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次々と2008/09シーズン発表:ベルリン国立歌劇場(リンデン)は.... [オペラの話題]

 各劇場の来シーズンの演目とキャストが次々発表されています。特にご贔屓の歌手がいる方たちは、ワクワク、ドキドキ、実際に追っかけファンをやってる人は、旅行の計画を立てたり、これも楽しみの一つでしょうね。
 人気歌手の場合は、数年先のスケジュールも決まったりします。R.ライモンディもちょっと前まではそうでしたが、今は、シーズン毎の予定のみ。先のことは不透明なお年ですから.....現時点で、ワシントン・ナショナルオペラ、ベルリン・ドイツ・オペラ、ウィーン国立歌劇場、チューリヒ歌劇場に出演予定です。
 来シーズンのスケジュール発表に関連してちょっと面白いオンライン記事を見つけました。ベルリン国立歌劇場は、5月8日に発表するつもりだったのに、内部の予算分捕りゴタゴタで、それができない、というコメントです。

ベルリン国立歌劇場:1000万ユーロ(約1億6千万)の補助金、棚上げ
ベルリン国立歌劇場は5月8日に予定通り来シーズン上演計画発表ができないという、もの凄く痛い事態だ。ベルリン市は1000万の補助金増額を棚上げした。理由は以下の通り。
インテンダントのペーター・ムスバッハ(写真右)は、内部での金銭の分配に関して合意することが出来ず、ちゃんとした財政計画を示すことができかった。ここへきて、ムスバッハは評議委員会に新たな計画を示した。委員会は5月7日開かれ、そこで承認されなければならない。承認されなければ、2008年9月に予定されている6つの新演出は上演できない。半分、取りやめにするか、コンサート形式の上演にならざるを得ない。
上演予定の最終決定は6月中にする必要がある。

以上が4月24日のオンライン記事の内容です。
 「コンサート形式の上演にならざるを得ない」って、お金はかからないけど、オペラハウスのやることじゃないでしょうに。やぶれかぶれなのかしら。補助金自体は,全体でいくらくらいなんでしょう。ベルリン・ドイツ・オペラとどっちが多いのかな。ちなみに、ベルリン・ドイツ・オペラは、4月30日にプレミエ8演目を含む上演計画が発表されています。

ベルリンの歌劇場についての覚え書き:
ベルリンには、ベルリン・ドイツ・オペラ(Deutsche Oper Berlin)、コーミッシェ・オパー(Komische Oper Berlin) 、ベルリン国立歌劇場(Staatsoper Berlin)があります。もともとは、ベルリン国立歌劇場とコーミッシェ・オパーの2つでした。しかし、ベルリンが東西に分断されたときに、ベルリン国立歌劇場とコーミッシェ・オパーが、東側の共産圏に入ってしまいました。それで、西側には、歌劇場が一つもないということになり、それでは困るということで(旧)西ベルリンにベルリン・ドイツ・オペラが誕生することになったのです。この劇場が国立を名乗っていないのは、(旧)東ベルリンに国立歌劇場があり、いつの日か東西が一つになったとき、ベルリンに2つも国立劇場はいらないという、統一への夢が託されていたからということでした。しかし、ベルリンの壁が崩壊(1989年)して夢がかなったわけですが、相変わらず、劇場は三つあります。2つあるものを一つにするのは、難しいんですね。
ベルリン・フィルという超有名なオーケストラは、オペラも演奏しますが、これらの歌劇場とは関係ありません。カラヤンやアバド指揮で、ライモンディも度々共演しています。

関連記事:チューリヒ歌劇場ペレイラ氏、経営方針を語る


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サンフランシスコ人

ベルリン・ドイツ・オペラのアメリカ公演は、全部売切れで行けませんでした。

by サンフランシスコ人 (2008-05-07 08:24) 

助六

この話、知りませんでした。

早速検索してみましたが、要するに欧州劇場によくある陰謀めいた内紛話みたいですね。でもやっぱりオモロイですわ。
それにキャンセル話なんかも絡むので、身ゼニ切る一介のオタク聴衆に過ぎない我々としては信頼できそうな情報仕入れて自衛するしかないですしね。

以下ネットで読めた独紙報道の私的総合に過ぎませんが…。

① 市から年間1000万ユーロの恵みの雨、「オレによこせ」「よこさん」

リンデンはベルリン市から年間1000万ユーロの追加拠出を得られることになった。因みにDOBは550万ユーロ、コーミッシェ・オーパーは400万ユーロの追加拠出を受ける。
ベルリン3劇場への補助金総額は1億1000万ユーロ。(配分は記載なし。)

ところで、リンデンは10-13年改装のため閉鎖、シラー劇場に引越しして公演を続けるんだそう。この改装・引越し等費用が700ユーロ。

リンデンの財務部長フィーアターラーは、追加1000万ユーロはこの改装・引越し費用に充当するとの考え。
総監督ムスバッハは改修・引越し費用は市が別枠で拠出すべきとの考え。追加1000万ユーロはプロダクション費用に回したいんでしょうね(この点はっきりした報道なし)。
音楽監督バレンボイムは、当然オーケストラ経費に回せとの考え。
三つ巴の確執に。

② ホゴにされたムスバッハ、泣く子も黙るバレンボイムと大ゲンカ

ムスバッハとバレンボイムは「劇場運営コンセプトの違い」で対立。具体的なことは報道がはっきりしないので分かんないんですが、要するに1000万ユーロ追加予算の配分問題で表面化した主導権争いの類だろうと想像します。(独劇場インサイダー情報に詳しい方、お願いいたします。)

