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テノールのジョン・健・ヌッツォ...2008.11.27逮捕 [オペラ歌手]

 「あなた人間やめますか...」という標語を知らなかったのかしら。健康第一、喫煙だって問題なのに、節制あってのオペラ歌手が、覚醒剤に手を出しちゃダメでしょ。
 彼は、2003年夏のザルツブルグ音楽祭、マクヴィカー演出《ホフマン物語》で、ルッジェーロ・ライモンディと共演してるんです。1幕に出て来る学生の一人ナタナエル、小さい役とはいえ、たくさん歌うし、けっこう目立つ役です。それから、2004年の新国の《ファルスタッフ》ではフェントン、その時のキャストは、ヴァイクル 、チェルノフ、ツェドニクという有名どこを揃えたものでした。

 事件としては、『ジョン・健・ヌッツォ(1966.5.5-東京生まれ/アメリカ国籍)は、11月27日に、覚醒剤取締法違反で現行犯逮捕されていたことが12月1日に明らかになった。匿名の情報で、警視庁がマークしていたが、11月27日、品川区の路上で、職務質問され、ポケットに覚せい剤0.7グラムを所持していたため、現行犯逮捕された。本人は、「バカなことをした」と覚醒剤使用を認めている』こんなもんです。

 ヌッツォは、南カリフォルニアのチャップマン大学音楽部を卒業ということですので、そのへんも薬物に対する認識の甘さがあったんでしょうか。最近は、活躍しているという噂も耳に入ってきませんでしたし、オペラ歌手もこれで喰って行けるのかいな...というようなお仕事のない歌手もいますので、それが原因....かとも思いましたが、どうなんでしょう....(参考:スケジュール 2004年の新国のフェントンの後は2006年と2007年にメトで小さい役、2007年のピッツバーグのネモリーノだけ、劇場でのオペラ出演は少ない.....)
 42才といえば、オペラ歌手としてはベテランとしてこれからも活躍できると思いますが、やっぱり、スター歌手でもない限り、どこかの劇場と専属契約を結ばないと、生活は安定しないでしょうね。それとも稼いだお金は覚醒剤に行っちゃってたのかしら。数年前にTBSの情熱大陸(2001.12.23)にウィーン国立歌劇場で活躍するオペラ歌手として取り上げられたり、2004年にはNHK大河ドラマの「新選組」の主題歌を歌い、紅白歌合戦にも出場、アルバムも発売されたりで、スター歌手気分だったのかもしれません。でも、大劇場では小さい役しか来ないし、主役級の役だと、どさ回りっぽい公演だし.....人生順風満帆の人が覚醒剤に手を出すというのは考え難いですから、なんらかの不安とか不満からの逃避目的だったかもしれません。新国立劇場の2004年の《スペインの煌き》は体調不良、2005年の《コジ・ファン・トゥッテ》は、頚椎椎間板ヘルニアの治療でキャンセルしてますので、持病もあったのかなぁ.....

 それにしても、毎度のことながら、2004年にリリースされていたアルバム「テノリッシモ」も即発売中止にされています。小室哲哉が詐欺容疑で逮捕された時も、ネット販売の楽曲も即ダウンロード禁止、関係音楽も発売停止とか、分けの分らないすばやい対応でしたが、今回も同じですね。犯罪にかかわった人の音楽を聞くとなんか問題でもあるのかしら.....こういう対応は理解できません。

 ヌッツォは、来年の1月にはアメリカのアリゾナ・オペラ(フェニックス)、4月にはデトロイト・オペラで《愛の妙薬》のネモリーノで出演予定ですが、どうなるんでしょう。執行猶予でもつけば、出演は可能なのかしら?  れいのレイプ事件のティート・ベルトランは、ちゃんと出演してましたけど。

 オペラ歌手として、これまで築いたキャリアは台無し、ネットで検索するとファンのサイトもありますし、ファンも大勢いるのに...。オペラ歌手という仕事は、他のジャンルの歌手と違って、こういうことで中断すると再帰は難しいのではないかと思います。

