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アラーニャ、スカラ座途中退場事件その後 [スカラ座事件]

ゲオルギュー&アラーニャはどうするか ...とちょっと話題になっていたローマ歌劇場のゼッフィレッリ新演出の《椿姫》のキャストが昨日 23日に発表されました。


 ご覧のように、名前はありますが、トリプルキャストですね。4/20,21,22,24,26,27,28,29日  5月 /2,3日となっていますので、かなりつまった日程ですから、当初からトリプルキャストだったのかもしれませんが、用心(なんのかは?)したのかもしれませんね。もちろん、まだ、先のことですから最終的にはどうなるのかはわかりませんけど .....
 12月14日スカラ座前でのアラーニャの「私は、契約通り出演するつもりで来たのに、劇場側にキャンセルされたんだ!」というアピールのためのワンマンショーの後は、何事もなかったかのように、アイーダが上演されているようですが、アラーニャを降板させたことによって、素晴しい《アイーダ》になったということも、代役のフラッカーロのラダメスの方がいいという意見も見当たりません。
 アラーニャと劇場側がどちらがどちらを訴えて訴訟にするのかもよくわかりませんが、私にとっては、ネットで、いろいろな情報収集ができるようになって、二つ目の興味深い事件です。一つ目は、デボラ・ヴォイトが肥満を理由にコヴェントガーデンから契約破棄され、ボイト側が、劇場を訴えるとかなんとかの事件でした。 (こちらにその時の新聞記事があります 《ダイエット歌姫:デボラ・ヴォイト》まとめ)
 さて、今回のアラーニャの事件ですが、私にとっては、アラーニャが一部の観客に腹を立てて、舞台を途中で投げ出しことよりも、その後の劇場側の対応と、この事件に対する個人の様々な反応、意見が非常に面白かったです。
 個人の反応は、それは、個人に対するいつものバッシング、どうしてそこまで言えるのかとおもうくらい、犯罪者扱い、あるいは嫉妬の固まりのようなものもありますし、アラーニャも大人げないね程度のものまで、いろいろです。スカラ座でブーイングする人たちの耳がこえているから彼らの判断は正しい....という意見もあったりして、びっくりですけど。
 私は、こういう起こってしまったことで、個人を叩くより、その時の劇場側の対応に関心があります。前の記事にも書きましたが、今回の劇場側の対応は、アラーニャは、観客のことを考えていない無責任だ、というのと同様、劇場側も観客のことなんか考えていないとおもいました。
 あっというまに普段着のパロンビが舞台にのこのこ出て来たということのほうが、前代未聞のことで、これこそやってはいけないことだと思います。やはり、ここは、音楽を止めて、ちゃんと衣裳を着た代役を出すか、衣裳を脱がないで楽屋にいたアラーニャを説得して出すか、が常識的な対応だとおもいますが、今回の対応が、適切だったといえるのでしょうか。また、音楽を止めないことになんの価値があるのでしょうか。
 アラーニャが感情に任せて舞台を降りてしまったことの責任はありますが、この時の対応のまずさが、今回の件が騒動になった原因だと思います。ほとんどの観客は、アラーニャのラダメスを見に行っているのですから、劇場側は、アラーニャの態度に憤慨して対抗するのではなく、観客のことを考えて、寛大な態度がとれなかったのかと残念です。このように思うのは、私が好きな歌手がいるからでしょうね。歌手中心でオペラを見ていない人には理解できない心理なのかもしれません。
関連記事:
ミラノ・スカラ座《アイーダ》:アラーニャのラダメスはどうなるか?
アラーニャ、今後のスカラ座ラダメス降板決定!


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コメント 14

ふくきち

私もマリア・カラスの伝記を読んだりして、歌手がどれだけプレッシャーと戦いながら舞台に立っているか多少は知っているだけに(もちろん全員が緊張しているわけではないでしょうけど)、今回の出来事は本当に胸が痛みました。「大したブーイングじゃない」なんて言われていましたが、そうでしょうか?インタビューでのアラーニャの様子も、自分を守るために虚勢を張っているように見えて、気の毒でした。バッシングには全く共感できません。
シャイーがなぜ演奏を中断しなかったのか、それが一番不思議ですね。
by ふくきち (2006-12-24 23:12) 

euridice

岡村喬生氏の本にも書いてありますし、P.ホフマンの伝記を読んでも感じますが、スター歌手に限らず、オペラ歌手のストレスは大変なもののようですね。組合とかないわけで、完全に孤立状態、自分は自分で守るしかないわけです。劇場で働く人たちの中では、ある意味、最も弱い立場だと言えそうです。頼りになるのは、自分の技術と健康と人気と度胸。

