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ショスタコの13番:手に入りました! [ショスタコーヴィチ交響曲第13番]

News!昨年のヴェローナ音楽祭でのウーゴ・デ・アナ演出の《トスカ》がDVDで発売されるようです。マルセロ・アルバレスがインタビューで言ったとかいわないとかという、いい加減情報です。スカルピアはダブルキャストでしたが、おそらくライモン爺でしょうね、転びましたけど.....


♪探しもの(1)♪ 見つかりました!
ショスタコーヴィチ交響曲第13番
指揮:リッカルド・ムーティ
バス独唱:ルッジェーロ・ライモンディ

世界で唯一のイタリア語歌唱による録音
1970年1月31演奏ライヴ

期待していた解説書は、残念ながら無しでした
←第5楽章アレグレット《La carriera 出世》
この演奏とは無関係ですが1970年の写真

 《探しもの》の記事を書いた時に、ロシア語歌唱を試聴してみようかなぁ...と米国アマゾンに行って、検索したら、嬉しいことにマーケットプレイスで出品されていたんですよ。何年も探していたのに、こんなに運がいいことってあるんですね! 本日届きました。
 ちゃんとしたCDが手に入った記念に、最後の《第5楽章La carriera 出世》をご紹介。ガリレオ....がどうたらこうたらと歌っています。ガリレオって、あの地動説のガリレオです。
 音楽は、最初は、早春の雪どけのせせらぎか、夜明けの雰囲気ですが、管がポアン!とか妙な音を出したり、全体的にホワホワヘロヘロ〜としてますが、歌っている内容は、傑作で、笑えます。
 要約しますと『ガリレオは愚か者だ。実は、ほかの学者も地球が回ってるって知ってたんだ。だけど、かれには家族がいたから、真実を隠した。それが立身出世になると思ったから....だが、真の出世を果たしたのはガリレオ.....』というような内容で、静かに、静かに終ります。チーン。
※ネットで歌詞を見つけました。せっかくですから、第一楽章《バービヤール》〜最後までリンクします。《出世》は34からです。
 この交響曲は1962年、まだフルシチョフ時代のソ連。詩は、当局を逆なでするような皮肉たっぷりのものですから、西側の受けはよかったようですが、初演が大変だったそうです。
 バス歌手が、当局に睨まれるのをおそれて辞退したりで決まらなかったとか。最終的にヴィシネフスカヤの推薦で、ボリショイ劇場の若い歌手ネチパイロに決まります。不測の事態にそなえて代役も用意、音楽院を卒業したばかりのグロマツキイです。
 案の定、初演当日、ネチパイロは、歌えないと言ってきたそうです。この歌えないという理由が、ヴィシネフスカヤによれば、予想もしなかった当局の妨害工作で、彼は、当日、ボリショイでのオペラの出演予定がなかったのに、そのオペラに出演の歌手が病気になるように命じられ、ネチパイロが代役で歌うようにした、というものです。
 一方、指揮者のコンドラシンは、「声が出ないので歌えません」とネチパロイが電話をしてきたが、歌手というものは追い詰められれば集中して歌うことができるので「這ってでもきてくれ」と言ったが、断られたそうです。これは政治的意味ではなく、本当に病気で、調子の悪い声で歌いたくなかったからでしょう、と回想しています。どちらが、真実かはわかりませんが、隠し球のグロマツキイが歌ったわけです。
詳細は、こちらに書かれています。
関連記事:
RRと指揮者(8)リッカルド・ムーティ
探しもの(1)ショスタコーヴィチ交響曲13番


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euridice

それはそれはおめでとうございます。奇遇というか、意自ずから通ずか。

それにしても、この曲に頻繁に現れる♪チーン♪は何なんでしょうか。
by euridice (2007-02-03 07:33) 

keyaki

euridiceさん、そう、通じるものなんですね。
この曲の詩は、ソ連を皮肉っているのは明らかですよね。ものがないとか、ユーモアまでは禁止できないぞとか、真実を言う者が偉大なんだとか.....
リンクしたところにも書いてありましたが、雪どけとはいいながら、フルシチョフが抽象画を見て、「ロバのしっぽで描いた絵だ」とか言ったのが影響するようなソ連時代だったわけですから、チーン!というのが、本当にチーン!って感じがしますね。(笑
by keyaki (2007-02-03 10:12) 

tsukune☆彡

探し物見つかって良かったですね。おめでとう!ございます。(*^_^*)
どうしても欲しい!って思い続けることが大事なんですよね。
私の経験からしても、ダメもとでも根気強く探し続けると、予想もしていなかったところで急に見つかったりするから不思議です。

昨年のトスカがDVDになるとすると、ヒロインはチェドリンスですね。
私もDVD化が実現するように願ってます。
by tsukune☆彡 (2007-02-03 18:20) 

