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ベルリンの《トスカ》 ヨナス・カウフマンの" Vittoria! Vittoria!"★☆これで、あなたもカウフマン通 [トスカ]

 ルッジェーロ・ライモンディは、2009年5月9,12日のウィーン国立歌劇場に続いて、5月16,21日とヨナス・カウフマンと一緒にベルリンの《トスカ》に出演です。
 16日の公演のビデオクリップがYouTubeにアップされました。右の写真をクリックするとリンクしています。豆のようですが、声はよく聞こえます。場面は、スカルピアの「庭の井戸の中だ、行け!スポレッタ」からです。いい場面を隠し撮りしてますね。3人揃っているところはここくらいですから。隠し撮りさんありがとうございます。
 ウィーンは1958年の舞台でしたが、こちらも同様に40年前からの時代遅れの舞台だそうです。観客は安心して、歌手の歌と演技を楽しめたでしょうし、こういう定番の舞台演出であれば、歌手の皆さん慣れたものでリハーサルなしでOKだということでしょう。このキャストでしたら、十分に集客力がありますから、おかしげな新演出は必要ないでしょう。ベルリンもカウフマン人気で完売だったそうです。もちろんライモンディが見られる最後かもしれない...ということで駆けつけた人もいるでしょうし、トスカのナディア・ミヒァエル Nadja Michaelも美人ですからね。

ウィーンの《トスカ》(ネーグルスタッド、ヨナス・カウフマ、ライモンディ)の感想が、5月14日の記事のコメントにあります。

★レビュー:Tosca mit schönen Darstellern

 カウフマンの声は、やっぱりテノールに必要な、明るさ、輝き、甘さがなさ過ぎ......今、はやりの「甘さ控えめ」なんでしょうけど、今まで、注目されなかったのは、やっぱりこの声のせいでしょう。彼の今までのレパートリーの推移をざーっとみてみましょうか。これを読めば、あなたもカウフマン通!です。

★Jonas Kaufmann ヨナス・カウフマン(1969.7.10-ミュンヘン)レパートリー(ロールデビュー):
1992年23才でミュンヘン音楽大学で《ナクソス島のアリアドネ》のBrighellaで歌手デビュー(テノールだとバッカスくらいしか思いつきませんが、ブリゲッラはオペラの中のオペラに出てくる役)、《カルメン》のレメンダート、《椿姫》のガストン、《ノルマ》のフラヴィオ(=ポリオーネの友人のローマ軍の隊長)、《ドン・ジョヴァンニ》のドン・オッターヴィオ、《フィデリオ》のヤキーノ、大きな役としては、1994年に《魔笛》のタミーノを歌う。
1998年ミラノ・ピッコロ座 (Teatro Strehler) でストレーレル演出の《コジ》にフェランドで出演。
30才、1999年にザルツブルグ音楽祭《Doktor Faust》の学生、《セビリアの理髪師》のアルマヴィーヴァ伯爵(うひょ、歌えるんだ....)、ティート、2000年に《コジ》のフェランド、《椿姫》のアルフレード、ほとんどシュトゥットガルトなので、専属だったのかもしれません。
32才、2001年から、チューリヒのアンサンブル・メンバーでフロレスタン、イドメネオ、アメリカに渡って、シカゴで《オテロ》のカッシオ、2002年に《ファウストのごう罰》のファウスト、2003年チューリヒで《タンホイザー》のワルター。
35才、2004年《ボエーム》のロドルフォ、ロンドンで《つばめ》のルッジェーロ、2005年チューリヒで《リゴレット》の公爵、《ポッペアの戴冠》のネローネ、《ファルスタッフ》のフェントン(RRと共演)、グノーの《ファウスト》《フィエラブラス》《パルジファル》、2006年エジンバラで《マイスタージンガー》のヴァルター、2007年ロンドンで《カルメン》のドン・ホセ、2007年チューリヒで《ドン・カルロ》、2008年ロンドンで《トスカ》のカヴァラドッシ、シカゴでマスネの《マノン》のデ・グリュー.....オペラに関しては、こんなとこです。

