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エスカミーリョ;舞台《カルメン》その2 [カルメン]

F.ロージ監督 OPERA-FILM《カルメン》その3と同じシーン、舞台だとこんなかんじ、画質がそうとう悲惨ですが。

ミラノ・スカラ座《カルメン》2幕"闘牛士の歌"
1984年ミラノ・スカラ座の開幕公演は《カルメン》、アバド指揮、ファジョーニ演出、シャーリー・ヴァーレット、ドミンゴ、ライモンディ、1980年パリと同じ演出ですが、舞台と衣裳にちょっとお金がかかってます。なにしろ開幕公演ですから。
※《カルメン》エスカミーリョの記録1980〜1988

1984年、映画撮影後ウィーンでエスカミーリョ
  1984年1月18日、ライモンディはウィーンでエスカミーリョを歌った。ウィーンというところは、周知のように、時計が何だか別の進み方をしている。そこでは、芸術家が愛されるか、嫌われるか、あるいは、無視されるかは、他の場所とはかなり違う。これはすでにモーツァルトの時代からそうで、ウィーンの状況を知る人は、繰り返し同じことを証言している。つまり、残念ながら、だれでもある程度そういう傾向はあるものだとしても・・  あそこでは殊更に一風変わった尺度で過去が美化されているのだ。その上、ウィーンが公演をする際、特定の役は、ミュンヘンと張り合っているみたいだ。

  ライモンディは事もあろうにミュンヘンで最大の成功をおさめたばかりだった。それに、どんな理由にしろというか、理由などというものはいつだってわからないのだが、1970年代には、ウィーンではちょっとしか歌わなかった。こういうわけで、当面、彼は無視され、パリでのあの凄い歴史的な瞬間を繰り返すことはできなかった。マスコミの反応は様々だった。節度のある批評から、個人攻撃まで、あらゆるものを目にすることができた。オペラ公演の抜粋が放映される「クラシックはお好き?」というウィーンのテレビ番組は、1984年2月11日の放送で、次のように言っていた。
  どのカルメンの公演でも、良いエスカミーリョを見つけるのは実に難しいことです。このドン・ホセの敵役はやりがいがないのに、ものすごく難しい役で、第二次世界大戦以来、ここ十年、ここウィーン国立歌劇場でも、他のどこかでも、実際のところ、良いエスカミーリョは三人しか思い出せません。すなわち、ジョージ・ロンドン、ワルター・ベリー、エットーレ・バスティアニーニです。それでは、闘牛の場面をバレーに変更した、短い抜粋をご覧ください. .  . .
  どうやら「ウィーンにおける優れた芸術家の酷い体験の数々」というテーマについてより深く見当することが重要らしい。モーツァルトは正しく判断されなかったし、フィッシャー・ディースカウは、あそこで何も得ることができなかった。ライモンディの場合も判で押したように同じだ。ウィーン人のお気に入りになるのは、いつでも、そして、この人の場合は特に難しい。つまり、打ち解けようとしない無愛想な目つきで街を闊歩していたり、時々、人にぶつかりそうになっても、はじめてその人に気がついたようにみえたりする、ライモンディのような人にとってはなおさらに難しい。それでも、彼自身の言葉「すばらしい観客」のおかげで、二番目とその後に続いた公演で、熱狂的な賞賛を得た。

  こういうことはさておき、とにもかくにも1984年12月7日とそれに続く公演で、エスカミーリョを、しかもアバドの指揮、ファジョーニの演出で再び歌った。(上のビデオクリップ) このエスカミーリョは、大成功ながら、不愉快なこともたくさんあった。この時は別の諸々の状況もあって、全出演者の仕事を困難にしていた。つまり、ミラノのスカラ座のシーズン開幕公演は、学生や失業者に、度々利用されて、劇場の前で、困窮反対デモが行われる。それにもかかわらず、公演は予定通り始まった。相当数の観客にとって受け入れ難いビセーの台詞入りの原典版が使われていた。ライモンディはこの時も、あの「パリ」を完全に再現することができなかったが、ともかく受け入れられた。

  彼はこの役をもう歌いたくないといううわさが広がった。1985年3月23日に、いわば、公式に、すなわち、彼の口から、「カルメンの映画のあと、マゼールが国立劇場でエスカミーリョを歌わないかと誘ってくれたし、スカラ座でもこの役を歌ったことがあります。しかし、その後、この役は二度と再び歌わないと言いました。理由は、この役はほんとうに何も得るところがないからです・・・」という言葉を聞くことになった。しかし、こういう発言は必ずしもなにか絶対的な意味があるというものでもない。
イルミニア・マリア・アンケンブランド著"ルッジェーロ・ライモンディ仮面の人
■ついでの話:
アンケンブランドさんの言う通り、その後1988年にウィーンで再び歌った。アバドの依頼は断れなかったようだ。また、2004年9月にスペインのセビリアの街での『北京紫禁城のトゥーランドット』と同様の企画に、ライモンディ自身、躊躇していたようであるが、出演する契約を結んだ。しかし、運良くと言っては不謹慎だが、主催者兼指揮者のマゼールが白内障の手術のためイベント自体が無期延期においこまれ中止になった。いくらなんでも60過ぎの闘牛士はいかがなものかと思っていたので、正直なところほっとした。


関連記事:
2006-07-08 F.ロージ監督 OPERA-FILM《カルメン》その1
2006-07-09 F.ロージ監督 OPERA-FILM《カルメン》その2
2006-07-10 F.ロージ監督 OPERA-FILM《カルメン》その3
2006-07-11 エスカミーリョ;舞台《カルメン》その1
参考:
映画「カルメン」キャスト詳細

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コメント 5

ヴァラリン

うっわー、派手派手ですねf(^^;
我が家のクイズでkeyakiさんが「舞台では、かなり気合いを入れてオペラらしく歌ってます」って仰ってましたけど、ホントですね。
RRさんの音色の明るいお声だと、この役の輝かしさが際立つような気がします。
by ヴァラリン (2006-07-13 17:05) 

keyaki

>うっわー、派手派手ですねf(^^;
って、エスカミーリョの衣裳のことですよね。そう、パリよりお高い衣裳のようです。(笑
それに、モミアゲって言うんですか、派手につけてますよね。
by keyaki (2006-07-13 17:19) 

確かにモミアゲすごいですね。コジのDVD(ハーディングのやつ)をみたばかりなので、やけにライモンディが若くみえます(笑)。
by (2006-07-13 22:26) 

keyaki

gon さん、そりゃ若いですよ。40そこそこですから。
コジは、まあ、そのままでも十分老けているのに、一応老けメイクしてますので、素顔の方が若いです、なんて意味分かりますか。(笑
by keyaki (2006-07-13 23:16) 

もちろん分りますよ~(笑)。わりとしっかりと「老けメイク」ですよね。ちなみにボニーも年とりましたね。
by (2006-07-14 07:11) 

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