ファジョーニ演出《ドン・キショット》3幕:ラ・シェルラの山中 [ドン・キショット]
ドン・キショットのセレナードの主題による管弦楽の美しい間奏曲で幕が開きます。ドゥルシネの首飾りを奪い返すために、山賊を追って、ラ・シェルラの山中に、日も暮れ、ドン・キショットもサンチョもくたくたに疲れています。
サンチョは、草の上に大の字になって寝入ってしまいます。一方、ドン・キショットは「騎士たるもの常に襲撃に備えておかねばならぬ」と、右の写真のように槍を片手に立ったまま、ついうとうと....そこに山賊が現れます。
山賊は、すべて台詞で、ドン・キショットは、それに対して台詞ではなく歌で応える形なんですが、2000年の新国の公演では、この山賊の台詞をすべて日本語にしました。
こういうのも有りでいいんじゃないの、と積極的または消極的であっても肯定的な人と、日本語にする必要なんかない!と否定的、または拒絶反応をする人、様々のようです。最初に山賊が笑う、「ハ、ハ、ハァ」は万国共通ですけどね。外国語は、歌うより台詞が難しいというのは、事実のようですし、特に日本人にとって、フランス語は難しいんでしょうね。余談ですが、新国のカルメンが、いつもレチタティーヴォ版なのはそのせいだと思っているのですが.....私は、レチタティーヴォ版は嫌い、フランス語が下手でもいいからコミック版でお願いしたいです。
この3幕は、力ではなく、ドン・キショットの祈りによって、山賊を悔い改めさせ、山賊に祝福を与えて意気揚々と山を下りるという感動的な場面で、祈りの音楽は、敬虔な美しさにあふれ、山賊の罪を許し祝福する場面は威厳に満ちた音楽となっています。
※右の写真をクリックすると、ビデオクリップのサイトに飛びます。更に真っ暗で、ほとんど見えませんが、舞台の様子は想像しながらお楽しみ下さい。
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>山賊の台詞
あれは楽しかったです。この間の「ばらの騎士」でもオックス男爵が一言日本語で叫んでましたけど、和みますね・・ 「こうもり」でも日本語混ぜてましたね。ずっと以前の「魔笛」は夜の女王以外全員日本人キャストだったにもかかわらず〜〜そういうお遊びなしでしたけど、私としては、むしろ違和感がありました。
by euridice (2007-07-29 23:49)
意表をつかれて吃驚しましたが、山賊たちは日本人が演じてましたので、思い切ったいいアイデアだと思いました。
《ランスへの旅》でも、ライモンディがドン・プロフォンドのアリアにニッポンジン!バージョンを付け加えて、おおいに客席を沸かせてましたが、オペラには、こういうお遊びもあって楽しむものなんですね。
by keyaki (2007-07-31 14:17)