新国《愛の妙薬》2010.4.15 [オペラ生舞台鑑賞記録]
おぉ....いつものカーテンではなくて、素敵な色合いのパッチワーク風の紗幕が降りています。アルファベットが並んでいますが、なにか意味があるのかしばし眺めましたが、特別なにもないようです。この紗幕の雰囲気と、演出チームの趣味から、もうこれはポップ調のすっきりくっきり舞台ではないかという予感がしました。予感は的中で、舞台にはElisirの巨大文字と両脇には日独伊の「トリスタンとイゾルデ」の巨大な本、合唱団の衣裳は赤青緑黄色系、ソリストさんたちの髪の毛もネモリーノがニンジン色、アディーナがプラチナブロンド、ドゥルカマーラが緑、ベルコーレが紫ととても賑やか....ドゥルカマーラの登場は、馬車とかバスとかバイクとか....観客にとっては、どのように登場するのか楽しみでもあるわけですが、今回は、プロペラ機......
実は、私にとっては、《愛の妙薬》は、部分的には面白いところもあるのですが、たいくつなオペラとしての位置づけでした。はじめて面白いと思ったのが、DVDにもなってますが、リヨン歌劇場のゲオ&アラのと、マチェラータ音楽祭のマチャドとエスポージト(シュロットがドゥルカマーラ)のを見てからです。ルッジェーロ・ライモンディが2006年にドゥルカマーラを歌ったこともあって、まったくもって現金ですが、今では好きなオペラの一つに昇格......ということで、新制作でもあり、楽しませてもらいました。
《愛の妙薬》は、新国初登場です。ということは意外と人気のないオペラってことかもしれません。1998年新国オープン以来ドニゼッティのオペラは、2002年に《ルチア》が一度だけ上演されています。決まりきったオペラも時代によって、流行がありますが、《愛の妙薬》は今流行っているようです。理由は、なんでしょう....フローレスとかビリャソンのレパートリーだからでしょうか。
ソリストさんたちそれぞれ個性的で良かったですが、ドゥルカマーラは、もうちょっとアクの強さが欲しい....もちろんブルーノ・デ・シモーネは、芸達者で良かったんですが、ちょっとオーソドックスというか当たり前すぎるかんじでしたから....えぇ! こんな歌手が...という意外性があるのも面白い、ライモンディとかシュロットとかターフェルとかみたいに。
ネモリーノのジョゼフ・カレヤは、体格がよくて立派なんですが、そこがけっこう「ウドの大木」というかんじがして、ネモリーノにぴったりでした。ただ、声は、もうちょっと能天気なピーンとした明るい声がいいなぁ.....新国のウェブサイトの某評論家(もどき)のコメント「パヴァロッティを想わせる、澄んだ空のような明るく軽い声質の持ち主.....」ってどこがぁですけど.......ネモリーノを歌う歌手にはこう書くことに決めているのでしょうね。
タチアナ・リスニックのアディーナは、プラチナブロンドのカツラもお似合いで、スタイルもよくて、歌も安定していましたが、今回は最前列だったので、頭の上を声が通りすぎたのか.....ちょっと声が小さいかな...と感じました。
ベルコーレという役は、あまり目立たない役なんですが、与那城敬は押し出しも良くけっこう目立ってました。ソリストの条件として目立つことはとても重要だと思います。(1F1列で鑑賞)
参考:新聞レビュー
*《愛の妙薬》ちらしntt_elisir2010_4.pdf
★YouTube:L'elisir d'amore 愛の妙薬(チョーフィ、シラグーザ、R.ライモンディのドゥルカマーラ)
関連記事:
プッチーニ・ガラコンサート: Teatro Pérez Galdós(2008.12.16〜) ジョゼフ・カレヤも出演
ドニゼッティ《愛の妙薬 L'Elisir d'Amore 》ネモリーノ:2002〜2004年
[愛の妙薬]
