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l'opera"12月号 No.253:スカラ座《カルメン》 メト《リゴレット》《ホフマン物語》 [オペラ関連書籍&雑誌]

 今頃12月号が届きました。興味のある公演を2、3拾ってみました。新国でエスカミーリョとフィガロを歌ったロシア人歌手アレクサンドル・ヴィノグラドフがエスカミーリョを歌ったスカラ座の《カルメン》、もしかしたら劇場デビューかしら。イタリアのオペラフォーラムでは酷評されてましたが、どうでしょうか。あとは、日本でも人気のテノール、フランチェスコ・メーリの《リゴレット》、フィリアノーティの《ホフマン物語》メトの公演です。

★ミラノ・スカラ座《カルメン》2010.11.2
「ジプシーだけが残った......スカラ座《カルメン》秋の再演、グスタヴォ・ドゥダメル指揮、全面的に説得力無し」

 2009/2010スカラ座開幕公演の《カルメン》の再演、主要キャストのうちカルメンだけが同じアニタ・ラチヴェリシュヴィリAnita Rachvelishvili(1984- )でした。開幕公演では、カルメンは全くの新人でしたので、ドン・ホセのヨナス・カウフマンとエスカミーリョのアーウィン・シュロットが売りの公演だったわけですから、指揮者が、今話題のドゥダメルというだけでソリストの知名度もレベルも下がった公演になってしまったわけです。オペラの楽しみは歌手あってのものだと思いますけど、観光客でも来てくれればいいや....ということなんでしょうか。アレクサンドル・ヴィノグラドフのエスカミーリョの部分だけ抜粋、これを読めばあとは推して知るべし。
「ヴィノグラドフAlexander Vinogradovについては、すでに昨年の夏のマチェラータ音楽祭の《ファウスト》のメフィストで不満を述べたが、否定的な評価を再確認するしかなかった。悪い発声によるむちゃくちゃな大声、アペルト(開いた)で下品で間違いだらけのフランス語。私たちが思い描くセクシーで魅力のある役は、ほとんど風刺漫画だった。忘れたいほど。」

6月には《ロメオとジュリエット》で、ヴィットリオ・グリゴーロと共演なんですけど......フランス語が苦手なのは困りますね。

★メト《リゴレット》2010年10月8日 あるいは14日の公演
 リゴレットのグルジア出身のバリトン、ガグニーゼ George Gagnidze は、今回はよくなかった....目を閉じて聞いているとスカルピアみたいだし、ジルダのシェーファー Christine Schäferは、声量がなく、イタリアオペラとしてのテクニックも不十分....さて、これがメトデビューとなるメーリ Francesco Meli はどうだったんでしょう。

「テノールのフランチェスコ・メーリは、公爵役でメトデビューだったが、期待された結果を達成できなかった。舞台姿も良く、テノール・リリコの心地よく、暖かい音色を持っているが、あやふやな"Questa o quella"の後、ジルダとの二重唱は、1オクターブ下がって終わり、"Parmi vedere le lagrime"は、息を詰まらせ、カバレッタ"Possente amor"の高音もなく、イタリアオペラの最も良く知られたアリア"La donna e mobile"を歌い終えた時、異例なことだが、会場は、完全な沈黙が続いた..........要するに記憶に残るような公演ではなかった。シーズンの後半で、別キャストでこの傑作の別バージョンを見ましょう。」

調子が悪い時があるのは当たり前ですが、ムラがあるというか、出来不出来の差があまりにも大きいということでしょうか。メーリは、メトの観客の反応がショックだったのか、同シーズンの《椿姫》でアルフレードを歌う予定でしたが、全公演キャンセルしました。
Madokakipさんのブログに、初日、9月29日のレポートが掲載されています。リゴレットはラド・アタネリです → RIGOLETTO (Wed, Sep 29, 2010)

 メトでは同時期にジュセッペ・フィリアノーティが、《ホフマン物語》を歌っていますが、"Bravo!"という評価でした。クリックすると写真と記事にリンクしています。フランス語のオペラですが、イタリア人テノールの面目躍如というところでしょうか。10月のグリゴーロの《ボエーム》も大好評でした。グリゴーロとメーリは劇場デビューでしたが明暗分かれました。

関連記事:
イタリアのオペラ雑誌 "l'opera"9月号 No.250:バレンシアの《カルメン》 マチェラータの《ファウスト》
ミラノ・スカラ座2009-2010シーズン発表:これでも腐っても鯛....なのか....
ミラノ・スカラ座 2010-2011シーズン《ロメオとジュリエット》:グリゴーロ&マチャイゼ

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コメント 4

Kinox

なるほど。
メーリのメトは本当に残念です。いいものを持っている人なので、個人的には頑張ってほしいです。カウフマンの逆パターンを行って、イタリア人ですけれど、シューベルトやマーラーなんかを専門にしたほうが本当は合ってるんじゃないかな、なんて勝手に思ってますが...
貴重な情報ありがとうございます。 楽しみに読ませていただいています!
by Kinox (2011-02-02 04:02) 

keyaki

Kinoxさん
メトのリゴレットは聞き逃しましたが、YouTubeにアップされているのを見ると、見た目もおどおどしていて公爵らしくないし、歌もよくない....向いているとは思えません。なんでメトデビューが公爵なのか...ですね。
レパートリーについては、歌手自身が一番分かっていることだと思いますから、あれも歌うな、これもまだ早い....なんてことは言うべきではないと思いますが、本当に12月にマンリーコを歌うつもりなんでしょうか.....

by keyaki (2011-02-02 22:37) 

osamu

Aヴィノグラドフがスカラ座デビューとはすごいですね。彼はバスにしては重い声ではないし体も小さいのでレパートリーを急がずにまずモーツァルト、ドニゼッティ、ロッシーニで十分に固めていったらよいと思います、フィガロやレポレロは合っているのでしょうし。Mパラッツィのレパートリーに近い様も思いいます。Fメーリもヴェルディは早いかもしれません。
by osamu (2011-02-04 16:15) 

keyaki

osamuさん
このクラスの歌手は、来るものを拒まず歌わないとやっていけないのではないかと思います。スカラ座デビューも良くない評価ではよくないでしょう。
トリエステで「2人のフォスカリ」のロレダーノをやったようです。公演自体は、なかなかいい公演のようですが、ロレダーノについては、特別注目すべき歌唱ではないようですので、オペラフォーラムでも話題にはなっていないようです。ただ、「見た目テノールのバス歌手」というように書いてあるのがありました。

>Mパラッツィ
アヴィニヨンのルチアでライモンドを歌った、バスさんですね。似たタイプですけど、彼は、割と無理のない役、小さい役に徹しているようですね。
by keyaki (2011-02-04 20:28) 

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