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《リゴレット》スパラフチレ:中くらいの役(8) [リゴレット]


パヴァロッティ
女心の歌 MP3
バス歌手が歌う、小さい役より、ちょっと大きい、中くらいの役シリーズ第8。
ヴェルディ作曲《リゴレット》の殺し屋スパラフチレも、中くらいの役でしょうね。ヴェルディのオペラの中で、《リゴレット》は、《椿姫》と並んでよく上演される人気の演目です。《椿姫》で、バスの役といえば、最後にちょこっと出てくるお医者さんで、これは若い必要は全くないですから、けっこうベテラン脇役専門のバス歌手さんに任せられるのが一般的ですが、《リゴレット》の殺し屋は、若いバス歌手のものでしょう。従って、主役を張るようになったバス歌手も若い頃には、歌っていることが多いようです。
 ♪詠唱『女心の歌』パヴァロッティ→

※参考: 《リゴレット》スパラフチレ:主な公演

ということで、ライモンディもこの役を24歳の時にはじめて歌い、前回記事にした1971年のNHKイタリア歌劇団の公演でも《ファヴォリータ》のバルダッサーレと《リゴレット》のスパラフチレを歌っています。これもTV放送されましたが、なぜかNHKさん保存してなかったようで、その後、TV放送されることも、DVD化されることもありません。当時は、フィルムが高かったので、使い回しをしていて、上に他のものをかぶせてしまったという話ですから、どこを捜してもないということのようです。フィルムが高いといっても貴重な記録なのに、若き日のパヴァロッティがマントヴァ公爵なんですから。あの有名なアリア"女心の歌"では、感激した観客が、舞台にかけあがって、握手をしちゃったという話もあるようですし、ライモンディの演技にも吃驚仰天した人がいるようなのに、誠に残念なことです。
スパラフチレが出る場面をご紹介します。
第2幕マントヴァの町外れ、暗い裏通り

リゴレットは、暗い夜道を娘ジルダを隠している町外れの小さな家に向かいます。マントヴァ公爵に娘を弄ばれたモンテローネ伯爵に「父親の怒りが、汝にも分かる時が来るだろう」と呪いをかけられたことが気になり、不安になって「俺を呪っている奴がいる」とつぶやくと、暗がりの中、スパラフチレが「旦那.....」と声をかけてきて、「いつでも邪魔者は殺してさしあげますぜ....この辺にいますからいつでもご用命を」とブルゴーニュのスパラフチレと名乗って去っていきます。(左写真をクリックするとビデオクリップに飛びます)

第4幕:河畔の荒れた場所にある2階建てのボロ宿
リゴレットは公爵のことをなおも信じ、あきらめきれないジルダをこのあばら家に伴い、中の様子を伺っています。そこに公爵がマッダレーナの誘いにのってやってきます。ここであの有名な「女心の歌」を得意そうに歌い、マッダレーナを口説きます。公爵の裏切りをまのあたりにして、ジルダは失望し、リゴレットは、彼に復讐する決心をします。旅支度をするようにとジルダを家に帰して、スパラフチレにマントヴァ公爵の殺害を依頼します。
▼ここから、ビデオクリップをどうぞ。じーっと見ないと暗くて、わかりませんが、このオペラのクライマックス、嵐の中の惨劇の緊迫感は充分に伝わってきます▼
そして、ジルダが公爵の身代わりになって刺されたとも知らず、リゴレットは死体の入った袋を受け取り、川に投げ込もうとしたその時、あの脳天気な公爵の歌声が.....

※関連記事:
《ファヴォリータ》バルダッサーレ
1971年NHK招聘「イタリア歌劇団」のプログラム

注)2005-12-15にすでにバス・バリトンの小さい役:殺し屋スパラフチレ(リゴレット)という記事を書いていました。小さい役といっても重要ですから、中くらいとしていいでしょうか、一貫性がないですけど。(2006.10.14追記)


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コメント 5

euridice

>スパラフチレ
ポネル演出の映画版の、とっても印象的でした^^!
by euridice (2006-10-13 06:18) 

keyaki

あれはフルラネットですよね。
若き日の...ではないので、もう舞台ではやってなかったでしょうね。
by keyaki (2006-10-13 09:31) 

Bowles

スパラフチレといえば、最初にボローニャのテアトロ・コムナーレが来日した時、なんとギャウロフが歌っていました。豪華でした。フレーニが来日するのに「じゃ、一緒だから歌うか!」なんていう感じだったんでしょうね、きっと。
by Bowles (2006-10-13 10:44) 

keyaki

Bowles さん
ということは1993年、ということはギャウロフは、64歳。
この時の来日の演目では、ギャウロフが主役はるような演目はなかったようですから、フレーニの付き添いで一緒にってことですね。
そういえば、これは、TVで放送して、録画したとおもいますが、イタリア歌劇団ほどではないですけど、相当暗くて、鑑賞にたえないようなかんじでしたが、豪華キャストでしたね。
by keyaki (2006-10-13 18:31) 

助六

初来日の数ヶ月前、2月頃にボローニャで件の「リゴレット」を観ましたが、やはりギャウロフが歌ってて、文字通り「腐ってもタイ」(失礼!)でした。日本公演を意識した特別キャストかななんて思ったものです。外国客演なんか久しくなかったボローニャは日本公演に力を入れているという話で、ボローニャ側の資金協力まであり地元では議論もあったと記憶します。
引越し公演はバカ値とは言っても、初来日なんて時にはオケと合唱には異様な気合が入って、現地では聴けないような大演奏になることもままあり、そうした良さはあるかも知れませんね。
by 助六 (2006-10-15 09:00) 

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