実は、私にとっては、《愛の妙薬》は、部分的には面白いところもあるのですが、たいくつなオペラとしての位置づけでした。はじめて面白いと思ったのが、DVDにもなってますが、リヨン歌劇場のゲオ&アラのと、マチェラータ音楽祭のマチャドとエスポージト(シュロットがドゥルカマーラ)のを見てからです。ルッジェーロ・ライモンディが2006年にドゥルカマーラを歌ったこともあって、まったくもって現金ですが、今では好きなオペラの一つに昇格......ということで、新制作でもあり、楽しませてもらいました。
《愛の妙薬》は、新国初登場です。ということは意外と人気のないオペラってことかもしれません。1998年新国オープン以来ドニゼッティのオペラは、2002年に《ルチア》が一度だけ上演されています。決まりきったオペラも時代によって、流行がありますが、《愛の妙薬》は今流行っているようです。理由は、なんでしょう....フローレスとかビリャソンのレパートリーだからでしょうか。
指揮:パオロ・オルミ 演出:チェーザレ・リエヴィ 美術:ルイジ・ペーレゴ 衣装:マリーナ・ルクサンドル 照明:立田 雄士 舞台監督:村田 健輔 合唱指揮:三澤 洋史/新国立合唱団 |
ソリスト: アディーナ:タチアナ・リスニック ネモリーノ:ジョゼフ・カレヤ ベルコーレ:与那城 敬 ドゥルカマーラ:ブルーノ・デ・シモーネ ジャンネッタ:九嶋 香奈枝 東京フィルハーモニー交響楽団 |
ソリストさんたちそれぞれ個性的で良かったですが、ドゥルカマーラは、もうちょっとアクの強さが欲しい....もちろんブルーノ・デ・シモーネは、芸達者で良かったんですが、ちょっとオーソドックスというか当たり前すぎるかんじでしたから....えぇ! こんな歌手が...という意外性があるのも面白い、ライモンディとかシュロットとかターフェルとかみたいに。
ネモリーノのジョゼフ・カレヤは、体格がよくて立派なんですが、そこがけっこう「ウドの大木」というかんじがして、ネモリーノにぴったりでした。ただ、声は、もうちょっと能天気なピーンとした明るい声がいいなぁ.....新国のウェブサイトの某評論家(もどき)のコメント「パヴァロッティを想わせる、澄んだ空のような明るく軽い声質の持ち主.....」ってどこがぁですけど.......ネモリーノを歌う歌手にはこう書くことに決めているのでしょうね。
タチアナ・リスニックのアディーナは、プラチナブロンドのカツラもお似合いで、スタイルもよくて、歌も安定していましたが、今回は最前列だったので、頭の上を声が通りすぎたのか.....ちょっと声が小さいかな...と感じました。
ベルコーレという役は、あまり目立たない役なんですが、与那城敬は押し出しも良くけっこう目立ってました。ソリストの条件として目立つことはとても重要だと思います。(1F1列で鑑賞)
参考:新聞レビュー
*《愛の妙薬》ちらしntt_elisir2010_4.pdf
★YouTube:L'elisir d'amore 愛の妙薬(チョーフィ、シラグーザ、R.ライモンディのドゥルカマーラ)
関連記事:
プッチーニ・ガラコンサート: Teatro Pérez Galdós(2008.12.16〜) ジョゼフ・カレヤも出演
ドニゼッティ《愛の妙薬 L'Elisir d'Amore 》ネモリーノ:2002〜2004年
[愛の妙薬]
こんにちは
>ドゥルカマーラ
強い個性が必需品ですね^^
その点、はじめは退屈しながら見て、
後でけっこう気にいった最初の映像のエンツォ・ダーラは
とても印象的でした。
ゲオルギュウとアラーニャのシモーネ・アライモは
また違った魅力がありました。
マチェラータのエルウィン・シュロットも独自性が光ってましたね。
今回のシモーネ、ラ・ヴォーチェのときのナターレ・デ・カロリスは
ちょいと平凡かも。がんばってる〜〜っての伝わってきちゃいます・・
by euridice (2010-04-21 10:45)
euridiceさん
のどかなバスク地方の田舎もいいですけど、こういう絵本のような舞台も視覚的に楽しめますね。ほとんど小道具らしいものがなくて、歌手の力量が問われる演出だったような。
ネモリーノのカレヤは190センチだそうですから、だいたいがドゥルカマーラの方が大きいんですけど、それが反対だったので、あんまりうさんくささを感じさせなくて、そのへんがちょっとおとなしいかんじでした。
