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オールロシアの《ランスへの旅》って....ドン・プロフォンドの"インチキ外国語"比べ [ランスへの旅]

 ロシアのマリインスキー劇場来日公演の4演目の一つがなぜか《ランスへの旅》。この《ランスへの旅》は、シャトレ座とマリインスキー劇場の共同制作のもので、シャトレ座での公演がDVDになっています。私は買ってません。アバドのが発売されないのに、なんでこんなのがととても不満、八つ当たりしたくなります。
 このオペラは、『10人ものイタリアの歌唱様式をマスターした第一級のソリストを集めるのが難しい』ので、なかなか上演されないはずのオペラだったんですが、キャストを見ると、私が、辛うじて知っている名前は、ダニール・シュトーダだけですし、多分全員ロシア人。

第一級のソリスト集合!元祖ランス
マリインスキー厳選?!?ソリスト
 「第二の(未来の)ネトレプコを探せ」「ゲルギエフ厳選選りすぐり若手歌手たち」というのが宣伝文句。つまり、少なくともネトレプコレベルの歌手は出んよ、と言っているようなもんじゃないですか。
ここで、ロシア通の友人から、臨時ニュース! ネトレプコ(36歳)が妊娠。今度は、太ったんじゃなくて本当の妊娠、お相手はなんと、シュロット(35歳)。ネトレプコにはイタリア人バリトン?歌手の恋人がいたはずなんですけど、インタビューでも自分で喋ってました....いずれにしろ36歳でしたら潮時でしょう、おめでとうさんです。公式に発表したようですね。У оперной певицы Анны Нетребко скоро будет ребенок(機械翻訳:In the operatic singer of Anna netrebko there will soon be the child)ヤフーにもニュースが出ました。

 私は、全く興味なしでしたが、ネットを散策すると、なかなかの評判。弥次馬根性で録音を聞いてみました。私が聞いた録音は2006年11月のものですけど、いくらなんでも来日公演はもっとうまくなっているんでしょうね。
 さて、ライモンディお得意の役、ドン・プロフォンドですが、この役は、長いアリアもありますし、6重唱とか14声のコンチェルタートでも目立つパートで、音楽的にも重要な役です。
 "他に類のないメダル Medaglie incomparabili" は、各国からの宿泊客一行の所持品のリストを作りながら、その荷物の持ち主の癖をまねしながら歌う、愉快なアリアです。ちょっと違いますが、『ひょっこりひょうたん島』のドン・ガバチョが操る"インチキ外国語"のようなもんです。別に普通に歌ってもいいんでしょうけど、一度、そういうのを聞いたことがありますが、かなりたいくつ。

♪元祖ライモンディと、マリインスキー厳選バス歌手の"インチキ外国語"のアリアの聞き比べ!
★2006年11月マリインスキー:トゥガン・ソヒエフTugan Sokhiev指揮
 Nikolai Kamensky
マリンスキー、シャトレ座公演のDVDでも同役を歌っている

★1992年8月ペザロ:クラウディオ・アバド指揮
 ルッジェーロ・ライモンディ


参考:
Il Viaggio a Reims 公演記録 1984ー2005
1989年ウィーン国立歌劇場来日公演ニッポンジン!バージョンの音声ファイルあり

関連記事:
《ランスへの旅》14声によるコンチェルタートいろいろ(2)とおまけ
《ランスへの旅》14声によるコンチェルタートいろいろ(1)
突然走る王様《ランスへの旅》アバド指揮
モンテカルロ《ランスへの旅》突撃インタビュー
モンテカルロ《ランスへの旅》14声によるコンチェルタート
ドン・プロフォンド(オペラ、ランスへの旅)☆MP3

特集:《ファルスタッフ》のフェントンのその後シュトーダの略歴と歌も聞けます
l'operaの注目記事(2005.9月号)アーウィン・シュロットのインタビュー


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ふくきち

ロッシーニ好きの私も、マリインスキーの来日公演には行きませんでした。
友人から借りた映像を事前に見たら、みんなヘタだったので…。
(特にドン・プロフォンド役の人)

