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豪華版DVD(仏):ロージー監督の『ドン・ジョヴァンニ』 [《ドン・ジョヴァンニ》FILM]

 ジョセフ・ロージー監督の『ドン・ジョヴァンニ』のDVDのリマスター版というのでしょうか、音質、画像共に改善され、更に豪華リブレット付きでリリースされました。本編の他、付録のDVDがついています。
 この付録につられて購入しましたが、非常に面白い内容です。主要キャストのR.ライモンディ、ジョゼ・ヴァン・ダム、テレサ・ベルガンサ、キリ・テ・カナワ、エッダ・モーザー、のインタビュー(2005年に収録)もあり、ほとんど30年前のことですが、当時の苦労話を楽しそうに語っています。ロージー監督夫人とか、パトリス・シェローのインタビュー、当時の制作側の方々のインタビューも交えて、1時間15分のドキュメンタリーになっています。
 フランスではかなり成功し、オペラの大衆化という目的は達成したようですが、アメリカでは、「2時間の壁」もあり、あまり受け入れられなかったとか、テノールのあの長い二つのアリアが問題になったそうですが、カットはしないという方針を貫いたとか...いろいろ興味深い話があります。
 それから、1978年当時の音を2006年の技術でミキシングをやり直すという30分程度のルポルタージュもあります。技術的な話もあり、その辺はよくわかりませんでしたが、マスターテープを捜し出すのも一苦労だったようですし、マスターテープをさがしあてたものの、保存状態が悪く使い物にならなかったのをオーブンでチンしてよみがえらせたとか...こういうことに興味のある方には面白い内容だと思います。
 残念ながら、今のところフランスだけの発売のようですが、日本でも発売して欲しいものです。

日本版のDVDは、なぜかここが販売するものは画質劣悪になってしまうという会社が恐らく独自に発売しています。版権はフランスのゴーモンにあるのではないかと思いますが、どうして日本で、このような劣悪な商品が販売できるのか謎です。
日本版DVDは、ロージー監督の『ドン・ジョヴァンニ』ではない!というほど品質に差があり、いくらなんでもひどすぎるのではないかと思っています。ロージー監督が知ったらショックを受けると思います。なぜ日本だけ、よくないものを見せられていてるのか理解に苦しみますし、悔しいです.....結局最後は愚痴になってしまいました....

今回の豪華版DVD内容:


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助六

フランスでは繰り返し広告出てますし、これに合わせたのかどうか、1月にライモンディとベルガンサを迎えたシネマテックでの上映会もあったようです。

ヴィチェンツァとヴェネチアの夢幻郷を行くようなあの見事な映像は鮮やかになりました?

当時予算2000万フラン、イタリア・ロケ2ヶ月とか言うから今じゃオぺラ映画には考えられない豪華プロダクションですね。トスカン・デュ・プランティエのプロデュースによる一連のオペラ映画は結局採算的にはトントン位で儲けはあまり出なかったと言います。中ではやっぱりこれと「トスカ」が大きな成果でしょうね。「パルジファル」も面白くはあったけど。封切り当時はフランスでも大当たりとは言えなかったようですが、確かにその後20数年間この映画でオペラの魅力に目覚めた人はフランスでも世界中でも数多いでしょうね。ライモンディも結局この映像のジョヴァンニ役で記憶されることになるのではないでしょうか。私にとっても彼は1にも2にも80年代終わりにローマで一度だけ接したジョヴァンニです。当時だって声にも歌にも「男の色気」は充分でしたからねぇ。

アリア部分はパリのどッかの教会で録音したものをプレー・バックで使い、レチタティーヴォは現場で録音したらしいです。
by 助六 (2006-06-11 07:14) 

TARO

この映画は当然今もってオペラ映画のナンバー・ワンなわけですが。
有名オペラの場合、映画と違って日本語字幕なしでも問題ないので、フランス盤でもOKですよね。画質は相当改善されてるんでしょうか。日本盤のその劣悪DVDというのは見たことがないんですが。

