Bi〜s!Bi〜s!熱狂の渦 2回歌っちゃいま〜す(清教徒:ラッパを鳴らせ) [清教徒]
今現在、日本では、ボローニャ歌劇場引越し公演真っ只中、続いて、NYメト日本巡業公演と続きます。 ボローニャの口火を切ったのは「連隊の娘」ボンファデッリ&フローレスのコンビです。話題になったのは、フローレスが9連発ハイCのある"ああ、友よ、何と楽しい日"をアンコールに答えて2回歌ったことだそうです。ハイCを18回も聴いちゃった!と見に行った方達は大喜び。私はその場に居合わせていませんから、どの程度の拍手の嵐が続いての大サービスだったのかはわかりませんが、ある程度はお約束だったのかもしれません。 映像で面白いと思ったのは、ボニゾッリのトロヴァトーレの"Di quella pira"、拍手がなりやまず、余裕のよっちゃんでスキップしながら舞台に戻ってきて歌ってました。 さて、ライモンディもけっこうやってくれるようです。アンケンブランド著"Ruggero Raimondi Mensch und Maske"によれば、ミュンヘンでは、ギュンター・レンネルト演出、ライモンディの「ドン・ジョヴァンニ」が1973年から1981年まで前代未聞の連続上演を行い、大人気だったそうです。その時、彼がシャンパンの歌を繰り返し歌ってくれることに、観客は熱狂したとか。 最近では、チューリッヒの「ドン・パスクァーレ」のマラテスタ(バリトン)との早口二重唱。これも、ライモンディの題名役で、定期的に上演されていて、観客はほとんどリピーター、この二重唱を2回歌ってくれるかどうかを楽しみにしている観客も多く、歌ってくれるように手が痛くなるほど拍手をする・・・と言っているファンもいます。 上の音声ファイルはベリーニ作曲「清教徒」の2幕最後のバリトンとバスの有名な二重唱。1971年のベリーニ劇場での録音です。拍手喝采とBis,Bis!のかけ声で、ついに2回歌うに至る状況がわかります。だいたい、観客が騒いでいるのが2分半くらいですが、ずいぶんと長く感じられます。ガヴァッツェーニ大先生も根負けしてついに・・・・音はヨレヨレで悪いですが、面白いのでぜひ聴いてみて下さい。 (1971年カターニャ・マッシモ・ベッリーニ劇場管弦楽団 ジャナンドレア・ガヴァッツェーニ指揮 ★1971年1月27/ 2月2, 6日公演、Colonnello演出 Kraus, Cappuccilli, R.Raimondi, Maliponte, Di Stasio)
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・2005-12-28《連隊の娘》のハイCは何回?、、、フアン・ディエゴ・フローレス
・2005-12-31チューリッヒの《ドン・パスクァーレ》TV収録
この2重唱、いつでもどこでも客席はコーフンしますけど(小生もそう)、アンコールされたのは一度も目にしたことないですねぇ。というかオペラの上演でナンバーのアンコールというのはもう随分前から事実上なくなってますよね。
80年代半ばパヴァロッティが「愛の妙薬」の「人知れぬ涙」を殆ど毎回アンコールしてたことがあり、パリでもそうだったし、ヴィーンでもそうだったと聞きましたけど、それぐらいしか思い浮かびません。
器楽ではグリモーがベートーヴェンの後期ソナタを全楽章繰り返しちゃったのを2度目撃しましたが、彼女はまあ「常習犯」で、喝采が止まらないからではなく、自分が不満だともう一度弾いちゃうそう。
しかし後奏をかき消す拍手、おっさんたちの胴間声と絵に描いたような「イタリア的熱狂」ですね。60年代のライヴ録音には(特にサン・カルロのとか)よく入ってるけど、私は80年代以降のイタリアで実際にこうした場面に遭遇したことは残念ながら一度もありません。歌手が小粒になったのか、オペラの聞き方がより理性的になったのか…。カターニャの小振りの劇場で声の威力も頂点だったこの二人と確信溢れる楷書タイプのガヴァッツェーニ先生の指揮ならまあ否応なく興奮しますわな。
シチリア人は南伊とは言っても、ナポリ人のような開放性はなくむしろとっつきは冷たいと言われ私の印象もそうですが、これ聞くと熱いものの噴出は直接的ですね。まあ私の知ってるシチリアは西部だけなので、イタリアの常で「パレルモとカターニャは全然違うのである」とかいうことなのかも知れませんが。
「清教徒」はパリのイタリア劇場のために書かれたものだけど、「ラッパを鳴らせ」は明らかにリソルジメントの独立解放機運の表現だと思います。ベッリーニはロッシーニ、ドニゼッティ、ヴェルディとは違って仏語は殆どダメだったようで、パリでは専らイタリア人と付き合っててその中にはリソルジメントの闘士でパリに政治亡命してた人がたくさんいます。七月革命後の七月王政下のフランスは、反動傾向も強かったとはいえハプスブルク支配下のイタリアよりははるかにリベラルでフランスの宿敵ハプスブルクへの抵抗運動には好意的だったからです。「清教徒」の台本を担当したペーポリ伯もそうした亡命者の一人です。
by 助六 (2006-06-11 06:32)
こういう時代は、ライモンディの世代が最後なんでしょうね。
本当に楽しそうな公演ですよね。
by keyaki (2006-06-11 20:17)