ドン・プロフォンドのアリア「他に類のないメダル」には、
普通の演技力ではなく、
このアリアでしか役に立たない特別な演技術が要求されますね。
復活蘇演したライモンディは実に見事。
このアリア、大好きです。
by ふくきち (2008-02-05 22:23) 

まあ、宣伝文句が図らずも、という感じですね。パスしました。
ところでネトレプコ。ドン・ジョヴァンニがお相手だった訳ですね。
by (2008-02-05 22:29) 

keyaki

ふくきちさん、
>みんなヘタだったので…。
そう、私もはっきりヘタって書きたかったんです。ほんとヘタ。(笑
もちろん私の聞いた録音についてですけどね。
でも、その後、上手くなってるとも思えません。
だいたい、見た方の感想で、「頑張ってる」とか「一所懸命やってたから良しとする...」なんてのもありましたが、これって、必死に頑張って歌ったことを評価するって、学生ならいいですけど、プロではダメですよね。
by keyaki (2008-02-06 02:46) 

keyaki

gonさん、シュロットとは意外でした。でも、同年齢だし、美男美女だし、両方とも人気者だし、いいカップルですね。
昨年の6月頃にコヴェントガーデンのドン・ジョヴァンニで共演してますから、その頃からのおつきあいなんでしょうね。
ネトレプコは、オーストリア国籍を取っているようですが、ロシアでは、すごく大きく取り上げられているそうです。
by keyaki (2008-02-06 11:10) 

サンフランシスコ

「ネトレプコ(36歳)が妊娠。」

昨日サンフランシスコの新聞にも大きな記事がありました。
by サンフランシスコ (2008-02-07 02:26) 

助六

シャトレの05年12月上演、小生も「コサックダンスのロッシーニねぇ」とか独り言言ってましたが、(バロック以外は有名演目を一歩離れれば客足はガタリと遠のくパリ-まあ欧州はどこでもそうだけど-では)空いてるだろうし、やはり「ランス」もう一度見れるんならと思って出かけました。パリではゲルギエフの指揮だったもんで、「ゲルギエフのロッシーニ」っていう「コワイもの聴きたさ」もありましたしね。

昔アバドの上演見たし、その年もたまたまブリュッセルでロンコーニ演出が再演されてたのにぶつかって見てたんですが、やっぱり楽しい名作ですもんね。

ところが、行く前に知人から「空いてるどこじゃないじゃないの」とか叱られてビックリ、「好評で」いつの間にか2回だったはずの上演が4回に増えてた。平日マチネまで加わって、もちろんゲルギエフは14時半と19時半、「ランス」を一日に2回振るなんざ平気のへいちゃら。

それでピンと来たんですが、行ってみたら案の定、スポンサーの仏銀行クレディ・アグリコルのほぼ買い切り公演になってました。
当時クレディ・リヨネを買収しリテールで大儲けしてたアグリコルが、クリスマス前の家族向け出し物に格好というんで、顧客招待の大盤振る舞いに買い取ったというワケです。
ロビーにはアグリコルのバッジつけた案内係のお姉ちゃんが一杯、仏経団連の会長さんも嬉しそうに姿見せてました。

歌そのもののレヴェルは言わずもがなですが、小生はどうせならと思ってシュトーダが出る日わざわざ選んで言ったんですが、当時レンスキーで大変スタイリッシュな歌唱を聴かせて、ベルカントももしかして結構行けるかもと思わせた彼も残念ながら垂直完全沈没でしたわ。

ゲルギエフは、さすがに金管彷徨、弦圧力で壁が揺れるプロコフィエフみたいなロッシーニは避けてて、彼なりに抑えた「端正な」演奏でした。

パリでの上演はマリインスキーのアカデミーの上演、つまり「上級学生ないし準プロ」の上演という説明でしたが、すでに国際キャリアが始まってたシュトーダも入ってるわけですしねぇ。

