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オペラファンならニヤリ!とする映画(7)《シベリアの理髪師》:フィガロの結婚 [映画:オペラ関連]

シベリアの理髪師1999年ニキータ・ミハルコフ監督《シベリアの理髪師》
実は、なんてふざけた題なんだ、と無視していた映画なんですが、ロシア通の知人に薦められて見てみました。とても楽しめます!
ふざけているのは題名だけでなく、主人公の士官候補生の名前もトルストイ。それにモーツァルトは偉大な作曲家です!と何度も叫んだりします。
モーツァルトの《フィガロの結婚》をよく知っていると数倍楽しめる作品です。 シベリアの理髪師》とは、シベリアの広大な森林を理髪師よろしくチョキチョキチョキと伐採する機械、森林伐採蒸気機関車とでもいいましょうか、発明狂のアメリカの爺さんがその機関車につけた名前です。つまり、シベリアの理髪師号ということです。最後にこの機関車の試運転の様子もありますが、1895年頃に本当にこんなへんちくりんなお化け機関車があったのでしょうか。

時は1885年、士官候補生トルストイは、快活なアメリカ女性ジェーン・・・実は発明狂の爺さんに頼まれて、色仕掛けでロシアの高官を丸め込み援助資金をせしめるために雇われた女だったのですが・・・・に恋をします。
士官学校の校長でもあるラドロフ将軍もジェーンをいたく気に入り、プロポーズ。クライマックスは、士官学校の卒業生の演ずるオペラ《フィガロの結婚》上演中に起こる大騒動。ジェーンに騙されたと勘違いしたトルストイは、怒りと嫉妬で混乱して、観劇中のラドロフ将軍を襲い劇場は大混乱。大公暗殺を計画したということでシベリア送りになってしまうのです。とまあ、悲恋ものなのですが、コメディータッチで、大いに笑わせてくれます。すし詰め状態のシベリア送りの列車のどこに乗っているかわからないトルストイをさがすために、学友達は、フィガロのアリアを歌います。すると列車の中から、トルストイの歌声が、、、
10年後の1895年にジェーンは、トルストイを捜しにシベリアまでやってきますが、、、、このへんは「ひまわり」調ですが、それほど悲愴ではありません。
トルストイの状況から推測するとシベリア送りとはいえ、誰もが無実だと分かっていたのですから、恐らく、将軍や、隊長の尽力で、実際の刑期はずいぶんと短縮されたのではないかと思います。それを知らなかったのはアメリカ人のジェーンだけ、そのへんがロシア的決着のつけかたなのでしょうか。
映画は、20年後の1905年、アメリカの陸軍士官学校に入ったジェーンの息子への、「母の秘密を打ち明けます、、」という手紙での回想形式をとっています。
「何事にもほどほどというものがなく、極端に走ってしまう。それがロシアである」というジェーンの言葉がありますが、「真実を明かすことがすべてを解決すると思っている、それがアメリカ人である」とも言えるのではないかと感じました。
ロシア映画はちょっと、という方にもお勧めです。気楽に楽しめる涙と笑いの感動作です。特にアレクセイ・ペトレンコ演じるラドロフ将軍は、最高に愉快で、ファンになってしまいました。
※右上写真クリック:ニキータ・ミハルコフ監督自身がアレクサンド三世役で颯爽と登場するシーン監督はこれがやりたくてこの映画をつくったのかも、、と思う位かっこいい!その一部です
参考記事:革命前のロシアが好きだというN・ミハルコフ監督インタビュー


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コメント 6

ヴァラリン

わっ、Keyakiさんがロシア映画のご紹介とは!^^
これはもう、題名だけで好奇心が湧いちゃいますね(^^;
(「モスクワの理髪師」だったらもっと…^^;でも舞台は殆どモスクワだそうですね)
早速「日本に帰ったら観たいもの・読みたいものリスト」に加えました(^^!
by ヴァラリン (2006-02-16 06:42) 

euridice

スカパーの某映画チャンネル、放送中・・・です。私も題名だけは公開時から知ってましたけど、あえて見ようという気にならないでいました。多少冗長感はありますけど、おもしろいです。ヴァラリンさん、是非見てみてくださいな。また個人的なことを言っちゃうと、アンドレイがアンドレイに似てるんですわ... 雰囲気的に^^; 若い士官候補生たち、目の保養になります。
by euridice (2006-02-16 08:53) 

keyaki

ロシアに関心のあるヴァラリンさんには、お薦めでぇーーす。
それに《フィガロの結婚》にも詳しいし。
《フィガロの結婚》を知らないでこの映画を見ている人の感想には、あれれ?なのもあったりしますから。
同じ監督さんの「黒い瞳」も、マストロヤンニが主演ですから見ていますし、ロシア映画と特に意識しないで、けっこう見ていると思います。
この映画の題の「シベリア」というのが、広大な森林が広がるだけのなんとなく面白そうじゃない暗いイメージなんですよね。

euridice さん
CS放送中とは、いいタイミングでした。
このアンドレイ・トルストイ役の俳優さんオレグ・メンシコフは、この時すでに39才らしいですけど、若い士官候補生にみえますものね。
>アンドレイがアンドレイに似てるんですわ...
ということは、彼は、ロシア人っぽい顔ということですね。
by keyaki (2006-02-16 10:12) 

alice

私もほんの数日前CS放送で見ました。ロシアのオールロケ・・・って当たり前のようですが、一昔以上前の「ドクトルジバゴ」あたりは違っていましたから、本物のロシアの風景で繰り広げられるドラマというだけで嬉しくなって観ました。

オペラの場面はちょっぴりですが、「フィガロの結婚」で歌った主人公と彼の息子のモーツァルトにこだわる気持ちとが上手く繋がってほろリでした。
革命前のモスクワの貴族社会、若い士官候補生たちの友情などもややドタバタながら良く描かれ、楽しめました。後半のシベリアの風景も恋人たちの別れの背景にふさわしくもの悲しく美しかった。
B級おススメ映画です。
by alice (2006-02-16 16:15) 

keyaki

alice さんもちょうどご覧になっていたんですね。
>B級おススメ映画です
そうですね、ちょっと2時間40分と長いですが、長編文芸大作というわけでもなく、パロディーっぽさもありですものね。

>「ドクトルジバゴ」
オマー・シャリフが素敵でした。「ラーラのテーマ」で使われたバラライカが流行ったりしましたよね。
by keyaki (2006-02-17 02:40) 

euridice

>>「ドクトルジバゴ」
これはいわゆる「文芸大作」なんでしょうけど、なんとなくうそっぽさを感じました。期待して見たこともあって、がっかりの映画でした。オマー・シャリフはオマー・シャリフとしてはもちろん素敵なんですけど、違和感がぬぐえないというか。(ロシア人の役ですよね?)共演の有名女優さんたちも同様。当たり前と言えば当たり前なんでしょうけど、みんな英語しゃべってるし。
by euridice (2006-02-17 09:11) 

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