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パリ国立歌劇場の「ボエーム」も2人のロドルフォが4人に....穴埋めにグリゴーロの名前も..(2014.11.29) [オペラの話題]

◎15日のレポートをパリ在住の助六さんがコメントしてくださいました。下のコメント欄をご覧ください。

gri_boheme_2014parigi.jpg
(2014.12.19)

NOP_rodolfo2014.jpg メトの「ボエーム」と同じようなことがパリでも....メトはラモン・バルガスの病気による降板、パリ(バスティーユ)の「ボエーム」は、理由不明ですが、A組のロドルフォ Khachatur Badalian(Khachatur Badalyan)、が全公演降板して、その穴埋めに4人のロドルフォが調達されました。なんとその中にヴィットリオ・グリゴーロの名前が.....

 こういっちゃなんですけど、なんなの、このわけのわからない布陣は.....ピッタスが全部歌っちゃえばいいじゃないの。メトは、とりあえず、全員、私でも名前くらいは知っているロドルフォ君たちですが、降板したKhachatur Badalyanって、期待の新星なのかしら? 私全く存じ上げませんが。Abdellah Lasriもですけど、モロッコ出身のオペラ歌手ですって....モロッコってフランス領でしたっけ。シーズン発表では下記のように二人のミミに二人のロドルフォで全14公演を7公演づつでした。

マルティネス & BadalyanのA組:11/30, 12/2, 4, 6, 9, 11, 13
カベル & ピッタスのB組:12/15, 18, 21, 23, 26, 28, 30

Khachatur Badalyanが全公演から消えたため二人のミミ、4人のロドルフォPiotr Beczala, Dimitri Pittas, Abdellah Lasri, Vittorio Grigoloになりました。

Ana Maria Martinez & Piotr Beczala:11/30
Ana Maria Martinez & Dimitri Pittas:12/2, 6, 11, 13
Ana Maria Martinez & Abdellah Lasri:12/4, 9
Nicole Cabell & Vittorio Grigolo : 12/15, 18, 21
Nicole Cabell & Dimitri Pittas : 12/ 23, 26, 28
Nicole Cabell & Abdellah Lasri : 12/30

 それにしてもグリゴーロが引き受けるとは。12月13日までロンドンで「愛の妙薬」なのに。しかも12月16, 18日のケント・ナガノ指揮、モントリオール交響楽団のクリスマスコンサートをスケジュールの調整ミスとかの理由で11月19日に突然キャンセルしてます。まさか、パリの「ボエーム」のためにキャンセルしたんじゃないですよね。モントリオールをキャンセルしたから、パリ国立歌劇場に頼まれたんですよね。それに1月12日からはメトで「ホフマン物語」がはじまるのに、12月21日までパリって忙しくないのかな。(12.1現在、本人発表はありません 12/5公式HPに出ました)

メモ:
・Khachatur Badalian(Khachatur Badalyan):オセチア共和国の首都ウラジカフカス、1982.5.9生まれ、「ホフマン物語」でマリンスキー劇場でデビュー、2012年同劇場のソリストとなる
・Abdellah Lasri :モロッコ出身 1982年生まれ

関連記事:メト2014-15シーズンの「ボエーム」(2014.9.23〜2015.1.24) どこまで続く...ころころ代わるキャスト(2014.11.26)

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コメント 4

助六

このミラー演出のボエームは95年プレミエの古いプロダクションですから、もう何度見たか分からず今回のキャストには特に興味を引かれる人もいないのでどうしようかと思いましたが、まあ嫌いなプロダクションじゃないしボエームは何度聞いてもいいので、クリスマス・プレゼントのつもりでキャベルとピッタスの出演日の切符を取っておきました。
バダリヤンというテノールについては何も知りませんし(オセチア出身とは言っても名前の示す通りアルメニア系のようですが)、ピッタスにも特に興味はないけれど、マルティネスは余り好みじゃないので消去法でキャベルを取ったわけです。ただ未知の若い歌い手さんを聞くのは楽しみではあります。
バダリヤンのキャンセルを埋め合わせる寄せ集め陣営にグリゴーロ登場にはちょっと驚きました。聞きたいとは思ってますが、チケット持ってないのでどうなりますか。
09年12月のバイエルンのシャンゼリゼ公演でのハーテロスとグリゴーロによるボエームはもう素敵な思い出になりました。ハーテロスは今ではソプラノ界のトップ・クラスにまで行ってしまいましたし。