ホフマンによれば、デビューしてすぐに
『舞台での仕事に対する感性を失わずに、劇場での生活に持ち込まれるあらゆる卑劣なことに対しては鈍感にならなくてはいけないということがわかった』そうです。

また他者の反応というものは、気まぐれというか、決して公平ではないのであって、『期待外れの時に、よい扱いをうける仲間がいる。同じへまでも私の場合はこっぴどく非難されるということがとてもよくわかる。おかしな話だ。しかし、こういうことには慣れるしかない』ということです。
by euridice (2006-12-25 08:54) 

yumemi

私もオペラは歌手中心で聴いている人間なので、お目当ての歌手がこのような経緯で降ろされたとしたら、憤然とします。もしその歌手がちゃんと歌えているのに謂われないブーイングを浴びたらブラヴォーで応酬しますね!!
by yumemi (2006-12-25 14:38) 

yumemi

上の続きですが、バッシングについては私も共感できません。
アラーニャのその後の言動はまさに虚勢を張って、自らを鼓舞しようとしていたのだと思います。 私もバスティアニーニの伝記を読んで、舞台裏でどれだけ歌手が苦しんでいるか垣間見てしまったので、どんなに有名であろうと歌手も人間であって、人並みの同情や思いやりを示されるべき存在だと信じています。

スカラ座の今回の対応は全く解せないし、許せません。 天井桟敷の常連達が耳が肥えているから云々、というのは噴飯ものです。
by yumemi (2006-12-25 14:49) 

YUKI

アラーニャの奥様のゲオルギューも「椿姫」に関してキャンセルするかどうかを・・・っていう記事を目にしたので気になっていましたが、今の段階ではトリプルキャストで出演と言う事なので安心できそうですね。(^_^)

アラーニャはまた再び舞台に立つつもりしてたのに突っぱねられたと言う記事は本当に彼の悔しさが溢れていますよねぇ?!
訴訟を検討する気持ちは分かります。
by YUKI (2006-12-25 18:04) 

keyaki

コメントありがとうございます。

今回の事件は、劇場側のとった対応が、どう考えてもおかしいです。アラーニャのとった行動が前代未聞なら、劇場側の対応も更に更に前代未聞、何回でも言っちゃいます。普段着の歌手を立たせるなんて!

>「大したブーイングじゃない」
って、今のいじめの問題と同じ、いじめているほうは、たいしたことしていないとおもっているけど、やられているほうにとっては、耐えられないわけですよね。結果的に舞台放棄したことになってしまったことは、反省してもらえばいいことだとおもいます。

>あらゆる卑劣なことに対しては鈍感にならなくてはいけないということがわかった
アラーニャって、ブーイングずれしてなかった可能性はありますね。経歴とか詳細には知りませんが。
ライモンディも最近の若い歌手は、傑出した声があると、すぐに大劇場で歌うというパターンで、大変ですよね〜、みたいなことを語っています。「自分が若い頃は、小さな舞台からはじめて、熱狂的に拍手もするけれど、情容赦ない口笛を吹いたり、ブーイングしたりする大衆と、自信を失わず、自信過剰にならず、やっていく方法を体得したあと大きな劇場に行きました。」と話しています。

>yumemi さん
ほんとお目当ての歌手が、本人が、体調不良で出られない、とはっきり宣言しない限り、降板させるのは許せないです。それに、そういうことの常習者というわけでもないのに、全公演クビって、アラーニャ目当てで、チケット買った人は、どうなるの、ですよね。
数年前のボローニャ来日公演で、クーラが、風邪で、どうなるかとハラハラしましたが、鼻水すすりながら歌ってくれました。
でも、この時も、そうとう批判されましたよ。主催者側は非常識だと。
私は、ライモンディのスカルピア目当てでしたが、クーラのカヴァラドッシとの組み合わせを期待してましたので、歌ってくれて嬉しかったです。
頑張って観客のために歌ってくれたクーラにたいしてもかなりのバッシングがありましたが、ほとんどの観客は、クーラが歌ってくれて喜んでいたと思います。