劇場のカネと人事を最終的に握ってるのはベルリン市。つまり社民党のヴォーヴェライト市長。
しかし「裏で糸引く」バレンボイムはすでにベルリン劇場での権力基盤を確立済み。
「世界的名声を得てシンボル的存在」のバレンボイムにたて突く勇気のある政治家などいない。当然ムスバッハがチョン切られることになった。ムスバッハは02年からリンデンの総監督務めてるが、ベルリン市は10年夏以降はムスバッハとの契約を更新しないことを決めた。

ところがヴォーヴェライトはこの決定をムスバッハに直接知らせず、ムスバッハはバレンボイムの口から知った由。おまけにバレンボイムはムスバッハに対し、記者会見で「自分の意思で辞任する」と発表しろと匂わせてきた。

キレたムスバッハは市議会公聴会でコトの次第を暴露、バレンボイムとヴォーヴェライトの結託行動を「マフィア的やり口」と形容、ヴォーヴェライトは冷静に対応したが、バレンボイムは、4月のリンデンのムスバッハ演出「ドン・ジョヴァンニ」5公演の指揮を「個人的理由で」キャンセルした。決裂ですな。

ムスバッハだけでなく、フィーアターラーも4月末でリンデンのオペラ財務部長を解任され、コンツェルトハウスに転出することになった。ただしフィーアターラーはリンデンのバレエ財務部長としては続投。
ムスバッハは公聴会でフィーアターラーの財務実績もコキ降ろしていた。

③ 市長、追加予算拠出を凍結

ヴォーヴェライト市長は、ムスバッハとフィーアターラーが追加予算分配で合意できず。財務プランを期日に提出できなかったことを理由に、同予算の拠出を凍結した。
リンデン側はこのままでは、来シーズンの新演出6本中、3本を中止か演奏会形式上演にせざるを得ないと発表した。

5月8日に予定されていた来シーズン・プログラム発表は6月に延期ということですから、まあこれは黄信号振りかざしてるということで、最終的には解決するとは思いますけどね。

④ そしてバレンボイムは残った

バレンボイムはムスバッハとフィーアターラーを厄介払いし、権力行使余地を拡大した形。フィーアターラーは既に去ったし、ムスバッハも10年夏の任期切れを待たずに去るとの観測も。
12年まで任期のあるバレンボイムは、プロダクション上の采配権力を高めるだろうというのが、独紙の論評。
 
http://www.welt.de/berlin/article1901082/Intendant_wirft_Wowereit__Mafia-Methoden_vor.html
http://www.welt.de/berlin/article1905610/Barenboim_bestreikt_Don_Giovanni.html
http://www.welt.de/berlin/article1947233/Staatsoper_will_drei_Premieren_absagen.html
http://www.morgenpost.de/content/2008/04/15/feuilleton/957241.html
http://www.spiegel.de/kultur/gesellschaft/0,1518,550663,00.html
http://www.fr-online.de/in_und_ausland/kultur_und_medien/feuilleton/?sid=a62d9de2ee26e77116fd1f9a1efe9b64&em_cnt=1327879
http://www.tagesspiegel.de/kultur/Berliner-Staatsoper-Daniel-Barenboim;art772,2502565
by 助六 (2008-05-07 13:19) 

keyaki

サンフランシスコ人さん
それは残念でしたね。昨年の秋にベルリン国立歌劇場(Staatsoper Berlin)が来日しましたが、チケットは、売り切れではありませんでした。
by keyaki (2008-05-08 00:54) 

菅野

さっきTVでやってましたけど、BSOは予算が付かないのでライシーズン6本予定しているプレミエもできるかどうかわからないそうです。全部中止でレパートリー上演だけになる可能性もあり。何しろBerlinはドイツでは有数の産業の全く無い大貧乏街で有名なのでしょうがないですね。ボンで十分政治やれるのにあんなとこに首都を持っていく日本的感覚がおかしいですね。
by 菅野 (2008-05-08 05:58) 

サンフランシスコ人

「コンサート形式の上演にならざるを得ない。」

コンサート形式!

「ベルリン・フィルという超有名なオーケストラ」

現在のレベルはアメリカのオケより低いです。

by サンフランシスコ人 (2008-05-08 11:28) 

keyaki

助六さん
>ベルリン3劇場への補助金総額は1億1000万ユーロ。(配分は記載なし。)
日本円で約176億円、けっこうな補助金ですね。ちなみに新国立劇場が48億円くらいだったかな。
ベルリンの3つの歌劇場を統括するベルリン歌劇場財団というのがあって、総裁もいるようですが、ここが配分を決めているのかしら。

>DOBは550万ユーロ
なのに、リンデンが1000万ユーロって、破格ですね。
各国の歌劇場は、カットされているところが多いようなのに、ずいぶん気前がいいんですね。

>来シーズン・プログラム発表は6月に延期
内情のゴタゴタをあえて明るみに出すため? いずれにしても1000万ユーロはもらえるということですよね。

今シーズンから《ドン・ジョヴァンニ》を新演出にしたのもムスバッハいじめ?つぶし?の一環かしら。新演出といってもミラノ・スカラ座と共同制作のようですけど。

by keyaki (2008-05-08 19:07) 

keyaki

菅野さん、
時間的に5月7日の評議会が終わった結果のテレビ報道のようですが、
レパートリー上演だけでもいいんじゃないですか。24演目もあるんですし、すぐ近くに、ベルリン・ドイツ・オペラがあるんだし、「貧乏街」ベルリン市民は贅沢すぎ。
by keyaki (2008-05-08 19:09) 

Sardanapalus

興味深い記事をありがとうございます。

>コンサート形式の上演
そこまでして新制作にこだわる理由が良く分かりません。どうせほとんどは流行りの「1度で充分現代読みかえアングラ演出」でしょうし、同じ演出を歌手を変えて上演するのも味があっていいと思うんですけどね。新制作の機会が限られてくれば、本当に実力のある演出家が採用されるでしょうし、演出家の気合もはいると思うんですが…(^_^)