ラリーサ・ゲルギエワが指導してるということでしたが、だとしたらこの「名教師」の伊語・様式・レパートリー選択の知識はどんなものか、つい想像してしまうと言うか。

仏各紙の批評も、「アカデミーの出し物なんだから」という姿勢で、「エキゾティックなイタリア語」や「改善さるべき技術的瑕疵」には拘泥せずに、チームワークとしての意欲とそれなりの成果を積極的に評価するというものばかりでした。
「カバリエ、ライモンディー、レイミーと比較するのは不当」とかね。

まあそうなんですが、でもじゃあ何で当時名歌手をズラリと揃えて初演されたこの作品を選んだのかという疑問は残るわけですが。
やはり歌のレヴェルが一定以上でないと、14声のコンチェルタートに限らず音楽の形が出ずにツブレちゃう。

ロッシーニ指揮者として私の尊敬するゼッダ先生も、ペーザロや日本でアカデミーの演目にこれを選んでるみたいだし、教育材料としてはすべての参加者に声楽的・劇的重みのある役を与えられるという便利さがあるということかもしれません。

でも客としてはね・・・。
シャトレでも、この「アカデミー」上演は114-11ユーロと、ヴェルザー=メスト指揮チューリッヒの引越し上演「フィエラブラス」と同じ入場料取ってたんですよね。
by 助六 (2008-02-07 14:14) 

keyaki

サンフランシスコさん、ネトレプコはアメリカでは人気ですものね。
しかし、ネトレプコ側だけ(ですよね?)の発表って....どうなってるんでしょうね。シュロットは、初婚じゃなくて、子供もいるみたい....まあ、35歳なら当然結婚していて、当たり前ですけど、だからでしょうか。
ネトレプコが、ちょっと前に、恋人で〜す、と公表していたモトカレもバリトンで、ドン・ジョヴァンニとか歌ってるんですよね。

健康であれば、お産で休まなければならないのは、長くても3ヶ月なんで、そんなに、舞台に穴をあける必要はないのに、妙に素早い発表でしたね。
by keyaki (2008-02-07 16:12) 

keyaki

助六さん、来シーズンスカラでランスをやるって、噂も出てますね。チョーフィ、マシス、バルチェッローナの名前が挙がっているようです。

>「アカデミー」上演
来日公演は、アカデミーとは言ってませんから、更にお高くて、ユーロに換算すれば、100〜293ユーロってとこです。コストパフォーマンス抜群の公演、歌手は、ほとんど専属で給料のうちでしょうから...ゲルギエフは、ほんと商売上手ですね。
by keyaki (2008-02-07 16:37) 

サンフランシスコ人

サンフランシスコの新聞によると、来シーズンのSan Francisco Operaの公演には、出演予定です。

San Francisco Operaのホームページは、

http://sfopera.com/o/275.asp
by サンフランシスコ人 (2008-02-08 02:46) 

keyaki

サンフランシスコ人さん、やっぱり、赤ちゃんのそばにいたいわ....と、ネトレプコが思わない限りは、大丈夫でしょうが、どこに住むつもりか知りませんが、やっぱり、住んでいるところの近くで....ということになれば、キャンセルでしょうね。乳飲み子をつれて、飛行機には乗りたくないですものね。
by keyaki (2008-02-10 10:13) 

サンフランシスコ人

ネトレプコが2012年メトロポリタン歌劇のアンナ・ボレーナに出演予定です。

by サンフランシスコ人 (2008-03-07 06:55) 

サンフランシスコ人

日曜(4/6)にネトレプコがウィーン国立歌劇場に出演したようです。

http://sfgate.com/cgi-bin/article.cgi?f=/n/a/2008/04/06/international/i173756D29.DTL

by サンフランシスコ人 (2008-04-08 02:49) 

keyaki

サンフランシスコ人さん、そもそも、ネトレプコが、わざわざ早めに公表した理由がまったくわかりません。ネトレプコが医者から安静するように言われてたので、早めに公表したということではないことが、これで明らかになりましたね。本当は、出産直前、または産まれてからの発表が普通でしょう。
その他のソプラノ歌手さんたちは、いつのまにか出産してますからね。
ドゥセイとスチューダーは、たまたまお腹が大きい時の、映像もありますし。

by keyaki (2008-04-08 08:45) 

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