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スカラ座創立200年記念《ドン・カルロ》イタリア語5幕特別版1幕VideoClip [ドン・カルロ]


VideoClip:1978年1月7日ミラノ・スカラ座
アバド指揮、ロンコーニ演出
イタリア語5幕版第1幕前半(期間限定)

 前の記事にも書きましたように、プレミエのTV中継はカラヤンの要望?妨害?で断念したものの、一ヶ月後の1978年1月7日に、隠し球のドミンゴとM.プライスでTV放送をすることに成功しました。
 それにしても、この《ドン・カルロ》は特別版ですから、その日に駆けつけて歌うというわけにもいかなかったと思いますが、よく引受けましたよね。ドミンゴは、ドン・カルロは1967年からレパートリーにしていますし、レコーディングもしていますので、慣れた役だとは思いますが、12月18日から初役の《ウェルテル》でミュンヘンの舞台に立っていたようですから、その合間をぬって練習したんでしょうか。
 一方、マーガレット・プライスは、モーツァルト歌いとして定評があり、1976年ショルティ指揮で《オテロ》のデズデモナを歌ったのが初ヴェルディだそうです。ということはもしかしたら、初役!?ってことかもしれません。
 この公演は、映像は発売されていませんがライブCDは発売されているんですね。

★VideoClipについて:
一般的なイタリア語5幕版より8分程度長いヴァージョンで、冒頭にエリザベッタときこりの妻たちとのやりとりがありますが、その部分をアップしました。

『きこりたちとその妻たちが長い冬とスペインとの戦争を嘆いている。冬は長い!暮らしはつらい!パンは高い! 戦争はいつ終る!.... 仲間たち、仕事を急ごう!平和がくれば、暮らしも楽になるさ!....王室の狩が行われているらしく、遠くで狩人たちの合唱が聞こえる。エリザベッタが従者たちとともに登場。夫を亡くし、二人の息子も戦争に行ったまま帰って来ないという貧しい女に金の鎖を与えながら、自分とドン・カルロの結婚で平和がくるでしょうと語る。きこりたちは喜びふたたび仕事にはげむ。エリザベッタ退場。また遠くで狩人たちが叫んでいる。ファンファーレとともにドン・カルロが一人で登場。』

1867年パリ初演の時にすでにカットされた部分です。初演前の舞台稽古が長時間に渡ったので、ヴェルディはこの部分をカット、狩人の合唱からすぐにドン・カルロが姿を現し「レチタティーヴォとロマンス」が歌われる今の形にしたそうです。

実は、私、5幕版の場合は、2幕から聞くことが多いので、今まで気づきませんでしたが、意外にこの初演前にカットした部分を復活させているのがけっこうあるんですね。最近のメトの《ドン・カルロ》も長いヴァージョンでした.....5幕というだけでも長いのに、なんでかな。もう、あんまりいろんなヴァージョンがあると頭が混乱して疲れます。


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コメント 4

ふくきち

私が初めて見た《ドン・カルロ》はメトの映像でした。冒頭のきこりの妻の場面があると、エリザベッタが国王からの求婚を受け入れた経緯が分かって、いいと思うんですけどね。《ドン・カルロ》は五幕版が好きです。四幕版はストーリーが分かりづらい…。
by ふくきち (2008-01-12 09:43) 

keyaki

ふくきちさん、私もメトの《ドン・カルロ》、次が、コヴェントガーデンのですが、どちらもイタリア語5幕版ですね。
ビデオクリップで紹介した最初の場面はなくて、狩人たちの合唱が遠くで聞こえて、舞台にはきこりたちがいて、そこにエリザベッタが来て、パントマイムで貧しい人たちにほどこしをしたりする様子がパントマイムで演じられるんですよね。

>《ドン・カルロ》は五幕版が好きです。四幕版はストーリーが分かりづらい…。
確かにですけど、五幕版でも、ロドリゴが撃たれたあとは、バタバタしてなにが起こったのか予習してないとやっぱりわかりづらいですね。
場面転換に必要な休憩7回も含めて6時間はかかるものになって、最低でも15分は短くしないと上演できなかくて、いろんなところからちょぼちょぼカットしたみたいです。
ワーグナーとかだと、お話の最後だけというのも多いですから、それまでの経緯は知っていて見るものということもありなんでしょうね。

この1978年1月7日の映像は、NHKTVでも放送されたんですね。
by keyaki (2008-01-12 20:40) 

たか

私は部分的に初期稿に戻すという1978年の上演の姿勢には賛成できないのですが、この序奏をイタリア語で復活させたという点だけは大賛成です。エリザベッタがフィリッポ二世との結婚にネガティブな理由が単に高齢だからというような個人的な問題ではないことがはっきりするからです。

5幕版の最終稿は狩りの軽快な音楽で始まってこの作品には相応しくないのでもし5幕でやるなら序奏からやるべきでしょう。レヴァインのメットのプロダクションは基本的にイタリア語5幕版の最終稿ですがこの序奏のみを復活させたバージョンになっています。

アバドは1983年のフランス語による録音ではイタリア語5幕版の最終稿をフランス語に戻した版を新たに作成し、序奏は逆になくしてしまいました。アバドはいろいろ凝ったことをやるのはいいのですが、この曲に関しては結局レヴァインのやり方の方が合理的かつ効果的な成果を挙げていると思います。

アバドはモーツァルトのレクイエムでも変な版を独自に作成していて本当は演奏自体は悪くないのに、これは何だかなあという感じです。この件は前にブログに書いたので読んでみて下さい。
ヴェルディのレクイエムはアバドが変なバージョンを作成する余地がなくて本当に良かったです(笑)。ライモンディとも映像やCDで良い演奏を残していますしね。
http://blogs.yahoo.co.jp/takatakao123/11874980.html
by たか (2008-01-13 01:06) 

keyaki

>5幕版の最終稿は狩りの軽快な音楽で始まってこの作品には相応しくない
なるほど、納得です。

>イタリア語5幕版の最終稿ですがこの序奏のみを復活させたバージョン
お恥ずかしいはなしですが、5幕版の場合、1幕は飛ばしたりしていたので気づきませんでしたが、なんとこのスカラ座のより前に1975年にミュンヘンでプレートルが「序奏のみを復活させたバージョン」でやってました。

>1983年のフランス語による録音
このCDは、最後に補遺として、最後に収録されていますが、全曲の中に混ぜてしまうよりは、カットされた部分がはっきりわかって私にとってはありがたいです。

>モーツァルトのレクイエム
ブログの記事読ませていただきました。いろいろあるんですね。
本人が完成させてないものを誰かが完成させるって、なんか変ですよね。しかもいろんな版があると、指揮者もいろいろやってみたくなるということかしら.....本人が健在なのに、お友達とかがいじくりまわしちゃうってのもありますね。
by keyaki (2008-01-14 01:57) 

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