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ロッシーニ作曲《Mosè in Egitto》1818年版 Rigacci校訂 Maag指揮 [モゼ/エジプトのモゼ]

  ロッシーニの《Mosè in Egitto》《Moise et Pharaon》《Mosè 》を過去に取り上げましたが、フランス語改作とか、それをまたイタリア語にしたとか、とてもややこしくこみいってました。主に《Mosè in Egitto》の1819年版を取り上げたのですが、ここにきて、もう一つ、本当の初演の版の1818年 の《Mosè in Egitto》の1981年の演奏の録音が手に入りました。ロッシーニのMosè...関連を年代順に並べてみると以下のようになります。


1.《Mosè in Egitto 》1818年3月5日、ナポリ、サンカルロ劇場
台本作家:アンドレア・レオンーネ・トットラ 原作:旧約聖書
♪1981年9月30日 ペルージャ演奏会形式 ペーター・マーク(Peter Maag)指揮 RAIFM放送(今回、録音入手)

2.改訂版《Mosè in Egitto》1819年3月7日、ナポリ、サンカルロ劇場
1番の《Mosè in Egitto》を改訂したものであるが、大好評でイタリア各地で上演された。
♪1981年8月 クラウディオ・シモーネ指揮 スタジオ録音CDあり

3.《Moise et Pharaon》1827年3月26日、パリ、オペラ座
=「モーゼとファラオ、または紅海への道(Moise et Pharaon, ou Le passage de la Mer Rouge)」
ルイージ・バロッキとエティエンヌ・ドゥ・ジュイがトットラの《Mosè in Egitto》の台本をフランス語に翻訳、且つ大幅に改作
※ライモンディは歌っていない

4.《Mosè》1827年12月、ローマ
3番のフランス語の台本をカリスト・バッシが伊訳、つまり《Moise et Pharaon 》のイタリア語版
♪1981年8月 ヴォルフガング・サヴァリッシュ指揮 ライブ録音CDあり

■参考:
オペラ御殿:ロッシーニ各Moseの解説
ルッジェーロ・ライモンディ主演の主な公演一覧:1968〜1994


今回、手に入ったのは、1番の1818年の《Mosè in Egitto》、めずらしいものだとおもいますが、1819年版とどこがどう違うのでしょうね。
1818年のロッシーニ自筆稿によるブルーノ・リガッチ校訂版



荒れ狂った海は、追っ手のエジプト人たちをあっというまに飲み込んでしまうが、今は、なにごともなかったように静かな海に戻る
Peter Maag指揮《Mosè in Egitto》演奏会形式
Orchestra Sinfonica di Roma della Rai
Coro Filarmonico di Praga
1981年9月30日 Teatro Morlacchi ペルージャ
キャスト:
Amaltea: Barbara Daniels
(エジプト王妃)
Osiride: Philip Landgridge
(Elciaを愛するエジプト王子)
Faraone: Kurt Rydl Silvano Carroli
(エジプト王)
Aronne: Roberto Merolla
(モーゼの兄)
Mosè: Ruggero Raimondi
(ヘブライの指導者)
Elcia: Elisabeth Connell
(アメノフィの娘=モーゼの姪)
Mambre: Josè Garcia
(エジプトの司祭長)
Amenofi: Ambra VespasianiNucci Condò
(モゼの姉でElciaの母)

♪この録音に興味のある方は、こちらからどうぞ→MoseInEgitto1981Maag.zip(2007-06-08 02:16:13までダウンロード可)期限後は、コメントしていただければ再アップします。
★ペーター・マーク(Peter Maag, 1919.5.10. - 2001.4.16)スイス東北部ザンクトガレン出身。モーツァルトとメンデルスゾーンのスペシャリストとして知られる。イタリア北部ヴェローナ没、享年81。バーゼル大学とチューリッヒ大学で哲学と神学を修め、アルフレッド・コルトーにピアノを、また指揮をエルネスト・アンセルメとヴィルヘルム・フルトヴェングラーに師事した。
★Bruno Rigacci 1921.03.06- 指揮者

↑中世の町ペルージャのカテドラル、Teatro Morlacchiもすぐ近くにある。また、この噴水のある広場は、町の中心の通りコルソ・ヴァンヌッチの出発点=終点で、ペルージャの人たちは、この通りを行ったり来たりして散歩を楽しむ。
ウンブリアの州都(小さな町ですけど)でもあり、ペルージャ大学の他に国立の「外国人のためのイタリア語の大学」もあり、各国から人が集まる。9月の終わり頃から音楽祭が開かれるので、上記の演奏も1981年の音楽祭の時のものと考えられる。
関連記事:
・ロッシーニ作曲《 エジプトのモーゼ》《 モイーズとファラオン》《モーゼ》
・ロッシーニ《 エジプトのモーゼ》1819年版(1)
・ロッシーニ《 エジプトのモーゼ》1819年版(2)
・ロッシーニ《 エジプトのモーゼ》1819年版(3)


