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元祖!ジョナサン・ミラー演出《フィガロの結婚》その4 [フィガロの結婚]

前回の3幕に続いて4幕フィナーレ。
たそがれ時の城内の庭園。フィガロは、スザンナと伯爵が密会することを知り、その現場をとりおさえようと、バジリオとバルトロにも加勢をたのむ。一方、スザンナの服を着た伯爵夫人をスザンナだと思い込んだ伯爵は、甘い言葉をかけ、園亭に誘う。伯爵夫人に化けたスザンナは、フィガロに「私はおまえのものよ」といって、園亭に入っていく。これを目撃した伯爵は、吃驚仰天。「みなのもの武器をもて」と大騒動、園亭の扉を開ける。すると中から、ケルビーノ、バルバリーナ、マルチェリーナ、スザンナ、フィガロが現れる。まだ、事態がのみこめない伯爵は、「不埒者め、許さん」といきまいているが、そこに、本物の伯爵夫人が登場......ビデオクリップをどうぞ。
こちらは、ポネル演出ですが、4幕のフィガロのアリアとフィナーレのTuttiの部分のビデオクリップがあります。フィガロのアリアの間は、客席を明るくしています。「世の男ども、ちょっと目を開けてよく見た方がいいぜ」と観客に向かって説教しているかんじで面白い演出です。

ライモンディが語る《フィガロの結婚》
オペラは『許せ伯爵夫人よ』で終りますが、けっして伯爵夫妻の復縁を意味するものではありません。このフィナーレは、二組の男女の愛の終わりを示唆しているのです。表面的には、またしても社会習慣という欺瞞的な理由から、すべてはもとのさやにおさまりますが、伯爵夫妻の愛は終ってしまいました。これからの日常では、創造的なものが芽生える土壌がまったくない、無意味で不毛な関係が続くのだと、二人とも知っています。もう一組のカップルにしても、フィガロはある種の空虚さを見せ、スザンナは、無意識に伯爵の色気に惹かれていきます。もちろんボーマルシェは後に、伯爵とスザンナ、伯爵夫人とケルビーノを当然のように恋仲にしていますが、《フィガロの結婚》のフィナーレですでに、その種は蒔かれていたわけです。
マテオプーロス著、岡田好恵訳『ブラヴォー、ディーヴァ』から抜粋
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元祖!ジョナサン・ミラー演出《フィガロの結婚》その2
元祖!ジョナサン・ミラー演出《フィガロの結婚》その1
参考:
1985年NYメト、ポネル演出《フィガロの結婚》



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