1989年メト《 ドン・カルロ》-1-★☆MP3カルロ&ロドリーゴ [ドン・カルロ]
バス歌手なら一度は歌ってみたいフィリッポII世...ライモンディは、27歳から30年以上にわたって主要レパートリーの一つとして歌っています。従って、共演者も様々、共演者の一覧表なんてのを作っています。 ところで、数日前に、1989年メトロポリタン歌劇場の録音を手に入れることができました。
Don Carlo................ Elizabeth of Valois.... Rodrigo.................... Princess Eboli.......... Philip II................... Grand Inquisitor....... Celestial Voice........... Friar........................ Tebaldo................... Conductor................ February 11, 1989 キャスト詳細............. |
Neil Shicoff Margaret Price Bernd Weikl Tatiana Troyanos Ruggero Raimondi Jan-Hendrik Rootering Hei-Kyung Hong Michael Devlin Diane Kesling James Levine Matinee Broadcast ★メトデータベース |
この公演は、ラジオ放送されていますので、いずれ入手できるとは思っていましたが、やっと手に入れることができました。この公演は、メトの当時のお家芸とでもいいましょうか、知名度抜群、国際色豊かな歌手を揃えています。シコフ、M.プライス、トロヤヌス、ヴァイクル、RR....えっ!というようなキャスティングだとおもいますが、どうでしょうか。
1(2)幕、カルロとロドリーゴの2重唱
サン・ジュスト修道院の聖堂、愛するエリザベートを失った苦悩をいやすべく救いを求め祈るカルロ、そこに親友のロドリーゴがやって来て、再会を喜びあう。悲しみに沈むカルロにわけを尋ねる。カルロは、自分の母となってしまったエリザベートを今でも愛していると悩みを打ち明ける。驚いたロドリーゴは、このままでは大変なことになると心配して、このことは国王には秘密にして、一緒にフランドルに行く許可をもらって、フランドルの自由と独立のために身を捧げることをカルロに勧める。(国王と王妃来訪を告げる鐘が鳴る)二人は、固く抱き合い、永遠の友情を誓い合う。そこに、国王フィリッポ二世と王妃エリザベートが聖堂にやって来る。カルロは、愛するエリザベートを永遠に失った悲しみを改めてかみしめる。
この場面は、歌手の相性もあるんでしょうけど、永遠の友情を誓い合う2重唱が、ピシッと決まると実に気持ちいい!
★参考Don Carlo 楽譜
好きなオペラの好きな場面を繰り返し聴けて幸せです~(^^)相性としては、カレーラス&カップチッリの輝かしい声のコンビが一番気に入りました♪一番重量級の最新版は、ボータがいきなり出トチしてドキドキしちゃいましたが、音質はやっぱり良いですね。89年のと比べると、マイクとか録音技術の進歩を実感できます。
>メトの今昔、拍手の素早さは変わりません
あははは、確かに早いですね~!実は、今月NHK-hiでMETのオペラ特集を見ているのですが、丁度拍手のタイミングの早さが気になっていたのです(笑)なぜ後5秒待てないのかしら…。
by Sardanapalus (2007-11-11 22:08)
音声ファイルありがとうございます!
楽しませていただきました。
ほんとにMETのはテンポが速いですね。演奏も拍手も (^^;
数年前にドナルド・キーンさんの講演会でうかがった話では、ルドルフ・ビングが支配人に就任してまもなく、『ドン・カルロ』が肝いりで上演されたということでした。
今、メモが見つからないのですが、それまでは比較的ドイツものが有利だったMETでイタリアものに力を入れるさきがけになり、以降『ドン・カルロ』はMETにとって重要なレパートリーになった、というような話だったと思います。
by なつ (2007-11-12 00:26)
Sardanapalusさん
ヴェルディの男声の二重唱は、ワクワクしますものね。何度も聴きたくなりますよね。
ウィーンの拍手はさすがですね。カラヤンですから、フライングなんかしたら怒られそう....
