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新国《イドメネオ》2006.10.25鑑賞 [オペラ生舞台鑑賞記録]

♪ミラノ・スカラ座、ハーディング指揮、ボンディ演出の《イドメネオ》がNHKBS2で放送されます。 10月28日(土) 00時30分〜03時18分 詳細はこちらで(2006.10.27追記)


モーツァルト生誕250周年記念、新国立劇場のスタンプラリー、今回の《イドメネオ》が、最後の演目になります。《イドメネオ》は私には縁のない(つまりRRのレパートリーではない)オペラですので、ビデオで視聴しているとはいえ、熱心には見ていませんので、お初ということになります。


《イドメネオ》は、1781年モーツァルト24歳の時の作品で、ギリシャ神話を題材にした「オペラ・セリア」の傑作です。今回の新国の《イドメネオ》は、舞台も色彩豊かで、美しく、衣裳も各幕ごとに、つまり3回もお色直しをして豪華、その上、ハッピーエンドで大合唱で盛り上がるという『モーツァルト生誕250周年』最終演目にふさわしいものでした。このところモノトーンでシンプルな舞台が多かったので、久々にお金つかったのね、という感じの舞台でした。と思ったら、文化庁芸術祭主催公演だったんですね、納得。
主要キャストの一言コメント
■合唱団:

他のモーツァルトの作品と比べて、『合唱オペラ』と呼んでもいいほど、合唱が重要で、充実しています。初演は、ミュンヘンの宮廷劇場でしたが、ここの合唱団が素晴らしいと評判なので、合唱曲をたくさん書いたという説もあるようです。新国の合唱団も素晴らしかったです。
■ジョン・トレレーヴェン:
イドメネオは、イギリスのヘルデンテノール(これには意義ありの人多数)のトレレーベン。英雄というよりは、自分が助かるためにとんでもない約束をしてしまったという、「悩める父」でした。まだ、お若いとおもうのですが、微妙に声の揺れを感じましたが、それも、苦悩する父王としてプラスだったかもしれません。(1950年生まれだそうです)
■藤村 実穂子:
男役のイダマンテ、ピアニッシモも実に良く通る声で、ヨーロッパでも評価が高いのが頷けます。この役のためにショートカットにしたのではないかと思いますが、そのせいか、他のキャストに比べて小さく見えました。神話に出てくるような巻き毛のカツラにした方が、よかったのではないかとおもいます。遠目、宝塚の男役のようでしたが、動きがちょいと女っぽかったです。最後まで安定した充実の歌唱でした。
■中村恵理:
新国では、今までに、バルバリーナ、森の小鳥、《こうもり》のイーダ役を歌っています。今回のイーリアは、今までのチョイ役ではなく、ほとんど出ずっぱりの主要キャストでしたが、日本人歌手にはめずらしく、とても動きがきれいで姿勢がいいので、遠目に見れば、日本人を意識させません。歌も藤村さんにひけをとらないくらい、きっちり歌ってました。アムステルダムのオペラスタジオと正式契約されているそうで、成長の楽しみな歌手さんです。来年1月にボローニャ歌劇場で《ボエーム》のムゼッタを歌うようです。この中村さんですよね(10.28追記)
■エミリー・マギー:
ハッピーエンドのオペラで唯一不幸なエレットラ、このエレットラの最後のアリア「オレステとアイアスの苦しみを」が楽しみで見にいったようなものですが、怒り狂った逆上ぶりは、圧倒的でした。あっというまに終わって、あっというまに抱きかかえられて退場しちゃいました。初演では、ハッピーエンドにふさわしくないとかでモーツァルト自身が割愛したそうですけど、退屈じゃないアリアはこれだけ、、なんちゃって。
演出は、このオペラの性質上しかたがないことですが、なにしろアリアがいくつもあって、それがまた長いので、見ている方は退屈。舞台、衣装がきれいなので、それを眺めているわけですが、見るものがなくなると目を閉じて(眠っているわけではない)聴いていましたが、最後の「神の声」を聴き逃しました。一瞬眠っていたようです。
舞台中央の巨大な壺が、嵐と同時に真っ二つに割れて、最後の平和が訪れた場面で、それが元通りにくっつくという、なるほどという舞台でした。

【指揮】ダン・エッティンガー
【演出】グリシャ・アサガロフ
【美術・衣裳】ルイジ・ペーレゴ
【照明】立田 雄士
【舞台監督】斉藤美穂
【合唱指揮】三澤洋史
【合唱】新国立劇場合唱団
【管弦楽】東京フィルハーモニー交響楽団
【主催】文化庁芸術祭執行委員会/新国立劇場

キャスト
【イドメネオ】ジョン・トレレーヴェン
【イダマンテ】藤村 実穂子
【イーリア】中村 恵理
【エレットラ】エミリー・マギー
【アルバーチェ】経種 廉彦
【大司祭】水口 聡
【声】峰 茂樹



