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1989年メト《 ドン・カルロ》他-9-★☆いよいよ最後☆めずらしい終幕もアップ [ドン・カルロ]

1989年メト《 ドン・カルロ》録音入手記念記事 その9 終わり


↑1989年ウィーン:VideoClip
写真は1979年カラヤンのもの

 左写真をクリックするとVideoClipにリンクしています。暗くてほとんど見えませんが、最後の場面とカーテンコールです。
 「その6」でも紹介したオーストリアの音楽評論家カール・レーブル Karl Löblのクラシック音楽番組の一部ですが、1989年ウィーン国立歌劇場で、久々にアバド指揮、ピッツィの新演出の《 ドン・カルロ》が上演されたので企画された番組ではないかと思います。ウィーンでは、1982年以来,実に7年ぶりの上演でした。
 過去記事でも話題にしましたが、この演出は、未だにウィーンで上演されていますが、どうやら最後にカルロが、自分の短剣で胸を刺す演出に変えられているようです。プレミエでは、台本通り、修道院に引き込まれています。

4幕(5幕/5幕もの):1幕1場(2幕1場/5幕もの)と同じサン・ジュスト修道院の中
重々しい悲劇的な前奏で幕が開く。
■エリザベッタが、もの思いに沈んでゆっくり登場
カルロ5世の墓の前に一人たたずみ、カルロを待っている。
♪音声ファイル(1):Tu che le vanita'「世の虚しさを知る神よ」
ロドリーゴと約束したように、カルロへの愛をあきらめ、母としてのつとめを果たします...幸せだったフランスでの若き日を回想しながら、もはやすべての夢も喜びも失ってしまったわが身の悲しさを嘆く
■カルロ登場
彼もやっとエリザベッタへの愛を諦める決心をします。
♪音声ファイル(2):Ma lassu' ci vedremo〜O,ciel(最後)
さようなら母上! さようならわが子よ!...とお互いにもっと楽しく暮らせる国、天国で会いましょうと別れを告げます。
■フィリッポと宗教裁判長が登場
二人の様子を見たフィリッポは、自分の義務を果たすぞ、とエリザベッタの腕をとらえ、大審問官はカルロの逮捕を命じる。カルロは、剣を抜いてその場を逃れようとする。
その時、ジャーン!ドラの一撃とともに、不意に祖父カルロ5世の姿で、しかもそっくりの声の修道僧が現れ、地上の苦しみは、ここで終る、神のみもとでしかやすらぎはない!...とカルロを修道院の奥に連れ去る。一同、驚きと恐怖に立ちすくむ。カルロ皇帝の声だ!と大審問官。父上!とフィリッポ。「おぉ,神さまぁ! O, ciel!」とエリザベッタの悲痛な叫びとともに幕が降りる。

★参考Don Carlo 楽譜

★1989年NYメト:レヴァイン指揮;Shicoff,M.Price,Weikl,Troyanos,RR
♪音声ファイル(1):Tu che le vanita'「世の虚しさを知る神よ」
 マーガレット・プライス
♪音声ファイル(2):Ma lassu' ci vedremo〜O,ciel(最後)
 シコフ、M.プライス、RR、ローテリング、デヴリン

★1979年Wiener Staatsopernorchester / Don Carlo - Premiere
♪音声ファイル(1):Tu che le vanita'「世の虚しさを知る神よ」
 ミレッラ・フレーニ
■Tra voi,vaghi giardin〜la pace dell'avel!(スコアの568下段〜574上段)までカットしてます。演奏時間にして約2分程度短くなっています。こういうカットが一般的なのかどうかは知りませんが、どうなんでしょう。
♪音声ファイル(2):Ma lassu' ci vedremo〜O,ciel(最後)
 カレーラス,フレーニ、RR 、サルミネン、ローニ

