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バス歌手のパオロ・モンタルソロ逝く [RRと男声歌手]

"ブッフォ"の分野でお馴染みのバス歌手パオロ・モンタルソロ Paolo Montarsolo が8月31日に亡くなったそうです。享年81歳、ご冥福をお祈りします。 

 1925年3月16日、イタリアのポルティチで生まれる。大学を中退して、音楽の道に進む。ナポリでE. コンティとB.ヴィンジャーニに師事し、スカラ座の研修所でも学ぶ。1700年代のナポリ・オペラを上演することで有名な"Cadetti della Scala"にも属し、"cantante-attore"の才能に注目される。1954年スカラ座で、ソリストとして正式にデビューし、以来スカラ座を中心に世界的に活躍。バロックから現代まで幅広いレパートリー、182ともいわれている、をもつが特にロッシーニとモーツァルトの"ブッフォ"の諸役に欠くことのできない貴重なバスであった。12のオペラの演出を手がけ、演出家としても成功をおさめた。亡くなる数ヶ月前まで、後進の育成にあたっていた。録音も多く、ポネル演出の フィルム《セビリアの理髪師》《フィガロの結婚》《チェネレントラ》 にも出演、私達にも馴染み深い歌手である。兄のフランコ・カラブレーゼ(1923.07.20-1992.11.13)も著名な歌手(Bs)だった。
最後の舞台は1996年ワシントンでの《コジ・ファン・トゥッテ》のドン・アルフォンソだったようです。ということは71歳.......と思ったら、1997年5月グラインドボーンで、プッチーニの《マノン・レスコー》のジェロント(写真左上)が最後の舞台のようです。ということは72歳.......

 さて、ライモンディとは、声域も同じで、役柄が重なりますので、共演はあるのか、ということになりますが、私が把握しているものでは、《ドン・ジョヴァンニ》と《フィガロの結婚》で共演しています。
ライモンディは、1967年26歳で最初の《ドン・ジョヴァンニ》をフェニーチェで歌っています。そこに、当時エジンバラ音楽祭の責任者だったピーター・ダイアマンドが観に来ていて、ライモンディの舞台に大いに感銘を受け、グラインドボーン音楽祭に推薦したのです。そして、1969年グラインドボーン音楽祭に招かれ、そこでモンタルソロと共演しています。レポレッロが、モンタルソロリチャード・ヴァン・アランとダブルキャストでした。1987年ザルツブルグ夏の音楽祭でも共演しました(下記キャスト)。また、スカラ座の1976ー1977シーズンのトーマス・シッパース指揮《セビリアの理髪師》では、ドン・バジリオが、ライモンディとモンタルソロのダブルキャストでした。

1969年グラインドボーン音楽祭
《ドン・ジョヴァンニ》

6/29,7/2,5,9,11,13,15,
17,19,22,24,27,29,8/1,3
ロンドンフィルハーモニー管弦楽団
指揮: Reinhard Peters
演出: Franco Enriquez
舞台衣装: Emanuele Luzzati
照明 : Francis Reid

レポレッロ: Paolo Montarsolo
(7/2,8/1,3 Richard Van Allan )
ドンナ・アンナ :Phyllis Curtin
ドン・ジョヴァンニ :Ruggero Raimondi
騎士長: Marius Rintzler
ドン・オッターヴィオ: Wieslaw Ochman
ドンナ・エルヴィラ :Irmgard Stadler
ゼルリーナ: Sheila Armstrong
マゼット : Leonardo Monreale

8/5、ロイヤル・アルバートホールで演奏
1987年ザルツブルグ夏の音楽祭
《フィガロの結婚》

7/31, 8/3,7,11,14,18,21,24
指揮:James Levine
演出舞台衣裳:Jean-Pierre Ponnelle

アルマヴィーヴァ伯爵:James Morris
伯爵夫人:Lella Cuberli
スザンナ:Marie McLaughlin
フィガロ:Ruggero Raimondi
ケルビーノ:Frederica von Stade
マルチェッリーナ:Jane Berbié
バルトロ:Kurt Moll (7/31.8/3.-11)
    Paolo Montarsolo (8/14- 24)
バジリオ:Michel Sénéchal
クルツィオ:Florindo Andreolli
バルバリーナ:Dawn Upshaw
アントニオ:Federico Daviá

ウィーン国立歌劇場合唱団
ウィーンフィルハーモニー管弦楽団 









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コメント 14

Orfeo

また一人、得難い歌手が逝ってしまいましたね。好きだったなあ、モンタルソロ・・・。

ウチで出した、彼が出演しているオペラ・レヴューをTBさせていただきました。それを見ればお分かりのとおり、97年のグラインドボーン音楽祭に出演していますね。合掌・・・
by Orfeo (2006-09-15 17:11) 

keyaki

Orfeo さん、ありがとうございます。
さっそく直します。
しかし、ジェロントって、誰だ!
おぉ、マノンのパトロンのおいぼれ爺さんですね。
最後の舞台は72歳ですか.....

