パヴァロッティを偲んで:ヴェルディ《エルナーニ》4幕☆★VideoClip [エルナーニ]
急転直下、青天のへきれき、こんなこともあるんですね、神聖ローマ皇帝になったとたんに慈悲深い寛大な心の持ち主に豹変した国王カルロのお蔭で、エルナーニとエルヴィーラは晴れて結婚することに、今日はその婚礼の日です。あまりの幸せに、シルヴァのことなんかすっかり忘れています。あの角笛が鳴るまでは.....
(1)今こそあなたと一緒に....永遠に幸せ.... |
(2)角笛の音を耳にすれば....すぐに死ぬ!約束は守れよ! |
登場人物:
☆レオーナ・ミッチェル:エルヴィーラ(ソプラノ)
エルナーニと相思相愛、シルヴァの姪
★エルナーニ:ルチアーノ・パヴァロッティ(テノール)
実はアラゴンの若き貴族ドン・ジョヴァンニ。ドン・カルロの父に財産も奪われ父も殺されたためにエルナーニと名前を変え山賊となり、父の復讐を誓っている。
★カスティリアの王ドン・カルロ;シェリル・ミルンズ(バリトン)
エルヴィーラにご執心で、我がものにしようとしているような悪い王様なのに、神聖ローマ帝国の皇帝に選ばれた途端に、慈悲深い良いひとになる。
※テノールに近い高音域のバリトノ・カンタンテの難役
★大公ドン・ルイ・ゴメス・シルヴァ:ルッジェーロ・ライモンディ(バス)
可愛い姪のエルヴィーラの後見人で、自分の花嫁に迎えようとしている。掟と名誉が、自分の首より大切な老貴族。
4幕:仮面(エルナーニの城)
いまや山賊エルナーニではなく新皇帝カルロの慈悲により、家名再興を果たし、今ではアラゴンの貴族ドン・ジョヴァンニ。今日は、その城にエルナーニとエルヴィーラの婚礼に客が集まってきます。その中には、めでたい席には場違いな黒いマントに頭巾で顔を隠した死神のような男が紛れ込んでいます。あのシルヴァです。
♪写真(1)ビデオクリップ
そんなことは露とも知らず、二人はお互いの愛を確かめ合い、幸せの絶頂にあります。そこに遠くから角笛の音が聞こえて来ます。まさか! エルナーニは青ざめます。エルヴィーラに知られないようにしなければ....慌てて薬を取って来て欲しいと頼みこの場を去らせます。
シルヴァは、エルナーニに誓いを守るように命じます。エルナーニは掟や名誉もかなぐり捨て、やっとつかんだこの幸せを奪わないで欲しいと命乞いをします。しかし、シルヴァは、悪魔のように冷酷に、毒薬か短剣か選べ!....と迫ります。そこにエルヴィーラが戻ってきて、あなたが死ねばいいのよ....と思わず、悪態をついてしまいます。あぁ、なんてことを口走ってしまったの.....お願い、許して、私はシルヴァ家の女よ、その私がこの人を愛しているの!だから助けて!と懇願します。でも、今回は効果無し、その愛ゆえに死ぬのだ!....復讐の鬼と化したシルヴァは許しません。
♪写真(2)ビデオクリップ
わかった、わかった.....あきらめた....エルナーニは胸に剣を突き立てます。エルヴィーラは駆け寄り、なんということを....さよなら、エルヴィーラ......すぐにおそばに参ります.....生き長らえてくれ、僕を愛して生きてくれ....さよなら。そんな二人を見ながら、復讐の悪魔よ、ここへ来て踊るがいい!シルヴァはつぶやきます。エルヴィーラの腕の中でエルナーニは息絶えます。
かくして、誓いは守られたのであります。ジャジャ〜ン幕。
ユーゴの原作では、エルナーニとエルヴィーラは毒薬を奪い合って、共に死に、シルヴァは即座に短剣で自害して果てる.....最後は全員死んで終わりだそうです。ヴェルディでは、死ぬのはエルナーニだけ、シルヴァは、約束が守られたことに満足して幕です。みんな死んで、終わりより、はじめて見たヴェルディのオペラでしたので、これが、この終り方がオペラなんだ...と新鮮でした。
《エルナーニ》は、三大荒唐無稽オペラ(あとは、トロヴァトーレと運命の力)の一つだそうですが、そうであるなら、大芝居を見せて欲しい、このメト版《エルナーニ》は、それにふさわしい歌手と舞台と演奏です。
パヴァロッティを偲んで、久々にじっくり鑑賞しましたが、パヴァロッティの素晴しさに圧倒されました。いい映像が残っていて嬉しいです。レヴァインもこの頃は、見た目もいいですね。カーテンコールのみんなの笑顔が素晴しい!
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>かくして、誓いは守られたのであります。ジャジャ〜ン幕。
お疲れさまでした^^;
なかなか長〜〜いんですけど、見せ場満載ですね。
登場人物それぞれ、おかしな人たちですけど、それでいいのよ・・
あれこれ考えたりするのは野暮って気になります。
これぞ、オペラじゃないでしょうか。
オペラや歌舞伎は、思考停止が神髄かと・・
頭空っぽになれればなれるほど良い上演=演奏だと思います^^!!
by euridice (2007-10-14 20:54)
おつきあい下さいましてありがとうございます。
2002年にびわ湖ホールで、日本初演とかで、オール日本人キャストでやったのが話題になっていましたが、最後は、原作通り、三人全部死なせちゃったようです。この原作通りっていうのは、嫌ですね。なんで、こういう僭越なことをするのか....と思いますけど...
by keyaki (2007-10-15 17:04)
>ジャジャ〜ン幕。
パチパチパチパチ!(拍手)う~ん、いいですねぇ。ハッピーエンドで終わるかと思ったら、そうはシルヴァがおろさない!んですね。でも、トロヴァトーレよりは納得のいくストーリー展開だと思いますけど(^^)こういうオペラをこういう演出で見る機会があったらなぁ~。
>三大荒唐無稽オペラ
>大芝居を見せて欲しい
そういえば、「運命の力」もデ・アナの笑っちゃうくらいゴテゴテの大げさな演出が気に入りましたっけ…。
by Sardanapalus (2007-10-17 00:08)
Sardanapalusさん
けっこう歌舞伎のノリで、わかりやすいですよね。仇討ちとかお家再興とか....
それにしても長かったです。解説なんか、ものすごく端折ってて、短いんですけど、それでは、面白いところが全部抜けちゃってるんですよね。
面白い所を全部書いたら、長くなっちゃいました。
「運命の力」の方が、複雑ですよね、場所もあっちこっち飛ぶし、期間も長いし.....それに比べれば、エルナーニは簡潔と言えますね。
by keyaki (2007-10-17 00:40)
パヴァロッティにはカリスマがありましたね。同じメタボでも愛すべきメタボと言うか。 でも、今回のスカラ座の例の代役氏は2年前のフラッカロやもう一人のアンダースタディのテノールと同じで、所詮二流でしかありません。それでメタボじゃ許せませんよ。
by babyfairy (2008-12-09 19:41)