by keyaki (2007-11-12 01:23)
なつさん
たしかに、キャストを揃えるのが難しいのに、頻繁に『ドン・カルロ』をとりあげていますね。
>ほんとにMETのはテンポが速いですね。演奏も拍手も (^^;
カラヤンがゆっくりなのか、レヴァインのテンポが早いのか...並べて聞くとかなり違いますね。
しかし、何度聞いても、シコフとカレーラスの「彼女を失った Ah! gran Dio!」のAh! が、あんまり似ているのでビックリです。
by keyaki (2007-11-12 01:49)
何度聴いても我を忘れちゃいますね、この二重唱。
「ドン・カルロ」って欲求不満人間の集まりみたいな話だし、音楽のテンポも全般にのろくて陰鬱だけれど、この誓いの二重唱だけは「エルナーニ」なんかの直系の勇壮な「リゾルジメント調」ヴェルディですよね。
メランコリックな色調が基調のこのオペラでここだけエライ景気いいなぁと、嬉しいと同時に一種チグハグさも感じてきたんですけど、3つ繰り返して聴いてるうちにやっぱりヴェルディさすがで、大向こう受けする劇場効果は確実に確保しながら、ニュアンスを加え一筋縄では行かない書き方してるなと思えてきました。
ヴェルディこの二重唱の前半は初版以降かなり書き換えてますけど、「Dio, che nella'alma infondere」以降はその後もまるで手を加えてないから、自信あったんでしょうね。
一番景気のいい音楽は、実は同じ三連譜リズムに乗せて誓いの旋律に間断なく続くフィリッポとエリザベッタ入場のファンファーレで、その後僧侶の重苦しい合唱、カルロの絶望の叫びを経て、もう一度誓いの旋律が戻ってくるけれども、初期ヴェルディだったら当然ソロ二人が声揃えて旋律をハデに繰り返すところが、旋律はオケに委ねられ、二人の歌は断片的言葉のやり取りに限られてます。
結果は、誓いの歌はただ威勢がいいというより、権力者側の抑圧的な大ファンファーレに抵抗するなにやら不安の影を帯びた自由への叫びという趣を帯びてるような。最後のオケがフォルテで繰り返す誓いの旋律も、自由のユートピアへの輝かしい賛歌であると同時に、失われたユートピアへのノスタルジックな悔恨を奏でてるような気もするのです。
勇壮さと暗い影が交錯してるみたいなこの二重唱は、グラントペラの外向的華美と心理面の内向的憂鬱が、必ずしも成功しないまま融合している「ドン・カルロ」全体の構造にもよく対応していると思います。
やはりカラヤンのテンポ設定とフレージングはその辺のニュアンスをよく伝えていると思いました。それに比べるとレヴァインはちょっとメカニカルかな。
歌はカップッチッリが好きです。ヴァイクルはちょっと異質だし、ホロストスキーはアクセント付はなかなか迫力あるけど、声は粘りがちのダミ声っぽいかも。
カレーラスにはカルロは重いようで、シコフ以上に緊張度が高い感じなのは些か意外。録音のせいもあるかもしれませんが。シコフは思いのほか巧みに切り抜けてるような。
>メトの今昔、拍手の素早さは変わりません
確かに独墺の客は拍手遅めで、「通」の傾向はあると思いますけど、この両メト上演の拍手の早さは客のノーテンキさ(仏もまるで同じ)と同時に、より直接的にはここで幕が降り始めてるということだろうと思います。もう30年位前のデクスター演出ずっと使ってるみたいだし。
逆にヴィーンは、幕降り始めても拍手控えてたんだとしたらリッパですわな。
by NO NAME (2007-11-12 11:58)
上、名前忘れました。
by 助六 (2007-11-12 12:00)
助六さん
こうして取り出して聞いてみるのも面白いですね。鐘の音が1回、2回、3回といろいろなのも今頃気づきました。
なるほど、メトは幕が降りるのが早い可能性はありそうですね。
カップッチッリは、うまいですよね。こういう普通にというか正統的というか、くせのないうまさ...かな...
ヴァイクルは、滑らかで、けっこういいな、と思いました。ゴツゴツしたのとかは好きじゃないんで、イタリア語もきれいだと思いますし。
by keyaki (2007-11-13 03:33)
>実に気持ちいい!
この二重唱、ほんとに気持ちいい旋律ですね・・
でも、みっつめはちょっと疲れるぅ・・感じ。
by euridice (2007-11-14 07:30)
euridiceさん、メトのDVDになっているのはロドリーゴがイマイチ...というのが定説?ですよね。ドミンゴとキリコ父のコンビですけどね。
歌うことに必死だと聞いている方は疲れますよね。必死でも必死さを悟られてはダメ.....
by keyaki (2007-11-14 20:45)