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歌と演技 [オペラの話題]

えうりでぃちぇさんのブログで、とりあげられていますので、私も便乗します。
オペラはいろいろな要素を含んでいますので、人それぞれ鑑賞のしかたも千差万別ですね。
オペラを楽しむようになって、声派だの演技派だの目と耳が分離した人達がたくさんいることを知りました。声と演技両方あってこそのオペラだとおもうのですが。
私のご贔屓のルッジェーロ・ライモンディは、歌役者と呼ばれるにふさわしい、オペラ歌手です。(オペラ界でもこれは定説かな?)ライモンディに関する記事とかインタビューでの、演技、演劇に関する部分をご紹介します。


ルッジェーロ・ライモンディの「私にとっては歌うことより演じることのほうがより重要だ。声が必要不可欠なのは当たり前のことだ」との発言は、傲慢に響きかねない。他のたいていの歌手がこういう発言をすれば、おそらくは相当傲慢に聞こえるのではないだろうか。しかし、ライモンディにとってはこれこそが、彼の芸術的才能とキャリアの鍵なのだ。彼の声、すなわち、なめらかで豊かなバッソ・カンタンテは、独特の響きを有している。これは、シェピやギャウロフの古典的なバスにはないものである。しかし、現代の歌手仲間からライモンディを本当に区別するものは、その演技である。舞台での存在感、カリスマ性と呼んでもよい。ライモンディはこういうものを豊かに備えている。彼はステージ・アニマル、つまり生まれついての演技者(パフォーマー)だ。ーーー
ライモンディが25年前にはじめてイギリスで歌ったとき、それはグラインドボーンのドン・ジョヴァンニの題名役だったが、彼はたったの27歳だった。しかし、アラン・ブリスの言葉によれば(オペラ誌 1969年7月)「すばらしい才能に恵まれた歌手。背が高く、堂々として、ハンサムで見事に動く歌手」だった。ーーー
彼は、魅力的かつ魅惑的、歌っていないときでさえ目を離せないといった種類の演技者である。ーーー
彼の例外的な視覚的特質によって、キャサリーン・マルフィターノ、プラシド・ドミンゴとの、ローマからの生放送トスカで、スカルピアに選ばれたのは自然なことだった。普通舞台で見せる以上に、繊細で人間的で官能的な人物として、警視総監を演じて見せた。ライモンディはまた映画、La Vie est un roman (1983)、で歌わない演劇の役柄を演じている数少ないオペラ歌手のひとりである。ーーー (1994年アンドリュー・クラーク)

歌手の演技は、ライモンディにとって殊に得意な話題である。「研究する役を初めて選ぶときには、常に、まず第一に言葉、その後で、音楽を見ます。時には、言葉のほうが音楽より重要です。というのは、言葉こそが人物の演劇的な意味を示しているからです。それで、その人物を把握するまでは、音楽を自分のものにすることはできません。」(1993年ケート・ハーディ)

ひとつひとつの語、ひとつひとつの音符に表情を与えなければいけません。「表現的に歌うこと」という言葉は魔法の言葉です。同様に重要だったことは、俳優である、ファジョーニから習ったこと、すなわち、舞台でいかに適切に動くかということです。とても若かったその当時、歌手は単に音楽家であるだけではなくて、上演の音楽でない多くの面についても、考えなければならないことを理解する事が、私には、とても重要な事だったと思います。結局の所、歌手は機械ではなく、命も人生もある人間であり、その肉体と人格のすべてを巻込んで舞台で演じるべきなのです。(2001年)

写真)ロージーの映画で彼は、自分自身を演じている。
客仲間の一人が彼に聞いた。「映画の為にオペラを去りたがっているという噂があるが、・・・勇気がありますね」
彼は「私はドン・ジョヴァンニみたいなものです。危険は嫌なものではありません」と答える。


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コメント 4

euridice

>歌手は機械ではなく、命も人生もある人間であり、その肉体と人格のすべてを巻込んで舞台で演じるべきなのです。

P.ホフマンも同じようなことを言ってます。
「歌手は歌う機械ではないということをわかってもらいたい・・・」(1983年伝記)
他も、RRとPH、同じような発言が沢山あります。
by euridice (2005-02-16 17:34) 

keyaki

RRとPH、まったく接点はありませんが、"叩かれる"というか叩かれやすいというのが共通点かな。

演技といえば、たとえば、ヴェルディの初期の頃の作品は、ある程度様式化された動きが必要、まあ、一種の歌舞伎調というか、カタがあるとおもうのですが、なんか最近の歌手さん達これがビシッときまらないくて、間の抜けた演技になってますね。
演出家のせいかもしれませんけどね。
最近見たナブッコ(2004年)でかんじました。それで、久々に1979年のパリ・オペラ座のを引っ張りだして見ましたが、違いますわーーー動きが、自然でそれでいてカタにはまっていて、アビガイッレも女戦士にみえてかっこいいんですわ。
by keyaki (2005-02-18 10:19) 

euridice

まあね、舞台ってのはどんなのにしろある種の様式感って必要なんじゃないかしら。決まらないのって、見てる方としては落ち着かないわよね。
by euridice (2005-02-18 19:20) 

おさかな♪

keyakiさんのおかげで、ライモンディ大ファンになってしまいました♪
by おさかな♪ (2005-04-10 20:53) 

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