どうやらバレンボイム独壇場となってきているようですが、これからどうなることやら。しばらく注目してみたいと思います。
by Sardanapalus (2008-05-09 00:43) 

サンフランシスコ人

「新国立劇場が48億円くらいだったかな。」

サンフランシスコ歌劇場もそのくらいの予算ですが、国立・市立ではありません。


by サンフランシスコ人 (2008-05-09 01:26) 

keyaki

サンフランシスコ人さん

>現在のレベルはアメリカのオケより低いです。
ベルリン・フィルは、アメリカのオケよりヘタです、という意味ですか。にわかには信じ難いです。「アメリカのオケ」という言い方も説得力がないですし、信憑性に欠けていると思います。
これは、サンフランシスコでの定説ですか。

>新国立劇場が48億円くらい
予算ではなくて、補助金です。
by keyaki (2008-05-09 02:06) 

keyaki

Sardanapalusさん
助六さんの解説で、三つ巴の足の引っぱり合いということがわかりましたが、なんかすごいですね。

新制作は、集客にもつながるようですね。
黒字経営のチューリヒ総裁のペレイラ氏によれば、
「小規模(1100席)ならではの機動力で、年間約15もの新制作を舞台にかける。日曜日には1日2公演を上演。年間約270公演中、新制作は、約135公演だ。新作への注目は出演歌手の注目にもなり、チューリヒの舞台に立つことが大切なキャリア、と歌手たちを納得させる素材になる。....
これくらいでないと劇場が新しいものを生み出していく力がなくなる。オペラは、常に生き生きと生まれ変わってゆかねばならない芸術なのだから 」
ということです。
でも、やみくもに新演出をやればいいってことではなくて、演出の質が重要ですよね。ベルリンって、とんでも演出もあって、ああいうのは数年でお蔵入りじゃないのかしら。一度見れば充分ということになるでしょうし。

by keyaki (2008-05-09 02:41) 

サンフランシスコ人

「予算ではなくて、補助金です。」

新国立劇場の年間予算は?


by サンフランシスコ人 (2008-05-09 03:07) 

keyaki

>新国立劇場の年間予算は?

年間予算は劇場の運営費・人件費など込みで80億円、うち純粋な公演にかかる経費が30億円。欧米先進国に比較して少ないと言われているそうです。
新国立劇場はオペラだけでなく、バレエ、現代演劇の公演も行われていています。
詳細な決算報告書は↓
http://www.nntt.jac.go.jp/about/foundation/index.html
by keyaki (2008-05-09 09:29) 

サンフランシスコ人

「欧米先進国に比較して少ないと言われているそうです。」

サンフランシスコのオペラとバレエで80億円くらいの予算だと思いますね。



by サンフランシスコ人 (2008-05-09 10:59) 

菅野

24演目ですか。Wienのドレーゼ時代が60演目でしたからその半分以下ですね。あそこのオケはバレンちゃんが一人でレヴェル上げたようなこと言ってますが、もともと最高のレヴェルでしたね。僕は現在はほとんど変わっていないか落ちたと見ていますが、とにかくあそこはバレンちゃんの力が強すぎる。オペラやめてシンフォニー・オケにでもするのかな?あのみすぼらしい演出では誰も来ないですね。真っ先にはBDOとの経済的な差を縮めることでしょう。とにかくBDOと連動しないとだめですね。最悪の場合はBKOと一緒になるか。後はBSOの広報活動の下手なこと。SKDもそうだったけれども。未だにうちにも毎月と年間のプログラム送ってきますよ。もう行きもしないのに!旧東の人ってものすごく無駄な予算を使っています。西側と比べて経営がものすごく下手ですね。あれじゃ行かないです。
by 菅野 (2008-05-09 16:56) 

keyaki

菅野さん
そうです。新演出を除いて24演目です。
ドイツだったらミュンヘンが一番なのかな、年間40、新制作6演目です。かつて、サバリッシュが、ウチの劇場は年間300公演もやるんだぞ、と自慢していたようですから、今でも250〜300公演くらいはやっているとおもいます。数えるのが面倒なもんで.......

>ドレーゼ時代が60演目
レパートリー制で連日公演があるウィーン国立歌劇場もざっと数えてみましたが、2005/06シーズンで51演目281公演,新制作5演目程度

ということで、チューリヒ歌劇場の年間31演目215公演中、新制作は 、13演目115公演(2006/07シーズン)、新制作13演目はダントツ。

上のコメントにも書きましたが、チューリヒが黒字経営なのは、この新制作の多さも理由の一つだそうですから、新制作ゼロは痛いでしょうね。しかも内部のゴタゴタが原因となると。

ちなみにベルリンにある3劇場の稼働率は、2004年でデータがちょっと古いですけど
BSOが80%(客席数1396)年間観客数25万
BDOが64%(客席数1865)年間観客数27万
BKOが54% (客席数1338)

自己収入で、どれだけ経費をカバーできているかという数字がけっこう面白い
BSOが30%以上なのに、BDOは16〜17%、BKOは13〜15%
これって、BSOは、いろんな面でお金をかけてないということですよね。未だに、専属歌手の給料や、楽団員、合唱団の給料も旧西側より安いのかもしれません。知名度の高い客演歌手はめったに呼ばないみたいだし。オペラでも一人二役で人件費を節約してますしね。

>旧東の人ってものすごく無駄な予算を使っています
ということは、数字の上では節約しているようにみえますけど、一部の上層部が搾取してるってことかしら.....

