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ロッシーニ《 エジプトのモーゼ》1819年版(3) [モゼ/エジプトのモゼ]

前の記事の2幕の続き。
登場人物:モーゼ(ヘブライの指導者)、アロンネ(モーゼの兄)、アメノジ(モーゼの姉でエルチャの母)、エルチャ(アメノジの娘=モーゼの姪)、ファラオーネ(エジプト王)、アマルテア(エジプト王妃)、オジリデ(エジプト王子)、マンブレ(エジプト司祭長)
■3幕:
 モーゼを先頭にヘブライの人々は荒野を横断して、海岸にたどりつく。ここまでくれば安全だと皆は一息つくが、紅海に行く手をはばまれていることに気づく。もはや逃げ道はないと、騒然となるが、モーゼは、神が私たちをお導き下さると言って、厳粛な祈りを神に捧げ、皆もそれに従う。♪祈りMP3+歌詞♪『ニコロ・パガニーニ(1782-1840)がロツシーニの聖書歌劇《Mose in Egitto》の「祈り」の部分をヴアイオリン用に書き直した曲。正式な題名は"Introduzione e variazioni sulla preghiera,Dal tuo stellato soglio 'Dal 'Mose' di Rossioni"(ロツシーニの『モーゼ』の『汝の星をちりばめた王座』による序奏と変奏曲)』
 しかし、そこにエジプト人たちの一群が迫ってくる。モーゼが、目の前の海面を杖で打つと、海が二つに分かれ、乾いた道が現れる。人々は、その道を通り、対岸に着く。
 死んだ王子オジリデの報復を誓う司祭長マンブレと王ファラオーネに先導されたエジプト人たちが、彼らのあとを追おうとするが、海は元に戻り、波に飲み込まれる。終わり

この「祈り」は、このオペラの中で最も美しい曲といわれている。《 モイーズとファラオン》《モーゼ》にも転用されている。


以上、CDリブレットの解説と歌詞を参考にして、即席で書いたあらすじです。実際に映像なり、舞台を見るとまた違った印象を受けるかもしれません。『オペラ御殿』のあらすじと比べてみるとわかりますが、同じ題材でも台本作家が別ですので、《 モイーズとファラオン》《モーゼ》とは、かなり違っているようです。
  モーゼをレパートリーとしているライモンディは、次のように語っています。『《モーゼ》のほうが劇的に強いので好きです 。モーゼが私をいつも魅惑するのは、実際、純粋に歌の質です。つまり、ベルカント、canto parlatoということですが、さらには、こういうことをおいておいても、劇的な人物だということです。19世紀と20世紀はじめの音楽的オペラ的人物をすでに示しています。私はカトリックですが、この役の終局的側面にはあまり興味はありません。でも、ミュンヘンでのサヴァリシュ指揮による、ピエール・ルイジ・ピッツィの巨大なファンタジーの旧約聖書的プロダクションの神秘主義に、時には圧倒されたということに同意せざるをえません。しかし、このモーゼを、強力な人物として、人間に意志の力の素晴らしい模範として、とりわけ魅力的に体験しています。』Opernwelt2001.9/10月号より(英訳)
参考:
・1988年、サバリッシュ指揮、ピッツィ演出《モーゼ》のリハーサルのビデオクリップ
・1990年、ガッティ指揮、デ・アナ演出《エジプトのモーゼ》のリハーサルのビデオクリップ
関連記事:
・ロッシーニ作曲《 エジプトのモーゼ》《 モイーズとファラオン》《モーゼ》
・ロッシーニ《 エジプトのモーゼ》1819年版(1)
・ロッシーニ《 エジプトのモーゼ》1819年版(2)


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コメント 4

euridice

> ※♪祈りMP3
RRの声は、ロッシ=レメーニ、アブドラザコフと相当違う印象を受けます。明るく直裁で美しい。重々しい感じがない。このクリップ、全体的にもイタリア語が意味は知らなくてもかなりはっきりききとれるのが心地よいです。前の記事のも含めて、RRの画像、いかにもモーゼですね。
by euridice (2007-02-24 07:27) 

助六

伊語版「エジプトのモーゼ」大好きですけど、仏語版「モイーズ」も結構好きなんですよね。確かに「エジプトのモーゼ」の方が劇的集中度は高いと思うけれど、「モイーズ」の方も華麗だし、仏グラントペラへの接近にも拘わらず、ドラマの緊張感は弛緩してないように思えて。

