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オペラ雑誌(2008.9 No.229)から《トスカ》《ドン・カルロ》《イタリアのトルコ人》《リゴレット》《ルイザ・ミラー》 [オペラ関連書籍&雑誌]

イタリアのオペラ専門雑誌から、交流のあるブログのご贔屓歌手、話題歌手の公演をピックアップ。それぞれ写真をクリックすると全文が読めます。

★マチェラータ《トスカ》(2008.7.26〜8.10)
ルッジェーロ・ライモンディ出演というので楽しみにしていたのに、リハーサル入りしながら全公演キャンセルして同僚のルーチョ・ガッロを代役を頼んで、帰ってしまったという《トスカ》です。プロヴァンスにヴァカンスに...という話しも漏れ伝わってきていますから、完璧病気というわけでもないようです。若い時のようにちょっと体調が悪くても頑張る..ということはしないということでしょうね。ファンとしては無理して出て、晩節をけがして欲しくない...という気持ちもあり複雑です。ライモンディが出演するはずでしたから、衣裳も豪華なものだったし、演出も前のオカシゲな演出から一変してまともなものだったようです。ライモンディ効果とでもいいましょうか。

★ロンドン《ドン・カルロ》:Le ragioni di Posa (2008.6.6〜7.3)
新演出の《ドン・カルロ》で、サイモン・キーリーサイドは燦然と輝き、タイトル・ロールのビリャゾンは輝きを失った.....つまりビリャゾンは期待外れで失望、宣伝先行ってこと。どこがダメかいっぱい書いてありますが省略。キーンリーサイドのポーザは、歌唱,演技とも非の打ち所がない....と絶賛。
これは放送されましたが、ポーザは代役のTiliakosで、残念ながらキーンリーサイドの歌唱は聞けませんでしたが、ビリャゾンのドン・カルロは、こちらで一部聞けます。→ジュネーヴ大劇場《ドン・カルロ》ORFで放送
Sardanapalusさんのブログのこの公演の紹介記事でキーンリーサイドの歌唱も聞けます。


★ベルリン国立歌劇場《イタリアのトルコ人》 Pesce d'aprile (2008.6.22〜30 )
演出がエイプリル・フールなのか歌手がエイプリル・フールなのか.....私が興味があったのは、クリスティーネ・シェーファーがロッシーニを歌うということと、ここ界隈では有名なロシア人バス歌手ヴィノグラドフがタイトル・ロールのセリムに初挑戦なので、両者ともどういう評価か興味津々だったんですが....いくら彼の名前を捜しても見つからない....このレビューは最終日でしたが、不調でキャンセルしてました。
各歌手については、衣裳のことが細かく書かれていますが、歌唱については、一言コメント。シェーファーにしても、まず、ミスキャストと書かれいて、「フィオリッラとしての我が儘で気紛れな性格を充分表現できてないし、声は重すぎ、酸味強すぎ、物悲しすぎ」と書かれているだけ。ドイツ語のレビューでは、シェーファーについては、いっぱい書いてましたけど、なにが書いてあったのかしら。ミスキャストだぞ!とバサッと切って捨てられないドイツ事情があるのかしら。

★ドレスデン《リゴレット》(2008.6.21〜7.9)
フローレスは地元ペルーの劇場でマントヴァ公爵を歌い、満を持してのヨーロッパ登場でしたが、この公演の後、レパートリーからはずしました。フローレスクラスの歌手になると、並のテノールが歌える程度に歌っても評価されないでしょうし、本人自身が、やってみたが、自分には合わないと判断したのでしょう。
レビューは『総合的に勝利をおさめた。ジルダとリゴレットは優れた歌役者ぶりを示したが、それに比べるとフローレスはマントヴァ公爵には合ってない。歌唱的にはトラッテヌート(抑制、押さえ気味)過ぎだし、演劇的にも明快さに欠る...』というようなことでしょう。

