2006-11-12 21:24) 

TARO

ウラはとってませんが、あるブログ友達の方に、音楽之友社はベテランの優秀な編集者が、ごっそり抜けてしまったと聞きましたけど。編集者の質って重要ですからねぇ。
(5年前ぐらいに経営危機でヤマハの傘下に入る可能性があり、社員の間に反対運動が起きてるというニュースが報道されたことがありましたが、その後をフォローしてないのでよく分かりませんが、多分その関連だと思うんですが。)
by TARO (2006-11-13 01:27) 

keyaki

そうですよ、雑誌の質は、編集者にかかっていますよね。
皆さんに見放されているのに、よく生き残っていますね、それが不思議。売れなくても広告でもっているんでしょうね。
by keyaki (2006-11-13 19:02) 

サンフランシスコ人

サンフランシスコの書店でも、「音楽の友」を販売していますよ。
by サンフランシスコ人 (2008-04-16 07:36) 

keyaki

>サンフランシスコの書店でも、「音楽の友」を販売
へぇぇ....固定客がいるのかしら? サンフランシスコ人さんだったりして.....

by keyaki (2008-04-16 09:39) 

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