「モイーズ」は、私は見てませんが83年にボジャンキーノ監督時代のパリ・オペラ座がプレートル指揮レイミー、ガスディア、ヴァーレットなんかでやったそうですが、かなりズタズタにカットだったとか。91年に演奏会形式で、ゼッダ指揮エステス、ガスディア、デュピュイなんかで聴いたことがありますが、曲も指揮も素晴らしかったですね。「モイーズ」は未だ校訂版も出てない状態で、91年の時もゼッダが譜面を準備したのでしょうが、バレエはさすがにカットだったと思うけれど、最後の賛歌は演奏され、客も大喜び(小生も!)でしたね。

伊語版「モーゼ」は、基本的に仏語版「モイーズ」の伊訳だけど、伊語版「エジプトのモーゼ」をも参考にした単なる翻訳に留まらない恐らくバッシによる編曲のようですから、特に実際の上演ではさらにカット・編集が加わって、「モイーズ」と「モーゼ」を名乗る上演間でも違いがあったりするようですね。

しかし上演表見てみると、81年にオリジナル版「エジプトのモーゼ」の録音が出た後、ロッシー二・ルネサンスたけなわの80年代でも伊語版「モーゼ」の上演が多かったんですねぇ。既に1830年代から「エジプトのモーゼ」や、「モイーズ」よりも「モーゼ」の上演が増えていったと言いますが、1980年代でもまだそうだったんですね。
個人的には「モイーズ」も好きとは言え、ロッシーニ時代から、原典主義が主流になる1980年代に至っても「モーゼ」が愛好された理由は、今ひとつ瞭然としません。ライモンディは「(「エジプトのモーゼ」よりも)「モーゼ」の方が好きだ」と言ってるんですよね? だとしたら大変興味を引かれる発言です。あと「ベルカント、canto parlatoということですが」の下りの意味がよく分かりません。「ベルカント=カント・パルラート」と言っているのでしょうか?「カント・パルラート」がstile declamatoの意味で、かつdeclamazioneの意味で「劇的に強い」と言っているのなら、大変示唆的意見と思うのですが。宜しければ原文お教え頂ければ大感謝です。

ところでアルハンブラの写真いいですね。東方的で、前に水があるところも何となく「モーゼ」に通じてるような(笑)。
by 助六 (2007-02-24 09:45) 

keyaki

euridiceさん
ほんとに、つくづく、ライモンディの声はユニークだとおもいます。こういう声が好きな私としては、他のバスが、鼻声とか、こもっているように思えてしまうんですが、反対に言えば、そういうのが正統的なバス声なのかしらね。
誰にも似ていないと言うのは、とても価値があるとおもいます。

>イリダール・アブドラザコフ
もう一人アブドラザコフがいるんですけど、兄弟でしたっけ。
ボロディナの旦那はどっちでしたっけ。
by keyaki (2007-02-24 14:34) 

keyaki

助六さん、ありがとうございます。冬の日だまりのアルハンブラ、別世界でした。今も変わってないんでしょうね。

>伊語版「モーゼ」は、基本的に仏語版「モイーズ」の伊訳だけど、伊語版「エジプトのモーゼ」をも参考にした単なる翻訳に留まらない恐らくバッシによる編曲のようですから、
そうなんですか。ただ単に訳しただけかと思ってました。

ライモンディは、デ・アナ演出で「エジプトのモーゼ」をボローニャとロンドン、ロンドンでは、イギリスの雑誌のレビューで、酷評されてます。特に演出かな? 経費節減で、ボローニャの演出を、チェックもしないでそのまま持ってきたとか、子供だましの演出だとか、この評論家の意見がみんなの意見とは限りませんけど。イギリス人には向いてないオペラなのかも.....(笑

ピッツィの演出で、ミュンヘン、ローマ、フェニーチェでイタリア語版《モーゼ》を歌っています。
ということは、フランス語版の《モイーズとファラオン》は、歌ってないと思いますので、このインタビューでは、フランス語の《モイーズ》のバージョンの方が好きだと言っているんですが、《モーゼ》のことではないかと思ったんですけど....
このインタビューは、ドイツの雑誌を英訳したものです。(イギリスの方が英訳しましたが、どうなんでしょう)
canto parlatoとなっていますが、ドイツ語でもそうだったかどうかはわかりません。英語をここにコピペすると、いろいろトラックバックがついたりすることもありますので、記事のほうにリンクしました。
いろいろご意見が伺えれば嬉しいです。
by keyaki (2007-02-24 15:06) 

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