SSブログ

訃報:ヴィンチェンツォ・ラ・スコラ Vincenzo La Scola(1958〜2011.4.15)  [訃報]

 イタリア、パレルモ出身のテノール、ヴィンチェンツォ・ラ・スコラが53歳の若さで亡くなりました。ご冥福をお祈りします。(心筋?)梗塞による突然死、マスタークラスのためトルコに滞在中だったそうです。ここ数年オペラの舞台での話題がぜんぜんないな、と思っていましたが、後進の指導にあたっていたんですね。レプッブリカ・パレルモの記事 "Addio a Vincenzo La Scola Il tenore che...." が地元ですから、一番詳しいようです。

 ざっと経歴を調べてみましたが、1983年にパルマで「ドン・パスクアーレ」のエルネスト役でオペラデビュー、2年後には国際的キャリアを開始、ミラノ・スカラ座には、1986年のレスピーギ記念コンサートのソリストとしてデビュー、1988年「愛の妙薬」でオペラデビュー、その後、カプレーティとモンテッキ、椿姫、ルチア、テンダのベアトリーチェ,メフィストフェレ、ナブッコ、ルイザ・ミラー(2001年)に出演。1993年にはボエーム(12公演)でメトデビュー、リゴレット(5)、椿姫(3)、ラストパフォーマンスは2006年のトスカ(7)でした。


 日本にも、オペラ、コンサートで何度も来ていますが、多分最後の来日は、2006年のサントリーホール開館20周年記念コンサート「グレート3テノール・ガラ・コンサート」ではないかと思います。シコフ、サバティーニと共に出演しましたが、3人の中で、一番年配のシコフ(1949-)は、まだまだ現役で活躍中、サバティーニ(1957-)は、指揮者に転向しています。
 このガラコンについては、なつさんがブログで愉快なレポートを掲載されています → THE GREAT 3 TENORS OF SUNTORY HALL 

 「2006年が多分最後」と書きましたが、2008年にも来日していました。2008年7月22日サントリーホールでカヴァラドッシを歌っています。トスカは並河寿美、スカルピアは直野資、東京都交響楽団、指揮はマルコ・ボエーミ。この時に「歌曲とカンツォーネのリサイタル」を各地(確認がとれたのは、横浜と豊田市7/25)で行ったそうです。(4月19日追記)

 さて、ルッジェーロ・ライモンディとは、1994年ボーローニャ歌劇場の "I Lombardi"で共演したのが最初で、その後、ザグレブで一緒にコンサートをしたり、エルナーニ、トスカ、ホフマン物語、2005年「トスカ」での共演が最後でした。

ヴィンチェンツォ・ラ・スコラとルッジェーロ・ライモンディの共演
1994年5月:ボローニャ歌劇場《ロンバルディ》Serra, la Scola, ,Raimond
1995年:ザグレブでコンサート:La Scola, Spotorno,Raimondi (TV放送:上のビデオクリップ)
1995年12月:チューリヒ歌劇場《シモン・ボッカネグラ》Santi,Prokina, Pons, LaScola,Raimondi
1997年8月:ヴェローナ、メータ指揮 Verdi Requiem :Dessi,Lipovsek,La Scola, Raimondi
1997年10月:パリ、アバド指揮 Verdi Requiem :Frittoli, Tarasova, La Scola,Raimondi
1999年1月:チューリヒ歌劇場《エルナーニ》:La Scola, Zancanaro, Karlowska,Raimondi
1999年11月:ボローニャ歌劇場《トスカ》:Gatti,Dessi, la Scola,Raimondi
2004年8月:マチェラータ音楽祭《ホフマン物語》:La Scola, Rancatore, Raimondi (DVD)
2005年4月:チューリヒ歌劇場《トスカ》Santi, Shicoff/La Scola, Fantini, Raimondi