>YUKI さん
ゲオルギューとアラーニャは、注目のカップルのようで、まあ、いろいろ書かれて、お気の毒です。一緒に仕事をすれば、いつも一緒でうざいといわれ、別々だと、離婚したのかとかいわれますしね。
デッシーとアルミリアートはなぜかあまり言われませんね。(笑
by keyaki (2006-12-26 15:49) 

Sardanapalus

>トリプルキャスト
日程的には元々トリプルでもおかしくは無いですね。とにかく歌う日があるというだけでもファンは喜んでいるでしょう。スター歌手と有名歌劇場は持ちつ持たれつの関係のはずなんですけどね~今回のスカラ座側の傲慢さは開いた口がふさがりませんよ。

>劇場側の対応も更に更に前代未聞、何回でも言っちゃいます。普段着の歌手を立たせるなんて!
本当に何度も言ってますけど、私の意見もここに尽きますね。音楽を止めることと、普段着の歌手をぽいっと舞台上に出すのと、後者の方がマシという意見はどう考えても納得いかないです。
by Sardanapalus (2006-12-26 21:50) 

keyaki

Sardanapalusさん、
世界的な傾向か、日本の傾向かわかりませんが、
一個人が傲慢だと叩くわりに、傲慢な組織には、なんの批判もないですものね。
リスネルはスカラ座のトップだけど、芸術(音楽)監督が空席というのが、今回の劇場側のなんとも奇妙な対応になったようなかんじもしますね。こういう舞台上のことを仕切る人がいないから、パロンビのような、私に言わせれば、お調子者が出ちゃうんですよね。

フラッカーロも新国でラダメス歌ったけど、話題にもならなかったんですけど、パロンビもドン・ホセを歌ってるんですよ、でも、同じく歌ってくれただけという程度でしょ、話題になっていれば、みんな覚えてますものね。
まあ、スカラ座もこれからの新人を連れて来るのならともかく、恥ですよね。
by keyaki (2006-12-26 22:37) 

yumemi

クーラも酷い目に遭っていますよね。そして、変な噂を流されている。 でもDVDの『イル・トロヴァトーレ』を観て、ルーナのホロストフスキーとペアで一気にファンになりました。

私はフローレスが『ドン・パスクワーレ』で絶不調だった時のバッシングを思い出します。そして、未だにその時の事を蒸し返して、『フローレスはだめだ』と吹聴している人を知っています。

バスティアニーニに関してはあの魔のスカラ座、リゴレット公演の『失敗』(彼も天井桟敷の『耳の肥えた』客からブーイングを受けた)のおかげで、彼のリゴレットは良くないというレッテルが40年以上立った今でも残っています。

今回のアラーニャの件もここまで来ると『いじめ』です。ただ少なくとも彼には奥様という味方がいるけれど、癌発症後は恋人とも別れて独りだったバスティアニーニは衰えた声に浴びせられるブーイングを受けた後は浴びるように酒を飲んでいたそうです。 
by yumemi (2006-12-26 22:45) 

euridice

>変な噂
こういうのを真に受けて毛嫌いする人も少なくないですね(勝手ですけど)
中には、肯定的な情報は「うそ」だと思う人も。

健康で活躍中なら、どんな噂も批評も、なんとかの戯言か遠吠えですけど、病気から引退へという不幸な経過を辿った場合は、刷り込まれた悪評を消すすべがないから、悲しいですね。
by euridice (2006-12-27 07:46) 

劇場は、歌手で人を呼ぶということもあるのですから、その点をまっとうにやるべきだと思いますね。背後には色々あるにしても…
by (2006-12-28 00:33) 

ヴァラリン

今年もお世話になりました~~
ちょっと早いですけど(^^;来年も宜しくお願いします。
よいお年を!
(って、相変らず全然関係ないコメントですみません^^;)
by ヴァラリン (2006-12-28 20:53) 

keyaki

yumemiさん、euridiceさん、 gonさん
釈然としない部分のある劇場側の対応だと思いますが、まあ、仕方がないということなんでしょうね。いろいろ考えさせられる騒動でしたね。
by keyaki (2006-12-31 20:47) 

keyaki

ヴァラリンさん、こちらこそ、来年も宜しくお願いします。
by keyaki (2006-12-31 20:48) 

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