★世界の主要劇場デビュー:
パリ・オペラ座には、2004年(35才)に《オテロ》のカッシオ、ロンドンにも2004年《つばめ》でデビュー。2006年ウィーンで《魔笛》のタミーノ、同年、ニューヨークメトに《椿姫》と《魔笛》でデビュー、その後毎年出演しているようです。ミラノ・スカラ座には、1999年《フィデリオ》のヤキーノ、2007年にリサイタルと《椿姫》のアルフレードを歌っています。2008年に《こうもり》ゲストでバイエルン国立(州立)歌劇場デビュー.....えぇ?.....

ワグナーは、チューリヒで2003年に《タンホイザー》のワルター、2006年《パルジファル》、エジンバラで《マイスタージンガー》、2009年ミュンヘンで《ローエングリン》を歌う予定。

イタリアオペラは、ヴェルディの椿姫、群盗、リゴレット、ドン・カルロ、オテロのカッシオ、プッチーニのボエーム、トスカ、蝶々夫人(録音のみ)、つばめ、ロッシーニのセビリアの理髪師、こんなとこでしょうか。マイナーなものは省いています。ドニゼッティは歌ってないようです。ネモリーノを歌ってないテノールって、めずらしいと思いますが....ホセ・クーラは多分歌ってないかな....。

舞台写真(クリック拡大):ナディア・ミヒァエル 、ヨナス・カウフマン、ルッジェーロ・ライモンディ


参考:ルッジェーロ・ライモンディは、ここベルリンでは2002年12月7日にスカルピアを歌っている。共演は、マリア・グレギーナとニコラ・マルティヌッチ。

関連記事:ザグレブで《トスカ》:Sutej指揮,Nadja Michael,Fabio Armiliato,RR
ナディア・ミヒァエルは、ドイツのライプチッヒ生まれで、メゾでデビュー、2005年からソプラノにスイッチしたそうです。1993年頃から舞台に立っているようですので、デビューして14〜5年、多分35歳くらいでしょうか。

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コメント 11

ペーターのファンです。

内緒の撮影にしては声が良く聞こえていますね。他の場面はないのかしら?
ついでにユーチューブでカウフマンの映像を見てしまいました。なんというか、清潔感ゼロで小汚い印象しかありませんね。思わせぶりな表情なんかされても気持ち悪いだけで、こんなのに女心がどうしたなんて言われたくないですよ。
マントヴァもカヴァラドッシもハイバリトンみたいで、テノールの華と魅力が皆無でした。それに、何かが違う、間違ってるとかヘタとかではなく、何か違う感じがします。これでローエングリンやジークムントはやめてほしいですが。
by ペーターのファンです。 (2009-05-23 12:03) 

euridice

>右の写真をクリックすると
ヴィットリア〜〜と2度叫んだあと、
え?!だれが歌ってるの?!って一瞬思ってしまいました。
あそこもテノールが歌うのに、だれか低声歌手が歌っているのかと
一瞬きょろきょろしてしまいました。

>やめてほしいです
はい。

恒常的テノール払底の折から
声がOKなら、外見はどうでもよい〜〜から
外見さえOKなら、声はどうでもよい〜〜
(あるいはどっちかがOKなら、OK〜〜)となったみたい・・
(外見:好みはさておき、背が高く、すらりとした体型、整った顔立ち)
by euridice (2009-05-23 23:36) 