>オーブンでチン

音声部分のマスター・テープってゴーモンが持ってたんですか?
CBSが保存してるわけではなくて。
by TARO (2006-06-11 14:03) 

keyaki

>助六さん、
お金のかかっている映画ですから少しでも稼いでもらおうということでしょうか。
日本では話題にもなってないのですが、たまたま見つけて注文、いい加減にクリックしたら、送料がずいぶんと高いのを選択していたようで、注文して三日目に届きました。
ドキュメンタリーの中でも、興行的には厳しかった、後のフランチェスコ・ロージ監督の「カルメン」は興行的にも大成功だった..と言ってました。

教会で全曲ちゃんと録音して、CDとして売り出していますが、これを映画に使ったから、サントラ盤とか言っている人もいるようですが??です。
レチタティーヴォの部分は、どうしても合わないので、急遽、撮影現場で全部録音しなおしたそうです。

ライモンディがインタビューで言ってましたが、「リーバーマンは、もう一人別の歌手とどちらにするか迷っていたようだが、自分が選ばれた、多分、もう一人の歌手は、ロジェ・ソワイエじゃないかと思っている...」言ってました。
by keyaki (2006-06-11 19:59) 

keyaki

TARO さん、
LDはソニーでしたが、DVDは、○○ー○ライフです。
とにかく輸入版は、映画会社が出してますから、とてもきれいです。それを更に画面をDVD用にして、音は、ミキシングをやり直したということですから、たしかによくなっているような気がします。

>マスター・テープ
ソニーが持っていたようですがすぐにはどこにあるかわからなかったようです。
TAROさんはこういうこと関心がおありだと思いますから、ぜひ、ご覧いただきたいです。PALですけど。
by keyaki (2006-06-11 20:09) 

きのけん=CineKen2

>日本盤のその劣悪DVD

 つまり、こういうことだと思います。今古い映画のネガを修復すると一石三鳥くらいになるんです。通常、DVDリリースの機会にネガを修復するんですが、まづ映画館でリヴァイヴァル上映が行われる。次にDVDが出る。そしてテレビ放映がある。オリジナル・ネガ修復の費用をそれで賄っているというわけですが、そのネガ修復の手間を省いちゃうと、既に傷みの激しいネガや、甚だしい場合は劣悪なプリントからDVDを作っちゃったりして、とんでもない代物を売りつけられるというわけ。
 僕が最後にこのフィルムを見たのは 2004年2-4月のパリ国立シネマテークでのロージー全作品回顧上映の時でしたが、最初にロードショウになった時に較べ、ほぼ遜色のないプリントに驚かされたものだから、多分あの頃オリジナル・ネガが修復されたんじゃないかとと思います。つまり、DVDの画質は日本盤、輸入盤云々という問題ではなくて、DVD制作の際使われたネガあるいはプリントの状態に因るものがいちばん大きいでしょう。多分、その日本製「劣悪DVD」というのは新たにネガが修復される以前の既に相当劣化していたネガあるいはプリント、ひょっとしたら日本にあった使い古しのプリント(でも、まさか?、ねえ…〜笑〜)を基に作られたものではないでしょうか?…。
きのけん=CineKen2
by きのけん=CineKen2 (2006-06-26 18:42) 

keyaki

きのけんさん、
この販売会社は、画質は、劣悪ですが、大手レーベルが出さないものを出してくれるので、あまり追求してやめられても困るな....と思ってます。パリ・オペラ座関係でいえば、ストレーレルのシモン、ミルンズとライモンディのナブッコ、シェローのホフマン物語もだったかな、ファンとしては、画質はどうでも見られるだけでも嬉しいということなんですが、裏を返せば、大手レーベルは、画質が悪すぎて出せないということだと思います。
しかし、《ドン・ジョヴァンニ》に関しては、海外で高品質のものが買えるわけですから、そういうものとは違いますよね。それで、文句をいってるわけなんです。