NYメトには、2003〜2007年にかけて出演。2003年3月28日《ナクソス島のアリアドネ》のBrighellaでメトデビュー、《道楽者のなりゆき》のセレム、2006年2月にはグノーのナタリー・ドゥセ主演の《ロメオとジュリエット》のテバルド、2007年4月《フィデリオ》ヤキーノ、5月《外套》流しの歌唄い、小さい役ながら25公演に出演
ウィーン国立歌劇場には、2000年9月11日〜2003年9月14日まで、22演目108公演、《オテロ》のカッシオとか《椿姫》のガストンとか《ルチア》のアルトゥーロとか。こういう小さい役から抜け出して主役を張る歌手になるのは、本当に一握りの歌手なんですね。

 私も見た記憶がありますが、2001年12月23日に放送された「情熱大陸」でのヌッツォ語録がネットで見つかりました。ウィーン国立歌劇場(多分専属)で、活躍していた頃です。
★やっぱり自信を持ってないと、ステージ上で楽しむっていう気持ちを持てないと思うから・・・。「絶対負けないぞ」、あと「自分は上手いんだ、絶対上手いんだ」って言い聞かせてウィーンにやってきた。
★音楽を通して、泣いて笑って怒ってっていう持ってる感情を全部出し切れる場所ってのはボクにとってはたぶんオペラしかないから。そういう意味ではオペラを歌えるってのは、ボクにとってはラッキーな場所があるって感じかな。


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euridice

あらら・・です。
ケン・ヌッツォ、あのころのマスコミ、メディアが相当騒いでましたから、もちろん知ってます。で、新国出演にはけっこう期待しましたが、2度も振られて、3度目の正直でフェントン@ファルスタッフで拝見、拝聴できました。まあ、特にどうということはない・・なんだ・・ってところ。むしろ、ヌッツォキャンセルで登場のコジファントゥッテのフェランド役のテノールは可愛くて印象的でした。名前、覚えてませんけどね。

>即発売中止
こういうのはほんとに理解できません。
世間は冷たいもの・・ということなんでしょう。

良きにつけ悪しきにつけ、話題性があれば売れるという面もあるはずなのに
「中止」とか店頭からひっこめるとかしちゃうのは何かを恐れている、つまり
単なる事なかれ主義なんでしょうけど、まさしく泣きっ面に蜂、踏んだり蹴ったり、弱りめにたたりめですよね・・ みせしめ効果もあるってことなんでしょうかねぇ・・

ドラッグについては、相撲界を騒がせ、大学生の大麻栽培事件などもおこってますが、親も教師もそして、マスコミ、メディアも、警察、行政、政府も、その危険と怖さと社会的悪影響などをきちんと伝えなくてはいけないと思います。

by euridice (2008-12-04 08:15) 

keyaki

euridiceさん
オペラ歌手は、主役を張るようになってなんぼの世界、ウィーンの専属時代とかでも劇場側が有望と思えば、主役をやらせたんじゃないかな。
つまり、主役を張るような歌手ではなかったのに、日本で注目されちゃったってことでしょ。
Yasu Nakajima君なんかも一時期、追っかけまでいて騒いでたけど、今どうなってるんだろう...ですよね。
オペラが好きで舞台に立ちたいが、自分が歌いたい役のオファーが来ない、小さい役で、回数こなして稼ぐか、舞台を断念するか....こんなオペラ歌手の方が多いんでしょうね。

ドラッグねぇ..この事件を知って、あぁ〜これでNHKがこの《ホフマン物語》を放送する可能性はゼロになった....と思いました。
ザルツブルグ音楽祭で上演されたオペラは、NHKでも放送するはずなにに、これが放送されなかったのは、ホフマンが薬物中毒という演出だったからではないかと思ってますから。

なんでも店頭から引っ込めるってのは、全くおかしな行動だとおもいます。事件を起こす前のものは、ひっこめちゃダメだとおもいます。道義的にも。
by keyaki (2008-12-04 09:58) 

babyfairy

うーん、私、ウィーンで活躍する日本人歌手と言うと、まず甲斐さんを想い出しちゃうんですけど。。。。それで、この方は名前だけは日本のメディアで聞いてましたが、こちらのメディアでは全く聞かない名前だったもので、『誰それ?』と思っていました。

