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ヴェルディ《エルナーニ》:つれて逃げてよ・・・MP3 [エルナーニ]

 ヴェルディのオペラ《エルナーニ》の1幕で歌われるエルヴィーラのアリアは、なかなか聞きごたえのある歌で、コンサートでもよく取り上げられるようです。舞台では歌うチャンスがなくても難曲に挑戦!ということなんでしょうね。《エルナーニ》の舞台を4回シリーズで記事にしましたが、このソプラノのアリアが洩れてましたので、せっかくですから、手持ちの音源からご紹介します。リガブーエ、ゲンジェル、フレーニは舞台のライブ、ドイテコムはコンサートからです。



(1)リガブーエ


(2)Gencer


(3)フレーニ


(4)ドイテコム

※楽譜はParte Prima: Il BanditoのScena e cavatina: Ernani, Ernani, involamiをクリック、32頁から

(シルヴァノ城の中の豪華なエルヴィラの部屋で一人、エルナーニを待っている)
夜も更けてきたのに シルヴァは帰ってこない!
ああ、もう二度と帰って来なければいいのに!
あの憎らしい老人は、幽霊のようにいつも私につきまとう
愛について語りながら
いっそうエルナーニのことが心に深く刻みつけられる

(ズンチャッチャ、ズンチャッチャ、ズンチャッチャ)
エルナーニ エルナーニ! 私を解き放ってください あのわずらわしい抱擁から
一緒に逃げてください もしもあなたと愛に生きることが許されるなら
洞窟へでも 荒野でも 私の足はあなたに従って行くでしょう
たとえどんなところでも 私にとっては エデンの園 エデンの園なのです
(ここで、合唱団の侍女たち登場、結婚の贈り物を披露し、合唱が入りますがカット)
なんであろうと認めないわ エルナーニのことをこの心に語ってくれないものは
憎しみを愛に変えてくれるものなどあるわけが無いの
時間よ 早くたって! そしてうれしい逃亡の時を 一刻でも早くしておくれ
時間よ 早くたって! 愛する心にとって躊躇することは苦痛なの!

(1)イルヴァ・リガブーエ:1972年ヴェローナ、デ・ファブリッティーズ指揮
共演は、コレッリ、カプッチッリ、RR

(2)レイラ・ゲンジェル:1972年ガヴァッツェーニ指揮
共演は、ベルゴンツィ、カプッチッリ、RR

(3)ミレッラ・フレーニ:1982年ミラノ・スカラ座、ムーティ指揮
ムーティに説得されて歌ったが、このシーズンだけで、レパートリーからはずした。そのため1983年には、アプリーレ・ミッロが歌い、彼女のスカラ座デビューとなった。

(4)クリスティーナ・ドイテコム:カルロ・フランチ指揮
コンサートの録音。なんか、凄いのでアップしてみました。

※ライモンディのメトデビューは1972年の開幕公演《エルナーニ》で、エルヴィーラはマーティナ・アーロヨでした。録音も手に入れましたが、音が良くないのでアップは見合わせました。
関連記事:
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コメント 6

euridice

>ああ、もう二度と帰って来なければいいのに!
嫌われたものですねぇ・・保護者は保護者らしくしなくちゃ、
若い娘にはいやがられるものですね。

録音のせいもあるのでしょうけど、
フレーニが一番大人しくて、端正な感じでしょうか。
他の方、みなさん、とても華やかですけど、
>なんか、凄い
ほんと、ど派手!と言っておきましょう@。@)
by euridice (2007-10-16 22:01) 

Sasha

このアリアは、どーもこう、聴くより自分で歌う(あるいはそのマネゴト^^;の)ほうが楽しいかなぁー... ずっと前から知っている歌でしたが、自分で歌って(いやいや、歌うマネして)みて、一時期すっごくハマリました。なんていうか、肉体的快感があるのですよねぇ。

つい、マーラ・ザンピエーリの録音(ガンガン歌ってた頃のコンサート・ライヴ)を取り出して聴いてみてしまいました。ドイテコムのようにヴァリアンテこそ入れていないがこのアリアの史上最速カバレッタ(?)かと思われるもんのすごいものです。カラスのスタジオ録音もあり。まだ声のあるうち(1958年)なので良い出来です。(舞台では歌っていないはず)。さらには、ヒスものですが、1920年代のローザ・ポンセルも、厚みと力感のある声なのにアジリタが鮮やかにキマッテいて、録音の古さを超えてなかなかの感銘度です。(^^
by Sasha (2007-10-16 22:27) 

