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《ドン・キショット》いろいろ☆★シャリアピン★☆VideoClip [ドン・キショット]

 またまた検索でヒットしたのですが、TAROさんのブログの『ドン・キホーテ~名画と名曲・28』の記事の中で「ドン・キホーテに取材した音楽」が、簡潔にまとめられています。
 マスネの《ドン・キショット》の他にもいろいろありますが、映画『ドン・キホーテ』(監督:ゲオルク・ヴィルヘルム・パープスト、主演:フョードル・シャリアピン、1933年仏)のために、ジャック・イベール(1890-1962)が劇中歌を含む音楽を作曲しています。
★ドン・キホーテの歌 (Chansons de Don Quichotte)
1.旅立ちの歌 Chanson du départ
2.ドゥルシネアに寄せる歌 Chanson à Dulcinée
3.公爵の歌 Chanson du Duc
4.死の歌Chanson de la mort

 上記の4つの歌ですが、私は、マスネのオペラ《ドン・キショット》よりもずっと前にこのイベール作曲の『Don Quichotteの死』を聴いているのですが、これが、シャリアピン主演の映画で歌われているのは、ずいぶん後になって知りました。覚え易く印象に残るメロディーで、シャリアピンによって歌われるのは最後ですが、このメロディーは最初にも使われていますし、途中にもライトモチーフのように現れます。

 フョードル・シャリアピンFyodor Chaliapin(1873.2.13 - 1938.4.12)は、「歌う俳優」とも呼ばれる世界的バス歌手で、マスネの《ドン・キショット》も彼のために作曲されたものです。ルッジェーロ・ライモンディもよく『イタリアのシャリアピン』と呼ばれたりしていますが、彼にとってシャリアピンは尊敬する特別な歌手なのです。
♪写真をクリックすると映画のエンディングのシャリアピンの歌『ドン・キショットの死』と、ライモンディの歌をビデオクリップでお楽しみいただけます。ビデオクリップで、ライモンディが、ドン・キホーテの死について語っていますが、これは、ドン・ジョヴァンニの死についで語った後のおしゃべりです。

 TAROさんの記事にもあるように、もう一つ、シャリアピン主演の映画「ドン・キホーテ」の劇中歌としてラヴェルが作曲した《ドゥルシネア姫に思いを寄せるドン・キホーテ(DonQuichotte à Dulcinée)》がありますが、これは、イベールの曲が採用されて、ボツにされちゃったといういわく付きの歌曲です。
 1932年、ラヴェルにとっては、創作上最後の曲 いわば白鳥の歌となったこの歌曲は、セルバンテスの小説「ドン・キホーテ」によって書かれた、ポール・モランの三つの詩に作曲されています。
★ ロマンティックな歌(Chanson romanesque)
★ 勇士の歌(Chanson épique)
★ 乾杯の歌(Chanson à boire)

 ライモンディも、このラヴェルの歌曲をコンサートで歌っていますが、イベールの「4つの歌」のうち三つはともかくとして、『Don Quichotteの死』のメロディーは耳馴染みがよく映画にはもってこいのような気がします.....ラヴェルとモランが訴訟を起こしたそうですが、もしかしたら3曲しかなかったから採用しなかったとか....もう1曲、『ドン・キショットの死』に関する曲を作ればよかったんじゃないかしら。


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コメント 10

TARO

TB&リンク、ありがとうございました。
ライモンディは両方ともレパートリーにしてたんですね。
ビデオクリップのイベール、素晴らしいです。ボンジョヴァンニあたりでもいいので、正規盤に録音してくれれば良かったのに。

リンク先の記事にも書いたように、ラヴェルが採用されなかった理由については、諸説あって、シャリアピンがラベルを好まなかったという説もあります。でもおっしゃるように好まなかったというよりはむしろ、「ドン・キショットの死」が歌えないのは欲求不満ということだった可能性も大きいかもしれませんね。
by TARO (2007-08-03 02:28) 

euridice

この映画、見たことがあります。最期の歌、心にしみますね・・
by euridice (2007-08-03 07:56) 

keyaki

TAROさん、どこかでラヴェルが訴訟...とか読んだ記憶があって、検索したら、TAROさんのブログでした。オペラファンの輪も狭いですね。(笑

>シャリアピンがラベルを好まなかったという説
ラベルのは、何度も聴けばよさがわかるかもしれませんけど....映画向きとは言えないかもしれませんね。

ライモンディのお母さんが、本は、ルッジェーロにとって属性みたいなもの...と語っていますので、ドン・キショットには共感するところが多いんでしょうね。
by keyaki (2007-08-03 16:10) 

keyaki

euridiceさん
これ、LDでも出てましたし、BSでも数回放送してますので、ご覧になってると思います。
こうして並べて聴いてみると、シャリアピンって、自然な明るめのバスで、ライモンディと共通するものがありますね。
by keyaki (2007-08-03 16:22) 

助六

そう言えば、ラヴェルの曲はちょっと渋すぎて、映画向きではないですね。その点イベールの曲は誰にでも親しみやすくて、効果も直裁で、ズバリ映画向きですね。

イベールって言うと、昔好きでよく聞いたマルティノン指揮パリ音楽院管のデッカのLPの「ディヴェルティメント」を思い出します。曲も人をバカにしたようでいて、実に巧妙洒脱、小編成のパリ音楽院管の名手たちの演奏もはちきれんばかりの役者ぶり、それを支えるマルティノンの指揮も切れ味、ユーモア、品格を併せ持った名演で、今でも耳に残ってます。当時もキャバレーの音楽みたいと思って聴いてましたが、調べてみたらラビッシュの「イタリア麦の帽子」の劇付随音楽として書かれたんですね。どうりで。