※平土間9列ちょっと左よりで鑑賞。舞台より少し高い位置で、指揮者も舞台もよく見えました。指揮者は、力の入った指揮ぶりでした。


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コメント 14

Orfeo

keyakiさん、こんにちは。
今日はあちこちでこの《イドメネオ》に関する記事に遭遇します^^;;
一様に、みなさん、どうしても途中で眠たくなるオペラのようですねえ。
それにしても、なんだか、このままワーグナーでもやったら?というキャスティング。
勿体無い?(笑)
グラインドボーンの記事でTBを送らせていただきました。
by Orfeo (2006-10-26 18:01) 

euridice

>退屈じゃないアリアはこれだけ、、
だわ^^;

このちょっと前のイドメネオのアリアも好きですけど。
by euridice (2006-10-26 22:43) 

2月のウィーンは、ウィリー・デッカー(途中降板という形でしたが)だったので、演出に限れば、今回よりは退屈しなかったです。大きな階段を用いた舞台で、視覚的にも意外な要素が多くて、なかなか面白かったです。ちなみにそのときはエレットラをフリットーリが歌い、迫力満点でした。
by (2006-10-27 02:03) 

keyaki

フリットーリのエレットラ、いいですね。
たまたま、ほんのちょっと試聴は彼女です。

ウィーンのイドメネオはシコフだったんですよね。
イドメネオって、テノールにはめずらしく父親役ですけど、年齢的にはふさわしいでしょうけど、ちょっと想像できないです。
今晩というか早朝放送のスカラ座のイドメネオも私にはフェントンなんで、えぇ、彼がイドメネオなのぉーーーです。
by keyaki (2006-10-27 08:53) 

tsukune☆彡

久しぶりにお目にかかれて良かったです。(*^_^*)
女声3人がとても素晴らしいくて、すっかり感動してしまいました。
劇場で聴いていて、イドメネオってなんだか歌合戦オペラみたいだな~なんて考えていました。
私が普段落ちやすいところでも、彼女たちのお陰で最後まで集中力を途切らさずに聴き続けることができました。
ただ、ちょっとイマイチかな...という人のパートになると急に眠ったりもしましたが...^^;

それにしても、幕間にお話した時のkeyakiさんの「歩くデータベース」ぶりに一番ビックリさせられました。(@_@;)
さすがですっ!
by tsukune☆彡 (2006-10-27 09:33) 

keyaki

tsukune☆彡さん、
幕間で、お知り合いにばったり会うのも観劇の楽しみのひとつですね。
こういうアリアが一人につき2、3曲あるオペラは、何回も聴くと良さが分かってくるんでしょうね。

>「歩くデータベース」
私のは偏り過ぎなんで、自慢にならないです。
あんまり細かいことを言うと、嫌われるみたいです。(笑
by keyaki (2006-10-27 15:21) 

keyakiさん、こんばんは!

久しぶりにお会いできて嬉しゅうございました。
TBありがとうございます。こちらからもTBさせていただきました。
10月28日(土)ということは今夜ですね。録画してみます。

上演中は歌舞伎時代物狂言とこの演出の相似点などを
つらつら考えながら観ていて全然退屈しませんでした。
でも隣の初オペラ観劇というおじさんは爆睡していましたし、
序曲の間、前のめりになって視線を遮っていた青年は、
本編が始まると電車での居眠り状態になって隣のお嬢さん
の肩に頭をのせていて、第2幕以降は消えてしまいました。
by (2006-10-27 22:41) 

いやあ、シコフのイドメネオは、なんともコメントしようがないですが、とにかく「違う人いないのかー!」という思いでした(笑)。
by (2006-10-28 01:05) 

keyaki

ハンナさん、TBありがとうございます。
舞台は、あの朱色っぽい柱 とかクノッソスの宮殿をけっこう忠実に現しているようですね。
モーツァルトの音楽は心地いいですから、眠気を誘いますね。
by keyaki (2006-10-28 10:42) 

keyaki

gonさん、タイトルロールですから、テノールとしては歌いたい役なんでしょうかねぇ。
スカラ座のは、数分ちらっと見ましたが、イドメネオのDavislim、やっぱり見た目が若い、現代風でノーメイクみたいで、ちょっとジョニー・デップに似てました。私はビデオでファルスタッフのフェントンとかチューリッヒのルルの画家?で見てますけど、この歌手さん、軽いものしか歌わないようなんで、新国のトレレーヴェンは全然違うんでしょうね。
このスカラ座の公演は、指揮者をはじめ、ほとんどがスカラ座デビューだったようですね。
by keyaki (2006-10-28 11:07) 

nohohon

なんで・・・・・・・・・・・・

視聴にエレットラのアリアですか???
by nohohon (2006-10-29 13:36) 

keyaki

>なんで・・・・・・・・・・・・
nohohonさんがお好きなのはどのアリアですか。
by keyaki (2006-10-29 13:46) 

Cypress

こんばんは。
エレットラの例のアリアはNHKの芸術劇場で放送されたザルツブルグの
ハーディング指揮のガラでも最後にネトレプコが歌ってましたね。
TBさせて頂きました。
by Cypress (2006-11-02 00:49) 

keyaki

Cypressさん、TBありがとうございます。私ももう一度やってみましたらうまくTBできました。
ネトレプコのも試聴であったのですが、やっぱりフリットリかな、、、なんて、スカラ座のエレットラも大迫力でした。
by keyaki (2006-11-02 15:31) 

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