ラスリはフランスでは最近評判を耳にする人で、2月にアラーニャの裏配役で1回だけ歌ったバスティーユのウェルテルや7月に急な代役で歌ったバスティーユのロドルフォなど聞いた仏人常連さんの評判は軒並み上々、スタイリッシュな歌を歌う人のようです。
私も興味引かれてますが、チケットの問題もあるし、このボエームをまた3度も見るのはさすがにちとシンドいので成り行きで。

アラブ諸国出身のオペラ歌手は確かに珍しく、他にはアルジェリア出身のソプラノ、ブラヒム=ジェルルが思い付くくらいでしょうかね。彼女はすでに立派なキャリアがあるリリックなソプラノで、まあ美人さんだし、シャンゼリゼでやったヤコープス指揮の「ポッペア」ではセクシーな演技も見せてました。なかなかいい歌い手さんです。
モロッコはフランスの元保護領で事実上の植民地だったし、アルジェリアは全くの植民地でしたから、ブラヒム=ジェルルは仏国籍も持ってるようです。
by 助六 (2014-12-08 14:18) 

keyaki

助六さん
>バダリヤン
直前のキャンセルのようなのに、病気という発表がないので、自己都合なのか、なにかのトラブルで降板させられたのか.....興味津々なんですけど、ご存知ないんですね。
A組の主役に抜擢するくらいですから、劇場側は、期待の新星として売り出すつもりだったんじゃないですか? 「ルサルカ」には出るつもりなんでしょうか。

>ラスリはフランスでは最近評判を耳にする人
交流ブログの方のレポートによれば、素晴らしいロドルフォだったそうです。

>このボエームをまた3度も見るのはさすがにちとシンドい
せっかくですから、グリゴーロ、ピッタス、ラスリのロドルフォを聞き比べもいいんじゃないですか?

by keyaki (2014-12-08 15:02) 

助六

keyakiさんが背中を押して下さったお蔭で少し元気が出、結局9日にラスリ、15日にグリゴーロを聞きました。

ラスリの日はチケットは問題ありませんでしたが、グリゴーロの日は彼目当ての客が目ざとく駆けつけてて当日売りは結構小ラッシュでした。フランスではまだ大スターにはなっていないけれど、一定の集客力を獲得してるんですね。

ラスリはやや評判先行の感。パリ国立音楽院の学生公演の頃から関係者には知られていたそうで、確かに芯もプロジェクションも力強さもあるしっかりした声で音色もまあ魅力的。キャリアの現段階では注目を引く将来性豊かな才能とは思いますが、今のところ表現も音色の使い分けもかなり一本調子で、フレージングも「エレガント」には程遠く、高音のピアノはかすれたりと安定性もベストではない。
並み居る過去の名歌手の記憶の間に入ってしまうと、中の上あたりかなというのが正直なところでした。

相手のマルティネスは今までマリア・ボッカネグラ、ルイザ・ミラー、アントニアで聞いてあまり感心しなかったんですが、今回もヴィブラートは気になったけど3幕の2重唱と終幕幕切れでは強い声で豊かな情感を示し、初めて引き込まれて聞きました。「Addio senza rancor」の末尾は感動あふれる見事なディミヌエンドを聞かせてくれちょっとビックリ。

