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新国立劇場《愛の妙薬》リーフレット 石戸谷 結子のエッセイ読んだ人いますか.....添削しましょう.... [オペラの話題]

 「愛の妙薬」、それは「声」  石戸谷 結子(音楽ジャーナリスト) リーフレットを捨てた方は、新国のウェブサイトでもまだご覧頂けます(下の画像をクリック)。
 このタイトルを見て、《愛の妙薬》はベルカントオペラだから「声」が重要....その通り...と思いましたが、筆者は、全く別のことを考えていたようです。

 このエッセイ、かなりまずいんじゃないですか.....新国さん....こんないい加減というか、完璧間違いもありますよ.....リーフレットの編集者はちゃんとチェックしてますか.....音楽ジャーナリストが書いたとは思えない内容です。オペラ初心者向けだから何を書いてもOKとたかをくくっていませんか。

このエッセイで私がひっかかったのは次の3カ所

1.「パヴァロッティを想わせる、澄んだ空のような明るく軽い声質の持ち主.....」
ネモリーノを歌う歌手にはこう書くと決めている常套句なのか、カレヤにもそんな声の時期があったのか.....

2.「実は今回、ネモリーノが恋い焦がれるアディーナを歌うのがタチアナ・リスニックだが、彼はカレヤの奥さん。夫妻共演というなかなかエキサイティングな舞台になる」
昨年6年間の結婚生活が破綻、正式に別居(離婚)しているようです。新国と出演契約をしたときは夫婦なので、夫婦だと書いたことは大目にみてもいいかどうかですが、これは、音楽ジャーナリストという肩書きで仕事をしているプロですからダメでしょう。このエッセイを書いたのがいつかは知りませんが、2009年11月25日には、別居(離婚)しているということが分かるインタビュー記事が配信されています。いくらでも書き直す時間がありますし、だいたい、夫婦共演だから「エキサイティングな舞台になる」なんて内輪ネタのようなことを書く必要がどこにあるんでしょう。

今までの二つは、「石戸谷さんってその程度でしょ....いつものことじゃないの...」とオペラ好きの友人たちに言われそうですが、3番目は、かなり初歩的間違いで、しかも《愛の妙薬》の筋を知らないのではないか、あの「人知れぬ涙」の内容も理解してないのではないか、これで音楽ジャーナリストとか音楽評論家なんですか、というような大きな間違いです。

3.「そして2幕の幕切れ近くになって、ネモリーノは哀愁に満ちた旋律のアリア「人知れぬ涙」を切々と歌う。これを聴いたとたん、アディーナの心が大きく動く。......」
ここまで勝手な解釈ができるということは、話しの筋さえ把握できていないのではないかと思います。「アディーナの心が大きく動く」のは、ドゥルカマーラから「妙薬」を手に入れるお金ために、ネモリーノが入隊したことを知らされたからです。(ちなみにリーフレットの超簡単「あらすじ」にもちゃんと書いてあります)
「人知れぬ涙」は、アディーナがふと目に浮かべた涙を見て、彼女は僕のことを愛してくれているんだ....死んでもいいくらい嬉しい!....と歌う歌です。このアリアをアディーナが聞いて心を動かされるわけではありません。

