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(メモ)ニキーチン両胸にナチス関連シンボルの刺青 バイロイト音楽祭「オランダ人」クビ に [オペラ歌手]

◎「オランダ人」の指揮者ティーレマンのこの件でのインタビューが掲載されています。Bayreuth-Dirigent zu Nikitins Nazi-Tattoo 「鉤十字はバイロイトだけじゃなくてどこでもダメ、オーストラリアのような遠い国でもね。舞台でもナチの軍服なんかも見たくないね。まったくうんざりだよ....」みたいなことを言ってます。バイロイト側は本人に確認したけど、事実を言わなかったので、バイロイトは騙されたかたちみたい.....(追記)

 今までオペラ歌手さんのキャンセルについていろいろとりあげてきましたが、前代未聞の降板(させられ)事件。バイロイト音楽祭のタイトル・ロールに抜擢され注目されたために起こったわけですが、今後何ごともなく劇場・観客に受け入れられるのかどうか.....経緯を残しておきます。

 2012年バイロイト音楽祭が7月25日からはじまります。まず新制作の「さまよえるオランダ人」、タイトルロールは、ロシア人バス・バリトンのエフゲニー・ニキーチン Evgeny Nikitin(1973 - ロシアのムルマンスク生まれ)、なんでもバイロイト初のロシア人歌手(そうなの?意外です...)ということで大いに注目されていたのですが、7月21日突然の降板、主催者と歌手双方話し合いの上の決定のようですが、つまりはクビです。理由は、めちゃくちゃいっぱいある刺青の図柄の一つ(右胸)が、今は上から塗りつぶして分かりませんが、ナチスのシンボルの鉤十字ハーケンクロイツだったのがばれちゃったからなんです。しかし、開幕四日前ですよ、バイロイト側は、晴天のへきれき大慌てだったでしょうね。それまでは、ニキーチンの刺青まで宣伝に利用していた節もあるようですから。クビになるまでの経緯を時系列で
1.2年前の夏にカタリナ・ワーグナーとクリスチャン・ティーレマンからオーディションに招待される
2.バイロイトではじめてのロシア人歌手として「オランダ人」出演決定 (全身の刺青をメイクさんに写真で提出)
3.7月20日、ドイツ公共放送ZDFが、文化番組「aspekte」でニキーチンのインタビュー番組"Heavy Metal in Bayreuth"を放送 (問題になった映像は、2008年のロシアのテレビ番組からの抜粋)
4.7月21日、バイロイトが、ニキーチンを降ろした事を発表、理由は、上塗り(なぜ上塗りなのかは不明)したとは言えナチスのシンボルの刺青をしていたこと
5.ニキーチンは、ナチスのシンパとかネオ・ナチとかを否定、若気の至り、無知でした....と弁解


nikitin_tattoos.jpgnikitin_tattoos2.jpg

 左が問題の右胸のデザイン、今現在は右の写真のようになっています。いつどういう理由で塗りつぶしたのかは、分かりませんが、派手にしたかっただけのような感じもします。「若気のいたり無知だった...」というなら消すべきではないでしょうか。真ん中の↑マーク(ルーン文字で"Tyr"北欧神話の軍神)が増えていますし.....
 左胸の三角の中に鳥の足のようなマークはなんなのか気になりますが、どうやらこれもナチス関連のマークで、レーベンスボルン(生命の泉協会、最終的には碧眼金髪の赤ちゃんをさらったりした)がシンボルに使っていたルーン文字だそうです。
 つまりナチスもニキーチンもルーン文字に惹かれたってことで、それでニキーチンがナチスってことにはならないのですが......ドイツでは、特にハーケンクロイツは法律で禁止されているそうですから.....いずれにしろ、今回のスキャンダル、バイロイトにもニキーチンにも大きなダメージだと思います。

 私は、今回の降板劇で、ニキーチンが全身刺青男だと知ったわけですが、不気味な刺青に吃驚というかあきれてます。1989〜1991年頃に刺青を入れたそうですが、手の指の第2関節まで入れちゃって.....これってナチスと関係なくオペラ歌手としてどうなんだろう.......オペラで刺青があっていい役なんてあるの? オペラ歌手を志した時点で、刺青は消さないと劇場にも観客にも迷惑でしょう。見えない部分にちょっとだけにしておけばいいものを.....やり過ぎ.....舞台写真をいろいろ見ましたが、明らかに刺青隠しのための手袋もありますよ。これだけ目立つ刺青だと、今までもお断りの劇場もあったのではないかな.....結果的に刺青なんかでチャンスを棒に振って悔しくないのかな.....オペラ大好きじゃなくて、刺青大好きみたい(増えてるし、自慢してるし).....オペラ歌手は「歌」で勝負なんていうのとは次元が違うと思います。

参考記事のリンク:
Swastika tattoo prompts Bayreuth star to cancel 詳しい
telegraph SS Lebensborn projectについての記載
news.com.au  Nikitin's tattoos include the so-called "Tyr" and life runes worn by members and volunteers of the Nazi's SS.
Evgeny Nikitin is Bayreuth's new Dutchman Nikitin: "My body is my passport" クビになるまえ7/13のインタビュー記事
Symbolic weight 2008年にニキーチンがロシアの雑誌に書いたエッセイの英訳有り、彼のメンタリティーがわかる(全く共感できない)...刺青のことも書いてある....
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コメント 2

euridice

スキャンダル〜ですね。ティーレマンは金曜日にカタリーナからの電話で「シッテル?!」って起こされたとか。で、演出家にたぶんこっちも「シッテタ?!」と質問。演出家答えて「スワスティカの刺青はないだろうね?と確認した。ない、全くないという返事だった」ティーレマン曰く「この答えは不誠実だ。本当のことを答えてない。あったけど塗りつぶしたと答えるべきだ」なんて記事がありますね。すべてが十代の刺青でなくいい年になってから加えられたのもけっこうあるとか。たとえば、問題になったドラムたたいている写真には今はある胸中央の↑マークはないですね。

刺青自体はとりあえずOKとしても、あんまり気持ちいいものではないですね。「ない場所をさがすほうが大変」なんてレベルのはなおさらです。
以前両腕にびっしりの学生(ドイツ人 ミュンヘン子だったかな?)がいたことがありましたが、最初はギョッとしました。たぶん胴体部分にもあったんでしょうねぇ・・すごいね!と言ってあげたけど、自慢そうではなかったですよ。やっぱりいろいろ不利に働くことのほうが多いのではないかと思います。


by euridice (2012-07-24 15:09) 

keyaki

euridiceさん
ほんと....なんか無知なのか世間知らずなのか....
下手に隠して、墓穴を掘っちゃったってことですね。

結局最初は完璧ハーケンクロイツだったのを徐々に上塗りしていって左の写真が上塗り途中で右が完成品。

>すべてが十代の刺青でなくいい年になってから加えられたのもけっこうあるとか。たとえば、問題になったドラムたたいている写真には今はある胸中央の↑マークはないですね。

そうですよ。ロシアってオペラ歌手の刺青は普通なの? 役者としては失格でしょうに。それに、彼自身が誇示しているのも不愉快。

先日、電車で前に立った若い女の背中からコブラの頭が覗いていて気持ち悪くなりました。どういうつもりなのか理解できません...日本では、プールとか温泉とか規制しているようですけど、刺青はこのまま日陰の身でいて欲しいです。
by keyaki (2012-07-24 16:20) 

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