それでグリゴーロは、ちょうど5年前にシャンゼリゼでロドルフォを聞いた時と基本的印象は変わりませんでした。1幕で「女だ」と慌てて髪を整える演技も同じ。強調感の強い歌唱が意外だったのも5年前同様。
09年9月フェニーチェのアルフレード、13年9-10月バスティーユのエドガルドに加え09年12月チューリッヒの彼には重たい「海賊」でさえ無理強いしない端正な歌唱に感心させられましたから。ロドルフォ役の音楽書法や彼自身の役作りと関係があるのかも知れません。
強調感が声の限界を一瞬垣間見させながらも、前半中声域低部が響かなかった以外破綻は一切示さず、豊かな表現力と音色の使い分けによる様式感確かな歌で自在に役を構築していく闊達さも5年前通りでした。
カーテンコールで両手を大きく上げ片膝ついて喝采を受けるジェスチャーもいつも通りでしたが、大げさになるのは避けてる感じも受けました。
表現と情感の豊かさはラスリにはるかに優っているのは、キャリアの厚みからして当然でしょう。ただラスリの方がより力強さのある声で、無理を感じさせない歌を歌いますね。ラスリは将来よりスピントな役に進出していける声と思います。

「Che gelida manina」は両人とも原調、1幕終わりはグリゴーロはハ音に上げてましたが、ラスリは譜面のままでした。

グリゴーロの相手役のキャベルは初めて聞く人でしたが、マルティネスと違ってまるで軽い声で、音色もニュアンスも貧弱でややガックリ。3幕では人並みに情緒ある歌だったのがまあ取り柄。

グリゴーロが一番の喝采をもらってましたが、キャベルも殆ど劣らぬ拍手を受けてました。

このバスティーユのミラー演出ボエームでは10人以上のテノールにぶつかりましたが、やはり中では私にはアラーニャとグリゴーロがトップクラスということになります。

今年14年はこのプロダクションでゲオルギュー、ハルティッグ、マルティネス、キャベルと4人のミミを聞くことになりましたが、ハルティッグが一頭抜けてると思いました。ゲオルギューは01年11月に同じプロダクションでアラーニャと一緒に歌った時は大変優れたミミだったけれど、13年後の今は声が下降線ですね。

残るピッタスの出演日はチケット持ってるので行ってみるつもりではいますが、成り行きで。
by 助六 (2014-12-19 21:33) 

keyaki

助六さん
ありがとうございます。
13日にロンドンで「愛の妙薬」を歌って、15日にはパリで「ボエーム」なんて、よく引き受けましたよね。ロドルフォをレパートリにしているテノールなんて山ほどいると思いますけど。
NOPはROHに比べてサービスが悪いというか、舞台写真もビデオもほとんどないし....で残念なんですが、ホームページの写真がグリゴーロとはっきり分かる舞台写真に代わっていました。少しは、集客に影響があると思ったのかしら。

ロンドンは、おそらくPopera時代のファンがいるので、カーテンコールも派手にやっているのかもしれませんね。ロンドンでは・ヴィットリオ・グリゴーロのカーテンコールは、それ自体がエンターテイメントだ」と書いた評論家さんもいますし。

メトのボエームも同じような状況ですが、ゲオルギューが何年振りかに戻って来たというのも話題のようです。ゲオルギューのお相手のロドルフォは、グリゴーロとはなにかと因縁のあるマイケル・ファビアーノ、助六さんもご覧になっていますが、2013年のルチアでBキャスト(ヨンチェヴァ&ファビアーノ)のエドガルドだった若いこわもてのアメリカンです。
ゲオルギューは、2012年のスカラ座ではもう終わった...みたいに言われていましたが、今年の7月にロンドンでグリゴーロとミミを歌った時には、絶好調だったそうです。イギリス各地で実況中継されたので私も映像を手に入れましたが、うまいなと思いました。

ピッタスの感想も楽しみにしています。
by keyaki (2014-12-20 00:43) 

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