 私は、ここ十数年音楽雑誌は読んでいませんので、最近の音楽評論家とか音楽ジャーナリストがどんなことを書いているのかは知りませんが、居ながらにして情報収集できる世の中になってるのに、相変わらずなんですね。活字になる...ということを軽くみすぎているのではないでしょうか。
 以前、交流ブログでも話題になったオペラ歌手紹介本の"ジークフリート・イェルザレム" の項目に、「ジークフリート・イェルザレムの夫人は数年前に亡くなったルチア・ポップ」なんて吃驚仰天の勘違い記述はいい例でしょう。この本はすでに絶版かもしれませんが、全国津々浦々の図書館においてあると思います。くだらないことだからどうでもいいなんてことはないですよ。くだらないことをわざわざ書いて、それが間違いだったなんて恥の上塗りですけど、執筆者は知っているんでしょうか.....。この執筆者は、これだけでなく、同時に「(ジークフリート・イェルザレムは、) ルネ・コロ、ペーター・ホフマンとともにヘルデンテノール御三家と言われたが、ホフマンがミュージカルに移り、年長のコロがほぼ引退したのち、現在もバイロイト音楽祭を背負って、トリスタンなどの重い役で奮闘している。」なんていい加減なことも書いてます。(29頁 ジークフリート・イェルザレムの項(井辻朱実執筆) オペラ名歌手201 オペラハンドブック編 新書館出版 2000.9.5初版)
ルチア・ポップは何回か結婚していますが、執筆者は、ペーター・ザイフェルトと勘違いしたのでしょう。

ついでに、もう一つ石戸谷氏について....
先日、NHKの放送で、チューリヒ歌劇場「トスカ」の解説をしていましたが、「ヨナス・カウフマンの追っかけをしています....」なんてミーハーぶり全開でしたが、ワイドショーじゃあるまいし、こういうことを公共の電波を使って言って欲しくないですね。そんなの解説と関係ないでしょう。NHKもレベル低過ぎ!
 『オペラ通として知られる音楽評論家の石戸谷結子さんがチューリヒ歌劇場「トスカ」の魅力をさまざまな角度から大胆に解説する。』とネットでも宣伝していますが、「オペラ通として知られる音楽評論家」って何ですか?

この辺でやめておきますが、音楽評論家とかジャーナリストという肩書きでものを書いている方たちは、私たち素人のオペラ愛好家に正しい知識、情報を提供して下さると信じていますので、くれぐれもその信頼を裏切らないで下さい。

メモ:
石戸谷結子経歴:1946年青森県生まれ。早稲田大学卒業後、音楽之友社に入社。『音楽の友』編集部を経て85年に退社。フリーランスの音楽ジャーナリストとして『FMファン』(91年までは橘ゆきのペンネームで執筆)、『BS ファン』『ヴァンサンカン』『ウィンズ』などを中心に執筆活動を行う。専門ジャンルはオペラ・声楽(2004.12.23記載)

関連記事:
音楽ジャーナリストは、どんな人がなるの? 石戸谷結子って!? 5年前にも怒りの記事を書いてました


参考:
For Joseph Calleja, tenor from Malta ......2009.11.25
Calleja Breaks Ice in New York 2010.1.17
新国リーフレット_elisir2010_4.pdf
新国リーフレット:石戸谷 結子のエッセイ
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コメント 12

Madokakip

これはいかんですね、、。
まず、1。私が初めて彼の声を聴いたのは石戸谷さんが初めて彼をお聴きになったという2007年より前の2006年で、
それから確かに声は重くなってはいますが、当時から、全然パヴァロッティとは違う声質でした。

こういうエッセイは公演を売り込むのが目的なのはわかりますが、
例えば、”ホフマンに抜擢され”というところも、正確には”ホフマンの代役に抜擢され”ですね。
もしヴィラゾンが好調だったら、カレイヤは歌っていなかったわけですし、
メトにプライマリーのキャストで抜擢された、というのとは少し意味が違います。

しかし、最初の点は感覚の問題、二点目は”でもそれが仕事ですから、、、”と言われれば、
譲らざるを得ませんが、本当に3、、、これは一体、、?
だって、”人知れぬ涙”は、言葉の中にも”彼女は僕のことを愛してくれている!”とあるではないですか、、!
石戸谷さんの説明だと、アディーナが本当に彼を愛し始めるのはこの後ということ、、?
それではあまりにネモリーノが間抜けではありませんか?
彼は少し頭が遅いという設定かもしれませんが、そこまで間抜けという設定ではないと思います。
by Madokakip (2010-05-03 01:59) 

keyaki

Madokakipさん
こんな短いエッセイなのに、突っ込みどころ満載...漫才にすれば面白いんじゃないかしら。

もう一つ、
「今 31才だが、リッカルド・シャイーに見いだされ....」
これも実際には、デッカの録音の時にデッカ側が組み合わせただけでしょう。
「今 31才だが、すでにシャイーの指揮でアリア集を録音している...」
というように添削したいですね。