>それにしても、毎度のことながら、2004年にリリースされていたアルバム「テノリッシモ」も即発売中止にされています。・・・犯罪にかかわった人の音楽を聞くとなんか問題でもあるのかしら.....こういう対応は理解できません。

これも私、さっぱり理解出来ません。日本社会って、変な所で潔白ですね。『坊主憎けりゃ、袈裟迄憎い』なんて。もちろん、ドラッグ不法所持自体に関しては、大変不注意だったと思いますけど、それとこれとは別問題では。
by babyfairy (2008-12-04 10:00) 

YUKI

私もこのニュースを知った時はビックリしました。
やはりオペラファンとしてはショックでしたね。

あくまでも個人的な推測ですが、どこかでストレスとか感じていて癒したいとは思うのでしょうけど、彼は間違った方向に向かってしまった気がしてなりません。
やはり覚醒剤には手を出して欲しく無かったです。

個人的には立ち直って復活して欲しいものですが、難しいでしょうかね?-_-;
紅白出場や大河ドラマの主題歌を歌った事でオペラ・ファン以外の間でも有名になったテノール歌手であるだけに残念です。
by YUKI (2008-12-04 12:11) 

なつ

私もザルツブルクの「ホフマン」思い出しました。
ヌッツォのナタナエル、声も容姿も好意印象だったのに…あの演出ではシコフのホフマンが麻薬常習者という設定だったので、偶然とはいえ複雑な気分です。

ヌッツォ氏、国内外でのキャンセルが多く、マネジメント会社からも解雇されていたそうですね。椎間板ヘルニアに悩まされていたというので、それがキャンセルの原因のひとつだったのかもしれませんが…。そんなこんなでドラッグに手を出してしまったのでしょうか。
残念です。

>keyakiさん
Yasu Nakajimaについても、よいお話が伝わってこなくて、渡伊前の輝かしい声を知っている私には残念でなりません。イタリアでの舞台にもほとんど立っていないらしいです。なんとか声が戻るといいのですが…。
by なつ (2008-12-04 13:00) 

Cecilia

騒がれていた頃にちょっとテレビで見た程度でしたが、覚えていましたのでちょっとショックでした。

>即発売中止

私もどうしてこうなるのか不思議で仕方がありません。

話は変わりますがフィリップ・ジャルスキーのファン仲間の方がライモンディもお好きで「keyakiさんのブログは当然知っています。」・・・とのことでした。

by Cecilia (2008-12-04 15:02) 

keyaki

babyfairyさん
>甲斐さん
は、2003年9月20日から、声域は違うけどヌッツォと同様小さい役専門だったけど、今は、大きな役も歌っているんですね。ウィーンはレパートリー制だから、専属のような歌手が大勢いるんでしょうね。

小室哲哉の時なんか、彼が作曲した曲は山ほどあるし、それを歌っている歌手も連帯責任ってことなのか、ほんと何考えてんだか、でしたよ。どのレコード会社も横並びで同じだったのも気味悪かったです。過剰反応もいい加減にして欲しいです。
潔白というよりは、事なかれ主義の日和見主義、とりあえず発売中止にしておけば、苦情はこないだろう...ってことでしょう。
by keyaki (2008-12-05 01:52) 

keyaki

YUKIさん
ロックとかの歌手だと、お騒がせしましたぁ〜で復帰できるんでしょうけど、オペラってオファーを待つ身じゃないですか。劇場側もあえて問題のある歌手を使う必要はないわけですからね....
by keyaki (2008-12-05 01:57) 

keyaki

なつさん
あの頃が、ヌッツォの一番輝いていた時だったんでしょうね。

Nakajima君は、2007年以降スケジュールがないみたいですけど、
>なんとか声が戻るといいのですが…
声に問題有りなんですか......
オペラ歌手の道は厳しいですね。日本人というだけで相当ハンデしょってるんですから。

by keyaki (2008-12-05 02:12) 

