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《ドン・カルロ》フィリッポII世の映像 [ドン・カルロ]

 《ドン・カルロ》のフィリッポII世は、バス歌手にとって重要な役でもあり、一度は歌ってみたい役でもあるようです。
 岡村喬生の著書『ヒゲのオタマジャクシ世界を泳ぐ』にも、ついにケルンで、フィリッポを歌った時の感激が書かれています。フィリッポのアリア"Ella giammai m'amò!"を知って、20年目にやっと念願がかなったとか。このアリアは、"E"音が楽々出ないと無理で、岡村喬生は、高音が苦手で、オペラ歌手として舞台に立ちながら、高音が出せるようにレッスンを続け、15年目に"F♯"まで出るようになり、ケルン歌劇場のオーディションで、このフィリッポのアリアを歌って、専属第一バス歌手になり、紆余曲折20年目にケルンでフィリッポを歌ったということです。そうそう、岡村喬生は、ローマに留学してついた先生が、 サンタ・チェチリア音楽院のペディコーニ先生で、「.....私が恩師ペディコーニ先生のレッスンを受けている時、同じバスの背の高い、歌をまだはじめたばかりの青年が横でおとなしく聴いていたのが目に浮かぶ。真摯なその青年がライモンディ(16か17歳)だった。今は、押しも押されもしない、イタリアを代表する世界的なバス。偉くなったものである。....」と語っています。その後、岡村喬生もライモンディもピエルヴェナンツィ先生のレッスンを受けているんですね。
※愉快なピエルヴェナンツィ先生のエピソード:
エピソード:声楽授業(8)ローマ編(ピエルヴェナンツィ先生)
エピソード:声楽授業(9)ローマ編(ピエルヴェナンツィ先生の初レッスン)


 さて、ライモンディは、ピエルヴェナンツィ先生も久々の素晴らしい生徒で大満足だったように最初から余裕で高音の出るバス歌手でしたので、1968年、弱冠26歳で、フィリッポをレパートリーにして、頻繁に歌っています。ところが、残念なことに録音はありますが、映像がありません。右上の写真からリンクしていますが、1978年のスカラ座200年記念公演の《ドン・カルロ》の映像があればと残念でなりません。素晴らしいキャストで、他にはないイタリア語5幕完全版なんです。唯一見られる映像は、1988年バルセロナリセウ大劇場でのTV放送のものです。
《ドン・カルロ》出演記録
1978年のスカラ座200年記念公演の映像は1978年1月7日収録のものがNHKでも放送され、フィリッポはネステレンコでした。2007.12.31記事をご覧下さい
トーマス・フルトン指揮《ドン・カルロ》

1988.11.7バルセロナリセウ大劇場 キャスト詳細
♪フィリッポII世の"Ella giammai m'amò!"〜大審問官との問答対決♪
この公演の主要キャストは一流著名歌手を揃えているのですが、なぜかドン・カルロだけが.....ということで、私は、この公演は、カレーラスの復帰記念の公演だったのではないかと想像しています。それが、直前にカレーラスが出演できなくなり、その代役ではないかと.......なにか情報がありましたらよろしくお願いします。
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euridice

>岡村喬生の著書『ヒゲのオタマジャクシ世界を泳ぐ』
この本、私も読みましたが、ほんとに興味深い話がたくさんありますね。岡村氏の本、二冊目からはなんだかね〜〜ですが、第一作のこれは最高だと思います^^! 文庫化されてますからまだ読んでない方、ぜひどうぞ!
by euridice (2006-12-21 09:32) 

Cecilia

私も持っていてサイン付きです!(記事も書きましたが。)
euridiceさんがおっしゃる二冊目は何の本でしょう?
私は以前主婦の友社から出たCDブック(オペラの歴史がわかる本です。)を持っています。(それもサイン付き)

やはり「ヒゲの~」はおもしろいですよね~!!
もう一度しっかり読んでライモンディのところを確認してみます。
岡村さんがイタリア歌劇団(マリオ・デル・モナコたち)と共演した「オテロ」はレコードで鑑賞させていただいたことがあります。
by Cecilia (2006-12-21 14:46) 

keyaki

Ceciliaさん
ライモンディのことは、この本にではなくて、ドン・ジョヴァンニの映画のパンフレットに書かれていました。
この本には、ペディコーニ先生とピエルヴェナンツィ先生の名前が出てきますので、ライモンディがサンタ・チェチリア時代に習った先生だわ....ということで、オペラ界ってせまいのね〜なんて思いました。

>(記事も書きましたが。)
検索で、Ceciliaさんの記事がヒットしました。また記事で取り上げようかと思っていますので、その時は、リンクさせていただこうかな..と思っています。
by keyaki (2006-12-21 15:09) 

keyaki

euridice さん
ずーっと前にも読んでるんですけど、今、読むと更に面白いです。
アモール ペル メ ノナ〜 のEの音で、苦労した話とか、やっぱり、このアリアを知っていると、ますます面白いですよね。

岡村喬生は、ドン・ジョヴァンニでは、いつも騎士長の役だったそうですから、本当のバスなんですね。
by keyaki (2006-12-21 15:16) 

euridice

>二冊目は何の本でしょう?
「歌うオタマジャクシ 世界奮泳記」とか「岡村喬生の本音コラム101話 」とか・・アマゾンで検索すると出てきます。ちょっと二番煎じの感はぬぐえませんでしたし、説教臭くなってる感じがいただけませんでした。それにしても「ヒゲの・・」はおもしろいです^^!

>主婦の友社から出たCDブック(オペラの歴史がわかる本です。)
これは読んでないと思います。
by euridice (2006-12-21 20:02) 

ヴァラリン

>>『ヒゲのオタマジャクシ世界を泳ぐ』
>今、読むと更に面白いです。

ですね!^^!
特に外国を拠点に頑張っている歌手のファンは必読ですね。
第九のバス独唱のお話も参考になりましたし、バス歌手のファンにとっても必読書(笑)
by ヴァラリン (2006-12-21 20:50) 

助六

当時の記録によりますと、
ドン・カルロはルイス・リマ
ロドリーゴはブルゾンと予告されています。

カレラスは88年後半は、復帰リサイタルのみに限り、オペラ復帰は翌年からでしたから、直接には関係ないかも。
by 助六 (2007-01-30 07:38) 

keyaki

ルイス・リマとブルゾンの名前も出て来ましたか!
ラビルヘンとオルドネス、カップッチッリの名前も出て来たんですよ。
カレーラス説も捨て難いんですけどね。
水面下では、あったのではないかしら、なにしろバルセロナですし。
by keyaki (2007-01-30 10:53) 

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