このエッセイが新国のサイト上にアップされたときにはカレヤは、32才ですけどね。

”人知れぬ涙”という題だけから、ネモリーノが泣いていると思った....なんてそんなバカなことですが、石戸谷さんならあるかも.....ほんといい加減なミーハーおばさんのようですから。

数年前にも石戸谷さんのあんまりなレビュー?に記事を書いてました。
http://keyaki.blog.so-net.ne.jp/2005-05-12-1

今はカウフマンの追っかけだと公共の電波で嬉しそうに言ってましたが、コメントにありますが、「以前、NHKの教育テレビで作家の島田雅彦さんが案内役をした番組があったのですが、相手役が石戸谷さんでした。島田さんが好きな歌手として、ある大テノールの名を挙げたら、すかさず石戸谷さん「でも、あの人、足が短いんですよね」島田さんはさらりと「石戸谷さんは、顔で歌手を選ぶから」(「声で歌手を選ぶんじゃないから」だったかもしれません)と、かわしていましたが、私はテレビを見ていて、ひじょうに不快でした。こういう発言を公共の場で出来るということは、評論家である以前の問題ではないでしょうか? 」

相変わらずなんですね。こういう人が、干されもせずにのさばっていられるとは.......
by keyaki (2010-05-03 09:38) 

babyfairy

>NHKもレベル低過ぎ!

というよりも、あの放送局は教育番組などでは良いものもあるけれど、外国を扱ったドキュメンタリーや去年の「ジャパン・デビュー」シリーズなどの番組に関しては某国の中央電子台支局か?と思う程、劣悪で偏った内容だし、じゃあドラマは、と言えば、最近は韓流ドラマばっかり。

個人的には、これで国民から視聴料を徴収するだけでなく、血税迄も貰っている「日本の公共放送」と言えるのか?と思っています。




by babyfairy (2010-05-03 09:46) 

keyaki

babyfairyさん
オペラの放送に関しても一時期は、自分たちがいいものを紹介するという気構えがあったと思いますが、最近は、後追いで、しかもどこかの宣伝(大手レーベルとか)に協力しているだけというかんじですね。

良識も見識もない音楽評論家とは名ばかりの人にさせるくらいなら、オペラの解説なんかいらないですよ。そのままさっさと放送してほしいです。
by keyaki (2010-05-03 12:15) 

彩

ごぶさたしております。
見覚えのあるお名前を拝見して、つい一言書かせていただきたくなってしまいました(笑)。
いつぞや図書館でこの人の本を借りまして、それがあまりに抱腹絶倒大爆笑だったので、拙宅でネタにしたことがございます。
だって、《連隊の娘》がベッリーニのオペラになってたり、テノールのレパートリーに《コジ・ファン・トゥッテ》のグリエルモが入ってたり、ドン・ジョヴァンニの手下がフィガロだったり、だったんで。
私のような初心者がこれだけツッコミが入れられるってどうなのよ、というか、オペラの本でこれはまずいでしょ、ってどなたか言わないのかな~、と思ったもんですが・・・。
by (2010-05-03 18:59) 

keyaki

彩さん
それ、読みましたよ。あきれて最後の行を読み飛ばしちゃったのかも....石戸谷だったんですね。
しかし出版社もこういう恥ずかしいウソの垂れ流しに協力している共犯者ですけど、こういうのは消費者センターに苦情を言ってもダメなんでしょうね。(笑
一般的にはこういう人は淘汰されるはずなんですけど、しつこく生き残ってますね。音楽出版界で、他の音楽評論家とか音楽ジャーナリストがバカにみえないように飼っているのかしら。
by keyaki (2010-05-04 00:35) 

