は〜い、ハイDですヨ:ベッリーニ《Il pirata 海賊》 [オペラ歌手]
※貴重な情報をもらいましたので、追記しました(2007.5.24)
ベッリーニの《Il pirata 海賊》は、歌手を揃えるのが難しいこともあって、上演機会に恵まれないオペラということで、前回はソプラノの『狂乱の場』を取り上げましたが、テノールのグアルティエロ役で3点D(Re)がありますので、その部分を紹介します。
1幕GUALTIEROのカヴァティーナ、33頁の"Nel furor delle tempeste,"からですが、後半にハイDがありますので、33頁下の方の"Ma l'orror de' miei pensieri"からです。4人のテノールを紹介します。スタジオ録音は、録り直しができますから、ライブを選びました。
結果は、聴いてのお楽しみなんですけど、一種の癖か、伝統的慣習的歌唱か.....十人十色です。テノールには2幕の処刑前のアリアにも、ハイCがありますので、いずれにしろ高音に自信のあるテノールが必要なオペラのようです。
※リンクしている楽譜の左サイドのNo. 2 * CAVATINA: Nel furor delle tempeste をクリックすると33頁に飛びます。
以上です。
ホセ・ブロスを除いては、みなさん、ハイDに果敢に挑戦しています。彼も、高音は得意の歌手のようで、ハイCは、楽々というかんじなので、Dを避けた理由はわかりわかりませんが、その時の調子によって、決めているのでしょうか。
最後の音を、楽譜には無い"Si♭"に上げて、えんえん伸ばすと、すかさず拍手喝采で、客席がわきますが、楽譜通り、下げて静かに終ると、一呼吸おいて、拍手が入る、という感じです。歌手の中には、今日は、高音命の観客が多そうだ、とか敏感に感じて、上げるのかしら...こういう高音を楽しむのは、イタリアオペラの特徴ですが、高音が出るのと、音楽性は別のようですから、高音が自慢だけだと長続きしないようなかんじもしますが、どうでしょうね。
ロックウェル・ブレイクが、高音を誇張することなく、楽譜通り、さらっと歌っているのが印象的です。細かいことを言えば、サルヴァトーレ・フィジケッラとマルチェッロ・ジョルダーニは、3点D(Re)を強調して長く伸ばして歌っていますが、その前は楽譜通りではなく、※Fa,Si♭,Reと歌っています。おそらく、声楽的に、この方が、高音のReを出し易いからではないかと思いますが、違うかしら。(テノールの高音については、無知なので、おかしなことを書いているかもしれませんが、ご指摘いただければ、ありがたいです)
※追記)リンクしたインディアナ大学のサイトの、Kalmusの楽譜ですとFa,Do,Reになっていますが、Ricordiのヴォーカルスコアだと、Fa,Si♭,Reになっているそうです。『普通に考えれば、伴奏のSi♭-Re-Faの和音通りの方が理に叶ってます。Fa-Do-Reだと、Doは歌う方としては不思議に感じると思います。ただ、こればっかりは自筆譜見てみないと分かりません。一応、Ricordiの楽譜には、ナポリ音楽院の図書館蔵の自筆譜で修正した、とあります。』 ということです。情報と解説ありがとうございます。(2007.5.24)
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