♪おまけの音声ファイル:
1978年ミラノ・スカラ座200周年記念の特別企画の《ドン・カルロ》の終幕。
オリジナルのパリ初演版をもとにした特別版。現行イタリア語版の簡潔な表現に対して、フィリッポ、大審問官、エリザベッタ、カルロの4重唱と男声合唱によるアンサンブルが主体となってる。イタリア語での演奏ははじめてだったので、ピエロ・ファジョーニがイタリア語訳の歌詞を担当した。
録音状態は良くないですが、めずらしいので終幕の部分をアップします。
★1978年ミラノ・スカラ座 アバド指揮 / Don Carlo:イタリア語5幕特別版
♪音声ファイル:Ma lassu' ci vedremo〜Si,Per Sempre! 〜幕まで
 RR、カレーラス、フレーニ、サルミネン、ローニ
フィリッポが、カルロを不肖の息子、裏切り者、と罪人扱いして逮捕を命じ、「異端者よ、反逆者よ、裏切り者よ、呪われよ!..」というフィリッポと大審問官と男声合唱に対して、「私たちの清らかな別れを、この処刑人たちは罪にするのね....犠牲者を二人欲しがっている....恐ろしい....」とエリザベッタ。「死をまきちらす者たち.....嘘だ!」とカルロ。「神が裁いて下さる!」とエリザベッタとカルロ、という4重唱と男声合唱。
そして、イタリア語現行版の大審問官がカルロの逮捕を命じる場面となり、ドラのジャーン!とともに、修道僧(先の皇帝カルロ5世)が現れ、カルロを修道院に引きずりこむ。最後もエリザベッタの「 O,ciel!」ではなく、このあとに僧たちの合唱が礼拝堂の中から聞こえてくる。「カルロ5世、威風あまねき皇帝も、もはやただの灰と塵のみ.....」と静かに幕が降りる。
※あれれぇ、なんか最後が中途半端、録音が途中までなのか調査中......
やはり最後の部分が欠けてましたので、別の日の演奏のをくっつけて、差し替えました。実は映像なんですけど、残念ながら別キャストなんです。しかし、ロンコーニ演出で、なかなか面白い舞台ですので次回の記事で紹介したいとおもいます。ヴェルディが書いているように、ちゃんとカルロ5世の姿の人物が墓からジャーン!と現れてカルロと一緒に姿を消します。


参考:
フィリッポII(ドン・カルロ)主な公演 1968ー2003
ヴェルディ:ドン・カルロ録音

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コメント 6

たか

フェードアウトするドンカルロは古くはサンティーニのDG盤でも採用されていました。このアバドはスカラ座で何度かドンカルロを取り上げていますが、78年の演奏は部分的に初期の音楽に戻しています。3幕でフィッリッポがレクィエムのラクリモーザの旋律を歌ったりもします。もっともこれはアバドが始めたことではなくて73年のフェニーチェ座の演奏(指揮はプレートル)でもそうなっています。私もドンカルロの版の問題は一度どこかでまとめておきたいと思っているのですが何せ複雑すぎて.....
by たか (2007-12-30 10:03) 

keyaki

たかさん、本当に《ドン・カルロ》は、いろいろな理由で改訂を繰り返していて、わけがわかりませんね。
大きく分けて、フランス語5幕版、イタリア語4幕版、5幕版ということでしょうか。最近は、ロドリーゴの死のあとフィリッポとカルロの二重唱を入れることも多いようですよ。
一番良く演奏されるのは、イタリア語4幕版でしょうけど、それでも長いですね。
by keyaki (2007-12-30 14:14) 

峠茶屋の爺

長かったが、終わってしまうのが残念なエエ企画でしたな。複雑なドン・カルロを丁寧に教えてもろてあり難かった。心から御礼を申し上げますぞ。
オペラにもブルックナーのシンフォニーと同様の複雑な版の問題があるのですな。同じ作品なのに歌う言語が違うところなんかは非常に面白いですな。
さて、次はどんな企画を考えておられるのやら。楽しみにしおりますぞ。
by 峠茶屋の爺 (2007-12-30 15:26) 

keyaki

峠茶屋の爺さま、やっぱり長いですね。長い分、見どころ聞きどころも多いし、指揮者や演出家の意向で、カットされたり、付け加えられたり、混乱しますね。
ネットのおかげで、ライブ放送をいろいろ聞く事ができるので、いろいろな形で上演されているんだな、と実感します。
ご期待にそえるかどうかわかりませんが、楽しみにしていただいて嬉しいです。
by keyaki (2007-12-31 01:14) 

サンフランシスコ人

今日(3月5日)のニューヨーク・タイムズに、来シーズンのメトロポリタン・オペラの記事がありました。

by サンフランシスコ人 (2008-03-06 06:21) 

keyaki

サンフランシスコ人さん、次々来シーズンの予定が発表されていますね。ライモンディはぞろぞろ引退も視野に入ってきているようで、ご自身もあまり先の予定は組んでないのではないかと思います。
メトは、多分、今回がラストパフォーマンスでしょうね。
来シーズンは、ワシントンオペラの《ルクレツィア・ボルジア》が決まっているだけです。
by keyaki (2008-03-06 10:31) 

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