イベールは学生時代から、無声映画の即興伴奏ピアニストを務め、書いた映画音楽約60曲というから、ほんとに映画のプロ。デュヴィヴィエからトゥルヌール、意外なとこではオーソン・ウェルズの「マクベス」の音楽も彼でした。

ラヴェルがボツになったいきさつは、遅筆説が挙げられることが多いけれど、色々噂・推測があるようですね。シャリアピンは、パプストとも衝突、音楽も5曲目を勝手に加えたりしてるそうですから、かなりエバってたのは、事実みたい。

プロデューサーは在ロンドンのギリシャ人で、かなり山師的人物だったよう。大恐慌期ですしね。出資者を説得するため、パプストの前もチャップリンに接触、音楽もラヴェル・イベールの他、ミヨー・ファリャ・ドゥロネと錚々たるビッグ・ネームばかりに同時注文したらしい。結局当人は雲隠れし、ラヴェルとモランが訴訟を企てたのは事実だけど、当人の逃亡で提訴を諦めたという話もあります。

映画の撮影は南仏グラース周辺で行われたそうで、つまりRRがTVドラマの劇場シーンを撮影したところ。何かと縁がありますね。

86年のガルニエ上演観たんですけどね、ウ~ン僕には、RRはやっぱりジョヴァンニ、それからドン・プロフォンド(笑)。
by 助六 (2007-08-04 08:29) 

keyaki

助六さん、いろいろないきさつがあったんですね。でもプロデューサーが逃げても映画はちゃんと出来上がったんですね。
最近も、ドン・キホーテの映画を撮影をはじめて6日で断念、出資者には、保険が支払われて、その脚本は、保険会社の手元にあるとか。
ドン・キホーテ役のフランス人のジャン・ロシュフォールが半年もかけて英語の特訓をしてのぞんだのに椎間板ヘルニアで馬に乗れなくなって、さらにロケ地が洪水で地形が変わってしまったとか.....にっちもさっちもいかなくなっちゃみたいです。その代わりに、その経緯とかをドキュメンタリーにしたようですけど。
四谷怪談じゃないですけど、ドン・キホーテもなんかトラブルが起こることが多いそうですね。

ドン・キショットのオペラも映画も、今まで放置状態でしたが、日本でDVD撮影公演が話題になってましたので、便乗して、ゆっくり見たり,聴いたりしましたが年のせいでしょうね、なんかとても共感するものがあって楽しめました。

助六さんがご覧になったドン・ジョヴァンニは、1981年頃ですか? 1975年のドン・ジョヴァンニはTV中継されて、大成功だったそうですが、この録画は全く出てきませんね。どこにいっちゃったんでしょう。私が生きている間にどこかからでてくるかしら。
フランス国立視聴覚研究所(INA)も、ニュース番組のようなものばかりですけど、先々、こういう舞台中継とかもアップされるんでしょうか?
by keyaki (2007-08-04 12:02) 

Sardanapalus

ラヴェルの方は何度か聞いたことがあるのですが、イベールのは初めて聞きました。なるほど、映画に似合うドラマティックな音楽ですね。

>経緯とかをドキュメンタリーにしたようですけど
「ロスト・イン・ラマンチャ」ですね。今をときめくジョニー・デップなんかも出るはずだったのに。次々に問題が噴出してきて驚いてしまいました。セットが記録的大雨で流されちゃった時にはネタなんじゃないかと思ったほどです。あの映画もいつかは撮影するのでしょうか?
by Sardanapalus (2007-08-04 20:35) 

助六

いえ、私が聴けたのは大分遅くて、89年頃のローマででした。

記憶違いでなければ、グスタフ・クーンの指揮、演出はロンコーニだかが予定されてたのが、行ってみたらサヴァリになってたと思います。Keyakiさんの資料にありませんか?
by 助六 (2007-08-04 23:04) 

keyaki

助六さん、ドン・ジョヴァンニは300公演以上といわれていいますが、パリ、ウィーン、ロンドン、メト以外はほとんど把握できていないんですよ。
ミュンヘンも80公演契約したということですが、年月日はわかっていません。ロンコーニ演出のドン・ジョヴァンニは、1990年ボローニャでやってます。

ローマ、グスタフ・クーンの指揮、1989年頃という情報があれば、ローマ歌劇場のサイトでわかるかもしれませんが、なぜか今閉鎖中なんです。
情報ありがとうございます。
by keyaki (2007-08-05 01:00) 

keyaki

Sardanapalusさん
ラヴェルのは、キーンリーサイドも歌ってますか。ライモンディもコンサートで歌っていますが、これってどうもバリトン用みたいですよね。

ジョニー・デップは、今でも出演していいよって言ってるらしいですね。時々、撮影するという噂が浮上するらしいですけど、実現しないようですね。
映画は計画があってもいろいろなことでボツになりますね。ジョセフ・ロージー監督がライモンディ主演で映画を撮る話が実際にあったようですが、亡くなっちゃったんですよね。
by keyaki (2007-08-05 02:05) 

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