keyaki

euridiceさん
ほんと嫌われたものですよね。最後でも、あなたが死ねばいいでしょ、なんて、口走っちゃうし.....強そうでもお育ちがいいので、一人で逃げる気はない...(笑
フレーニは、その後はレパトリーからはずしましたけど、自分の歌唱については、合格点だけど素晴しいとは言えない、と自己分析しています。こういうのを歌い続けると、自分の持ち味が失われるリスクがあると感じたそうです。しかし、2オクターブを行ったり来たり...凄いですよね。
by keyaki (2007-10-17 00:06) 

keyaki

Sashaさん
ザンピエリですか、そりゃ面白そう!聞いてみたいですね。

>肉体的快感
なるほど、なるほど、わかりますわ。
聞いていても快感ですから、自分で歌っちゃえば、そりゃもう.....
ズンチャッチの伴奏も快感度アップですよね。これを嫌う人がけっこういますけど、きっと快感を覚えるのが怖いのかも..(笑
by keyaki (2007-10-17 00:13) 

助六

うわー、快感4回、感謝感激です!

小生、「エルナーニ」ぜひ一度舞台を観てみたいというのは、要するにこのエルヴィーラの「Ernani, involami !」の叫びが劇場の暗闇から浮かび上がる瞬間を体験してみたいという意味ですから、これは本当に嬉しい昇天ものの贈り物ですわ。

女性の方は、仮にマネゴトでもこれを歌ってみることができるのは羨ましいです。男の声じゃ、口ずさむのもちょっと気味悪いと言いますか。

歌曲でも男の歌を女声が歌うのは早くから許されてたようだけど、先日マティアス・ゲルネが「女の愛と生涯」をリサイタルに組んでたのには、遂に現れたかと思うと同時に、いくら詩も音楽も書いたのは男とは言え、男が出産の喜びを歌うというのは、コワイもの見たさの感でしたねぇ、私には。幸か不幸か行けませんでしたが。


さて4人ともそれぞれ立派な歌唱ですが、個人的にはエルヴィーラとして限界があるのは承知の上で、フレーニが好きです。限界内での切り抜け振りは見事なもんだし、カバレッタの繰り返しまでやって大々健闘賞もの。やはり彼女の声とフレージングには私はイカレます。

リガブーエの美しい歌にも驚きました。何と舞台で全曲、それもヴェローナで歌ってたとは知りませんでした。劇場ではちょっときれい過ぎて、毒が足りないと感じるかもしれませんけど。でも立派。

声が疲れてて(録音のせいもあるのかな)、少しよろけ気味だけど、声・様式ともエルヴィーラに本来的に近いのは、結局ゲンチェルかもね。実際の劇場上演ではキズはそれほど気にならないでしょうしね。

ドイテコムは声・フレージングがやや異質だけど、コンサートとは言え、装飾付きで繰り返しまでやってこれだけ歌っちゃうのは大変なことですね。

このアリア、ホントに肉体的快感も頂点ですが、いつもいつも感心するのは、ヴェルディが跳躍する音楽の勘所を、カンタービレの「in-volare」とカバレッタで繰り返される「vola」という語にスポットライトを当てるように結晶化させ、キリリと引き締めてることです。
飛翔する音楽に運び去られようとする瞬間に、言葉の理性的な力につなぎ止められるみたいな。
やはりヴェルディは猪突猛進だけではなくて、ベルカントに流し目を送りながら、手綱を付けてますね。

その辺の様式的バランスに腐心してるのは、ムーティかと思います。慣習的カットを避けてるのはやはりありがたいですし。このある種のノロっぽさが裏目に出た失敗例が彼の「ドン・カルロ」だったのかも。

ガヴァッツェーニは、いつものシェマティックで画然たるリズム感が手綱となって、音楽のフォルムを確保し、ムーティとは異なる優れた様式的解決と思います。

リガブーエとドイテコムのバック付けてる指揮者は誰でしょう?
by 助六 (2007-10-17 11:34) 

keyaki

助六さん、お楽しみいただけてよかったです。

リガブーエのは、オリヴェーロ・デ・ファブリッティーズ指揮です。
ヴェローナでは、ヴェルディのものをよく取り上げますが、後にも先にもエルナーニはこれだけです。
ライモンディは16歳の時に、マエストロ・カンポガッリアーニの教室で、彼女に会っていますが、
「イルヴァ・リガブーエは、27才の目も眩むような美しいシニョーラで、しかもモーツァルトの2つのアリアをすばらしく的確なスタイルと美しさで歌ってびっくりするほど印象的だった。」そうです。

ドイテコムのは、カルロ・フランチ指揮でローマでのコンサートです。
PhilipsからLPがリリースされていたのかなぁ...
by keyaki (2007-10-18 02:04) 

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