keyaki

ペーターのファンさん、 euridiceさん
外見がいいけど、特別注目されるわけでもないオペラ歌手は、世界中にいっぱいいるんでしょうけど、カウフマンもその中の一人だったということが、彼の経歴をまとめてみると一目瞭然ですね。
それが、20年近く、そういうフツーのテノール歌手だったのが、ここにきて急にスター扱い.....というかスターにされたのかな。
今までは、声に魅力がないと、容姿がよくても注目されないのがオペラの世界でしたが、それが変わってきたってことなんでしょうか。
オペラの場合、特にテノールは、テノールとしての声の魅力が必要なので、容姿優先にはならなかったはずなのに。
チューリヒにも集客力のあるスター歌手としてではなく、アンサンブルのメンバーとしての契約ですから、見た目がよくてなんでも器用にこなす歌手として重宝されていたということですね。
彼の声そのものに魅力があるのであれば、10年以上前からスターだったと思いますけど.....
あの暗い声のまま、高音まで引きずって行く歌い方に魅力を感じる人がいなかったのに、ここにきて観客の嗜好も変わってきたということなんでしょうか。
イタオペより、ワグナーの方が、人材不足ですから、更に人気者になる予定になってるんでしょうね。

ベルリンの《トスカ》の感想を書いたブログを見つけましたが、筆者は、音楽雑誌の表紙を飾り、街中に看板が立ち、お気軽なインタビューがあふれ、スター扱いされているカウフマンについて、超立派だとか、ほめてますが、全部皮肉みたいです。
by keyaki (2009-05-24 00:56) 

しま

私はカウフマンってけっこう好きなんですけど、理由はやはりその「ハイバリみたいな声」です。元がハイバリ好きだから・・・。
この声は何度聴いてもぎょっとします(笑)
怖いもの見たさ聴きたさって感じでしょうか。
by しま (2009-05-24 10:43) 

keyaki

しまさん
やっぱり、容姿がよくても声がテノール声ではないので、今までは隠れファンが多かったのではないかと思いますが、これだけ最高のテノールだぞと宣伝してくれれば、隠れファンも表に出てくるということでしょうね。
この人気が一過性で終わるのか、それともこういう声のイケメンテノールが今後も続々出てくるのか......

>「ハイバリみたいな声」
カップチッリも今ならテノールでいけたかな.....

バリトンは男性の一般的な声質ですから、バリトンが好きという人は多いでしょうね...というか、私も好きです。
でもオペラは、それにふさわしい声が大まかながら決まっているので、あの声でテノールの役を歌われても困っちゃうなって思うわけです。カウフマン自身も自覚していたから、歌曲とオペラ半々くらいにしてたんじゃないかしら。
私も数年前から、注目してましたが、これが最高のテノールみたいな宣伝をされるとビリャソン同様に、???ということです。
by keyaki (2009-05-24 11:38) 

しま

>これが最高のテノールみたいな宣伝をされると???

それは同感です。
「変り種」というか、たまにはこういうテノールがいても新鮮でオモシロいかなという位置付けでいいんじゃないかと思います。

私もテノールとして好き・・・という感覚ではなく、「バリトンがテノールの役を歌っちゃダメよ!!」的なツッコミを入れつつ聴くのを楽しんでいるんですよ。
by しま (2009-05-24 12:21) 

keyaki

しまさん
声は、訓練次第で高音も出るようになりますが、声質は持って生まれたもので変えられないですよね。

ミュンヘン生まれのミュンヘン育ちで音大もミュンヘン.....なのに、ミュンヘンでは注目されるどころか20年近くもほっておかれたのはなぜか、なんですが、カウフマンの経歴を見て、私、お得意の想像だとですね....音大時代から声楽の教師が、君はバリトンだね、とバリトンに分類したのに、僕はテノールで行きまぁす....とか言っちゃって、言うこときかなかったんで、お前に歌わせるテノール役なんかないよ...ということでお仕事もらえなかったのかも。ミュンヘンあたりの出身の歌手の場合、実力のある歌手は、皆さん若い頃は専属になってるんじゃないかな。バイエルンだったら、劇場としても一流なんですから。

オペラ界も人気商売ですから、一旦人気が出れば、なんでもOKの面がありますけど、役柄にあった見栄えのいい歌手がどんどん出てくるのは嬉しいことです。
来シーズンのスカラの開幕公演の《カルメン》は、カウフマンのドン・ホセとシュロットのエスカミーリョですよ。カルメンは誰だか知らない人。20年以上前にも《カルメン》が、開幕公演だったことがありますが、その時のキャストは、ヴァーレット/バルツァ、ドミンゴ/カレーラス、ライモンディ....という大物を揃えてました......今は、大物というより人気者ってことかな。

by keyaki (2009-05-24 13:02) 