★バルセロナ《ルイザ・ミラー》(2008.6.19〜7.7)
パラパラ写真を見ていたらどこかで見た舞台...そう3月頃に、この界隈で話題になった、パリ・バスティーユのと同じ演出です。でもこの写真の左に立っている人物は、もしかしてレイミー!?当たりでした。なんとウルム役で出稼ぎ、最近リセウには定期的に出演しているようです。ヴァルター伯爵ならともかく、なんでヴルムなの?なんですけど。いくらなんでも66才でルイザに横恋慕する役はないでしょう。ヴァルター伯爵はジャコモ・プレスティアでした。

※この雑誌のいいところは、写真がたくさんあって、広告のページがないこと、レビューが早いということです。しかし、イタリアらしく月刊雑誌なのに夏休みがあって実質8月号がないので、この9月号に6月末の公演が含まれています。
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babyfairy

>ビリャゾンは期待外れで失望

私はヴィリャゾンは全く興味無いので期待もしていませんでしたが、折角のテノールとバリトンの二重唱は、ヴィリャゾンの声が聴こえにくくて魅力半減。私の観た日は後半になって調子は上がって来たものの、総合的にはカリスマとやたらめったらな情熱だけでタイトルロールを張っていると言う印象を受けました。

>フローレスはマントヴァ公爵には合ってない。歌唱的にはトラッテヌート(抑制、押さえ気味)過ぎだし、演劇的にも明快さに欠る

これ、判ります。大体、私はクラウスのマントヴァもつまらないと思うし、同じ路線で言っているフィリアノーティのも『なんだかなあ』と言う印象を受けました。でも逆にクラウスの歌う『真珠採り』のアリアはアラーニャとかアルヴァレスのものより良いと思うので、ものによりけりです。あの役はもっと華々しくエゴ剥き出しに演じられ、かつ歌える人でないと。まさに合わない役だったと思います。音譜が歌えるだけでは歌えない役もあると言う事ですね。
by babyfairy (2008-10-13 18:26) 

euridice

>音譜が歌えるだけでは歌えない役もある
オペラの歌唱は役を表現するものだと思いますから、そのとおりだと思います。フローレスのマントヴァ侯爵@リゴレットは、この写真を見る限りの印象では、全然違う・・という感じがします。P.ホフマンが伝記の中でこんなことを言っているのを思い出しました。
『私は、初仕事が、テノール、しかも、やすやすと高音を出す本物のリリック・テノール、とりあえず申し分のないタミーノだったことに、驚いている。タミーノは高いドを朗々と歌うことができたし、よさそうに見えた、・・・・が、しかし、真の成功は収められなかった。私はなぜだろうと自問した。ひとつ気がついたことは、彼は常に悲し気で、陰鬱で、意気消沈しているので、弱々しい人物というイメージで描かれることが多いということだ。』
つまりこういう風に演出されるタミーノは合わない役だったということでしょう。
by euridice (2008-10-13 22:20) 

keyaki

ビリャゾンって、いつのまにか人気者になってたんですけど、これって大手レーベルの戦略としか思えないですね。一応、細いし顔はハンサムではなくて愛嬌があるし、一般受けするんでしょうね。
この雑誌は辛口ではないのに、声は小さいし、高音は絞め殺されるような声だし、フレージングはぶち切れだし、問題点あり過ぎできりがない...なんて怒ってます。

フローレスは、独自路線で伸びてきた歌手ですから、なにも今更普通のテノール路線を目指すこともないと思いますけど。昔はロッシーニだけでは食って行けなかったんでしょうけど、今は大丈夫でしょう。
テクニックばっかりで感動させるものがないのって多いですよね。声楽ではなくて声学、研究発表みたいな歌唱。
by keyaki (2008-10-13 22:39) 

サンフランシスコ人

「大手レーベルの戦略としか思えないですね。」

米国のCD業界は大不況です。

by サンフランシスコ人 (2008-10-14 02:49) 

babyfairy

>フローレスは、独自路線で伸びてきた歌手ですから、なにも今更普通のテノール路線を目指すこともないと思いますけど。

そうなんですよ。ロッシーニだったら文句無く『王子』なのに。
(最も役によってはシラグーザの方が良いなと思うものも有りですが〜この間のペーザロ、フローレスはどちらかと言うと不調気味、シラグーザは絶好調でした)

