SSブログ

ローマ歌劇場2009.12ゼッフィレッリの《椿姫》さえない再演(雑誌"l'opera 1月号") [椿姫]

 オペラ雑誌"l'opera "2010年1月号に掲載されたこの舞台写真、どうみてもゲオルギュー&グリゴーロでしょ.....写真をクリックすると大きくなりますからじっくりご覧になって下さい.....いくら今回の再演がぱっとしないからって、2年も前のを載せなくても....
 ゼッフィレッリ新演出で話題を呼んだ2007年4月の《椿姫》、この時も公演の直前まで、ハプニング続出、まず、アラーニャがゼッフィレッリに袖にされて、アラーニャの代わりにプレミエ歌手として浮上したフィリアノーティが急性腹膜炎で入院....その後アルフレードは誰がプレミエを歌うかのタイトルマッチがはじまり、ヴィットリオ・グリゴーロに軍配が上がり、プレミエはゲオルギュー&グリゴーロのカップルで大成功、その後、ゲオルギューがなぜかへそを曲げて、2公演目の途中で降板....とまあ、話題にはことかかなかったわけですが、公演自体は、成功でした。

 しかし、今回の再演は、ゼッフィレッリが、ダニエラ・デッシーは、ヴィオレッタには年食い過ぎ...とかでいいがかりをつけたため、怒ったデッシーが全公演から撤退、それにあわせて、アルフレードのファビオ・アルミリアートまで全公演キャンセルという事態に落ち入りました。残った歌手と補充された歌手は、当然ながら、デッシー&アルミリアートのカップルには、実力も人気も劣る歌手なわけで.......まあ、仕方がないですね.....ゼッフィレッリのせいで「ぱっとしない、さえない再演」になってしまったようです。

 l'operaのレビューは、『ゼッフィレッリ演出の《椿姫》の再演で棚ぼたでプレミエ歌手となったミルト・パパタナシュ&アントニオ・ガンディアは、全くさえないカップルで、パパタナシュは、特に1幕では、不明確なコロラトゥーラのせいで、ほとんど目立たなかったし、ガンディアは、おとなしい控えめなアルフレードで、観客からも見放された......パパ・ジェルモンのカルロ・グエルフィは、歌うというよりは「良き語り手」というかんじでいいコンディションとはいえなかった......』というような内容です。

 ミルト・パパタナシュ Myrtò Papatanasiuは、新国の来シーズン《フィガロの結婚》で伯爵夫人で登場しますが、どうでしょうね......もっと評判が良ければ、再々々々演でも行ってみたい....という気持ちになるんですけど.....

 さて、ローマに赴任中の甥がこのドタバタ騒ぎの《椿姫》を見に行って、感想を書いてくれました。キャストは、プレミエより更に格下のカップルMina Yamazaki/Stefan PopとCarlo Guelfiで、カルロ・グエルフィを除いては、誰それ!ですが、そのような先入観の無い甥っ子の感想はどうだったんでしょう.........
 今日(2009.12.27)、ローマ歌劇場で「椿姫」を観てきました。舞台はなんといっても演出が素晴らしく、大御所の力のなせる技かまとまりがあって隙がないもので、クラシカルな舞台構成ながらまったくあきませんでした。特に色彩や照明のセンスが秀逸で、それらのセンスが映える場面の転換や大人数のキャストによる群舞や合唱は実に見応えがあるものでした。
 一方、歌手の方ですが主役の2人が急遽の配役ということで、最初の方はもういっぱいいっぱいな感じがありありと感じられて観る方も手に汗を握りましたが、尻上がりに調子をあげて最後の方は迫真の演技で締めくくりました。本当はだんだん元気がなくなっていく悲劇のはずですが......そういう点では最初が乾杯の歌というのは少しかわいそうでした。全体的にはアルフレードの父役の歌手が安定感のある演技と歌声で、歌の流れをうまくコントロールしていたように思います。例えば各場面の最後の締めくくりに、何度か主役の2人は立ち位置や引き際を間違えたような感じの時がありましたが、それも彼がうまくサポートしていました。
 最後にオーケストラですが音調がとてもよく整えられていて、たいへん聞き心地のよかったです。今回の席からは指揮者しかみえませんでしたが振り方がはっきりとしていて落ち着きがあり、なかなか素敵でした。
 カーテンコールでは大御所の演出家がでてくるかなと期待していましたがでてきませんでした。とりあえずこんなところです。カーテンコールは写真をとってもよさそうだったので、その写真を添付します。


 なかなか洞察力のある感想ですね.......カルロ・グエルフィは、好不調はあっても国際的に活躍しているバリトンですし、指揮はジェルメッティですから.....その中で主役の二人はやっぱりレベル違い格違い.....ということですね。この後、甥は、チューリヒのグリゴーロ主演の《海賊》を見に行って、『主役歌手の力量の差』をひしひしと感じた....ということです。
l'opera2010_1_traviata.pdf
関連記事:
ゼッフィレッリの影響力健在! ゼッフィレッリとデッシーがバトル
2007年ローマ、ゼッフィレッリ《椿姫》のドタバタ舞台裏:ゲオルギューの相手役は...
新国立劇場 オペラ2010/2011シーズン発表:どれに行こうかな.....ミルト・パパタナシュ:伯爵夫人

nice!(0)  コメント(2)  トラックバック(0) 
共通テーマ:音楽

nice! 0

コメント 2

M. F.

> アントニオ・ガンディア
あっ、この人先月聴いた!(笑)
ベルガモ・ドニゼッティ劇場の来日公演《椿姫》で、デヴィーアのお相手でした.悪いテナーではないもののぱっとしなかったですね.
by M. F. (2010-02-15 23:59) 

keyaki

M. F.さん
そう、ローマのあと来日してたんですね。このクラスの歌手は、ギャラも安いし(多分)、そのぶん需要もあるみたいですね。
私もネットでいろいろ感想を見ましたが、デヴィーアお目当ての方ばかりですから、まあ、どうでもいい...みたいなのが多かったような気がします。声は悪くないが、フレージングがなってないとか.....まあ、ほとんどの歌手がそうなんでしょうけど、無難にこなせばいいということなんでしょう。

デッシーはイタリアではヴィオレッタは初役だったそうで、皆さん楽しみにしていたのに、ゼッフィレッリもどうしちゃったんでしょう...
by keyaki (2010-02-16 00:55) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。