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新国立劇場《運命の力》2006.3.30 [オペラ生舞台鑑賞記録]

《運命の力》、あまり上演されない演目だとおもいますが、"ヴェルディの中期から後期の様式に移る過渡的な作品として、みのがせないものとなっている"ということです。嬉しいことに新国で《運命の力》を見ることができました。
最終日ですが、なんと午後2時開演という主婦と定年退職者対象と思える様な時間帯ですが、一階に関してはほぼ満席で、けっこう盛り上がってました。やっぱり観客が多くないと楽しくないですよね。
エミリオ・サージの演出は、1930年代に置き換えていましたが、奇をてらった「読み替え」演出というのではなく穏当なもので、舞台は簡素な装置と絵画でいろいろな事を象徴的に現していました。ひとつ分からなかったのは、白いブラウスに黒いスカートの女性達が白いフラフープのようなものを持って、踊った?体操した?場面です。(3幕最後)
私の勝手な気侭な一口コメント:
レオノーラ(アンナ・シャファジンスカヤ) とアルヴァーロ(ロバート・ディーン・スミス)は、見た目も写真のようになかなかお似合いのカップルでよかったです。歌もパワー全開で、両者とも気持ちよく聞かせてくれました。ロバート・ディーン・スミスが、かなりよかったです。
▼兄のドン・カルロ(クリストファー・ロバートソン) は、体格が良すぎるので存在感はありますが、その割に声が、オケにかき消される部分があったなぁ。
プレツィオジッラ(坂本 朱)は、 声がとばないというのか、こもってるっていうのか、聞いていて疲れるんです。私の体調のせいかもしれませんけど。
▼私はもちろんグアルディアーノ神父(ユルキ・コルホーネン)に注目でしたが、バッソ・カンタンテではなくて残念、なにしろライモンディのあの朗々と歌うバッソ・カンタンテに慣れているもんで、、、あ、でもそれなりによかったっすよ。
メリトーネ(晴 雅彦) って、こんなに目立つ役だったの?というくらい目立ってました。なぜかって、完璧オカマ演技なんですよ。演出家の指示かしら? 目立っていたせいか、歌もなかなかよかったです。
アルヴァーロが死なない改訂版の上演でしたので、最後は、ちょっと感激モードでした。レオノーラは神に召され、舞台の真ん中で後ろ向きに立ったアルヴァーロが天に向かって両手を大きく広げ、そこに天から雪がハラハラ、、、客席も最後のオケの音が消えるまで静寂を保ってました。フライング拍手無し!新国の観客はえらいゾ!
今回は、(私の)体調が最悪で、どうなることかと思いましたが、なんとか楽しんできました。体調のいい時に見たかった! 席は、一階の舞台に近すぎず遠すぎで、井上道義氏の力の入った指揮の様子もよく見えました。


追記)今回の公演はアルヴァーロとカルロの決闘の場面が完璧カットでした。体調が悪かったので、てっきり見落としたのかと思ってました。映像でも三種類あります。
決闘の場面は完璧カット、最後にアルヴァーロだけ生き残る
映像:ナポリサンカルロ公演:テバルディ、コレッリ、バスティアニーニ
決闘をするが、兵隊達に引き離され、二人とも無傷で分かれ、アルヴァーロは僧院で隠遁生活をすることを決意する、最後にアルヴァーロだけ生き残る
映像:NYメト公演:("ラタプラン"戦争讃歌の後、決闘の場面)L.プライス、ジャコミーニ、ヌッチ
   ミラノ・スカラ座公演:(決闘の場面の後"ラタプラン"戦争讃歌)クーラ、ヌッチ

決闘の末、アルヴァーロは、カルロが完璧に死んだと思い込む、自責の念に駆られ僧院で隠遁生活をすることを決意する、ところがどっこいカルロは生きていた、最後にアルヴァーロは、神を呪って崖から投身自殺(初演版)
映像:マリンスキー劇場公演、ゲルギエフ指揮


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コメント 9

retina

tbありがとうございます。こちらもtbしました。
同じ会場にいらしたのですね・・カーテンコールでミッチーがノリノリだったのが印象的でした。
by retina (2006-03-31 11:42) 

keyaki

>ミッチーがノリノリ
ほんと、ご機嫌でしたね! しかし、合唱団の足に根っこがはえているのではないかと思いました。合唱団って、合唱指揮者の指示にしか従わないのかしら??
上の階はどうだったのかわかりませんが、1階に関してはいつもあのくらい盛況だといいですね。
TB返しありがとうございます。
by keyaki (2006-03-31 14:16) 