>テクニックばっかりで感動させるものがないのって多いですよね。声楽ではなくて声学、研究発表みたいな歌唱

王子は、元々オペラには縁のない育ちの人だし、暇な時にはオペラは聴かないそうです。もちろん、ちゃんと声楽の勉強を始めてからは、必要十分の教養や修行は積んでいるので、現在の彼が有る訳ですが、インタビューでも超絶技巧とか、音譜の事、あるいは様式などから、『自分に合っている/合っていない』と言うのを決めているようなニュアンスを感じていました。最も、マントヴァに関しては、尊敬するクラウスや個人的ヒーローで友人(ペーザロの自宅がご近所同士だった)だった故パヴァロッティが歌っているから歌いたかったんだと思います。でも、ドニゼッティの喜劇くらい迄なら良いけれど、いわゆる本格的イタオペ・レパートリーには合わない声/芸風だと思います。
by babyfairy (2008-10-14 19:41) 

keyaki

>米国のCD業界は大不況です
そうですね。iTunesStoreの売り上げは伸びてるんじゃないですか。
生き残りはネットしかないでしょう。
それにしてもアメリカ発金融不安は困ったものです。
by keyaki (2008-10-15 01:18) 

keyaki

babyfairyさん、 euridiceさん
声だけでなく総合的に自分に合った役を見つけて行かないと...ですよね。

フローレスがなんでマントヴァ公爵を選んだのか、全くわかりません。
マントヴァ公爵って、第三番目の役ですよね。クラウスのパルマのだって、ヌッチとセッラに食われちゃってますし。クラウスが歌ったものだったら、まだ《ファウスト》の方がいいかもしれない。タイトルロールだし。
マントヴァ公爵が、リゴレットとジルダに食われてないのは、映画版のパヴァロッティのと、コヴェントガーデンのM.アルバレスのくらいじゃないかなぁ....演出家の意図もあると思いますけど。
それと見てないけど、グリゴーロのマントヴァ公爵は、「僕が主役だよ」って感じだったんじゃないかな。(笑
by keyaki (2008-10-15 02:13) 

サンフランシスコ人

「アメリカ発金融不安は困ったものです。」

サンフランシスコの貴金属店に、こんなに人がいない(ガラガラ!)のも珍しいですね.....

by サンフランシスコ人 (2008-10-15 05:20) 

Sardanapalus

写真が多いのは嬉しいですよね。オペラ雑誌って、金銭的に苦しいからか文字ばかり、広告ばかり、というものも少なくないですから。どれも写真だけでも楽しませていただきました。

>キーンリーサイドのポーザは、歌唱,演技とも非の打ち所がない....と絶賛。
イタリア人の批評家に絶賛されて本人も嬉しいでしょう。歌唱は好みとは違いますが、ヴィリャゾン効果でDVD化ですから感謝しなくちゃ!です(^^)
by Sardanapalus (2008-10-15 21:16) 

keyaki

Sardanapalusさん
>ヴィリャゾン効果でDVD化
えぇ...そうなんですか。そりゃ目出度いことですけど、放送を聞いた限りでは、好みの問題ではなく、特にあの絞め殺されるような高音はダメでしょう。ドミンゴのヘタな物まねみたいですし。「ドミンゴが必死で高音を出しているところ....をやりまぁ〜す...」みたいな感じ。(笑
放送の日が、絶不調だっただけってことで、撮影の日は、良かったのかしら。

by keyaki (2008-10-16 08:17) 

サンフランシスコ人

来シーズン、ヴィリャゾンがカーネギーホールに出演

http://www.carnegiehall.org/article/box_office/series/brochure/ser_640.html

Sun, Nov 15, 2009 at 2 PM
ROLANDO VILLAZÓN
Stern Auditorium / Perelman Stage

Rolando Villazón, Tenor
Carnegie Hall Recital Debut
Pianist to be announced



by サンフランシスコ人 (2009-01-25 08:54) 

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