とにかく、一幕の騎士長が殺されるところも雨が降っているのに雨が見えないし、3倍モードで録画したような画質なんです。
この《ドン・ジョヴァンニ》は、LDは大手レーベルが出してましたので、それをダビングしているのではないかと思います、だってDVDのくせに字幕が消せない。このLDの画質もそれほどよくないです。当時はこんなものだったんでしょうけれど。

>ひょっとしたら日本にあった使い古しのプリント(でも、まさか?、ねえ…〜笑〜)を基に作られたものではないでしょうか?…。
多分そうですよ。日本って、ヨーロッパから遠いですからね。
by keyaki (2006-06-27 02:02) 

きのけん=CineKen2

(上↑のコメントは間違って行っちゃったものなんで削除しといてください)

 お話をうかがってると、ますます日本にあった使い古しのプリントからDVDを制作した可能性が強いなあ…。それって、本当の海賊盤なんじゃないの?…。そのうちに訴えられるぜ(笑)。
 日本盤が必ずしも質が悪いというわけでないのは、僕は小津安二郎のもので実証済み。フランスで出ているのは松竹が全集版を出した時修復したヴァージョン以前のネガから作ったものなんで、色なんかが正確に出てないんだ。その点、小津の場合は当時の撮影助手なんかが未だ生きてるから、全集版ではオリジナルに近い色が再現できたんだね。黒澤明の《野良犬》(これはモノクロですが)も東宝がものの見事に修復してるんで感心しました。
 日本の問題は、時としてオリジナルをズタズタに切っちゃうこと。同じ小津の《生まれてはみたけれど》なんかえらい悲惨!(1)。黒澤の《姿三四郎》も戦時中紛失しちゃった部分以外にもカットされてる箇所があったよ。自社の宝物なはづなのに、よく平気でああいうことをやるもんだね。鈴木清順の日活時代のものなんかも、あまり信用できないね…。

(1)これに関しては、僕が松竹に文句を付けた時の松竹側の回答が以下にアップロードしてあります。
http://perso.orange.fr/kinoken2/cineken2/cineken2_cont/cineken2_japon/umareteha.html

 いづれにせよ、映画のカラーの変色というのはえらく早いもんで、ロージーの《恋》(1971)なんてもう真っ赤っ赤なんだよねえ…。あれって出た時は、ほんの僅かセピア色の混じった、本当に美しい究極のカラーという感じだったんだけど…(撮影ジェリー・フィッシャー)、今見れるプリントはもう見るかげもなし。逆に、アントニオーニの《赤い砂漠》なんかはオリジナルのあのくすんだ色調が、やたら鮮明でケバケバしい色〜まさにデジタル色〜に修復されていたり…。難しいもんです。
きのけん=CineKen2
by きのけん=CineKen2 (2006-06-27 16:44) 

たか

きのけんさん、keyakiさんこんばんは

>裏を返せば、大手レーベルは、画質が悪すぎて出せないということだと思います。
私もそうだと思います。このレーベルが出しているソフトにはフランス、東欧、旧ソ連のものが多く含まれますが、これらの地域ではNTSCでもなくPALでもないSECAMというフォーマットの放送が行われていました。このSECAMというのが編集のしにくい代物だそうで、元々の画質が大したことないことに加えSECAMからNTSCもしくはSECAMからPALに変換する際(恐らくアナログ変換)に大幅に画質が劣化しているものと思われます。ひょっとしたらSECAMからPALに変換してさらにNTSCに変換しているのかもしれません。SECAMのテープから直接デジタル映像を出力できるビデオを新たに開発して元のマスターテープを再生しNTSCにデジタルで変換すればもっとましな画像になるはずですがそのような物を開発するニーズが乏しいのでしょう。信号のアナログ変換は画質が劣するのでLD時代は元々NTSCの米国ソフト(メトなど)の方が元々PALのヨーロッパのソフト(ユニテルなど)に比べて画質が良いことが多かったのですが、デジタル時代になってPALからNTSCへの変換性能が良くなったようで最近発売された80年前後のウイーンのソフトなどはなかなか良い画質に仕上がっているようです。(そういえばkeyakiさん85年のファウストどうですか?国内盤が出るまで待つかどうか悩んでいるのですが....ファウスト特集はどうでしょう?)
by たか (2006-06-27 21:45) 