Perugiaの中心の通りCorso Vannucci


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コメント 9

euridice

なんだか知った名前が並んでますね・・聞いてみようかしら^^!
by euridice (2007-06-05 08:35) 

keyaki

そう言われれば、Barbara Danielsは、最近話題になった《西部の娘》のメトのDVDの可愛いおばちゃんソプラノさんですね。
Philip Landgridgeフィリップ・ラングリッジもどこかで....グラインドボーンのイドメネオじゃないの!?
クルト・リドルは、お馴染みさん
Elisabeth Connellエリザベス・コンネルって、ペーター・ホフマンのローエングリンのオルトルートで、どこかでエレクトラも歌ってましたね。

まだ、カセットテープの時代でしょうから、ちょっと音がよれてるかな、というかんじもしますが、どうぞ、聴いてみて下さい。
by keyaki (2007-06-05 09:02) 

euridice

最後のモーゼ変奏曲になってるところ、やっぱりいいですねぇ・・

>エリザベス・コンネル
バイロイトのローエングリンの映像では、すごみのある美人ですが、
テレビで見た演奏会形式のエレクトラは、年齢がいってるのは仕方がないけど、超肥満で幻滅。

>フィリップ・ラングリッジ
他にもビリー・バッドの艦長とか、けっこういろんな映像でお見かけします。
録音も意識せずにけっこう聞いているかもしれません。
by euridice (2007-06-06 08:30) 

hasida

私もこれを聞いたところでした・・ということは、keyakiさんも
OperaShareから落とされたのではないかと思います。で、

>(revisione di Bruno Rigacci secondo L’autografo del 1818)

というのは結局「(1819年に初演された)第2稿の校訂版」を
指しているのではないでしょうか。いつもお世話になっている
「オペラ御殿」によると「祈り」の合唱は1819年上演版で
追加された、とのことですが、この演奏に丸々入っていますから。

OperaShareで1993年ナポリ・サンカルロ劇場の演奏へのリクエスト
に音声だけアップロードされていたのを見かねて、先月手持ちの
「怪しい」(edcさんよくご存知)DVDから起こしてVIDEOアップロード
したら、早速感謝メールをもらったり、で、どうやら好評のようです。
是非ご覧ください。

私の場合こっちを先にデフォルトにしてしまったので全然公平ではない
と思いますが、オジリデとファラオーネは大差でサンカルロ盤がいいと
思います。2幕フィナーレのデヴィーアのハイEは楽譜にはない、
ということなのでしょうが、これもこっちに先に慣れてしまうともう駄目。

なにより、映像で見ていただければ「オラトリオ風の辛気臭い作品」
が「宗教色を装った一大痛快スペクタクル」に見えてくるかも。
by hasida (2007-06-06 22:35) 

keyaki

hasidaさん、映像のご紹介ありがとうございます。
ナポリのは、ウーゴ・デ・アナの演出でしょうか。

>「宗教色を装った一大痛快スペクタクル」
残念ながら録画はどこにもないようですが、ピッツィ演出のMoseは、神殿がくずれるところとか、最後の紅海の場面とかまさに映画の十戒さながらの大スペクタクルを舞台で実現していて、しかも、モーゼがライモンディだと、チャールトン・ヘストンのモーゼさながらなんです。ウィーンとかローマで上演しているのに録画していないとは残念無念です。モーゼの舞台のできるまでなんていうメイキングはあるんですけど。

>「(1819年に初演された)第2稿の校訂版」を指しているのではないでしょうか。
わざわざ1818年版と書いてありますので、そうなのかな、と思っています。
1819年版は、シモーネ指揮のスタジオ録音のCDがありますが、ちゃんと1819年と明記されていますし。

また、なにかわかりましたら、追記したいとおもいます。
by keyaki (2007-06-07 00:50) 

keyaki

hasidaさん、ありがとうございます。
関心のある方は、頑張ってダウンロードしてくださいってことですね。

過去記事にも書きましたが、このデ・アナの演出は、1991年ボーローニャが初演で、ロンドンでも、ライモンディ主演で再演していますが、イギリスの批評家さんたちには、不評だったようです。
by keyaki (2007-06-07 09:40) 

助六

聴いてないので想像に過ぎませんが、「revisione di Bruno Rigacci secondo L’autografo del 1818」と言うのは、「校訂版 edizione critica」と言うより、「1818年版とされる自筆譜に基づいたリガッチによる編集版」というほどの意味ではないかと思います。

当時まっとうな1818年版の譜面を用意するのは難しかったでしょうから、リガッチ氏が、ロッシーニの自筆譜を参照して、実際的な見地から独自の演奏用楽譜を準備したのでないでしょうか。

19年版で追加された「祈り」が入っているというのは、

① 「祈り」は美しい音楽なので、リガッチ氏が実際的見地から、19年版その他の版から借用して追加・編集した。

② パリ音楽院図書館旧蔵の自筆譜には「私の自筆による初版『モーゼ』、ロッシーニ」と記されているが、この自筆譜は、3幕については19年版の音楽が記されていて、つまり18年版3幕の自筆譜は伝わっていない。リガッチ氏は、この自筆譜をそのまま踏襲した。

と言う可能性がありそうな。
by 助六 (2007-06-08 09:42) 

keyaki

助六さん、
やっぱり3幕の「祈り」は、はずせないですよね。
1818年版をそのまま演奏するのなら、わざわざ「リガッチによる編集版」とする必要はないような気もしますから、「祈り」の音楽を挿入したという意味なんでしょうかねぇ。
by keyaki (2007-06-08 23:47) 

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