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「東京ドームのアイーダ」中止の波紋がウィーンまで..... Roberto Alagna が Lance Ryan を押し出し [オペラの話題]

bayreuth156_v-contentgross.jpg 「東京ドームのアイーダ」中止の波紋がなぜかウィーンにまで広がって行きました。 前記事のコメントでもちょっとふれていますが、「東京ドームのアイーダ」が中止になって、アラーニャは、10月末のメトの「トスカ」まで仕事ゼロという事態になってしまったわけですが、なぜか急に運良くウィーン国立歌劇場の「カルメン」(9月4,7,10,13,16日) にランス・ライアンの代わりに出演することに。これって単純に「運良く」なんでしょうか.....アラーニャが予定通り日本でラダメスを歌っていれば、こんなおかしなキャスト変更はなかったのではないか....どういう経緯でこうなったか.....

6月20日:アラーニャ「東京ドームのアイーダ」に出演決定、パリ「アルセスト」9公演をキャンセル
8月25日:「東京ドームのアイーダ」中止決定
8月28日:ランス・ライアン9月4日からの「カルメン」出演のためウィーン入り、リハーサル開始
9月2日:劇場側から「君のカルメンはよくない....」とか言われて、劇場側の都合で降ろされる

 なんか釈然としません。劇場側は、アラーニャが暇してなくてもランス・ライアンを降板させたのか。アラーニャのためにランス・ライアンを降板させたと考えるのが妥当でしょう。ランス・ライアンは、すでにドン・ホセをレパートリーにしていて、直近では2010年にスカラ座で歌っています。久々に「カルメン」を歌うことを楽しみにしていたようですし、クビにされるほどひどかったとは考えにくいです。

 ウィーンでは、ほぼ毎日オペラの公演がありますが、9月はアラーニャがレパートリーにしているオペラは、「カルメン」「椿姫」「トスカ」、これらが順繰りに上演されます。「椿姫」は、アラーニャの子供を妊娠しているアレクサンドラ・クルザックがヴィオレッタ.....アルフレードは、いろんな劇場で同役を歌っているマッシモ・ジョルダーノ、「トスカ」は、あらまあゲオルギューがトスカ、カヴァラドッシが、マルセロ・アルバレス....いくらなんでもマルちゃんを降ろすわけにはいかないし....「カルメン」のドン・ホセはランス・ライアン....最近ワグナーのヘルデンテノールとして活躍しているとはいえ、明らかにアラーニャより格下ってことで目をつけられちゃったんでしょう。

 なぜ、ここまでしてウィーンの舞台を確保したかったのか.....お金絡みでしょうね。アラーニャは、かつて「カネが要るときはアブダビや日本に行くね」と言っていますが、日本公演のギャラももらえず、7月19日のオランジュ音楽祭のコンサートを体調不良で直前キャンセルしていて、診断書を提出したので違約金はとられませんでしたが、ギャラをふいにしていますし、あてにしていたギャラが大幅に減っちゃった....そこで、ウィーンの「カルメン」で、パリに出演したくらいのギャラを確保したっかったんでしょう。

 右の写真はランス・ライアンですが、彼は、舞台映えするというか、歌舞伎役者並にけっこう化けます。ドン・ホセもアラーニャに待機させてやってもらえばよかったのに...

参考:アラーニャのギャラ情報(2010年フィガロ紙)
http://www.lefigaro.fr/musique/2009/10/09/03006-20091009ARTFIG00359-l-argent-des-starsde-l-opera-.php
http://www.lefigaro.fr/musique/2009/10/09/03006-20091009ARTFIG00281-roberto-alagna-tout-me-reussit-.php
「ギャラ公演では1晩6万ユーロ。カネが要るときはアブダビや日本で、10万ユーロもらえる。ディスクの著作権料は1枚につき25セント・ユーロ。DVDやオペラの映画館中継はノーギャラ。オペラのギャラは1晩税込み1万3000ユーロ。半分は税金、後の半分はマネージャー代と必要経費でほとんど消える。」
アラーニャは、オランジュ音楽祭コンサートで6万€、東京ドームで20万€、合計約3千4百万(130円換算)くらいの収入の見込みが途絶えたことになるが、ウィーンでカルメンを5公演歌うことで6千5百万€(約850万円) 確保。のんびり長期休暇を楽しめばいいのに....よほど火の車なのか。