keyaki

たかさん、おっしゃるとおりだとおもいますが、《ドン・ジョヴァンニ》に関してはどういうつもりなのでしょうね。
>85年のファウスト
ベルカントのVHSよりは格段によくなっていて、今まで見えなかったものが見えます。画質は、全体的に油絵のようなかんじです。ライモンディの細かい演技、宝塚風の濃い化粧も楽しめます。いずれ記事にするつもりではいるんですけど。
国内盤も出るのでしょうか。字幕さえ入っていればいいわけですが、なぜ、日本語字幕はいつもはずされるんでしょう? 国内盤として出したいという大手レーベルの都合でしょうけど、国内盤は価格が高いので、消費者無視もいいとこじゃないです
か、、、ネ。
by keyaki (2006-06-27 23:10) 

たか

>《ドン・ジョヴァンニ》に関してはどういうつもりなのでしょうね。

こちらはフィルム作品ですが、ドリームライフが70年代のパリオペラ座のビデオの販売権を取得した際に一緒に取得したようです。ソフトを1本買いでなく一括で買い付けるのがこのレーベルの方針のようでユニテルのオペレッタの日本での販売権を取得した際にクライバーのこうもりもDGから移行しました。このレーベルもカラヤンのチャイコフスキーのようにニュープリントが入手可能な際は使用しているケースもあるので、ドンジョバンニがDVD化された98年にこのニュープリントが存在していれば使用された可能性もありますが大変残念です。新たにニュープリント版が国内発売される可能性が残されているとすれば、制作30周年記念でニュープリント版を劇場公開しその後DVD化するというような形になると思われます。きのけんさんがおっしゃるように劇場公開とセットにしなければDVDだけで新しい日本盤を制作するコストは回収できないと思われます。ですので我々にできることは再来年のニュープリント版封切りに向けて署名運動だ!(笑)

>85年のファウスト
DGのDVDは何本も日本盤が出た後に買い直しているのでそういうことはもう止めたいものです。フェドーラまで出たので(もちろんそれは大変うれしいことですが)、ファウストもいつか出ると思うのですが.......
by たか (2006-06-28 00:02) 

keyaki

たかさん、なるほどです。
>ドリームライフが70年代のパリオペラ座のビデオの販売権を取得した際に一緒に取得したようです
この時に、ロージー演出の《ボリス・ゴドノフ》も取得して、LDで発売したわけですね。ところが、販売権の更新?を忘れたかなにかで、販売権を失ったようです。数年前に、メールでDVDにするつもりはないのかと尋ねましたら、販売権を獲得できなかった、、、という回答でした。ということは、今、どこが販売権を持っているのでしょうか?
by keyaki (2006-06-28 00:20) 

たか

>販売権の更新?

LDの販売権とDVDの販売権はまた別なので、このソフトだけドリームライフが日本でのDVD化権を版元から取得できなかったとすれば、例えばインターナショナルでこのソフトのDVDリリースを計画しているレーベルに版元がDVD化権を売ってしまったようなケースが考えられます。でもそのレーベルが結局日本盤を発売するかどうかは分かりません......日本はローカル市場だと実感させられます。カラヤンの映画版のバラの騎士が日本でいっこうにDVDにならないのも恐らく似たような事情なのではないかと推測されます......
by たか (2006-06-28 00:44) 

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