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「コジ ファン トゥッテ」三度目の正直 [コジ・ファン・トゥッテ]

ライモンディは、常々《ドン・ジョヴァンニ》《フィガロの結婚の伯爵》《così fan tutteのドン・アルフォンソ》を全部歌いたいと言っていました。 ドン・ジョヴァンニは、1967年(26才)から400公演以上、フィガロの結婚の伯爵は、1983年からレパートリーに加えました。
cosìのドン・アルフォンソですが、若い時には歌うつもりはなく、最後にレパートリーに加えるという計画だったようです。《若い役》ではないということでしょう。
しかし、オペラは、なかなか思い通りにいくものではないですね。劇場側にこの演目を歌いたいといって、受け入れられるとは限らないようです。

◆第1のチャンス
cosìのドン・アルフォンソを歌うチャンスが来たのが、2000年のザルツブルグ夏の音楽祭。
予定では、指揮はアバド、演出はノイエンフェルス、ところがアバドがキャンセル。 表向きの理由は、第一に、ウィーン・フィルのローテーション制に対する不満、第二に『コジ』の舞台美術(Reinhard vo de Thannen)が演出家のノイエンフェルスと協議したのと全然違う、ということでした。(これは表向きの理由という説もあるようです)
このキャンセルが発表されたのが、2000年の1月1日なので「アバドの2000年問題」というらしいです。
その時点では、ライモンディがキャンセルということはなかったのですが、結果的にライモンディもキャンセルしました。
れいの、パリ版椿姫のジェルモンを手術のため降板してますので、リハビリも必要ですから、7月復帰は難しかったのでしょう。(アバド指揮だったら無理してでも出たのかな?)
チケットを買ってしまって仕方なく見に行ったRRファンの影の声:あんなのに出なくて正解だわ!

◆第2のチャンス
2001年6月ベルリンで歌う予定になっていました。しかし、演出絡みなのか不明ですが、キャンセル。
この"così fan tutte"は、2002年の再演の舞台がDVD化されています。
所謂「読み替え」の演出で、ヒッピーが出てきますから1960年代ということでしょうね。言葉とのズレを無視すれば、なかなか楽しめる演出だとおもいます。ドリス・デーリエ演出、恋愛コメディーを得意とする女性映画監督兼作家だそうです。ライモンディは、「読み替え」は嫌いと言っていますが、すべて拒否というわけではないので、自分には合わないということで降りたのかな?? 
※この時のキャンセルの理由が判明しましたので追記)しました。(2005.7.20)

◆第3のチャンス
さて、いよいよ三度目の正直、2004年2月17日フェッラーラ、アバド指揮でついにドン・アルフォンソを歌うことができました。1月末までトスカでしたから、声の調整はできるのかとか、またキャンセルにならないかとか、チケットを手に入れたファンの方達は気をもんでました。イタリアではアバドが振るとなるとチケットを手に入れるのがなかなか大変なんだそうです。
マルトーネの演出は、あのロージー監督の映画のドン・ジョヴァンニを彷彿とさせるシーンもあり、哲学者ドン・アルフォンソが、あたかも地獄からやってきたドン・ジョヴァンニのようにも見えるという演出だったそうです。
◆第4のチャンス
いよいよ2005年7月エクサンプロヴァンス音楽祭パトリス・シェロー演出の"così fan tutte"です。
指揮ダニエル・ハーディング、Erin Wall、エリナ・ガランチャ、Stèphane Degout 、Shawn Mathey、バーバラ・ボニー、ライモンディ


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追記2005.7.20)
RR:ベルリンの「コジ」は、舞台を60年代米のヒッピー部落に移し、衣装は花模様とかいったものでした。この作品をこうした文脈に移したら、「コジ」の基礎にある緊張関係や道徳的禁忌は全て事実上消え失せてしまいます。少量の大麻で、全ての問題は解決するという訳ですよ。この種のセンセーショナリズムが段々受けつつあります。
−練習の半ばで降板されたのですか?
RR:そうです。契約を解除しました。何で参加したくないか説明しましてね。幸い訴えられなかったですけどね。
「Classica−Repertoire」第74号、05年7−8月合併号/インタビュアー:ジェレミー・ルソー(Jeremie Rousseau)/05年3月31日、チューリッヒにて
このインタビュー記事は助六さんからの情報で、日本語に訳して教えてくださいました。本当にありがとうございます。長年の疑問が解決しました。