ペーターのファンです。

おぉ、カウフマンのドン・ホセとシュロットのエスカミーリョですか。スカラの開幕はどうなっちゃってるんでしょうね。摩訶不思議な歌手がガラに合わない役で続々と登場してますが。
カウフマンはあっちこっちでハンサムだとか言われてるようですが、この清潔感のなさは何とかならないものでしょうかね。どうも場末の雰囲気が・・・。keyakiさんの想像が結構あたってるかも、と思います。「先生にバリトンって言われたけど、僕はテノール歌えるもんね~。」とかなんとか。こんな声のテノールはカウフマンとビリャソンで打ち止めにしてほしいと思うのは、私の性格が悪いのでしょう。

by ペーターのファンです。 (2009-05-25 20:44) 

keyaki

ペーターのファンさん
>カウフマンのドン・ホセとシュロットのエスカミーリョ
二人ともあちこちでやってるんですよ。特にシュロットは、あんまりチャエレンジ精神がなくて、ドン・ジョヴァンニ(主従両方やります)とフィガロの結婚で当分飯が食えるぜ!と言ったりしてるんですが、数年前にエスカミーリョは、特に演劇的に面白い役じゃないし、知性のかけらもないし微妙な感情もない人物に描かれているたいくつな役だから、引き出しにしまっておきます....ということだったんですが、つい最近、バイエルンでやってますね。ライモンディもエスカミーリョのような薄っぺらな役は、やらない...とずっと断ってましたが、説得されて、パリ、スカラ、ウィーンで歌ってますし、映画にも出ちゃってますからね。

>カウフマンはあっちこっちでハンサムだとか言われてるようですが、この清潔感のなさは何とかならないものでしょうかね。
確かにね。あの程度は、そのへんにゴロゴロいますが、オペラ歌手では希少価値のようですね。
最近は、ずいぶんとマシになりましたが、ちょっと前までは、写真を選ぶのに苦労しましたよ。ヒッピーのような写真しかなくて。年代的に第二世代のヒッピーだったのかもしれませんね。

これだけ持ち上げられてますから、この辺で、ちょっとやそっと叩いてもへっちゃらでしょう。もう中年ですし。
あと10年くらいしたら、やっぱりバリトンでした〜とか言っちゃって、ドン・ジョヴァンニを歌ったりして.....この予想当たるかな...(笑
by keyaki (2009-05-26 02:47) 

りょー

NHKBSハイビジョンで、こんな特集をやるの、ご存知ですか^^;
http://www.nhk.or.jp/bsclassic/special/index.html
~ 世界が注目する男性歌手特集 ~
ですって。
by りょー (2009-05-27 00:00) 

keyaki

りょーさん
お知らせありがとう!
最初の二つは、もう放送済み、カウフマンのはROHのじゃなくて、チューリヒのなのね。
フローレスのマントヴァ公爵は、歌はともかく、見ていて、なんか恥ずかしかった....普通の演出ならまだしもあれではね....イメージじゃないものを無理してやることないのに....ほんと気の毒で、穴があったら入りたかった...って私が入ってもしょうがないけど。
マルセロ・アルバレスなんかだと、トップレスの女を両手に花状態でも、ぜんぜんOK、なにが違うかって、堂々としてるってことかな。フローレスは、イマイチ演技的にふっきれてないから、見ている方がどぎまぎしちゃうんですよね。(笑

カウフマンのカルメンは、今から、クーラが出るのと同じプロダクションですよね。なんであんたなのよ....ですね。
キャストが書いてないけど、
カサロヴァ、カウフマン、イザベラ・レイ、ペルトゥージ....でしょうね。

ここで、清潔感がないとかヒッピーとかって言ってたら、
「端整かつワイルドな容姿」だって.....
なるほど、ワイルドねぇ.....
by keyaki (2009-05-27 00:37) 

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