メモ:ランス・ライアン Lance Ryan略歴:
カナダ出身、ギター専攻で、カナダの大学を出て、声楽を勉強するためにイタリアに渡って、ジャンニ・ライモンディ、カルロ・ベルゴンツィに師事、イタリアものから出発して、2005年くらいから、人手不足のヘルデンテノールのドイツものに移行......生年月日は分かりませんが、2005年11月の記事に、現在34才と書いてあったので、41か42歳。
9月2日のランス・ライアンのブログに降板させられたことが書いてあります。

Arena di Verona引越し公演「東京ドームのアイーダ」やっぱり中止!(2013.8.27発表) [オペラの話題]

 ヴェローナのニュースを伝えるサイト"L'Arena.it" に日本公演中止の8月25日付けの記事がありました。Niente Giappone salta la trasferta per il centenario
 この記事によれば、同時期にミラノ・スカラ座の日本公演があるので、観客動員が困難だった(そんなのずっと前から分かっているのに.....言い訳にもならんでしょ!)、日本の主催者側は、損失を最小限におさえるために中止を決断した....この損失を埋めるため来年の春に再度やりたい(日本では無理でしょう、韓国でやって下さい).....んだそうです。舞台装置を運ぶ前だったので、最小の違約金ですんだみたいですけど.....私の推測では、ヴェローナ側は、名前の使用の許可とか、舞台装置の貸し出しにかかわっているくらいで、どっちに転んでもなんの損害もないのではないかと思います。一番損害を受けたのは、アラーニャじゃないのかな....パリの公演をキャンセルしてファンをがっかりさせた上、20万ドル稼ぐ予定もパーになっちゃった....(2013.8.31追記)
*アラーニャなりふりかまわず損を少しでも取り戻しにかかる、どうやったかはこちら→ 「東京ドームのアイーダ」中止の波紋がウィーンまで..... Roberto Alagna が Lance Ryan を押し出し(2013.9.6追記)

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以下8月29日の記事
 いやはや、やっぱり...でした。8月18日に第二ブログの記事「メルビッシュ湖上音楽祭:DIE GROSSE VERDI GALA (2013.7.23) →公演自体がなかったようです....」でちょっとふれましたが....
東京ドームのヴェローナ引越し公演の「アイーダ」も2014年春に延期との噂がネットでささやかれています。この噂の出所のブログ(8月16日)の記事は管理人の音楽評 論家によって削除されています。主催者側からの延期発表はないようですが、その後、間違いでした....お騒がせしました....という管理人さんのコメ ントがないのも、本当っぽい......」
 そう、このブログではその後、この件についてはなんのコメントもなしに記事を次々アップしていますので、主催者から公式な発表があるまで沈黙せざるを得なかったわけですね。主催者は、27日まで何をやっていたのか、テレビでも大々的に「アイーダがやって来る....」とか宣伝してましたし、チケットの販売を「主催者の都合により」として停止していたのはJTBだけだったような......何かが好転すると期待していたのか.....公演中止理由も不透明です。
tokyo_verona_aida.jpg
↑ベローナとヴェルディが並ぶと気持ち悪い....ヴェルディがベルディじゃないのならベローナじゃなくてヴェローナでしょ....

・第三者の立場のメディア(朝日等)が発表した公演中止理由:チケット販売不振
 関係者によると、チケットの売れ行きが低迷し、採算が取れなくなったという。アイーダはイタリア・ベローナ劇場で100年続く野外オペラ。フルオーケストラを使い、本場の舞台装置を丸ごと持ってくる計画で、3日間で約10万人の集客を見込んでいた。
(現地のアレーナは、観客収容数16000といわれていますが、1万前後は入ればいい方で、ちなみに昨年、ヴェローナ市をあげての一大イベント"アレーナ・ディ・ヴェローナ 2012 “LO SPETTACOLO STA PER INIZIARE”(2012.6.2)"の観客動員数は13000と報じられている)