関連記事:
MET ゼッフィレッリ演出《ボエーム》のロドルフォ & ミミ ☆ ゼッフィレッリとグリゴーロ
nice!(0)  コメント(8)  トラックバック(2) 
共通テーマ:音楽

nice! 0

コメント 8

夏

keyakiさん、詳細な情報ありがとうございます。
サントリーホールの3Tenorsの記憶もまだ新しいのに、まだ50代前半だったのに…訃報に接した時は大変驚きました。
2000年代以降は高音が苦しくなってきていたとのことですが、サントリーホールではさすが南イタリア出身だけあって、ナポリ民謡を活き々々と歌っていたのが印象に残っています。2000年にパルマで「シモン・ボッカネグラ」のガブリエーレを聴けたこともよい思い出になりました。
ご冥福をお祈り申し上げます。

by 夏 (2011-04-18 17:39) 

TARO

このザグレブのコンサート面白いですね。
他の2人はチラリチラリと歌詞を確認してる感じなのに、
さすがにテノールはそんな必要ないんですね。

ライモンディとの共演がかなりあるんですね。
94年の「イ・ロンバルディ」とか凄く気になるキャストです。
この一覧でもキャリア後半はプレ・ヴェルディがすっかり消えてるのは、
高音域の問題もあったんでしょうかね。あるいはドラマティックな役を
歌いたいという本人の希望だったのか。

TBありがとうございました。こちらからもTBさせていただきます。
by TARO (2011-04-18 22:07) 

keyaki

夏さん
けっこう映像も残ってますし、一時期は、またスコラか....というくらい活躍してましたね。
オペラではない録音とかの予定もあったようなのに残念なことです。
TBありがとうございます。

by keyaki (2011-04-19 01:52) 

keyaki

TAROさん
ジョイントコンサートの場合、だいたい乾杯の歌とかオーソレミオとかなんで、ライモンディはよくごまかしてますね。
このところテノールに注目していますが、テノールって他の声域よりもいろいろ大変ですね。やっぱり、いろんな役をやってみたいんでしょうね。フローレスもまたマントヴァ公爵を歌うみたいですし.....
ライモンディは、国際的に活躍しているテノールとはほとんど共演しているのではないかと思います。
TBありがとうございます。

by keyaki (2011-04-19 03:35) 

Nanako

ラ・スコラは父が好きだったテノールなのでDVDやVHSで聴いていました。ご冥福をお祈り申し上げます。
後進を指導するためにヴィンチェンツォ・ラ・スコラ・アカデミーを作っていたようです。
かなり不調だったようですが2008年に愛知県豊田市でスコーラのリサイタルがありました。
ttp://blogs.yahoo.co.jp/klahiroto/43752172.html
by Nanako (2011-04-19 06:17) 

keyaki

Nanakoさん
Nanakoさんのテノール好きはお父様ゆずりなんですね。
情報ありがとうございます。さっそく本文に追記しました。2008年にサントリーホールでトスカを歌ったあとリサイタルがあったんですね。プログラムは、オペラのアリアは一曲だけで、歌曲とカンツォーネだったとか.....
テノールは若い時でも、体調がまともに歌に影響するようですから、大変ですね。
by keyaki (2011-04-19 10:14) 

Terumi Noda

keyakiさん

 NHK BSでのRigoletto Live放送の情報を提供したNodaです。
英語圏でのラ・スコーラの追悼記事がなかなか出ないですね!
Opera NewsやNY TimesのHPを毎日チェックしていますがーーー。
今日、辛うじて、マルチェッロ・ジョルダーニ財団のHPが、お悔やみのメッセージを募っているのを見つけた位です。
全盛期を過ぎたとは言え、寂しい限りです!
by Terumi Noda (2011-04-20 16:46) 

keyaki

Nodaさん
コメントありがとうございます。
メトで歌ってますので、Opera Newsにもいずれ追悼記事が掲載されるのではないかと思いますが、オペラからは引退状態でしたから、いいテノールだったことは確かですが、ニュース性がないということでしょうか。
by keyaki (2011-04-21 01:44) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 2

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。