なつ

ご無沙汰しています。
石戸谷がこりずにまだウソ書いていると聞いて、久しぶりに書き込みさせて頂きます。
この人、音楽之友の副編集長だったそうですが、私はその話を聞いた時に思わず「副編集長ってあんなレベルでなれるんですか!?」と言ってしまいました。結局、この業界って、コネがあれば仕事がくるものなのでしょうか。
たわいもない話ですが、この人、歌手がスニーカーを履いている演出のことを取り上げた時に「ズック靴」と書いていて、笑っちゃいました。

もうひとつ、私が石戸谷を人間的なレベルで許せないことを書かせて下さい。コレッリの歌唱について「今聴くと、サシスセソの発音の摩擦音が気になるのだが」とか書いていたのすが、まずイタリア語に「サシスセソ」?という突っ込み入れたくなることは置いといても、腹立たしいのは、石戸谷がまるで自分で発見したように書いていること。
日本では1988年に音楽之友社から出版されているピエール・マリア・パオレッティ著『スカラ座の人』収録の1964年のフランコ・コレッリへのインタビューの中で、自分の録音を聴いて「上手くいかないSの擦過音」をコレッリ自身が反省しているというくだりがあるのです。
石戸谷がこれを読んで、さも自分が気づいたことのように装って、引き写しているのは明らかです。コレッリおよび読者をバカにするのもいい加減にしろ、です。

いい加減、こんなレベルのプロの物書きは、淘汰されてほしいのですが…。
by なつ (2010-05-05 17:04) 

keyaki

なつさん
こういう分野は、ほんと、まったく自浄能力がないようですね。
まさか、石戸谷 結子が今でもこんないい加減なおかしな文章を書きまくっているとは吃驚です。
こんな駄文を大きな字で「石戸谷 結子のエッセイ」って、新国もどうかしてますよ。抗議メールを送っておきます。
by keyaki (2010-05-06 03:18) 

りょー

わ。最低~。愛妙見たことないのかしら?!パクリが得意ならせめてちゃんと資料でも読んで書いたらいいのに。
心あるオペラファンならこの人がヘンなのはすぐに気付くでしょうけど、やたらオペラファン以外の人への露出度の高いところに出てくるので困ります。
今、部屋の片付けをしながら昔の記事をスクラップしているところなんですけど、あちこちに石戸谷(と堀内)が出てきて最初は笑ってられるんですけど、しまいには吐き気がするほど不快になります。音友のもと副編集長ですか。あきれちゃいますね。
by りょー (2010-05-06 23:44) 

ひろと

こんにちわ。
わたしもNHKの「トスカ」を観ておかしなことを言うなと思いました。
以前から気になっていたプロとアマについて書きましたのでTBさせていただきます。お気に召さなければどうか無視してくださるようお願いします。
by ひろと (2010-05-07 13:20) 

keyaki

りょーさん
本当に不思議な方ですよね。これで「オペラ通」って.....
NHKもどうかしてますね。それに「オペラ通として知られる音楽ジャーナリスト」って、全く意味不明じゃないですか.....

つう【通】= ある領域の趣味・道楽について精通していること

>あちこちに石戸谷(と堀内)
両人ともNHKおかかえみたいですね。
堀内が、自分の方がエラく見えるようにNHKに推薦したのかも....
by keyaki (2010-05-08 00:41) 

keyaki

ひろとさん
TBありがとうございます。

>NHKの「トスカ」を観ておかしなことを言うなと思いました
やっぱり、おかしいですよね。
まあ、石戸谷 結子の書いたものをちょっとでも読んだ人は、相変わらずだわ...で苦笑いってことなんだと思います。
お金をもらっているのにプロの自覚がない....ワイドショー感覚ですね。
NHKも解説といいながら、ただのおしゃべりコーナーのつもりなら、本当の素人さんを呼ん方が、ましだと思います。
by keyaki (2010-05-08 03:12) 

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