・主催の「オペラアイーダ実行委員会」の公演中止理由:準備が間に合わない
 開催の準備が予定の日程までに整わないため、中止となりました

・主催の「読売新聞社」の公演中止理由
 韓国企業などで構成される実行委員会の事情によるもの

 しかし、読売新聞社の「ひとごと」みたいな理由はなんでしょう。しかも「諸般の事情により」ではなくわざわざ「韓国企業」名指しはなにを意味するんでしょうか。東京ドームで開催するため、読売新聞社が名前を貸しただけとでも言うんでしょうか.....確かにオペラアイーダ実行委員会=KBSメディア / ソウルオペラクラシックですから韓国一色、でもそれは最初から分っていたことじゃないですか。
 6月20日に唐突に「100年続く野外オペラが、まるごと日本にやって来る」と発表されましたが、歌手で自分のスケジュールにちゃんと書き加えたのはロベルト・アラーニャだけ、チェドリンスもウルマーナも予定に入れていませんでした。ラダメスのアラーニャ以外は、ヴェローナのアイーダに出演した歌手たちをとりあえず並べただけのようです。だいたい9月8日まで、ヴェローナで夏の音楽祭が行われていて、9日後の17日に東京で公演って可能なんでしょうか。オーケストラ、合唱団、バレー団、スタッフ…総勢400名以上って、無理でしょう。ということはチケット販売の不振よりもそもそも計画自体に無理があったような。それに28日にはArena di Verona の アイス・ショー"Opera on ice 2013" が開催されますし.....本当にヴェローナからオケとか合唱団とかバレエ団を呼び寄せるつもりだったのか.....それに彼らは専属なの? 他の劇場が協力していたりの寄せ集めじゃないのかな.....だとしたら、ソリストはともかくオケとか合唱のメンバーを集めるのが難しかったんじゃないですかねぇ。

 韓国ではこんなこともありましたよ.....2組4公演を計画していたが、チケット販売の不振により1組2公演になりました。この時削られた公演にチェドリンスが出演予定だったんですよ....
その時の記事:
オランジュ音楽祭の「ボエーム」ソウルで公演 (2012.8.28と9.1) 延世大露天(野外)劇場でマイク無し!の公演を実行:ゲオルギュー&グリゴーロ
グリゴーロとゲオルギュー:ソウル 延世大学校(Yonsei University) 野外円形劇場で「ボエーム」(2012.8.28と9.1) ☆台風上陸で28日の公演は30日に延期 ☆ また雨で延期 9月1日と2日に...☆ 2公演とも無事終了

参考:
公演名: 2013 Opera AIDA in Tokyo Dome from Arena di Verona
公演日: 2013年9月17日(火)、18日(水)、19日(木)
会 場: 東京ドーム
主 催: 読売新聞社、 オペラアイーダ実行委員会(KBSメディア / ソウルオペラクラシック)
後 援: J-WAVE
特別協力: 東京ドーム
制作・運営協力: ウドー音楽事務所 / ALIVE
公式HP:http://www.veronaaida.jp/
出演: 演出:フランコ・ゼフィレッリ 指揮:ダニエル・オーレン(アレーナ・ディ・べローナ常任指揮者)
出演:アレーナ・ディ・ベローナ管弦楽団・合唱団・舞踊団/ロベルト・アラーニャ(ラダメス)/フィオレンツァ・チェドリンス(アイーダ)/ヴィオレータ・ウルマーナ(アムネリス)/アルベルト・マストロマリーノ(アモナズロ)/ほか

◎チケット料金: 東京ドーム:7万円〜8千、Arena di Verona:約2万7千円〜3千6百円
東京ドーム9月17,18,19日
VVIP :¥70,000
VIP :¥50,000
R席 :¥30,000
S席 :¥18,000
A席 :¥8,000
読売ファミリーサークル(年会費1365円):無料   
 但し、満席の場合は入場不可
アレーナ・ディ・ヴェローナ9月8日アイーダ
正面A席 :201€(26,130円) 1€/130円換算  
正面B席 :171€ (22,230円)
正面C席 :133€ (17,290円)
正面階段A席 :108€ (14,040円)
正面階段B席 : 85€ (11,050円)
階段A席 : 32.5€(4,225円)
階段B席 :28€(3,640円)
特典:
VVIP 特典:記念チケット、専用シート、無料バーカウンター、プログラム、クッション
VIP 特典:記念チケット、専用シート、プログラム、クッション
R席 特典:記念チケット、専用シート、プログラム

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