SSブログ

"冷たい手 Che gelida manina"の半音下げの移調は誤摩化し、賞味期限のつけかえみたいなもの... [テノールの高音]

★2009年7月25日追記:
 プッチーニが書いた楽譜通りに歌った"冷たい手"の録音がありました!  guuchokipantenさん情報ありがとうございます。
 さてこの録音ですが、実演ではなくピアノ伴奏なので、どういう経緯で歌ったのかは不明.........一応音声ファイルをアップしますが、超ヒストリカルですので、覚悟をして聞いて下さい。右下の楽譜通りです。
 半音下げは別問題として、今現在普通に歌われているものは、ラ♭→ドに上げるちょっと小さめに書いてあるoppureの楽譜の方なんです。こちらの方が、クライマックスにふさわしいし華やかになるし、テノール歌手としては、ラ♭→下降して終わるオリジナルよりこの"oppure"を選びたくなるということです。この録音がピアノ伴奏なのもうなずけます。これを舞台でやったら、拍手をもらえないだけでなく、レタスが飛んできたり、猫ちゃんが天井桟敷からパラシュートをつけて舞い降りて来ないともかぎりません。
 プッチーニが「ハイCに不安があるなら、わざわざ"oppure"で歌わんで、オリジナルで歌ってよ....」と言っても、そりゃ無理でしょうね。この録音を聞いての感想は、やっぱり、ここは『現場の知恵』の移調で対処して頂いて結構です....ということになるんだな....と思いました。でも、誤摩化されるのは嬉しくないですから、半音下げる場合は、堂々とプログラムにでも書いて下さいと言いたいですね。

1899年録音:Giovanni Cesarini(1860?〜??)
《ボエーム》の初演は1896年2月1日トリノ
***************************************************************
以下2009-01-09の記事です。

先日の記事、★ロドルフォのアリア"Che gelida manina"の半音下げ についての続きです。

 一般に歌曲は、声域に合わせて移調して歌うことが許されていますが、オペラのアリアは、オリジナルで歌うのが基本ということになっています。
 ところで、ドミンゴは「《ボエーム》と《トロヴァトーレ》《ファウスト》では、アリアを移調することにしている」と公言しています(テノールに要求される高音について)。とはいえ、舞台でのことで、録音ではオリジナルで歌っているようです。高音が出ないわけではないが、失敗する確率が高いので、舞台では避けているということでしょうか。しかし、《トロヴァトーレ》は、実際の楽譜にはない高音(ハイC)に上げて歌うのが慣例になっているだけなので、オリジナル通りに歌えばいいだけであって、移調するのはどうなんでしょうね。このへんが、クーラとは違って、ドミンゴのなんというか要領のいいところかな.....
 たとえば、『日伊コンコルソ概要』には、「オペラ・アリアは原則として原調とする。ただし、慣例的に移調されているものは認める」となっていますが、この《ボエーム》と《トロヴァトーレ》のアリアの移調は慣例的なものなんでしょうか.....そうは思えないんですけど、ご存知の方がいっらしゃいましたら教えて下さい。

続きを読む


nice!(0)  コメント(21)  トラックバック(1) 
共通テーマ:音楽

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。