keyaki

Ceciliaさん
クラシック界はあまりこういうことと縁がないと思ってましたので、へぇ〜...でした。ライモンディの共演者ですし....実際に舞台も見てますし。

>フィリップ・ジャルスキーのファン仲間の方がライモンディもお好きで「keyakiさんのブログは当然知っています。」
自分の楽しみと、収集したものの整理のためとはいいながら、読んで頂いている方がいらっしゃると励みになります。
by keyaki (2008-12-05 02:24) 

bonnjour

はじめまして、RRファンのbonnjourと申します。Ceciliaさんに「フィリップ・ジャルスキーのファン仲間」などと紹介され、汗をかいてます。声がきれいで歌が上手くて姿かたちがカッコいい人なら声域が低かろうが超・高かろうが好き、という不純な音楽ファンでございます(笑)。コメントさせていただくのは初めてですが、こちらのサイトは情報が早く豊富なので、いつも楽しみに拝見しています。

本日のテーマのジョン・健・ヌッツォの覚醒剤事件、Webで見たニュースのタイトルが「覚醒剤所持でオペラ歌手を逮捕」とあったので、無名の歌手かしらんと思って本文をクリックしたら彼だったので、びっくりしました。最近はキャンセル続きで業界から干されていたようですが、禁断の領域に手を出してしまったのですね。でも、覚醒剤で廃人になる前につかまって良かったのかも。

話は変わりますが、表紙にお使いになっているベネチア・トルチェロ島の写真、いいですね!写真のサンタ・フォスカ教会の内部にある地獄絵図のモザイクが好きで、先日YouTubeに、そのモザイクを使ったビデオを投稿しました。
by bonnjour (2008-12-06 11:21) 

keyaki

bonnjourさん、いらっしゃいませ。

私も
>覚醒剤で廃人になる前につかまって良かったのかも
と思いましたが、それでもやめられなくてまたやっちゃう人が多いそうです。

bonnjourさんのブログを覗きに行って来ましたが、楽しそうな記事がいっぱい....今はデンマークにお住まいなんですね。
コペンハーゲンとストックホルムがどっちがどっちだか分からなくなるんですが、デンマークがコペンハーゲンで、チボリ公園があるんですよね。イタリアのティヴォリを連想したので、なんで北欧でチボリなんだ!しかも遊園地じゃん...今もあるのかしら? つぶれてないのかな...(笑

>トルチェロ
昔、昔の写真です。最近は、みなさんデジタルで手軽に素晴しい写真が撮れてうらやましいです。昔は、現像代もバカになりませんでした。この当時の写真は、夫が撮ったものですが、スライドが何千枚もありますしたが、置き場所に困ってほとんど処分したようです、残っているものだけでも整理しようかと思っていますが、ぜんぜんはかどりません。
昔の写真のいいところは、あまり人がいないことですね。今は、どこも観光客うじゃうじゃですものね。

>先日YouTubeに、そのモザイクを使ったビデオを投稿しました。
よろしければアドレス教えていただけますか。
by keyaki (2008-12-06 13:45) 

bonnjour

keyakiさん

当方のブログを見てくださったとのこと、光栄です。コペンハーゲンとストックホルムとオスロは、私も今年初めにデンマークに引っ越すまで、よく混同してました!私が住んでいるのはコペンハーゲンからさらに列車で3時間半ほどかかる、デンマークで2番目の規模の地方都市なんですが、たまにコペンハーゲンに行くと都会だなーと感心します。本家チボリ公園は倉敷のと違って(笑)、まだちゃんとやってますよ。浅草の「花屋敷」を彷彿とさせるレトロな遊園地です。

トルチェロの写真は古いのですね。もしかすると私が行ったのと同じような時期かもしれません。デジカメが出現するずーっと前の話です(遠い目...)。それにしても、旦那様がお撮りになった大量のスライドを処分なさったのは、置き場所の問題があったとはいえ残念ですね。

サンタ・フォスカ教会のモザイクを使ったビデオは下記のアドレスです。02:16-02:37に出てきます。マニアックな音楽と写真を使ってみました。拙いスライドショーですが、覗いていただけたら嬉しいです。(YouTubeでは、Ceciliaさんのブログに出入りする時と同じハンドルネームを使ってます)。
http://www.youtube.com/watch?v=9i9cG3vAFo0
by bonnjour (2008-12-07 09:20) 

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