上の数字はフィーアターラー氏が、2004年に日本で講演したものが、ネット上にアップされていましたので、そこから拾ってきました。
by keyaki (2008-05-10 11:02) 

菅野

詳しく研究してますね。バイエルンはあの300公演の中にオケのコンサートの定期演奏会年間約10回が含まれているのです。この分Wienよりもオペラが少なくなりますね。Wienはシーズンの初めに年間のスケジュールとレパートリーの数を全部集計した冊子が売り出されているのですね。昔は300円ぐらいだったと思います。あれは便利でした。

普通は補助が70%ぐらいで残りは自己収入:チケットの売り上げになるわけですが、良く注目されるのが観客動員率ですね。あれだけ過激な演出やっても現代物を含めてStuttgartのように95%超えるところは凄いです。Wienでも90%超えているでしょう。中には60%とか酷いとこもあります。もう現代物は絶対やれないですね。ボンのようにミュージカルとかオペレッタとかどんどん堕落していきます。

BSOはどこの略語かわかりません。Berliner・StaatsoperかBayrischer・Staatsoperか?BerlinはみんなUnter・den・Lindenと住所を略語化してますね。多分ここでしょう。

東の人間って基本的に物を売るという商売が下手ですよね。オペラハウスは元々完全な公務員がやっていたので大赤字でも国が助けてくれると思っていて職員は全然平気なようです。

Unter・den・Lindenの指揮者や歌手は知名度が低いことは無いですよ。ドゥダメルは呼ぶし、ネトレプコ、VillasonやKaufmannも来て歌っています。でもハウスの格が高いのでWienのように値切ることができますね。
by 菅野 (2008-05-10 17:17) 

keyaki

菅野さん
研究なんて、そんな....たまたまネットで拾ってきた情報ですが、信頼できる数字だとおもいますし、興味があるじゃないですか。

>BSOはどこの略語かわかりません
エェ! なにをおっしゃる菅野さん。BSOをはじめて使ったのは菅野さんです。私の記事の中にもそういう略語は使ってません。私は、BSOと言われてもピンとこなくて、ボストン交響楽団かな?とか思ったくらいなんです。ですけど流れからすると、ベルリン国立歌劇場のことだろうと。
それから、BDOもドイツ風に言えば、DOBでしょうけど、日本風にいえばBDO。これも菅野さんの略語を使わせて頂きました。
BKOは、私が菅野さんに習って、コミッシュ・オーパーは、日本風に言えば、ベルリン・コーミッシェ・オーパーだそうですから頭文字をとって、BKOにしました。
まあ、ややこしいので、今後は略語は使わないことにします。
by keyaki (2008-05-10 19:38) 

Sardanapalus

>新制作は、集客にもつながる
そういえばウンター・デン・リンデンも専属歌手が多いんでしたっけ。同じ歌手なら、一度見た演出に足が遠のくのも頷けます(^_^;)METとかROHなんかは人気歌手をそろえた再演が多いですよね。(どっちの方が金銭的には楽なんでしょうね?)

それなら、使わなくなった旧演出を他の劇場に貸し出したり売ったりすれば多少の援助になると思うのですが、もうやってるのでしょうか?数年しか使えない→予算が削られる→貧相な舞台装置・衣装=現代化演出しかできない、というような悪循環に陥っているような気がします。
by Sardanapalus (2008-05-11 12:35) 

keyaki

Sardanapalusさん
次の記事で、新国のデータを見ると、新制作は安定して客の入りがいいですね。あとは、オペラ自体が人気の演目というのも強いですね。
私の場合も、まず、見てない演目とか、新制作を選んで、それから、再演(私自身もすでに見ている)の場合は、興味のある歌手が出演ということですね。
やっぱり、有名な歌手が出れば、再演でも再々々々でも行きますし。

最近は、共同制作が増えてますけど、どのくらい節約できるんでしょうね。
by keyaki (2008-05-11 15:02) 

菅野

BSOはそうですか、でも話題でわかるところに書いたと思います。ミュンヘンは(Muenchen・Nationaltheater)MNTにしましょうか?でもここでも未だにBayrischer・Staatsoperという人も多くて略語に困っちゃいますね。BerlinはUnter・den・Lindenが圧倒的です。まあいいでしょう。でもこういうのを研究してくれる人が一人でも多くいて将来のオペラの運営にタッチしてくれると助かりますね。

問題は音楽家でこういうことを研究してやれる人が全くいないのですよ。またドラマトゥローグの役割を果たしてくれる人が欲しいです。日本には音大などにこういう学科がまったく無いのですね。日本はいつも流行に流されていて目立つのは音楽療法ばっかりですね。
by 菅野 (2008-05-12 01:12) 

keyaki

菅野さん
名前は符丁ですから、お互いに分れば問題ないです。そのとおりです。
ドイツの歌劇場は、日本語にする時に、Staatsoperを「国立」としたり「州立」としたり、いろいろですが、どちらも同じだと分っていれば、いいのですが、それを知らないととまどいます。一般的には「国立」としているようですが、こだわる人は「州立」としているようです。
どちらにも理由があるようですが、私は、こだわりませんので、多いほう、普及している方を使うことにしています。
by keyaki (2008-05-12 15:53) 

菅野

本当は州立です。でもミュンヘンは昔はバイエルン国の「国立」でしたね。日本もそう訳してしまったのでみな馴染んでいるしいいでしょう。もう一つBSOがありましたね。Berlin・Sinfonie・Orcheter!今まで西と東に2つあったのですが、西は潰されましたので今は一つなのだけれども、これはさすがにBSOしかないでしょう。だから後はMNTとUdLと使い分ければ間違いは無いですが、みんな馴染んでくれるでしょうか(笑)。
by 菅野 (2008-05-13 04:42) 

keyaki

菅野さん
特に来日の場合は、招聘元が、「ベルリン国立歌劇場」という名称を使いますし、州立より国立の方が格上ということなんでしょう。
書籍の記述も、Staatsは国立としてますし、新聞とか放送関係も統一してると思います。
人の名前も、いろいろありますね。今までは、書籍とか新聞で使用しているものをみんな素直に使っていたので統一がとれてよかったのですが、最近のネットの普及で、まあ、みなさんいろいろ主張しますから、もう、バラバラ....困っちゃいます。
by keyaki (2008-05-14 03:12) 