ヴァラリン

おめでとうございますぅ。
皆さま仰ってますけど、最近思うのですが、まぁ「愛はすべてを可能にする!」と言い切ってしまうのは大げさですが、強く願っていれば、ある程度のことは可能になるものかと…^^;

>ソ連を皮肉っている

ショスタコーヴィッチの歌曲も、こういう詩を取り上げたものが多いんですよね。ダレカさんも、ベビーフェイスに似合わずこの手のものが得意でして。。。
(歌曲は愛だの恋の内容よりも、この手のもののレパートリーの方が多い)
by ヴァラリン (2007-02-03 23:37) 

keyaki

tsukune☆彡さん
日本のオークションには何年待ってもでなかったんですよ。米国アマゾンの場合は、海外発送お断りの出品者も多いので、ほんと、今回は、運が良かったです。

チェドリンスのトスカ、楽しみです。ガセじゃなければいいんですけど。イタリアでは、やっぱりイタリア人ってことで、人気があるようですね。オペラクリックで蝶々さんのビデオが見られます。
http://www.operaclick.com/interviste/cedolins_fiorenza_new.php
by keyaki (2007-02-04 10:01) 

keyaki

ヴァラリンさんの場合は、まさに
>「愛はすべてを可能にする!」
日本にまで来ちゃうんですから。

タコといえば、リア王を聴かせてもらいましたね。
道化の歌がジングルベルで印象的でしたけど、あれは歌曲ではなくて劇音楽ですよね。
1980年代でも、ロシア人歌手の人たちは、当局にちょっとでもにらまれると出国するのもたいへんだった、というような話があったりですものね。
by keyaki (2007-02-04 10:46) 

Sasha

梅津紀雄せんせいによれば次のようになります。(東洋書店刊「ショスタコーヴィチ 揺れる作曲家像と作品解釈」<ユーラシアブックレット№91>)より)
「ショスタコーヴィチが歌詞に重点をおいたことは編成の点からも明らかである。(中略) 言葉が聞き取られるようにという配慮と考えられる。」「初演は様々な妨害を受け、かろうじて実現したといっても過言ではない。」

(ちなみに、この本、2ページが交響曲13番にさかれています。keyakiさん、何らかの手段でお送りしましょうか?)

鐘というのは、ロシアの歴史、文化の文脈においてはかなり重要な要素のひとつなんです。一言で説明するのはむずかしいのですけれど... ロシアの音楽にはオペラにも器楽曲にも鐘を模したと思われるところがたくさん聞き取れますよ。
by Sasha (2007-02-04 14:49) 

keyaki

Sashaさん
鐘の音は、たしかにめずらしくないですけど、この曲の♪チーンは、チーンってかんじ....

梅津紀雄せんせいの「ショスタコーヴィチ 揺れる作曲家像と作品解釈」は、630円でアマゾンで買えるようですから、なにかのついでの時に買いたいとおもいます。ご紹介ありがとうございます。
作品解釈より、初演のゴタゴタの方に興味があるんですけど。
ヴィシネフスカヤさんの記憶の方があっているようなきがします。こういうことは、女の方が、よく覚えてますし、正直ですもの。
by keyaki (2007-02-04 19:33) 

TARO

初演の独唱ってグロマツキイという人だったんですか。
ヴァランシエンヌさんのところに嘘書いちゃいました。>ごめんなさい

1970年といえばムーティは世界的な名声を得る前夜ですよね。
ちらっと聞いただけでも、なかなか引き締まった音楽作りのように感じました。
by TARO (2007-02-05 00:23) 

ヴァラリン

TAROさん>

いえいえ、お気になさらずに。
初めての録音での独唱はエイゼンですよね?
by ヴァラリン (2007-02-05 00:46) 

Sasha

あらためて聴いてみましたが、「チーン」も鐘だろうと思いますね。というか、ロシアの鐘Колокол(コーロコル)には大小さまざままなものがあってそれぞれがいろいろな高さの音が出ます。だから、ゴーンもカーンもゴーンもチーンもある(笑)。Звонарь(鐘つき)という専門家が無数の鐘をたくみに操作して高い音、低い音、まるで音楽のように打ち鳴らすわけです。ロシア各地の教会のそういう「演奏」を集めたCDまであります。

ロストロ夫妻はショスタコーヴィチと親交が厚かったですからね。というより、ショスタコがロストロさんをかわいがってたんですね。ヴィシネフスカヤもいろいろな声楽作品の初演者になっているし。

ところで、イタリア語だなんて~、と半信半疑で聴いてみたのですが、若きRR、立派ですねー。アルトゥール・エイゼンのCDを手に入れてみたくなりました。
by Sasha (2007-02-05 09:29) 

keyaki

Sashaさん
田舎の家の仏壇のカネの音に似ていませんか。子供の頃、何回もチーン、チーンとか鳴らして、何回も鳴らすものではありません....とか叱られたような記憶が......親しみのあるチーンなんですよね。