おさむ

コルホーネン・・いかにもバスっちゅう感じの名と顔ですね。グアルディアーノ神父は重いバッソプロフォンドもあう役ですからね 運力じたい重量級の歌手のイメージがありますね 新国に出てたバッソカンタンテだと・・Rスカンディウッディがフィリッポ二世を歌いましたが彼も重くて化け物みたいな響きをしていますね(僕的にはすきです)。晴さんは仕事でご一緒する時があります 普段もとても楽しい人ですよ keyakiさんの察するとうりオカマちゃんです オペラに対して真剣で立派な方ですよ
  
by おさむ (2006-03-31 14:42) 

euridice

私も勝手な感想を・・
>兄のドン・カルロ
どう見てもそう思えなかった・・ はっきり言って「ド大根」だわね^^;

>プレツィオジッラ
同感・・どうしちゃったの??って感じかしら・・
けっこう出番が多いから、全体に影響大ですね。

>アルヴァーロ
ジークムントより似合ってたと思います・・・今夏バイロイトのトリスタンよりもずっといい声だったわ・・・

>メリトーネ
おもしろかったですね。他の人たちも同じぐらいお芝居上手なら、もっとよかったでしょう・・・せっかくの芸達者が浮いちゃって惜しかったです。

それにしても、時代を変更したせいかどうか知りませんが、ドン・アルヴァーロvsドン・カルロの果たし合いが、小さな折りたたみナイフ(よく見えなかった)?!というのは興醒めでした・・・
by euridice (2006-03-31 15:00) 

YUKI

ご無沙汰してました。(^^;)

この舞台、晴 雅彦さんが出演してらっしゃったんですねぇ。(^_^)
この方、私と同じ大学出身で学年が1つ上の先輩だったのですが、かなり目立った感じで印象的でした。(^_^)

運命の力は確かオペラのベースになったものはアルヴァ-ロが投身自殺を遂げてしまうんですよねぇ。
by YUKI (2006-03-31 15:32) 

keyaki

YUKIさん、
ハレさんが先輩、しかも一つ上でしたらかなり良くご存知なんですね。”晴”って、本名なんですか、素敵な苗字ですよね。
やっぱり、学生時代から、片鱗をうかがわせるものがあったんですね。大活躍でしたよ。新国には前にも出演してますが、あまり印象的な役柄ではなかったようです。
初演版は、原作通り全員死んでしまいますね。あ~ぁというかんじでしょうね。カトリックで自殺はまずいんじゃないの、、ということで、しぶしぶ改訂したようですね。
by keyaki (2006-03-31 17:17) 

keyaki

euridice さん
>ドン・アルヴァーロvsドン・カルロの果たし合いが、小さな折りたたみナイフ(よく見えなかった)?!
確かに、私も、こんな小さなナイフじゃ、あの巨大なカルロ兄さんは殺せないゾ!と思いました。やっぱり、チャンバラやってほしいですね。時代考証もへちまもないようなきもしますけどね。(笑
by keyaki (2006-03-31 17:22) 

keyaki

おさむ さん
>コルホーネン・・いかにもバスっちゅう感じの名と顔ですね
いかにも重量級という感じですが、声は意外にそうでもないんですよ。地響きがするような声でも美しい声でもない、なんといいますかブッフォ系のようなかんじの声かなぁ。
私は、別キャストで聴いたのですが、「神々の黄昏」のハーゲンだったようですね。あんまり凄みはないような気がしますけど。

>スカンディウッツィ
こういうのを本当のバスっていうのかしら???

>晴さん
おぉ、そうなんですか。私の『ゲイなオペラ歌手さんのリスト』に追加させていただきまぁす。
でも、あれは演出家の要望か、彼自身の発案を演出家がOKしたということですよね。
by keyaki (2006-03-31 22:49) 

TBありがとうございます。
本当に平日なのによくお客様が入っていましたね。
物語の展開は、歌舞伎を見慣れていると、ああそうか
と納得してしまいますが、違和感を持つ方もいるみたい
ですね。
by (2006-04-04 00:43) 

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