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ビリャソン 2度目の休業★☆ドミンゴのOperalia'99 テノール三羽烏-Villazon-filianoti- Calleja [オペラ歌手]

 ローランド・ビリャソン Rolando Villazon(1972.2.22-メキシコ出身)が、また、休業だとかで、とりあえず年末まで全公演キャンセル、4月29日にエージェントから発表がありました。
 今年になってから、不調だとか、キャンセルしただとかで話題になっていましたが、2007年9月〜12月も、理由はなんだったのか知りませんが、休業しています。今回は、声帯に曩胞ができたとかでオペをするという理由ですが、この声帯曩胞を切除すれば、今までの不調が解消されるということでしょうか.....今までの不調の原因が声帯曩胞ってことでもないと思いますので、オペが成功したら、どの時点の状態に戻るっていうんでしょう。

1999年オペラリア三羽烏:左からカレイヤ21才、フィリアノーティ25才、ビリャソン27才

 前記事のコメントにあるように、フランス・フィガロ紙に、ビリャソンの不調の原因として、キャリア急ぎ過ぎ、メディアに騒がれ過ぎ、不適当な役歌い過ぎ、また、ネトレプコとの関係に精神的に疲れた....ということが挙げられているそうです。
 確かに、なぜか、あっというまにスター歌手になってますから、「キャリア急ぎ過ぎ、メディアに騒がれ過ぎ」と言われても仕方がないでしょう。「不適当な役歌い過ぎ」というのは、「キャリア急ぎ過ぎ」ということにも繋がるのかもしれませんが、「不適当な役」って、なんでしょうね。彼がレパートリーにして頻繁に歌っているものが「不適当な役」だとすると、それって、つまりオペラ歌手に向いてないってことだと思います。だって、「愛の妙薬」だけ歌っているわけにはいかないでしょう。

 オペラ好きのはしくれとして言わせてもらえば、ビリャソンの不調の原因は、身体の疲労によるスタミナ切れだと思います。がんがん大声で歌っても平気な特別な人たちがオペラ歌手になっているはずですから、あとは、体力の問題でしょう。

 幸い、ビリャソンのホームページに過去の公演も掲載していますので、まとめてみました。

★ビリャソン Rolando Villazón(1972.2.22-メキシコ)、28才〜37才の仕事ぶり
1999年のプラシド・ドミンゴ主催の “Operalia” で優勝、あっというまにスター歌手。
2000-2001シーズン:オペラ45公演、コンサート2
2001-2002シーズン:オペラ47公演、コンサート0
2002-2003シーズン:オペラ52公演、コンサート1
2003-2004シーズン:オペラ48公演、コンサート0
2004-2005シーズン:オペラ55公演、コンサート4
2005-2006シーズン:オペラ51公演、コンサート21
2006-2007シーズン:オペラ46公演、コンサート31
2007-2008シーズン:オペラ22公演、コンサート15(2007.9〜12月休業)
2008-2009シーズン:オペラ41(-15)公演、コンサート16(-10) (2009.4〜8月分キャンセル)

 オペラの公演数は、他の歌手と大差ありません。他のオペラ歌手との違いは、2005-2006シーズンから、急にコンサートが増えていることです。これでは、疲れて当たり前でしょう。頻繁な長距離の移動は、若くて体力があっても疲れるものです。人気歌手の場合、オペラの50公演程度は普通です。一番実入りのいいコンサートを増やしすぎたのが、疲労の原因でしょう。オペラとオペラの間にコンサートをやらないで、休養することが必要なのではないでしょうか。ちなみに同年代のフローレス(1973.1.13-ペルー出身)の公演数は、2009年分として、オペラ45公演、コンサート10 となっています。ちょっと年齢が若いですが、1999年 "Operalia"優勝者のヨセフ・カレイヤJoseph Calleja(1978.1.22-マルタ)の2008-2009シーズンのスケジュールは、オペラ44公演、コンサート14。

 ルッジェーロ・ライモンディが、2001年のインタビューで、次のように言っています。
「現在は、1年に50公演以上は歌いません。私にとって、家族生活は逃げ場です。家族生活から、力を得ます。楽園ではありませんが、非現実世界に生きている劇場から出るとき、私にとって良き現実です。上演のあと、私はいわば大地に足をつけなければならないのです。家族は私に、普通であることの安定を与えてくれます。それがなかったら、オペラの架空の国の空たかく永遠に飛び続けながら、だめになることなく生き延びることはできなかっただろうと思います。」