こちらからもTBさせて頂きました。合掌
by keyaki (2006-09-15 19:07) 

たか

orfeoさんのところにも書いた87年のザルツのフィガロで共演していますね。RRがフィガロ、モンタルソロがバルトロです(この年はモルとダブルです。多分指揮者がレバインだからでしょう)。
ベームの映画のせいもあって私はモンタルソロというとバルトロが浮かびます。それとロッシーニですね。セビリアの方のバルトロとチェレネントラのドンマニフィコ、やはり映画になっていると印象に残るということでしょうか。
ご年配のファンの方にはNHKイタリアオペラの愛の妙薬でタリアビーニと一緒に来日したことの方が印象深いかもしれません。この時の映像はDVDになってますね。
http://www.nhk-ep.com/view/10746.html
by たか (2006-09-15 21:38) 

TARO

そうでしたか、モンタルソロが。
1997年まで歌っていたなんて、それも驚きですね。

残念ながら私は生では聴いた事がありません。81年のアバドとスカラ座の「セビリャの理髪師」で来るのかと思ったら、ドン・バジーリオはまったく知らない歌手。モンタルソロじゃないのかと(当初は)ガッカリした覚えがあります。でもその知らない歌手は素晴らしい歌声で、衝撃の日本デビューを果たしたんですが(フェルッチョ・フルラネット)。

ご冥福をお祈りいたします。
by TARO (2006-09-15 22:24) 

keyaki

たかさん、見つけて下さってありがとうございます。
さっそく追加しました。

時代的にちょっと昔なのにポネルの映画版があるので、ドン・バジリオとかドン・マニフィコといえば、モンタルソロのイメージがありますね。
by keyaki (2006-09-16 00:06) 

keyaki

TAROさん、
フルラネットは、それだけ歌いに来たんですか?

>1997年まで歌っていたなんて、それも驚きですね。
ブルゾンが70歳ですけど、80歳くらいまでいきそうなかんじですね。
確か、シエピは、最後の舞台は75歳じゃなかったですか?
by keyaki (2006-09-16 00:27) 

たか

>keyakiさん

いえいえ。もともとkeyakiさんが教えて下さったサイトです。
この時は伯爵じゃなくてフィガロだったのですね。
写真も出てますが、何か少し違うような気もします(^^;
でも聴いてみたい.....
http://www.salzburgfestival.at/spielplan_werk.php?lang=1&id=1493&sommerflag=0
by たか (2006-09-16 00:29) 

たか

>TAROさん
スカラ座のセビリアご覧になられているのですか。それはうらやましい。
私はテレビで見ました。ポネルの演出は基本的に映画と似ていましたが、舞台版は回り舞台形式になっていてすごく小気味良い感じでしたね。確かヌッチもこの時が初来日だったと思います。
by たか (2006-09-16 00:35) 

keyaki

たかさん
声域的には、ライモンディはフィガロなんですよ。ですから、25歳からフィガロを歌っています。
でも、尊敬する演出家のレンネルトに、「伯爵を歌うべきだ」と提案されたんですけど、その後レンネルトは亡くなって実現しなかったんです。でも、ずーっと伯爵を狙っていて、やっと10年後の1983年にジュネーヴ大劇場で歌ことができたんです。で、もうフィガロは歌わないと宣言したんですけど、恐らく契約の関係だとおもいますが、1985年にメトで歌って、1987年のザルツブルグが最後のフィガロなんです。ですから、一時期、伯爵とフィガロを歌っている時期が3年くらいあります。
私も、ライモンディといえば、伯爵のイメージでしたので、最初はえぇ、、でした。

>写真も出てますが、何か少し違うような気もします(^^;
でも聴いてみたい.....
そう、役者ですから、歩き方からして全然違いますよ。あんな立派な方が、ちゃんとフィガロになってますよね。(笑
こちらにメトのビデオクリップがありますから、お時間のある時にどうぞ聴いて下さい。
http://www.geocities.jp/cantante_espressiva/figarolibretto1.html
http://www.geocities.jp/cantante_espressiva/figarolibretto4.html
キャストはこちらです。
http://www.geocities.jp/cantante_espressiva/figaromet.html
by keyaki (2006-09-16 01:11) 

euridice

ポネル演出の映画版チェネレントラの男爵役が姉娘二人と共に好きです。やはりポネルの映画「セビリアの理髪師」と「フィガロの結婚」のドン・バジリオも一度見たら、忘れられない。最後の舞台だというジェロンテはさすが枯れてそれほど印象的ではなかったようで、記憶にありませんでした。
by euridice (2006-09-16 07:08) 

たか

>keyakiさん
本当はフィガロの方がバスバリですからね。ありがとうございます。見てみます。
ちなみに81年のフルラネットはクライバーのオテロとボエームには出ていないので他に出たとすれば確かシモンボッカネグラのパオロじゃないかと思うのですが、この時のカセットが出てこなくて......
それとすでにトラックバックされていますがモンタルソロではポネルのコジの映画のアルフォンゾも忘れられませんね。これはポネルの最後の作品でもあります。最近輸入盤でドキュメンタリー付きの2枚組DVDで復活しました。国内盤も出してほしいものです。
by たか (2006-09-16 11:10) 

Orfeo

ポネルの映画版《チェネレントラ》の記事を出しましたので、TBの追加をさせていただきました。よしなに・・・
by Orfeo (2006-09-16 17:24) 

TARO

keyakiさん、たかさん

フルラネットとヌッチはこの時が初来日で、二人ともあまりにも素晴らしかったので、一気に日本のオペラ・ファンに認知されましたね。ただこの時の印象が圧倒的過ぎたのか、ヌッチはずいぶん長いこと「ロッシーニは良いんだけど、ヴェルディを歌うにはちょっと声が軽いよね」と、フルラネットも「ヴェルディというよりはロッシーニかモーツァルトの声だよね」とか言われ続けたような気がします。

「シモン」のパオロはフェリーチェ・スキアーヴィが歌いました。
by TARO (2006-09-17 02:06) 

たか

>ヴェルディを歌うにはちょっと声が軽い

実は私もこの時点のヌッチは結構軽い声だった印象があります。ヴェルディなどを歌える声になったのは80年代後半ぐらいだったのではないでしょうか?

>「シモン」のパオロ
そうでしたか。ありがとうございました。
by たか (2006-09-17 12:57) 

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