菅野

とした方が親方日の丸至上主義の国の人へのチケットの売り上げが良いのでしょう。なんといっても国立は日本人にとっては神様同格ですからね(笑)。ベルリンもそのように考えているようです。レヴェルはちっとも高くないですね。音大もみなしかりです。ここでは単なるBerlinというドイツの一地方ですね。無くとも十分に生きて行けます(笑)。

今では「兵士たち」と「軍人たち」で揉めていますね。前者は前からありましたが後者は新国の上演のためのようです。よほど教養の無い人が訳したか、こんなに人を混乱させて面白いかどちらかでしょうね。
by 菅野 (2008-05-14 06:31) 

助六

>補助金自体は,全体でいくらくらいなんでしょう。ベルリン・ドイツ・オペラとどっちが多いのかな。

そうですよね。やっぱりベルリン3劇場の総予算と補助金配分、気になりますね。

オフィシャルな文書は見つからなかったんですが、独公共TV・ZDFのサイトに記載がありましたので、参考までにまとめておきます。数字の年度にバラつきがあるということは、ZDFでも公式の数字を入手するのは簡単ではなかったということかも知れません。
ついでに、比較材料としてパリ・オペラ座の数字も付けておきますね。

小生はやはり面倒なので、「私流」略号にしますわ。
LO: リンデン・オーパー
DOB: ドイッチェ・オーパー
KO: コーミッシェ・オーパー

OP: パリ・オペラ座

【総予算】

LO   6102万9000ユーロ (03-04年)
DOB  4370万ユーロ (07年)
KO   3600万ユーロ ( ? )

OP   1億7900万1600ユーロ (07年)

【補助金】

LO   3739万8000ユーロ、加えて債務引き受けとして572万9000ユーロ (03-04年)
     3590万ユーロ、加えてオケに180万ユーロ (06年)
DOB  3685万ユーロ (06年)
KO   2820万ユーロ ( ? )

OP   9900万3300ユーロ  (07年)


【従業員数】

LO  総員767人、専属歌手25人、オケ132人、合唱88人、裏方346人 (03-04年)
DOB 総員544人、専属30人、オケ123人、合唱84人、裏方325人 (?)
KO  総員415人 専属30人、オケ107人、合唱59人、裏方132人 (?)

OP  総員1574人(03-04年?)オケ174人、合唱102人(07-08年)

【観客数】

LO   31万人  (05年)
DOB  18万2402人  (06年)
KO   18万1158人  (06年)

OP   76万3053人、ストによる公演中止で入れなかった客4万9000人を除く。 (07年)

リンデンの総予算はちょっと古い数字で、補助金額の推移から類推すれば今は少し減ってるかも知れませんが、とにかくDOBよりかなり多いんですね。補助金はリンデンとDOBはほぼ同じだから、リンデンは自力で頑張って入場料収入等で稼いでいるということでしょうね。
リンデンは従業員数が多い(これも古い数字で今はもう少し合理化が進んでいるかもしれませんが)から、かなり固定人件費にカネ取られてるはずで、にもかかわらず招聘歌手とか上演のレヴェルを保ってるのは立派ですね。
keyakiさんが紹介して下さってる03年の数字ですと、DOBとリンデンで観客数はほぼ同水準、DOBの方がやや多かったのに、05-06年にはDOBはリンデンにはるかに水をあけられてるようです。これはティーレマンが去った後、バレンボイム並みに観客動員力のある音楽監督がいないせいでしょうか。
冬のフェストターゲなんか、旧東ベルリンの住民なんかまるで払いそうもない高額な入場料取ってるから、外国からの客もかなり貢献してるんでしょうね。
個人的には、フランケッティ、ニェッキ、ブラウンフェルスなんかの珍しい作品を掛けてるDOBのハームス総監督の意欲には声援を送りたい気もするんですが、リンデンだってまあ珍しい作品や斬新な演出もやってはいるしね。

それから壁崩壊後、3劇場ともリストラを進めてます。
従業員数は、90年から02年までに、

LO  1210人から797人に
DOB 924人から738人に
KO  817人から576人に

といった具合に減り、この後も削減されてます。東独は労賃の安さもあって人たくさん雇ってたようですね。
壁崩壊までは東西両政府がそれぞれの財源を持ち、劇場運営でも競ってたから、予算も今に比べると潤沢だったということでしょう。

パリはやっぱり規模が大きいですが、ガルニエとバスティーユ、事実上2つの劇場を回転させてるわけですし(同じ日に双方でオペラ2演目同時に上演されることもある)、レパートリーとスタジョーネ・システムの差を考えれば、パリとベルリン全体の予算・活動規模に大差はないと言えるかもしれません。パリは同レヴェルの大劇場に比しても雇ってる人が多すぎるというのは以前から度々指摘されてることですが。


さて、以下リンデン騒動の続報です;

【なぜ市から予算追加か?】

3つものオペラハウス維持に苦慮しリストラ進めてきたベルリン市が、なぜ今追加予算の大盤振る舞いかということですが、要するに連邦政府とベルリン市(ベルリン市は州の地位を有してるからつまりベルリン州政府)の綱引きで、市が連邦政府に譲歩したということのようです。
ヴォーヴェライト・ベルリン市長は、連邦政府がリンデンの財政負担を全面的に引き受けることを要求してたそうですが、連邦政府はそれを断りその代わりリンデン改装のための連邦政府負担を当初予定の5000万ユーロから2億ユーロに引き上げた。連邦政府が改装費用負担を大幅に増やしてやる代わり、市が今後のリンデン財政を負担しろということのようです。具体的には今後10年間、市が毎年1000万ユーロ負担を増やすということ。つまり今後連邦政府からの拠出が見込めない分、市が負担を増やすことを呑んだということでしょう。

