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エピソード:声楽授業(10) vocalizzo の重要性 [ L.Magiera著:RR]

R・ライモンディの声楽の勉強のエピソードで、度々出てくる"母音唱法=vocalizzo"について、レオーネ・マジエラ氏が、著書「ルッジェーロ・ライモンディ」の中で触れていますので、ちょっとご紹介します。

"vocalizzo "の重要性
ある人達は、"vocalizzo"が、本当に重要であるかどうかを質問してきます。
実際に、音楽作品(ロッシーニの作品の中にたくさんあるアジリタ)の中に存在している、バラバラで細分化された一節は、伝統的な"vocalizzi"、つまり実際に、ちょっと退屈で反復的な"vocalizzi"と取り替えることができるかもしれません。
けれども、この仕事をするための訓練と理解力をちょっと持ってからは、まさに、すべての音色(トーン)で、繰り返す定型表現は、声楽家の訓練において、無視できない重要性を持ちます。
私(=マジエラ)の本のシリーズの1巻と2巻(パヴァロッティとフレーニの本で)で、たくさんの例を載せましたので興味のある方は参照するとよいでしょう。
ピエル・ヴェナンツィのこの"Elena,Elena,Eleonara"を、私の生徒達には歌わせたことはありません。事実上、これは、5度(1.3.5)の反復の簡単なアルペジオです。もし、ヴェナンツィライモンディ"Elena,Elena,Eleonara"の奇跡的な効果を試してみたい人は、自由に試してみて下さい。(楽譜は8月18日の記事参照)
後に、ルッジェーロは、ボローニャ音楽院で私と勉強することになりますが、その時に、彼はその"vocalizzo"ついて話しませんでしたし、それを実行していませんでした。ルッジェーロがローマ時代に得た恩恵は、恐らく、ギバウドぺディコーニと共に、非常に優れた体系的な"vocalizzo"を獲得したことです。
"vocalizzo"は、特別な表現力あるいは発声法の問題を別として、もっぱらテクニック上の音合わせを実行する人に有効です。別のところから、この勉強方法"vocalizzi"の世話にならない少数派の歌手がいるという興味深い情報を得ています。何年も前にジュリエッタ・シミオナートは、少なくとも公演の前に、彼女の仲間達が全員がしているように、"vocalizzo"を歌うことは、必要ではないと私に言いました。それでも、ローランド・パネライまたはルイジ・アルバなどのアーティストは"vocalizzi"の必要性を非常に感じているだろうことを私は確信しています。また、フィオレンツァ・コッソットが、"vocalizzo"の代わりに楽屋で、フルヴォイスでオペラそのものを歌いながら声を暖める習慣があることを思い出します。
それぞれの歌手は、それぞれのケースを理解、解釈するように彼等自身で一つの世界です。心と体で作られた声の楽器は、他の機械的な楽器と同様に、異なったオリジナリティーを示すのです。
(ほとんど日本語になってないので、頭が混乱したのではないかと思いますが、読んで頂いてありがとうございます)

参考:東敦子著「Belcanto Vocalizzi」
東敦子が、1961年にパルマ音楽院に留学した時に、本場イタリアでは、どのような勉強をしているのかを紹介したもので、内容は、ほとんどがVocalizziの譜例です。
音楽院での40分のレッスンは、ほとんどが、Vocalizziと呼吸法で、最後の5分で、やっと「夢遊病の女」のアリアの一節を歌う。3年間は、Vocalizziと古典イタリア歌曲と、室内オペラのアリアを並行して学んでいき、オペラのアリアをやらせてもらえるのは、4年目位からだということです。
「ベルカントの国、イタリアでは、歴史的にも優れた声楽の教育が行われてきたのです。それは、”自然”ということが何にも増して大切だという考えに根ざしています。つまり、それは、"声を作らない"ということ、・・・自然の呼吸に基づく、発声法の永いトレーニングによって得られた"自然"なのです。・・・・どんな時でも、歌う前に必ずVocalizziをさせられます。それは、体育の時間のウォーミングアップと同じで、ピアノでいえば指の練習の「ハノン」にあたるのかもしれません。こうした声への思いやりが、永く歌を歌い続ける秘訣といえましょう。」と書かれています。

