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毒舌評論家R.チェレッティとR.ライモンディ(3)インタビュー [オペラ関連書籍&雑誌]

2006-11-30の記事の続きです。記事を書いたロドルフォ・チェレッティの経歴と著書は、2006-11-28の記事を参考にしてください。

歌うこと、奇妙な職業:
非凡なバス歌手とキャリアの初めに知り合った情け容赦ない評論家との間の友情のインタビュー

★1998年4月、ロドルフォ・チェレッティがR.ライモンディにインタビューした時の雑誌記事です。

出会ったのは1979年、ライモンディがカラヤンにスカルピアを歌ってほしいと頼まれたが、初役でもあり、一般的にバリトンの役でもあったため、不安になり、オペラ研究家で、評論家のチェレッティに相談したことがきっかけで親しくなった。......ある時、ライモンディは、共演した若いテノールの声楽のレッスンをチェレッティに依頼した。


 ライモンディは、正しかった。このテノールは、現在、世界の大劇場に出演しているが、彼を望ましい状態にすることには、それほど苦労しなかった。ところで、このことは、ライモンディがどういう人物であるか理解するための話である。著名な歌手が、デビューしたばかりの歌手のために尽力することはまれなことだが、もしそういうことをするとしても、ほとんどいつも見当外れのことが多いものだ。
 さて、要点に入ろう。つまりルッジェーロ・ライモンディの最近のインタビューである。

新しい役を勉強する時、まず、あなたが演出家であることを想定するというのことは本当ですか?
「それはちょっと言い過ぎですけど、そういう場合もあります。私は、それを目的にしません。それは私には自然なものです。」

最初に舞台で、それから歌ですか?
「完全にではありませんが、部分的にはそうですね。あなたにとって、アリアは、前舞台で直立不動の状態で歌うのが当然だと思っていることを私は知っています。違いますか?」

時にそうです。そうはいってもそういう歌手はほとんどいませんが、ファリネッリは、 車道の車止めの石柱のように不動で歌いましたが、観客は彼に喝采をおくりました。あなたはそれをどう説明しますか?
「時代が違うでしょう。今それをやってみて下さい。」

ルッジェーロ、あなたは、素晴らしい才能でなにをしますか? 演出家ですか?
「嫌いではありません。でも、幻想でしょう。」

ルッジェーロ、間に合うように引き返しましょう。※1最初のリサイタルをすることを誰があなたに強く求めましたか?
「あなたです、不幸な人。あなたが、音楽祭の芸術監督の時でした。私は、とても心配で怖かったです。」※1980年6〜7月のマルティナ・フランカ音楽祭のリサイタルのことだとおもわれる

あなたはすでに有名で、大騒ぎする映画の主役もして、成功しました。違いますか?
「わかっています。あなたは、名声の重圧を和らげたり、それに耐えるために何年ものキャリアが必要なことを知っていますか?」

しかし、本当に重荷ですか?
「一概には言えませんけど。」

 それから、私たちは、他のことを話した。ライモンディはとても話し好きで才気豊富な男で、私たちは、歌手を尊重しないし、冗談を認めないという話題にもちょっと触れた。私たちは、更に短い余談をした。ライモンディの微笑みは、影響力がある。それに、彼にはユーモアのセンスもある。こうしたことは、オペラ歌手ではまれである。
 「私の職業は、奇妙なものです。それは、なんで成り立っていますか? 内面的葛藤、情熱、そして、時には、悪意、欺瞞、侮辱をも模倣して、しかも、歌うことは、すべてのことを、強調して激化させます。より多くのものが、演劇のなかにあることを私は信じています。そのことは、どんなリスクがありますか? もし、登場人物とあまりにも一体化すると、ばかげた状態に陥るということですか。」「それで?」と私は尋ねる。彼は笑って「それで、彼らはあなたに口笛を吹きません、代わりに時間を使ったとしても。それだけです。」  ー終わりー

関連記事:
2006-11-30毒舌評論家R.チェレッティとR.ライモンディ(2)出会い
2006-11-28毒舌評論家R.チェレッティとR.ライモンディ(1)


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コメント 5

euridice

>彼らはあなたに口笛を吹きません、

「批評家は書き間違いに鉄槌を下されることはない。今、批評家は、邪魔されず、コントロールされることのない痛烈さで、辛らつに、悪意を持って書くことができる」
by euridice (2006-12-03 07:05) 

keyaki

ライモンディとチェレッティの発言は、私のいい加減な訳のせいもあるのですが、なんか判じ物みたいで、???なんですけど、euridiceさんご紹介の文章 のようなことを言っているんだとおもいます。
チェレッティにしてみれば、お互いに意見があって、考え方も違うけれど、ライモンディと話すのは楽しいということなんでしょうね。
by keyaki (2006-12-03 09:06) 

NO NAME

前の記事の、ライモンディがラモン・ヴァルガスのレッスンをお願いする時の、
>「本当です。ぜんぜん冗談ではありません。あなたにぜひとも頼みたいのです。」
という言い方が何となくおかしくて好き (^_^)
禅問答のようでおもしろいですね。
以前、このブログでライモンディが、不調だったレオ・ヌッチに声楽の先生を紹介してあげたお話があったと思いますが、歌手同士のこういうつながりを知ると、オペラを観るときにもっと楽しめますね。

お久しぶりです m(_ _ )m
by NO NAME (2006-12-06 22:44) 

にぃにぃ

失礼しました。上のコメントはにぃにぃです。
by にぃにぃ (2006-12-06 22:46) 

keyaki

にぃにぃさん、
ライモンディって、けっこうめんどうみがいいようですね。
歌手仲間からは、とても頼られているようですし。 
声楽の先生は、口コミで、あの先生がいいよ、とかいろいろあるんでしょうね。ピエルヴィナンツィ先生は、ジュセッペ・タッデイの紹介でしたけど、この先生は、高音が出るようにしてくれる先生らしいですよ。岡村喬生も高音が苦手だったので、ピエルヴィナンツィ先生に習って、出るようになったとか、本に書いてありました。
by keyaki (2006-12-07 02:02) 

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