【バレンボイムVSムスバッハ】

追加予算分配をめぐる具体的数字も出てきました。
ムスバッハは追加予算はプロダクション費用に充当すべきと主張し、バレンボイムは180万ユーロをオケ給与引き上げに回せと主張してるんだそうです。
この抗争で、ムスバッハに事実上勝ち目はない。市長に加え、劇場内部のソリスト・オケ・合唱・裏方代表までが書簡で公然とムスバッハ辞任を要求してバレンボイム側に付いたからです。
ヴェルト紙論評によれば、オケの判断は極めて現実的なもので、どうせバレンボイムがコネを使って勝利しオペラ劇場予算削減を回避するのだから、オケもこの際給与引き上げに預かろうという「勝ち馬に乗れ」の論理みたい。結果はバレンボイムの主張は既に受け容れられた模様。
リンデンのオケが比較の目安にしてるのは、ピットにも入るがシンフォニー・オケとしての活動が重要なヴィーン・フィルとゲヴァントハウスだそう。

このバレンボイムのオケ取り込み策については、前リンデン総監督のクヴァンダーがインタヴューで率直な意見を表明をしています。曰く「自分は90年代半ばにオケの給与引き上げを真っ先に主張したが、バレンボイムは興味を示さなかった。当時彼はベルリン・フィルを狙っていたからだ。ベルリン・フィルがラトルに決まると、バレンボイムにとってリンデンのオケが関心事になり、バレエを削ってオケ予算を増やせと言ってきた。あの時私が抵抗しなければリンデンのバレエはツブれていたはずだ。エゴイズムのバランス取りが大変だった。私の意見では今はオケより合唱の給与引き上げが急務だ」。
クヴァンダーは、ここぞとばかり「私がバレンボイムと相談したのは、彼が指揮するプロダクションについてだけで、他の上演については私の完全フリーハンドだった」「バレンボイムは自分の野心を劇場全体の利益に従属させるべきだ」などと続けてます。

思えば、バレンボイムは89年のバスティーユ開場直前に、イヴサンローラン社長でミッテラン大統領の友人だったベルジェ総監督と主導権争いで衝突し、政の力で強引に解任されたのでしたけれど(その4年後にはチョンと官僚出身ガル総監督の間で全く同じ構図が繰り返された。)、20年近く経って今度はバレンボイムが政を取り込んで、ライヴァルを放逐する形ですね。ムダに歳喰ってないところが我々凡人と違います。

http://www.theaterkanal.de/theater/deutschland/berlin/
http://www.berlin.de/imperia/md/content/senwfk/pdf-dateien/kulturpolitik-foerderung/opernkonzept.pdf
http://www.welt.de/berlin/article1295626/Bund_zahlt_fuer_die_Berliner_Staatsoper.html
http://www.welt.de/kultur/article1979775/Riesenkrach_mit_Barenboim_an_Berlins_Staatsoper.html
http://www.morgenpost.de/content/2008/05/13/feuilleton/961953.html
http://www.tagesspiegel.de/kultur/;art772,2527120
http://www.welt.de/berlin/article1977289/Mitarbeiter_fordern_Ruecktritt_ihres_Intendanten.html
http://www.tagesspiegel.de/kultur/;art772,2529822

http://www.operadeparis.fr/Tout-Savoir/Opera-en-chiffres/

by 助六 (2008-05-14 10:25) 

keyaki

菅野さん
ほんと、なんだかんだ言われたくないからと、名前を横文字で書いたり、タイトルもそのままだったり、単にカタカナ表記にしたり、いろいろですね。でも、横文字のままというのは、やめてほしいです。
映画のタイトルも、集客に影響しますから、いろいろ考えてつけているようですが、最近は、そのままというのが増えているように感じます。見てわかってもなんて発音するのかピンとこないので、話をする時に困っちゃうんですよ。

>「兵士たち」と「軍人たち」
そうなんですか、揉めてますか。まったくイメージが違ってきますが、内容からしても兵士だとおもいますが、軍人のほうが、薄汚いかんじがしないので、観客が増えるという効果があれば、それでもいいんじゃないの〜ですが、どうだったんでしょう。

by keyaki (2008-05-14 16:57) 

keyaki

助六さん、ありがとうございます。
従業員数、すごいですねパリは。一度雇うと、永久にクビにできないから増えちゃったんでしょうか。

>DOB 総員544人、専属30人、オケ123人、合唱84人、裏方325人
これは、裏方がミスタイプですよね。225人かな。
せっかくですから、表にして、記事にしたいとおもいます。
by keyaki (2008-05-14 17:01) 

菅野

逆です。横文字のままのほうが混乱は無いし英語の辞書などで元の意味が判るのでいいです。カタカナは全くだめですねrとl、bとvの区別が日本語ではつかないのですから、また今更日本人には聞けないし元の意味は辞書で引きようがありません。止めて欲しいです。同じことで人名もほんとは言語のままのほうがいいです。例えばBoulez!ブレーズでもなくブーレーズでもないのです。ほんとの発音は最初のーがあとのーの半分ぐらいと本人が言ってましたね。どっち道日本語では表記不可能なのでBoulezがいいです。まあBoulez聴く位ならちょっとぐらいのフランス語はみな知っているでしょう。まだまたありますよ。ファニホー、シモンなど昔は良くWikipediaで喧嘩しましたね。
by 菅野 (2008-05-14 21:39) 