◇ジュリエッタ・シミオナート:Julietta Simionato 1910.05.12- [イタリア] メゾ
◇フィオレンツァ・コッソット:Fiorenza Cossotto 1935.04.22- [イタリア]メゾ
◇東 敦子:1936.12.11-1999.12.25 ソプラノ


ついでの話:95才!シミオナートさんの近況
ヴェネツイアに「マリア・カラスの橋」ができたとかで、2005年7月19日の式典に出席の様子の写真が見られます。
http://www.callas.it/news/giulietta.simionato.html
http://www.callas.it/news/ulisse.sartini.html
写真のBruno Tosiは、どういう経歴の方でしょうか?
私が知っている肩書きは、「マリア・カラス文化協会会長」と"Una vita nella musica"賞のパトロンなんですけど、、、、


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euridice

声楽のことは全然知りませんけど、ペーター・ホフマンも声楽の個人教授では、相当長い間、「発声練習とヴォカリーゼ」だけで、歌は全然歌わせてもらえなかったと言ってますね・・・

その部分TBします。
by euridice (2005-08-21 00:50) 

なつ

私も声楽は素人なので、vocalizzo全然知らず、伊伊辞典引いても、いまいち???
朗読法?みたいなものだったのでしょうか。「現在は声楽の訓練に使われている」というところだけわかりましたが…。
"la a o la e"とも書いてあるので、これを発声して練習するのかな?
声楽をされている方なら、おわかりになりますよね!

それにしても、シミオナートさんお若い!
by なつ (2005-08-21 22:17) 

keyaki

なつさん、edcさん、私もよくわかりません。
音楽の授業で、最初に発声練習を5分位してましたよね。あのようなもののようです。各音楽院の典型的なものとか、カンポガッリアーニ式とかあるようです。
ルッジェーロ君は、ギバウド先生、ペディコーニ先生、ヴェナンツィ先生が、彼に合ったものを作ってくれていたようですね。

edcさん、ありがとうございます。
by keyaki (2005-08-22 02:06) 

Aki

「楽譜がよめない」で有名なのはパヴァロッティですね。 イタリアのオペラ歌手で「楽譜がよめない」というひとが ちょいちょいいるようですが、要するに、
ソルフェージュができないということのようです。つまり、「初見で歌えない」
ということ。 楽譜をみても暗号のようにしか見えないという訳ではありません。
絶対音感の有無とは別に、簡単な楽譜を初見で音とリズムををとって
歌えるためには、ソルフェージュというその目的のために作られたテキストで
訓練するのですが、専門教育を受けていないと、これができないのでしょうね。
でも、楽譜が読めないのに歌手がつとまるためには、ずば抜けて「いい耳」を
もっていないといけないので、(耳で聴いて覚えるからです)やはり才能が
必要です。 かえって楽譜にばかり頼っていると、譜をみて「おおっ!!次はハイCだ!!」なんて固まってしまって、出る声もでなくなったりします。
全盛期のパヴァちゃんなんてなんの悩みもないみたいに、気持ちよく出してましたもんね。(^^;)
by Aki (2005-08-23 22:52) 

keyaki

>「初見で歌えない」
ああ、なるほど、楽譜が読めないってどういう意味かなぁと思ってました。
フレーニも楽譜が読めないって言われてますけど、二人ともヴェルディのレクイエムとか、楽譜を持って歌ってますものね。楽譜を見て、今どこかわかるわけですから・・・・
「楽譜が読めない」じゃなくて、正しくは「初見で歌えない」ということですね。納得です。
ソルフェージュ苦手な人っていっぱいいますよね。
by keyaki (2005-08-24 02:38) 

Sardanapalus

>「楽譜が読めない」じゃなくて、正しくは「初見で歌えない」
なるほど~~。私も、「楽譜が読めない」歌手の話を聞くたびに疑問がいっぱいだったので、ためになります!そうですよね~、いくらなんでも楽譜の示している音が全く分からないんじゃ、やっていけないですよね~。
by Sardanapalus (2005-08-24 04:45) 

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