>イタリア語だなんて~
1970年ということと(原語主義ではなかった)、あと、歌詞がわからないとおもしろくないですから、イタリアではイタリア語が妥当でしょうし、ロシア語よりイタリア語の方が、ちと親しみがありますしね、私は。

>アルトゥール・エイゼン
聴きましたけど、私は好きですよ。このエイゼンの歌唱は、みなさんがよくおっしゃっている野太い声、地響きするようなロシアっぽいバス声ではなくて、自然なかんじがしました。
レイ・フェルクスはバリトンですから、エイゼンの方がしっくりくるかんじでしょうか。
by keyaki (2007-02-05 19:55) 

Sasha

>田舎の家の仏壇のカネの音
たしかにそう言われてみればそう思えなくもない...が、やはりこれはロシアの鐘に間違いないと思いますねぇ。告白すると、私にはそもそもの最初から「ちーん」ではなくて「鐘」に聴こえてました(笑)。文化的刷り込み? 絶対音感保持者にはすべての音がドレミで聴こえるのと似てる?(って、ゼンゼン似てないか(汗)

>1970年ということ
そうですね。ちょうどヨーロッパのオペラ界が原語主義に移行していく途上だし。こういう作品ですしね。ちなみに旧ソ連でオペラに原語主義が取り入れられ始めるのはさらに遅く、80年代に入ってからです。
by Sasha (2007-02-05 22:54) 

keyaki

Sashaさん、ご指摘のように、いろんなカネの音があるんですよね。「鐘」に聴こえるのもあります。
で、仏壇のチーンはどの部分だったか、なにか妙にチーンだったんで、笑っちゃったんですけど。コンドラシン&エイゼンのも全曲通して聴いたので、もしかしたら、そっちのチーンかもしれません。
私も、教会の鐘の音には、慣れているんですけど....
ボリスでも戴冠の場とか、ボリスの死の場面でも弔いの鐘が...いろいろ鳴り響きますけど、こういうのって、どの楽器でとか作曲家の指示はあるんでしょうけど、指揮者とかオケで微妙に変わってくるでしょうね。トライアングルのチンでも、上手い、下手がありますしね。

昨年末の演奏会では、ちゃんと字幕がでたようですね。
by keyaki (2007-02-06 01:21) 

euridice

Sashaさんにプレゼントです。
とりあえず5楽章。

http://www.geocities.jp/euridiceplus/scho135.mov
by euridice (2007-02-07 08:10) 

Sasha

euridiceさま~ ありがとうございます!
今、聴きながら仕事してます。(ナイショ^^;;) これが1967年の録音なのでしょうか?
by Sasha (2007-02-07 09:31) 

keyaki

euridice さん
コンドラシンとエイゼンですね。ありがとうございます。
途中のチーンがやっぱり、これこれ、ご愁傷さま〜チーンに聴こえちゃう。男声合唱と男声ソリストなんで、はじめて聴いた時から声明みたいだな、とおもっているんで、仏壇のチーンにきこえるんでしょうね。他の楽章で木魚みたいな音もあったし。(笑

そいで、ムー帝のを聴くと、オケの後方で、かすかに鐘の音が...ですね。ぜんぜん違いますね。やっぱり、指揮者でずいぶん変わるもんですね。面白いです。
by keyaki (2007-02-07 09:42) 

Sasha

うふふふ、keyakiさん、人によって連想するものが違うのはむしろ自然ですね。私にはやっぱりロシア正教の鎮魂の鐘に聴こえました。
by Sasha (2007-02-07 10:02) 

euridice

Sashaさん、仕事のおとも第2弾です。
by euridice (2007-02-08 08:31) 

助六

ロシアには親しみがない私にも、完全に鐘の音に聞こえます。仏壇はまるで考えませんでしたねぇ(笑)。

ショスタコ本を数冊めくってみたら、「チーン」に言及してるのはなかったけれど、最後のチェレスタの音をカリヨンを模したものとしてる論者は2人(但しイギリス人とオランダ人)いました。

しかしこの第5楽章は、権力にかなり面従だったショスタコ自身への皮肉と埋葬とも取れますよね。彼の近くにも信念を貫いて公職を追放された作曲家も現実にいたわけですから。

そういう訳で、「チーン」を含め、不遇な同僚と、自らの「出世」への鎮魂と埋葬の鐘に間違いないのではと思います。
by 助六 (2007-02-08 09:27) 

Sasha

euridiceさまああああ!!! うーれいすぃな、うれしすぃな! あっりがっとーございまぁーっす! (QuickTimePro買って大正解!)
by Sasha (2007-02-08 09:37) 

keyaki

euridiceさん、私もいただいちゃいます。ありがとうございます。
by keyaki (2007-02-08 10:24) 

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