by keyaki (2010-04-24 12:23)
keyakiさま
kametaroさんからお邪魔いたします。ひろとと申します。
ホフマン3役の情報ありがとうございました。
keyakiさんのブロぐは以前から拝見させていただいてます。知識の豊富さと内容の深さに敬服いたしておりますが、気後れしてコメントを差し控えさせていただきました。
地方に住んでおりますのでオペラを観る機会は多くありませんが、年に1度はオペラの為上京しています。
もしよろしければkeyakiさんのブログをお気に入りに登録させていただきたいと思いますが、ご承諾願えますでしょうか。よろしくお願い申し上げます。
by ひろと (2010-04-26 11:46)
ひろとさん
私もひろとさんのブログを登録させて頂きますので、よろしくお願いします。
いえ、いえ、そんなに誉めて頂くと穴に入りたくなります。
ネットでの同好の方たちとの交流で、教えてもらうことの方が多いんですよ。いつでもどこにでもコメントして頂ければ嬉しいです。
今後ともよろしくお願いします。
by keyaki (2010-04-27 02:20)
>新国のちらし
こちらで初めて読みました。
「愛の妙薬、それは声」ってもう表題から変じゃない?
アディーナがネモリーノの「人知れぬ涙」を歌う声にほだされて、
彼を選んだなんて?!どこから出てくるんでしょう?
ネモリーノが妙薬を買うために軍隊に入ったと知って
アディーナが「なんという深い愛!」と目に涙を浮かべているのを
物陰から見たネモリーノが歌ったのがあのアリアですよね〜〜
アディーナが自分に正直になった(もともとネモリーノが好きだったんじゃないの?)のは、彼が彼女のために人間にとって一番大事な「自由」まで犠牲にしたからで、
テノール声にしびれたからじゃないですよね?!
私のほうが間違ってる?
by euridice (2010-04-30 19:50)
euridiceさん
この突っ込みどころ満載の紹介文、ブログネタにしようと思って準備中..(笑
>「パヴァロッティを想わせる、澄んだ空のような明るく軽い声質の持ち主.....」
というのも???ですよね。
>アディーナがネモリーノの「人知れぬ涙」を歌う声にほだされて、
彼を選んだなんて?!どこから出てくるんでしょう?
「人知れぬ涙」がどういう歌かぜんぜん分かってないし、勘違いしてますよ。薬代のために軍隊に入ることになったことをドゥルカマーラから聞いて、ネモリーノへの愛にめざめるんであって、「人知れぬ涙」を聞いたからではないのに....どこをどう間違ってるんでしょう。
新国も原稿料払ってるんでしょうから、ちゃんとしたものを書いてもらわないとダメでしょうに.....
by keyaki (2010-04-30 20:52)
keyakiさん、こんにちは。早速お邪魔させていただきました。
かなり辛口コメントですね~。見る人が違えば見方もそれぞれ、
ってことですよね。なんだかんだ、私は楽しんじゃったのですが。
カレーヤ、あと何年かすればもっといい歌い手になりそうな気もします。
叫ばなくても響きだけであれだけの声量を誇っているのですから、
進み方を間違いさえしなければ、ですが。
それにしても、カーテンコールの最後にカレーヤと与那城さんが
健闘を称えあって?がっちりと肩を抱き合っていたのが印象的でした。
何しろ、190センチと180センチ超の大男二人が並んだのですから!
壮観でした。
せっかくなので、TBさせてくださいね♪
by Odette (2010-05-01 15:41)
Odetteさん
コメントとTBありがとうございます。
カレーヤは期待値が大きかったので、その分辛口ということかもしれません。
与那城さんは180センチ超なんですか....."超"の部分が分かったら教えて下さいね。「オペラ歌手の背比べ」リストに加えさせていただきます。
by keyaki (2010-05-01 20:37)