★1999年プラシド・ドミンゴ主催"Operalia":
この時は、ビリャソン(1972-メキシコ)2位で、ドミンゴ・サルスエラ賞、大衆賞も受賞、ジュゼッペ・フィリアノーティGiuseppe Filianoti(1974-イタリア)も2位。ヨセフ・カレイヤJoseph Calleja(1978-マルタ)は、特別賞を受賞しました。10年後の今現在、それぞれ第一線で活躍中ですが、人気度ナンバーワンはビリャソンということでしょう。ハンサムとは言えないが愛嬌のあるにくめない顔、スリムで背もそこそこ高い.....声も歌唱も普通というかドミンゴにそっくり....その上、多分腰がとても低い(生意気なことは言わない)こういうのって一般受けするし、嫉妬されないから、叩かれない。それに、なんか、必死で一所懸命に歌っているかんじがするのもいいみたいです。
 右上の写真をクリックするとビデオ・クリップにリンクしています。間に、控え室の面白い映像と、最後にはお約束の皆で「乾杯の歌」もあります。10分以内におさめるために、前奏、曲の途中の歌のない部分をカットしています。

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コメント 6

euridice

ビデオクリップ、楽しませていただきました。
三人のうちではフィリアノーティが一番聴かせますね・・
最初は長過ぎ〜〜〜退屈です。
最後は・・テノール?!
by euridice (2009-05-07 09:46) 

keyaki

euridiceさん
この三人が同じときの優勝者だったって、認識してませんでした。オペラリアに優勝したからといって、その後オペラ歌手として、順風満帆の人の方が少ないのに、3人とも第一線で活躍する歌手になってるって、1999年は当たり年だったんですね。
ちなみに一位は、バスのオーリン・アナスタソフ、あと新国でフィリッポを歌った、ヴィタリ・コワリョフも特別賞をもらってます。二人とも、若くしてバス歌手としては最高の役フィリッポを歌うまでに成長してるって、素晴らしいことですよね。

>最初は長過ぎ〜
そう、選曲に問題有りですよね。あれでも前奏曲と中間の歌のない部分をカットしたんです。未熟なせいなのか、10年後の今もあんなものかどうかわかりませんが....やっぱり、グリゴーロは聞かせるなぁ〜とあらためて思いました。(下の方にリンクしておきました)
来年の新国の目玉は、彼の《愛の妙薬》ですね。

>フィリアノーティが一番聴かせますね・・
同感です。

>最後は・・テノール?!
ビリャソンの歌は、なんて言ったらいいのか分かりませんでしたが、そう、この言葉がピッタリですね。
お笑い芸人の「今から三大テノールのドミンゴやりま〜す」みたいな。
楽屋で、フィリアノーティとカレイヤがスピーカーから流れてくるビリャソンの女心の歌を聞きながら、一緒に歌っているのが、面白いですね。

by keyaki (2009-05-07 11:05) 

Sardanapalus

ビリャゾンは働きすぎですよね。keyakiさんの仰るとおり、コンサートをやりすぎだと思います。復帰は年末か年始予定だそうですが…半年くらいで歌えるようになるんでしょうか?

ビデオクリップも見ました~。1999年のOperariaはテノール歌手が揃っていたんですね。まずはカレイヤの細さにビックリ!!!最初からあの体型だったわけではないんですね(^^)私も、フィリアノーティの歌唱が一番気に入りました。
by Sardanapalus (2009-05-09 14:30) 

keyaki

Sardanapalusさん
レパートリーがどうのこうのとか歌い過ぎだとかは、歌手本人が決めることですので、とやかく言いたくないですが、これは、歌い過ぎというよりは働き過ぎですよね。
ビリャソンって、最初からオペラではなくて、ポップ系からの転向だったと思いますので、オペラをちょっとあまくみていたのかもしれませんね。

私もこの3人がオペラリアで一緒だったとは、へぇ〜でした。
カレイヤは肥満ではありませんが、ずいぶんと恰幅がよくなってますよね。バスのアナスタソフが、このときの一位なんですが、やっぱり、ほっそりしています。20代って、皆さん愛らしいですね。
by keyaki (2009-05-10 01:57) 

ペーターのファンです。

最初が長いですねえ、途中で飽きてくるのは歌唱が単調なせいでしょう。
フィリアノーティの歌には、オペラらしいドラマとオペラ歌手に必須のゆとりが感じられて、頭一つ抜けていると思います。
最後は・・・はぁ?これはテノールじゃないでしょ? ホントにお笑い芸人のモノマネみたいです。バリトンベースの声は好きですけれど、これはちょっと・・・。
by ペーターのファンです。 (2009-05-10 10:24) 

keyaki

ペーターのファンさん
ビリャソンは、ちょっと検索するともぉ〜すごいですよ、最高のテノールということになっているようです。ちょっと恥ずかしくなるような宣伝文句が踊っています。
なんだかんだ言っても、このコンクールから10年、三人とも世界レベルの歌劇場で歌うまでに成長したのは素晴らしいことですね。
by keyaki (2009-05-11 03:07) 

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