菅野茂

軍人のほうが、薄汚いかんじがしないので
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
物語が18世紀以前なので汚い感じがいいじゃないですか?レンツの作品だし。「兵士」となると共産革命などの近代20世紀以降を連想します。

DOBはまだ小さいほうですねWienやMuenchenではオケだけでも150人ですね、StuttgartやKoelnでも130人です。どれも6管編成。でもライプチヒはもっと大きくて180名のオケで8管編成、サンクト・ペテルスブルクはもっとで9管で軽く200名超えると思います。オペラをやるとはこういうものですね。
by 菅野茂 (2008-05-14 21:46) 

kanno

ごめんなさい「軍人たち」のことです。何しろマイスタージンガーをヴィデオからDVDにダビングしながら書いていますので(笑)!
by kanno (2008-05-14 22:35) 

keyaki

菅野さんは、横文字に慣れているというか、横文字生活をおくっているから、そう思うのでしょうが、私は、日本語のなかに、横文字が混ざっているのは、極力避けたいです。どう発音するのかわからない場合は、仕方がないのでそのままにすることもありますけど。

>Boulez
そういう綴りなんですか。シャンゼリゼの綴りも存じません。ドゴールもダメ、サルコジもダメ......バイロイトも書けない....

>軍人と兵士
私は、軍人はそれを職業にしていて、士官以上の身分の高い人で、兵士は、徴兵されたり、仕方なくなってる身分の低い人で、士官(軍人)に使われる人だと思います。
by keyaki (2008-05-15 02:35) 

菅野

こちらは逆にカタカナで書かれるとHPなんか何の事だかわかりません。ネットは僕がここに着てから10数年後に普及したのですが、その間に日本は変わったこと・変わったこと!キレルやキモイさえもわからなくて辞書引く羽目になりました。無かったですが(笑)。

まあクラシック書くのは大体は大卒でしょう。第二外国語ぐらいの知識でいいのですよ。

>軍人と兵士:本当は「軍人たち」も良かったのです。ただ僕たちはそれより遥カ二十数年も前に誰かの訳の「兵士たち」で馴染んだものですから今そのようにまた言い直すと凄い違和感になります。また「兵士たち」で友達とは音楽談義をしたものでしたよ。今時バイエルン州立歌劇場やベルリン州立歌劇場を言われたらおかしく感じますね。慣れは恐ろしいです。でもほんとだから仕方が無いですね。
by 菅野 (2008-05-15 05:35) 

助六

>これは、裏方がミスタイプですよね。225人かな。

ZDFのサイト(一番上のtheaterkanalというリンク)では、裏方が325人となってます。
上に記した各セクション人数の他、事務方30人というのも書いてあって、全部足すと592人になってしまいますね。
どこかに数字のタイプミスがあるのか、不定期雇用者の算入とか数え方の問題なのか私には分かりません。


>>軍人と兵士
私は、軍人はそれを職業にしていて、士官以上の身分の高い人で、兵士は、徴兵されたり、仕方なくなってる身分の低い人で、士官(軍人)に使われる人だと思います。

小生もkeyakiさんと全く同じ語感です。

私もツィンマーマンの作品は「兵士たち」という題で刷り込まれてしまった方です。ですから最初は題から薄汚い兵卒の群れを連想したのですが、ちょっと違うので一瞬アレッと思いました。

レンツの原作については、独文では随分前からある岩淵訳以来「軍人たち」が定着してるようですね。

原作で出てくる兵士たちは士官で貴族とか上級軍人ですし、レンツには、上級軍人が市民階級の娘を弄ぶ階級社会の告発という意識も強いですから、岩淵訳はその辺を考えてあえて「軍人たち」と訳し、それが定着したんではないでしょうかね。

現代独語だったら、「Soldat 兵士」の他に「Militär 軍人」という言葉もあり、その差は日本語の語感と殆ど同じようです。但し現代独語の書き言葉では「Militär」は第一義的には「軍人」よりもまず「軍隊」を指すようですけど。レンツ時代、18世紀の書き言葉で「Militär」という語が「軍人」の意味で一般的に用いられていたのかどうかは私は知りません。

新国がこの際、原作の定訳に合わせようというのなら、それもアリかなと私は思います。

ラヴェルの「クープランの墓」とか、モンテヴェルディの「倫理的・宗教的な森」、さらには「魔笛」だって、日本語の一目見た語感からすると誤解を与えかねない訳だけど、定着してるのなら徒に変えても混乱の元だし、まあ目クジラ立てる必要もないかなと私は考えてますが。
by 助六 (2008-05-15 08:42) 

euridice

横からお邪魔します。
>>>軍人と兵士
二つの語に対する「語感」はkeyakiさん、助六さんと同じです。

>ツィンマーマンの作品
これについては、私も「兵士たち」という訳語を最初に知りました。
「Die Soldaten」という原題からも「兵士たち」をイメージして、
映像をひとつだけざあっと見たことがありますが、助六さんと同じように感じました。つまり、
>兵卒の群れを連想したのですが、ちょっと違うので一瞬アレッ
と思いました。「軍人たち」のほうが語感からくるイメージが
内容と合っているようですね。

by euridice (2008-05-15 10:21) 

サンフランシスコ人

サンフランシスコのオペラに日本円で約40億円(2006年円相場)も寄付する個人(一人)!

http://www.guardian.co.uk/world/2006/oct/06/arts.usa
by サンフランシスコ人 (2008-05-15 10:33) 

euridice

ついでに、外国語の、特に人名の表記ですが、確かに難しい問題です。

専門的な文章、例えば、音楽にしぼれば、リブレット、プログラム、関連雑誌、書物などは、並記するのがよいと思いますが、通常はそういうのは煩雑です。

縦書き文化も健在ですし、捨てて良いものでもないでしょう。さらに、あくまで「日本語の文章」であることを貫くとすれば、むやみに横文字を入れるのはどうでしょうか。「日本語」としての「自己完結性」あるいは「尊厳」の問題です。