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euridice

ハーディング指揮のオペラ、テレビ放送で二つ見たことがあります。

*リュック・ボンディ演出 エクサンプロヴァンス国際音楽祭2001 ブリテン作曲「ねじの回転」
*ピーター・ブルック演出2002 モーツァルト「ドン・ジョヴァンニ」こちらも多分エクサンプロヴァンス国際音楽祭
by euridice (2005-02-14 14:59) 

keyaki

彼のHP、日本語のもあるんですよね。
2003年のエクサンプロヴァンス国際音楽祭は、57時間もWozzeckのオーケストラリハーサルをやったのにストで全公演中止になったとか、
Dorothea Roeschmannと彼女の代役のGenia Kuhmeierがともに妊娠したためコンサートをキャンセルせざるを得なかったとか・・・
日本語なんで、ざーーっと読みました。
Dorothea Roeschmannは、上の記事でご紹介したベルリンのコジにも出演してますし、魔笛でもお馴染みですね。1年くらいは育児休暇でしょうか。
by keyaki (2005-02-14 16:44) 

TARO

あらま、ドロテア・レッシュマンは妊娠中なんですか。
それはともかく、アバドは「コジ」キャンセルにあんな理由をつけましたけど、実際はあの時点ですでに、癌の手術をすることが決まってたんじゃないかなと。邪推?
by TARO (2005-02-14 23:48) 

ヴァラリン

keyakiさん、遅くなりましたがこちらのBlogをリンクさせて頂きました。
今後とも宜しくお願いしますm(__)m
ベルリンの『コジ』は大好きな映像です(^o^/まさにレンアイコメディの極地と言った感じで・・
レシュマン、育児休暇ですか・・

ところでシェロー演出の『コジ』でのバーバラ・ボニーは、もしやデスピーナ役なのでしょうか?
by ヴァラリン (2005-02-15 00:10) 

keyaki

ヴァラリンさん、こちらこそよろしく!

>レシュマン、育児休暇ですか・・
妊娠中だそうです。ご主人が俳優と書いてありましたので、調べたらなんと69才!

バーバラ・ボニーはデスピーナです。
バーバラ・ボニーは、リートに専念してオペラから遠ざかっていたようですね。
若い二組の男女とわけしりの家政婦に老哲学者というかんじかしら。

>TAROさん
ドロテア・レッシュマンは、お好みの歌手さんでしたね。
あと、2000年のわけのわからない演出のコジにはバーヨが出てますね。
あ、そうか、アバドの《隠れた理由》は癌の手術が正解でしょうね。2000年の6月から9月いっぱい病気療養でしたね。
偶然でしょうけど、なんかライモンディの病気療養と一致してる(@_@)
by keyaki (2005-02-15 01:16) 

ヴァラリン

>バーバラ・ボニー
>若い二組の男女とわけしりの家政婦に老哲学者というかんじかしら。

そうですか・・ボニーちゃんもそういう役にチャレンジする年代なんですね^^;
レシュマンのご主人、69歳・・西洋のひとは、ホントに年齢に関係なく、好きなひとと一緒になるんでしょうね(*^_^*)
by ヴァラリン (2005-02-15 22:10) 

euridice

確かに「固定観念」に捕われる度合いは低そうですね、色んな面で。
by euridice (2005-02-15 22:58) 

TARO

そうなんです。アバドがキャンセルしなければ、録音もされた可能性があるので、ホントに残念・・・マッティラ、カサロヴァ、バーヨなんてめったなことでは実現しない組み合わせですからねえ。

最近のボニーは歌い方が変わりましたね。昔のさわやかさがなくなって、ちょっと納得いかない感じ。
by TARO (2005-02-15 23:55) 

おさかな♪

keyakiさん、おはようございます。
「アバドの2000年問題」がつぼにはまりました♪(^^)
先ほど、keyakiさんのページを「読んでいるblog」に登録させてもらいました。
オペラは本番中に何が起こるか分からないどきどき感がいいなぁ・・・って思っていましたが、「本番」そのものがないハラハラ感(?)もあるんだと分かりました。(でもチケットを買ってしまったら。。。ちょっと涙ですね。)
by おさかな♪ (2005-03-23 09:01) 

keyaki

おさかな♪さん、いらっしゃいませ。
ライモンディとアバドさんはお友達なんですよ。
2004-12-20の記事にお二人の写真があります。
私もおさかな♪さんのブログ登録させていただきますね。
by keyaki (2005-03-23 16:19) 

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