実用的な面でも、すべての横文字をその本来の言語で音声化するのは無理です。どうなるかと言うと、単語が音としてではなく、ひとかたまりのイメージとして脳内に取り込まれます。それは、視覚言語である日本語の悪弊を助長するだけです。書かなければわからんという状況が広がるだけです。それに外国関連の話はすべてその国の言語で行えばよいなど、絶対不可能だし、その言語ができなければ、外国ものに触れるべきではないとなり、むちゃです。

いずれにしても国際化が進む中で言語の問題は大きくなるばかりだと思います。言語は人格そのものですから。外国語の固有名詞表記は試行錯誤しつつ、共通認識を拡大していくべきでしょう。多様な意見をよく聞いて、指導的立場の人たちに頑張ってもらいたいですね。

たとえば、音楽関係なら、専門家が集まって、対照表を作成して流布させるとか・・ 異論は受け付けて、議論して随時改訂とか・・
まあ、文化庁の国語研究所が、ある程度はやってるみたいですけど、周知徹底のための広報活動はほとんどしてないんでしょうね。

インターネットの時代になったのですから、インターネット上にいつでもだれでも検索できる巨大データベースを作るのがいいと思います。

by euridice (2008-05-15 10:47) 

euridice

「軍人たち」への追記です。

かつて国内盤LDが出ていました。その邦題は「軍人たち」です。
試しにオークションで検索してみたら、なんという偶然、
なんとなんと10000円で出品されてました。しかも、すでに
入札者ありです。

http://page10.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/m56518877
by euridice (2008-05-15 20:35) 

TARO

外国語の固有名詞をアルファベットで書く件については、以前ヴァランシエンヌさんのおたくでも話題になりました。ネットでも固有名詞を常にアルファベット表記する方はいらっしゃいますが、私はこれをかなり嫌っています。

まったく読み方が判らない場合はアルファベット表記すべきですが、普通はカタカナで書いて欲しいと思います。
理由は二つ、一つは文章というのは読みがわからずに目で文字の形だけを追うというのはきわめて苦痛であること。二つ目は日本語の文章として、過剰にアルファベットが入ってくるのは「美しくない」ということです。

もちろん何に美しさを感じるかはひとそれぞれですけども、あきらかに知性も教養も人並み以上にありそうな方々が、正確さを重んずるあまり「日本語の文章としての美しさ」に極端に無頓着であるのは、私にとってネット七不思議のひとつです(あとの6つはと聞かれると困るんですが)。

今回の上演、残念ながら見逃したんですが、この作品は私は長いこと「ゾルダーテン」として覚えていました。理由は単純で、大昔FM放送の番組でこのオペラについて触れていた人が、そう呼んでいたからです。シェーンベルクの「期待」も同じ理由で、私はずっと「エアヴァルトゥング」と覚えていました。まあ「期待」という日本語は曲の雰囲気からあまりにもかけ離れてるので、原語で覚えちゃって良かったなと思いますけど。
by TARO (2008-05-15 23:48) 

keyaki

TAROさん、euridiceさん、私も全く同感です。
少なくとも音楽辞典にのっているような人は、そのカタカナ表記でいいわけですし。
新国のキャストが、アルファベット表記になったら、世も末ですね。
それに世界は、アルファベットだけではないですし。

>「軍人たち」「兵士たち」
助六さんやedcがおっしゃるように内容から言えば「軍人たち」が妥当ということですね。
まとめてみますと、こういうことですね。
・CDは、「兵士たち」
題名を『軍人たち』とする表記もありますが、ここではニューグローヴ音楽辞典に倣って『兵士たち』と致します...だそうです。
・1990年発売のLDは、「軍人たち」
・新国が「軍人たち」を採用したのは、原作の翻訳で定着していることと、内容から、兵士より軍人が適切と判断したのかもしれません。芸術監督の若杉氏の意向も反映しているでしょうね。

>TAROさんの「ゾルダーテン」
これは、「ラ・トラヴィアータ」のようなものですね。

by keyaki (2008-05-16 01:55) 

菅野

定着しているものはいいのですが、新しい述語のカタカナ言葉はとても困ります。人名のことじゃないけど正直言って意味がわかりません!何でそんなに日本人の官僚は西洋人になりたがるのか?だったらいっそ全部横文字でやってくれると意味がわかりますが(笑)。日本語に問題なく訳せるものはそのまま正直に訳したほうが良いですね。まあここで言いたいのは「兵士たち」の訳語はもともと常識的にあったものです。私たち専門筋じゃ当たり前だったのです。問題はそれをいたずらに混乱させることですね。止めてもらいたいです。例えば日本で「イギリス」Englandや「ドイツ」Deutschlandで定着したら間違ってもそれで良しとしたいです。それとも正式にGreat・Britain、Bundes・Republik・Deutschlandと読みたいですか?
by 菅野 (2008-05-20 00:16) 

keyaki

「兵士たち」も「軍人たち」も馴染みがないので、どっちでもいいのですが、今回、菅野さん言うところの専門筋が「軍人たち」にしたので、「兵士たち」は形成不利かもしれませんが、「兵士たち」がすでに定着していれば、大丈夫....

一旦定着したものを変えるのは、かなり難しいですね。
「オーストリーと呼んでください!」というのは、どうなったんでしょうね。
http://keyaki.blog.so-net.ne.jp/2006-11-21
by keyaki (2008-05-20 02:26) 

かんの

普通はオーストリアでしょう。現地ではÖsterreich:エースターライッヒ(東の領土)という意味でしょう。オーストリアが完全に定着していまうので使うのはこれだけですね。
by かんの (2008-05-20 17:19) 

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